Voigtlander(フォクトレンダー)ULTRON 27mm F2 X-mount の実写レビューです。
40mm(35mm判換算)は最近スナップなどに人気の画角で、薄型のパンケーキレンズは持ち歩きやすく使い勝手がいい事から普段使いのお散歩レンズとしては勿論、標準レンズを卒業して最初の単焦点レンズ、最初のマニュアルフォーカスレンズとしてもおすすめです。
解像感、フリンジ、ゴーストなどの画質、見た目にも楽しい高いビルドクオリティのデザインや操作感などを実際に撮影した実写をもとにレビューします。
特徴/操作性
人気の画角40mm(35mm判換算)のコンパクトなパンケーキレンズ
開放F2、最短撮影距離25cmなど純正を上回るスペック
外観のクラシックさとは裏腹に高い描写性能を持つ現代的な写り
実写レビュー
コンパクトなデザインと使いやすい40mmの画角でスナップに最適
開放F2と最短撮影距離25cmによりボケを活かした表現も得意
4,000万画素のカメラにも対応できる高い解像感を持つシャープで現代的な写り
操作感は良好だがコンパクト故の弱点も
画質
解像感
フリンジ
フレア/ゴースト
口径食
FUJIFILM XF27mmF2.8 R WRとの比較
解像感を比較
最短撮影距離の違いによる撮影倍率の比較
開放F値の違いによるボケ量の比較
おすすめユーザー
コンパクトで高性能、開放F2の明るさと近接能力の高さが魅力
フォーカスの操作に慣れが必要など小さい故のデメリットも
普段使いの単焦点レンズでも表現を妥協したくないユーザーにおすすめ
まとめ
40mm(35mm判換算)はスナップなどに使いやすい汎用性の高い画角としてここ数年人気となっています。
Voigtlander(フォクトレンダー)ULTRON 27mm F2 X-mount は薄型のパンケーキタイプとなっている為バッグへの収まりも良く、FUJIFILM Xマウントの常用単焦点レンズとして価値ある一本です。
マニュアルフォーカスが難しいと感じる方もいると思いますが、滑らかな操作感で使い勝手が良いので、食わず嫌いにならずに是非ピント合わせを楽しんで下さい。
Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount はパンケーキタイプでありながら開放F2と明るい事もポイントです。
同じくパンケーキタイプの純正レンズよりも1絞り明るい事で、ボケがやや小さくなりがちなAPS-Cサイズセンサーを搭載したカメラ用レンズとしての価値が高まっていると感じました。
最短撮影距離も純正を上回る最短25cmを達成しており(純正FUJIFILM XF27mmF2.8 R WRの最短撮影距離は34cm)、マクロ的な使い方ができる事は、例えば散歩の途中で入ったカフェでちょっとスナップする時などに威力を発揮しそうです。
美しいビルドクオリティとクラシックなデザインでフィルムライクな柔らかめのレンズを想像していたのですが、描写性能は高いレベルにあり、最近FUJIFILMにラインナップされて来た4,000万画素オーバーの高解像なカメラでも安心して使える高い解像感を持っています。
高解像で現代的な写りはフィルムライクな描写が好きなユーザーにはシャープすぎると感じる方もいるかもしれませんが、FUJIFILMにはETERNAやネガスタンダードなどの諧調を優先した柔らかいフィルムシミュレーションが用意されているので、シチュエーションによって使い分ければ良いでしょう。
Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount はスペック的にも描写性能的にも常用レンズとして必要な要素を高いレベルで持ったレンズです。
40mmという焦点距離は35mmよりもシンプルに構図をまとめやすく、50mmよりも余裕を持って撮れる使いやすい画角と感じます。
マニュアルフォーカスはピント合わせをした後にフレーミングやアングルを変えるのがどうしても億劫になってしまいがちですが、カメラを構えた場所で素直にフレーミングしやすい40mmは、そういった手間が省けて子気味良く撮影に集中出来ました。
スナップはリズムよく撮影したいので使いやすい画角のレンズは頼りになる相棒になります。
パンケーキタイプのレンズはカメラが全体として薄くなるのでバッグへの収まりが良くなります。
レンズ交換式のカメラはどうしてもレンズが出っ張ってしまいバッグへの収まりが悪いですが、薄いレンズのおかげでまるでボディだけを持ち歩いているように軽快に撮影を楽しめました。
スナップやお散歩写真ではカメラが負担となる事は避けたいので、小さなレンズが重宝します。Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount は小さいだけでなく一般的なパンケーキレンズより明るいF2で、わずかながらボケを大きくする事ができるのでスナップなどの気軽な撮影にピッタリです。
極端な言い方ですが、単焦点レンズの開放F2.8は暗いレンズと感じる事があります(勿論焦点距離にもよりますが)。
特にAPS-Cサイズセンサーカメラの標準より広角側はどうしてもボケの大きさに不満が残り、F2.8通しの大口径標準ズームレが比較的コンパクトな事からF2.8の単焦点レンズの価値が一段低く感じられてしまうのです。
その点Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount なら開放はF2でコンパクトなパンケーキタイプなので、ズームとは違った価値のあるレンズとして楽しめそうです。
最短撮影距離が25cmと標準レンズとしてはかなり短いのもポイントです。
ボケの大きさは絞り値、焦点距離、被写体までの距離の3つで決まりますが、焦点距離でどうしても少し損をするAPS-Cサイズセンサーカメラでは安心して被写体に近づけるレンズは意図的にボケを大きくしようとした時に選択肢をひとつ多くしてくれます。
勿論、マクロレンズ的に被写体を大きく撮るのに使えるという事もポイントで、それだけで表現のバリエーションを増やしてくれる強みとなります。
人はみかけによらないと良く言いますが、Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount のクラシックな見た目に騙されてしまいました。
収差の残る少し眠めの描写を想像していたのですが、実際に使ってみるとなかなかどうして高い解像感とコントラストを持つ現代的な写りでした。
最初は、テストカメラにデザイン的に合いそうなX-Pro3を予定していたのですが、やはり高解像のカメラで試してみたくなり直前にX-T5に切り替えたのが功を奏しました。
Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount は、開放からシャープで高い解像感を持ったレンズで、X-T5やX-H2などの高画素機で使うのにも安心して使えます。
その分ピントはある程度シビアになるので、近接や絞り開放で撮影する際には画像の拡大を使って慎重にピント合わせをする方が良いでしょう。
高解像なEVFの中で、ヘリコイドの動作に合わせてシャープにピントが立ち上がってくる様を見られるのは、オートフォーカスでは味わえないマニュアルフォーカスならではの楽しみです。
絞りやフォーカスリングの動きは他のVoigtlanderレンズ同様非常に滑らかでスムースなものです。
高いビルドクオリティや十八番とも言える美しいデザインのおかげで、操作しているだけで楽しくなる、持っていても撮っていても楽しいレンズとなっています。
パンケーキタイプの凝縮されたボディデザインの中に、各操作や指標などが詰め込まれたデザインからは、実用一点張りの現代のオートフォーカスレンズには無い機能美を感じました。
反面、小さい故の弱点が無いわけではありません。個人的にあまり好きではないのはヘリコイドの操作をフィンガーグリップで行わなければならない事です。
操作事態は大変スムーズ心地よいものなのですが、一度レンズから手を離すとフィンガーグリップがどこにいったか忘れてしまい、次の撮影の際探さなければならない煩わしさがありました。
スマートのMFをしたいなら撮影後は必ずヘリコイドを無限遠の位置に戻すといった「儀式」が必要です。使い込む程にそんな儀式が身体に馴染んでくるのもレンズに愛着がわく一つの要因となるのかもしれません。
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クラシックな見た目から開放では少し眠さの残る描写を想像していたのですが、実際に撮影してみると開放からシャープで高解像なレンズでした。
FUJIFILMの最新世代のセンサーは4,000万画素を超える高解像なものですが、こういったカメラでもカメラのポテンシャルを損なわずに安心して使えます。
コンパクトで描写性能も高い、Xマウントのどんなカメラと組み合わせても安心して使える、常用レンズとしてかなりおすすめできる高い描写性能を持っています。
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絞り開放では明暗差の大きな箇所にパープルフリンジが発生します。条件によっては目立つので、後処理で除去した方が良いケースもあると感じました。
Voigtlander(フォクトレンダー)ULTRON 27mm F2 X-mount はモノクロで撮るのにも向いているレンズなので、場合によってはモノクロに逃げるという手もあります。
FUJIFILMのフィルムシミュレーションには美しいモノクロのモード「ACROS」があるので、今回の作例撮りでもモノクロを積極的に使いました。
今回のテスト撮影ではゴーストの発生はありませんでしたが、開放ではうっすらとフレアがかかっているのでは?と感じるケースがありました。はっきりと「フレア」と確認できるわけでは無く、何となくコントラストが落ちているのを感じる程度で、テスト撮影でなければ気づかずに使ってしまうレベルです。
作例では若干赤い色のコントラストが落ちているような気がします。
付属のドーム型フードはスタイリッシュで収まりはいいのですが、効果はやや弱いので、本気で撮る時はストレートタイプのフードを別途検討してもいいかもしれません。
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実に細かい事だと思いますが、Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount は開放でも口径食の発生が非常に小さいと感じました。
大口径レンズを開放で使うと、例えば、木漏れ日の光などが口径食の影響で画面周辺でレモン型になってしまう事がほとんどですが、ULTRON 27mm F2 X-mount ではほとんどそういった事は無く、美しい玉ボケを画面周辺まで楽しめます。
パンケーキレンズは全長が短いおかげで口径食が発生しずらいのかもしれません。
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Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount の描写性能は高く純正レンズと比較しても画質的な違いはほとんど確認できませんでした。
しかも、純正のXF27mmF2.8 R WRが開放F2.8であるのに対して、1絞り明るいF2でのテスト撮影なので、一絞り絞る事でより描写性能を高くする事が期待できます。
又、解像感は同程度ですが、諧調表現はVoigtlanderの方がやや良好に見えるので、フィルムライクな写真が好みならVoigtlanderを選択するのが良いでしょう。
最短撮影距離は純正が34cmであるのに対して、Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount は25cmと9cmほど近接性能が高い事になります。
たかだか9cmと思われるかもしれませんが、作例のとおり9cm近づけるだけで被写体の画面に占める割合はだいぶ違ってきます。
お散歩の途中で立ち寄ったカフェでちょっとしたテーブルフォトを撮る際にも、この最短撮影距離の短さは魅力です。
開放F値の違いはVoigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount の大きなアドバンテージですが、ボケの大きさについては27mmという比較的短い焦点距離である事もあってそれほど大きな違いとはなりません。
どちらかというと、同じシャッタースピードなら一段低い感度で撮れる事による画質アップの方がF値の明るい事によるメリットとしては大きいかもしれません。
特に、画素数の大きなカメラは1段感度が違うだけでノイズの量に大きな違いが出てくるので、トータルで画質を向上できるというメリットもあります。
Voigtlander ULTRON 27mm F2 X-mount の大きなメリットはコンパクトで高性能な事、開放F値や近接撮影能力で純正を上回るところが魅力です。
4,000万画素オーバーのカメラがラインナップされるFUJIFILM Xマウント用の標準レンズとしては、高解像である事はカメラのポテンシャルを引き出すという意味で大きなメリットとなります。
又、普通の単焦点レンズ並みの明るさや高い近接撮影能力はコンパクトに気軽に高性能なカメラを持ち出したいと思うXマウントユーザーにぴったりマッチするのではないでしょうか。
今回のテスト撮影で少し気になったのは、フィンガーグリップがどこにあるか手で探らないとわからなくなってしまう事で、フォーカスの操作が若干やりずらいと感じました。
レンズが薄いため仕方のない事だとは思いますが、可能ならカメラ側に絞りリング、対物側にフォーカスリングといった仕様にしてくれたらありがたいなと感じます。
撮影者がシャッターを切ったら常にフォーカスリングを無限遠の位置にもどすといった工夫をすればすむ話ですが、実用的にはフォーカスリングの方が操作しやすいと感じるユーザーが多いのではないでしょうか。
描写性能を筆頭に非常に完成度の高いレンズです。Voigtlander のレンズにはシャープで高解像なレンズと、個性派のクラシックな写りのレンズが混在していますが、ULTRON 27mm F2 X-mount は前者に属するレンズだと感じました。
マニュアルフォーカスという事にハードルを感じる方もいるかもしれませんが、ビルドクオリティやデザインも含めて、使ってみたくなる魅力的なレンズです。
パンケーキというジャンルを超えた、標準の単焦点レンズとして評価するべきバランスの良いスペックを持っており、気軽な撮影でも表現や画質に妥協したくないユーザーにおすすめしたいレンズだと感じました。
・バッグなどへの収まりも良い薄型のパンケーキレンズです
・高画素カメラでも安心の、高い解像感を持っています
・純正を上回る開放F2で、ボケの大きさや画質面で有利です
・最短撮影距離が短く、マクロ的な使い方も可能となっています
・高いビルドクオリティとクラシックなデザインで持っているだけで楽しいレンズです
・他フォクトレンダーのレンズ同様、滑らかで高品位な操作感です
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
【商品情報】Voigtlander(フォクトレンダー)ULTRON 27mm F2 X-mount
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