特徴/操作性
驚く程コンパクトなAPS-Cサイズカメラ用超広角レンズ
EOS R10の画素数にピッタリな実用十分な描写性能
滑らかで操作感が良いズームリング
実写レビュー
ワイドレンズは街中のスナップにピッタリ
軽量で扱いやすい超広角入門としてもおすすめ
思い切って被写体に近づく事で背景をボカせる
少し難しい画角には一工夫必要な事も
画質
解像感
フリンジ
フレア・ゴースト
競合製品との比較
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryとの比較
RF10-20mm F4 L IS STMの比較
メリット・デメリットとおすすめユーザー
軽量コンパクトでリーズナブルな価格を実現した超広角ズーム
ボケを利用した撮影は難しいやや暗めのF値
EOS R10ユーザーなら是非持っておきたい入門用超広角ズームレンズとしておすすめ
作例に使用したカメラ
作例に使用したレンズ
まとめ
Canon RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMはRFマウントの超広角ズームレンズです。
2倍を下回るズーム倍率や、APS-Cサイズセンサー用である事を差し引いても、驚く程軽量コンパクトなのが第一の特徴と言えるでしょう。
RシステムのコンパクトなAPS-Cサイズセンサーカメラ、例えばR10などにデザイン・サイズ的にピッタリのレンズとなっています。
今回のテスト撮影はEOS R10で行いましたが、性能的に不満が感じられる事はほぼありませんでした。
EOS R10に採用された2420万画素のセンサーに対しては十分にオーバーサンプリングと言える解像感を持ち、安価なレンズという先入観なしに安心して使える十分な光学性能を持っています。
ショートフランジバックと、歪曲収差をカメラのボディ内補正に任せる割り切った設計がなされているものと思いますが、超広角の入門的位置づけのレンズでここまで写る事は驚きです。
レンズの操作部分はズームとフォーカスだけですが、特にズームリングの操作は滑らかで扱いやすいものです。
この部分が滑らかさに欠けると使い勝手に影響が出ますが、そういった点も安かろう悪かろうにならないあたりが、流石Canonの純正レンズといったところでしょうか。
レンズを使わない際は、レンズを短く収納できる沈胴式を採用していますが、使用する際のポジションとのクリックもわかりやすく、細かいところまで使いやすいレンズです。
作例1:F6.3 1/320 ISO500 露出補正±0 焦点距離:17mm(35mm判換算:約27mm)
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広角レンズというと風景写真というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし、人工物をできるだけフレーミングから排除したい自然風景の写真では、余程ロケーションが良くないと超広角を使う事はむしろ少ないかもしれません。
逆に意外と超広角が使いやすいのが都会の風景やスナップで、後ろに引けない条件が多いビル街などでも広い画角にものを言わせて自在にフレーミングする事が出来ます。
作例2:F16 1/10 ISO500 露出補正-1.3 焦点距離:14mm(35mm判換算:約22mm)
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上を向いたり下を向いたりとアングルを工夫しながら撮るのも超広角で都会のスナップを撮る楽しさです。
特に複雑な構造のビル街では下から高層ビルをあおって撮ったり上から俯瞰して撮ったりと、Canon RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMのような超広角ズームの出番も多くなります。
ひと昔前であれば歪み(歪曲収差)が気になるレンズが多かった超広角ですが、最近はミラーレスのショートフランジバックとボディ内補正のおかげでリーズナブルな価格帯のレンズでもほぼ完全に直線を直線として再現できるようになっているので安心です。
作例3:F16 1/200 ISO500 露出補正-1.7 焦点距離:12mm(35mm判換算:約19mm)
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EOS R10にレンズを装着しても重量は600g足らずと非常に軽量で、ストラップを付けづに片手で持ち歩いても苦になりません。
先に述べたとおりズームリングの動きは滑らかで、細かな画角もとりやすく操作性も良好でした。
ワイド側が24mm(35mm判換算)からとなった最近の標準ズームを持っていると広角ズームの出番は少なくなってしまいますが、ここまで取り回しがいいと出番が増えそうです。
作例4:F5 1/500 ISO500 露出補正±0 焦点距離:10mm(35mm判換算:約16mm)
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広角レンズの遠近感や画角は人間の感覚には無いと言われ、訓練しないと使いこなしが難しい焦点距離ですが、使いこなせると人とはちょっと違った個性的な写真が撮れるので、特にこれからカメラをはじめるという方に是非チャレンジして欲しい画角です。
そんな広角入門レンズとしてRF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMはかなりおすすめのレンズです。
個人的に初めて購入するレンズ交換式カメラとしてEOS R10はおすすめの機種なので、このカメラ用にこんな使いやすい広角ズームがある事を心強く思います。
作例5:F6.3 1/80 ISO1000 露出補正+0.3 焦点距離:13mm(35mm判換算:約20mm)
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Canon RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMの泣き所はF値が暗いのでボケを活かした写真が撮りづらい事です。
写真表現の中でも特に重要なボケを使えないのは少し痛いところですが、0.14m(AF時)と比較的短いので、思い切って被写体に近づけばある程度ボケを大きくする事ができます。
広角レンズは被写体に近づいても背景が広く入るので、撮影したシチュエーションをボケた背景に語らせるといったテクニックもなかなか楽しいものです。
作例6:F5 1/80 ISO320 露出補正-1.0 焦点距離:11mm(35mm判換算:約17mm)
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街中を歩いていると、ポスターが大量に貼ってある場所に遭遇しました。
広角レンズは遠近感が誇張されるので、実際よりも広い場所で撮ったように見せる事ができます。
こういったレンズを使ったちょっとしたウソをつくのも写真表現の楽しさのひとつかもしれません。
作例7:F6.3 1/3200 ISO500 露出補正-1.3 焦点距離:16mm(35mm判換算:約25mm)
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超広角レンズだけで撮影をしようと思うと、画角が広すぎてまとまりのある構図がとれない事が多くあります。
そんな時は、極端に大きく露出補正をかけて構図を整理してしまうのも手です。
Canon RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMは開放F値が暗くボケを使う事も難しいので、こんな方法もありなのではないでしょうか。
作例8:F14 1/3 ISO100 露出補正+0.3 焦点距離:10mm(35mm判換算:約16mm)
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ちょっと特殊な方法かもしれませんが、わざと手ぶれさせてしまうのも面白いかもしれません。
作例は歩きながらファインダーもほとんど見ないで適当にシャッターを切りました。
構図などもだいたいで、ラフなノーファインダーで撮れるのも超広角レンズのメリットのひとつです。
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リーズナブルな価格帯のレンズですが、今回テストボディとして使ったEOS R10の2420万画素センサーには実用上十分な解像感があります。
開放では若干眠さが見えるので、3250万画素センサーを搭載したR7では少し物足りないかもしれません。
解像感などのレンズ性能よりも、コンパクトでリーズナブルな使いやすい広角ズームとして評価するべきでしょう。
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開放でも目立つほどのフリンジの発生は見られませんでした。
ボディ内補正のおかげが大きいと思いますが、UDレンズを2枚使用して、ある程度色収差が補正されているのだと思います。
カメラとレンズが協業して収差を補正する設計は最近のトレンドとなっています。
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点光源が前玉に直接あたるような状況ではゴーストが発生します。
作例の蛍光灯はそれほど明るいものではありませんでしたが、わずかにゴーストが発生してしまいました。
このあたりはどうしても価格とのトレードオフとなる部分なので、致し方ないといったところでしょうか。
RFマウント用が無いレンズと比較するのもどうかと思うのですが、将来発売される事への期待も込めての比較です。
全域で開放F2.8という非常に明るいF値を持っているSIGMAの広角ズームは、APS-Cサイズセンサー用のレンズとして理想的と言えます。
RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMのメリットは価格とコンパクトさという事になりますが、SIGMAのようなスペックのレンズがRFマウントにもあれば、と少し羨ましいのも事実です。
本来フルサイズ用の、しかもLレンズを比較対象とするのも多少違和感を覚えますが、RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMが思った以上にユニークなレンズでライバルが少ないので無理くり選んでいる感じです。
APS-Cサイズ用で無い事で大きく重く光学なレンズですが、フルサイズでも使える、性能的に申し分ないという事がRF10-20mm F4 L IS STMの大きなメリットです。
しかし、例えばR10のユーザーが使うには明らかにオーバースペックなレンズなので、やはり比較すべき対象では無いかもしれません。
APS-Cサイズカメラ用のレンズという事を考慮に入れても軽量コンパクトでリーズナブルな価格を実現している事は、RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMの大きなメリットです。
標準ズームとほぼ同じサイズや200gを切る軽量さは、多少性能を犠牲にしても大きな利点となります。
価格の割に操作感が悪くないのもポイントで、使ってみると安かろう悪かろうでもないところはさすがCanonです。
実際に使用してみてデメリットとして感じたのはやはりF値の暗さです。
被写体にできるだけ近づくといった工夫をしても、さすがに10mm f4.5や18mm f6.3ではボケ感が小さくなってしまいます。
基本的にパンフォーカスに近い絞り込んで使うレンズと考えておく方が良さそうです。
テスト機として使用したEOS R10との相性は非常に良いレンズでした。EOS R10ユーザーなら是非持っていたいおすすめのレンズです。
非常に使いやすいレンズなので、超広角というちょっと難しいレンズにチャレンジする入門用レンズとしてもピッタリで、失敗した際のコストの事も含めておすすめのレンズです。
使おうと思って使わないと意外と出番の少ない超広角レンズに、是非RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMを使って是非チャレンジしてみて下さい。
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Photo & Text by フジヤカメラ 北原