目次
特徴・操作性
広角ラインナップの間を埋める25mm
中判用広角としては珍しく明るいF値
便利なフォーカスクラッチ
実写レビュー
X2D 100Cとの組み合わせで至高の写り
1億画素の解像度に対応するレンズ
肉眼に近い画角と自然なパース
近接撮影能力の高さとボケの奇麗さ
画質
中心解像度
周辺解像度
絞った場合
フリンジ
ゴースト・フレア
ライバル GF23mmF4 R LM WRとの比較
メリット・デメリット
広角でも明るさ・ボケを捨てたくない人におすすめ
近接撮影時のAFと防滴防塵性能の信頼性が気になるポイント
使用したカメラ
使用したレンズ
まとめ
Hasselblad XCD 2.5/25VはHasselblad Xシステムなどに使用できる、35mm換算で20mm相当の単焦点レンズとなっています。
これまでHasselbladの広角単焦点ラインナップには、21mm、28mmがありましたが、この差は意外にも大きいため待ち望んでいたユーザーも多かったのではないでしょうか。
また、Xシステムの中判センサーを生かした換算20mmの画角ながら程よいパース感があるレンズとなっています。
一般に中判用広角レンズは暗いものが多く、これまでF3.5あれば明るい広角レンズでしたがHasselblad XCD 2.5/25Vは中判用レンズとしては珍しい開放F2.5の明るさを誇るレンズとなっています。
F2.5の開放F値を持つことにより、ボケずらい広角レンズでもボケを生かした写真や、ナイトスナップなどで威力を発揮します。
また、手ぶれ補正ユニットを持たない907X & CFV 100Cとも有効で、今まで撮影しづらいシチュエーションでも撮影を続ける事ができるようになりました。
近接撮影を行っている際にAFが迷ってしまい合焦しない場面に遭遇しました。
しかし、そんな場面でもフォーカスクラッチ機構により素早くMF変えられる事によりシャッターチャンスを逃すということが大きく減りました。
このフォーカスクラッチは最近のHasselblad Xシステム(XCD 4/28Pを除く、XCD 2.5/55V以降に搭載)搭載されていて非常に利便性・操作感が高く、所有欲も満たされる機構になっています。
作例1:X2D 100C F8 1秒 ISO64
※ナンバープレートにのみモザイク加工しています
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
広角レンズとIBIS搭載のX2D 100Cとの相性は非常によく、
画角が広いため細かい手ブレなどはほぼ起きず、今回の試写では最大6秒の手持ち撮影まで可能でした。
また、片手でも手持ち1秒まであれば撮影可能で1億画素でも気軽に、楽しくナイトスナップ行えるレンズです。
作例2:X2D 100C F2.5 1/190秒 ISO64
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
HasselbladのXシステムは5000万画素のカメラから1億画素のカメラまでラインナップされていて、XCDレンズは1億画素の解像度に耐える必要があります。
もちろんXCD 2.5/25Vも1億画素に耐えるレンズ性能を持ち、手前から奥までしっかりと毛の質感を残しながら滑らかなボケを描きます。
さらに、猫のヒゲ1本1本、地面にあたって弧を描いてるヒゲまでも描写する性能を持ち合わせています。
作例3:X2D 100C F16 1秒 ISO64 露出補正 -1.33
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
XCD 2.5/25Vは35mm換算で、20mmの画角を持つレンズとなっています。
デジタル中判の20mmという画角は、両目で見ているときの視界の画角に近く、旅の記録などにもぴったりなレンズです。
さらに、広い画角を持ちながらも広角レンズらしいパースがでないため、旅などの風景写真だけでなく、被写体の顔を正確に写すのあるポートレートなどでも活躍します。
また、Hasselbladらしいスクエアの1:1での撮影時の距離感も非常に良く、1本のレンズで何度も違う楽しみを味わう事ができ、この約57万という価格も安く感じれるのではないのでしょうか。
作例4:X2D 100C F2.5 1/500秒 ISO64
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
一般に、中判用レンズは寄れないレンズが多くテーブルフォトなどでは非常に苦労することが多いですが、
XCD 2.5/25Vは中判レンズとしては珍しい、25cmの短い最短撮影距離を誇ります。
このため、ボケ量の稼ぎにくい広角レンズでも寄ることによって、背景をボカすことにより印象的な写真に仕上げ、さまざまな撮影シーンで他のレンズやカメラとは一線を画すような写真を撮影することが可能です。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
中心部の画質はさすがの一言で、10郡13枚のレンズ構成で、その内4枚が非球面レンズ、3枚がEDレンズのぜいたくな設計となっています。
中心部こそは良いものの、中心から少し離れると若干の滲みのような描写や、全体的に樽型の収差などが見られます。
これらの収差や外部の編集ソフトや、iOS向けアプリPhocus 2などを使用すれば補正が可能となっています。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
周辺部には収差が発生しています。
流れに関しては、外部編集ソフトでも、補正しきれない点には注意が必要です。
垂直方向ではあまり収差は目立ちませんが、横方向に関しては大きく目立つといった印象です。
また色収差も所々に発生しているため編集ソフト、専用アプリでの補正は必須かと思われます。
CFV100C/907X 100C F8 1/125秒 ISO64
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
F8まで絞った場合は、高画素中判らしくパキッとした描写です。
開放と変わらず、周辺部は若干の収差が残る形となっています。
解像度と、画角は圧巻で撮影時は軽量な中判ミラーレスであることを忘れさせていましたが、画を見るとやはり中判と分からせられます。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
フリンジは頻繁に発生します。
コントラスト差のある場面ではほぼ確実に発生しました。
編集時の色収差補正でも打ち消せない場合もあるため、フリンジ補正を別途で行う必要があります。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
フレアは極稀に発生します。
発生した場合は非常にシネマティックなものが発生します。
ゴーストに関してはあまり良くなく、薄く発生する場合もあれば、
色濃く小さいものが点々と発生する場合もあり、極端に強い光源を構図にいれる場合は注意が必要です。
GF23mmF4 R LM WRはHasselblad Xシステムと同じ4433中判センサーを採用するFujiFilm Gマウント用広角レンズとなっています。
似た焦点距離ながら、設計思想は全く異なっていて、XCD 2.5/25Vは明るく・軽量なレンズとして、
GF23mmF4 R LM WRは何よりも収差を排除した広角レンズにする、というような意図が見られます。
そのためHasselbladの描写や作家性を求めるユーザーにはXCD 2.5/25Vを、さまざまな現場で防滴防塵性能などの信頼性と収差のない描写を求めるユーザには GF23mmF4 R LM WRをおすすめします。
XCD 2.5/25Vは中判用レンズとしては、ほぼ唯一となる開放F2.5を達成している広角レンズです。
これまで三脚を必要だったものが、必要ではなくなり、機動性を高めたことによりこれまで撮影できなかったシーンが撮影できるようになりました。
また、ボケにくい広角レンズでも大きくボカせるようになり写真表現の幅が広がったレンズとなっています。
XCD 2.5/25Vの数少ない欠点として近接撮影時のAFと防塵・防滴性能があります。
近接撮影時は高い確率でAFが迷い、MFに変更して撮影するシチュエーションが非常に多かったです。
今回テストボディにはX2D 100Cと907X & CFV 100Cの2台を使用しましたが、どちらでもこの問題は発生したためファームアップで改善を願いたいところです。
もう一点は防塵・防滴性能で、XCD 2.5/25Vはシーリングはされているものの、本体が高価なこともあり、天気の悪い日などは少し持ち出すのを躊躇していまいそうです。
防塵・防滴性能については詳しい情報が欲しいところです。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
» 詳細を見る