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2022.04.29
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Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 実写レビュー

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 実写レビュー

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ の実写レビューです。

フォクトレンダーを代表する高性能レンズの解像感、フリンジ、周辺光量などの画質、操作性や操作感、使い方のコツなどをNikon Z7IIで実際に使用した実写レビューを中心にご紹介します。

ピント合わせをしているだけで高い解像感がわかる高性能なレンズは、美しいボケ味を持ち、マニュアルフォーカスを使ってゆっくり写真と向き合うユーザーにおすすめです。

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■この記事の監修

フジヤカメラ店

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Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ
Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ

特徴/操作性

フォクトレンダーを代表する高性能レンズ

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 本体1

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ は、既にSONY用が発売され、その高い光学性能で好評となっているレンズのNikon Zマウント用になります。

開放でも画面中心から周辺部まで非常に高い解像感を持ち、フォクトレンダー史上最高性能との呼び声も高いレンズです。

フリンジの発生も殆ど無く、これだけ高性能なレンズをカメラ内のデジタル補正無しの光学設計だけで成し遂げている事は、驚くべき事だと思います。

電子接点付きの高い利便性

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 本体2

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ は電子接点付きのレンズなので、対応したカメラに取り付ければ、3軸ボディ内手ぶれ補正や合焦時のフォーカスポイントの色の切り替えなど、カメラの機能をある程度利用する事が出来ます。

特に手ぶれ補正が使える事は、シャッタースピードを遅くしてISO感度を低く設定出来るので、結果的に画質の向上にもつながる重要な機能です。

又、Exif情報の記録が出来るので、後から絞りやシャッタースピードなどを見返す際に便利でした。

マニュアルフォーカスに特化した高い操作感

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 本体3

マニュアルフォーカスでは重要な、フォーカスリングの動きも滑らかで、操作するのが楽しくなるレンズです。

滑らかでありながら適度な抵抗感があるフォーカスリングの動きは、ヘリコイドにグリスの入った、マニュアルフォーカス専用のレンズでなければなかなか達成できないものです。

マニュアルフォーカス専用にしてはじめて達成できる事なので、AFの利便性を捨てた代償としておおいに堪能しましょう。

Nikon Zシリーズカメラで使う際のコツ

ニコンZ 7II カスタム画面

今回の撮影ではテストボディにZ 7IIを使いましたが、ファインダーをのぞきながらでもピントの拡大がしやすいように、カスタムで「AF ON」ボタンにピントの拡大を割り当てて使いました。

デフォルトのプラスマイナスボタンよりもピント拡大が格段に使い易くなるので、おすすめの使い方です。

ピント合わせをするだけでレンズ性能が驚くほど高い事がわかるのは、マニュアルフォーカスレンズのレンズを使う特権のひとつと言っていいでしょう。

フィルター径: 52mm 最短撮影距離/最大撮影倍率: 0.45m/1:6.46
最小絞り: F16 絞り羽根: 12枚(開放F2、F2.8、F16で円形絞り)
長さ: 64.3mm 重量: 347g

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イメージ

実写レビュー

ファインダー上でもわかる高い解像感

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例1
作例1:f2 1/50 ISO110 露出補正-0.7

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical はフォクトレンダーを代表する高性能レンズであり、中心から周辺まで高い解像感を持っています。

拡大表示したファインダーでピント合わせをするだけでそれがわかる程で、ピントが合う程に眠さが一切無くなりシャープに結像していく様は驚くほどです。

これがカメラのデジタル補正を利用せず、レンズ設計だけで達成されている訳ですから、レンズ設計の可能性や奥深さに改めて感心させられます。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例2
作例2:f2 1/3200 ISO100 露出補正-0.7

今回テストボディに使ったNikon Z 7II のような4000万画素を超える高画素カメラでは、100%まで拡大すると余程の高性能レンズでもレンズの眠さがわずかにわかるのが普通ですが、APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ではそういった事は全くと言っていいほどありませんでした。

どこまでも拡大出来るのではないかと思えるほどのシャープさなのです。

実は同レンズのSONY E用を以前テストしており、その際は6000万画素のα7RIVを使って同様の感想を抱いたので、実際まだまだ余裕があるのかもしれません。

フォクトレンダーレンズらしい美しいボケ味

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例3
作例3:f2 1/50 ISO280 露出補正-0.7

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical はフォクトレンダーらしい美しいボケ味を持っています。

一般的にシャープで高解像なレンズはボケが硬くなる傾向にありますが、フォクトレンダーはどんなマジックを使ったのでしょうか?ボケについても柔らかく非常に綺麗です。

最短撮影距離は45cmと、近接に強くはなくむしろ弱いレンズですが、美しいボケのおかげでまるでマクロレンズで撮影したように見えます。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例4
作例4:f2 1/2500 ISO100 露出補正±0

ライカならズミクロンの名が付く開放F値は、標準レンズの画角と併せて自然なボケの大きさです。

F1.4などの大口径レンズの大きなボケも魅力的ですが、自然な感じに表現しようと思うとこのくらいが適度かもしれません。

絞りリングが搭載されているので、開放→絞り込むといった動作が素早く、ストレス無く行えるのも便利です。

手ぶれ補正、フォーカスアシスト利用による使い勝手の良さ

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例5
作例5:f2 1/50 ISO360 露出補正-0.7

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ は3つのフォーカスアシストに対応していますが、今回はZ 7IIのカスタム設定でAF ONボタンをフォーカス拡大ボタンに設定、マニュアルフォーカスによる厳密なピント合わせを行いました。

併せてフォーカスポイント枠色変化によるピント合わせも並行して使ったので、MFレンズを使うストレスは最小限で済みました。

Nikon Z 7IIはピント拡大ボタンの位置が下部にありファインダーをのぞきながらだと押しにくいので、AF ONをフォーカス拡大ボタンに設定するのがおすすめです。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例6
作例6:f4 1/125 ISO100 露出補正±0

3軸の手ぶれ補正が着実にブレを防止してくれたおかげで、近接などブレやすいシチュエーションでも手ぶれしたカットは1枚もありませんでした。

撮影者が意識しなくてもカメラがしっかりと仕事をしてくれたおかげです。

手ぶれ補正を利用してスローシャッターを切れば、ISO感度を下げる事ができるので、結果的に画質を良くする事にも貢献してくれます。

シャッターを押すまでのプロセスを楽しめる

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例7
作例7:f2 1/8000 ISO100 露出補正±0

Voigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ はシャッターを切るまでのプロセスを楽しめるのもポイントです。

マニュアルフォーカスでじっくりとピントと向き合える事がその大きな要因ですが、フォーカスリングの動きの良さがそんな気持ちを盛り上げてくれます。

驚くほどシャープな事がピント合わせの際にわかるのも、APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ ユーザーの特権と言えるでしょう。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例8
作例8:f2 1/1600 ISO100 露出補正+1.3

ピントリングと絞りリングという伝統的な一眼レフ用レンズの操作になっている事もポイントです。

単焦点レンズは、絞りをF2→F16といったように大きく可変させる事が多くなりますが、絞りリングなら一瞬で操作を完了させる事が出来ます。一度これを体験してしまうと、電子ダイヤルを何回も回す操作がひどくまだるっこしいと感じるでしょう。

いい写真を撮りたいという気持ちは勿論、写真を撮るという行為自体を楽しめる、APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ はそんな贅沢な要望に応えてくれるレンズです。

画質

フォクトレンダー史上最高性能と評されるAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は、高い解像感を持ち、フリンジの発生も殆ど無い非常に高性能なレンズです。

解像感他、拡大してレンズ性能を見てみましょう。

解像感

先ずは作例1を拡大して解像感を見ています。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例1拡大枠
枠内を拡大
Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例1拡大

絞り開放で撮影していますが、拡大してもほぼ眠さを感じない非常にシャープで解像感の高いレンズです。

カメラの優秀さもありますが、コントラストが高くなり過ぎず諧調も豊かで立体感のある描写も、さすが名玉と名高いレンズと言えるでしょう。

周辺部画質

同じく作例1を拡大して、周辺部の画質を見てみます。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例1周辺拡大枠
枠内を拡大
Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例1周辺拡大

開放では周辺光量落ちがあるのでやや暗い画像になっていますが、解像感の高さは変わりません。

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は、中心部分だけでなく周辺部分も高い解像感を維持する、画質の均質性も高いレンズと言えます。

これだけ高い解像感やシャープネスを画面全体で維持している事に驚くとともに、カメラ内デジタル補正無しでここまで出来るのかと、レンズ設計の奥深さを感じました。

フリンジ

作例8を拡大してフリンジの発生を見てみます。

フォクトレンダーのレンズは開放でフリンジが発生するものもあり、それがモノクロ写真では味になったりするのですが、APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical はどうでしょうか?

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例8拡大枠
枠内を拡大
Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例8拡大

白をバックに露出を少しプラス補正した難しい条件ですが、フリンジは全く確認出来ません。

最近のレンズは倍率色収差をデジタル補正して使うのが普通ですが、そういったブースト無しにここまでの高性能レンズがつくれる事に、ただただ驚くばかりです。

フレア/ゴースト

強い日差しの中、日中から夕方にかけて120枚ほど撮影しましたが、フレア、ゴーストとも発生したカットはありませんでした。

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は、高い逆光耐性を持っています。

周辺光量

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 周辺光量作例

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は開放では周辺光量落ちが顕著です。

作例のとおりF2とF11では周辺部の明るさがかなり違っているのがわかると思います。

通常、絞り込む事で、周辺光量落ちだけでなく画質も向上するのが普通ですが、開放での画質があまりにも高い為、絞った際との画質差は殆ど無い(4500万画素のカメラでは確認出来ない)ので、周辺光量だけが改善していくのが不思議な感じです。

比較

購入の際に迷ってしまいそうなライバルレンズとの比較をしてみます。

NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sとの比較

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S 本体

純正の標準レンズNIKKOR Z 50mm f/1.8 S は、高い解像感と素直なボケ味で、Sラインを代表するレンズのひとつです。

中古品なら価格も比較的リーズナブルで、オートフォーカスで使える利便性も高く、オールラウンドに使うならベストな選択と言えるでしょう。

使い勝手の面でAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ が優れているのは、コンパクトなサイズと絞りリングを搭載している事ですが、オートフォーカスの便利さにはかなわないかもしれません。

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical、ニコンZ NIKKOR Z 50mm f/1.8 S 本体2

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S とAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ を比較すると見えて来るのが、APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ が、かなり尖ったレンズだという事です。

高性能である点は勿論、マニュアルフォーカスという前時代的な使い勝手や、ボケ味についてもAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ の方がよりユニークな感じがします。

写真を撮る事をより深く楽しめるのはAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ かもしれません。

フォクトレンダー NOKTON 50mm F1.2 Asphericalとの比較

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ、NOKTON 50mm F1.2 Aspherical 本体

フォクトレンダーの個性派レンズNOKTON 50mm F1.2 Aspherical は、開放の柔らかい描写が魅力のレンズです。

反面、解像感の低さやフリンジの発生などが見られ、APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical よりも性能面では劣るレンズと言えるでしょう。Mマウントなのでアダプターを使って装着しなければならない煩わしさもあります。

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は、個性と性能のバランスがいいところが大きな魅力です。

おすすめユーザー

驚くほどの高画質と美しいボケ味が両立している

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 作例9

レンズ性能という面ではAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は、理想的です。

一般的に両立するのが難しいとされる、高い解像感やシャープネスと美しいボケ味を持っており、非常に使い易い標準レンズと言えます。

それでいてレンズがコンパクトな事もスナップなどに持ち出す機会の多い標準レンズとしては嬉しいポイントです。

マニュアルフォーカスは動体には不向き

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 本体4

滑らかなフォーカスリングと絞りリングの搭載で、使い勝手も良好です。

とは言え、マニュアルフォーカスのレンズなので、動いている被写体のピントを追従するのは難しく、カメラを動かしながら連写が必要なような撮影は難しいでしょう。

利便性や速写性と言う意味ではオートフォーカスのレンズに及ばないので、そういった事を撮影者が楽しめるかがAPO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical を選ぶポイントになります。

じっくりと写真を撮る事を楽しむ方にはベストな選択

Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ 本体5

逆に、じっくりとピントや露出、構図にも時間をかけて撮影するスタイルで撮る方にはベストな選択と言っていいレンズです。

高性能さと程よい個性が両立しているレンズは意外と少ないので、ボケの美しさなどは楽しみたいが画質を犠牲にはしたくない、といったユーザーにもおすすめの1本と言えるでしょう。

APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical は、時間をかけてじっくりと写真に向き合うユーザーにおすすめのレンズです。


まとめ


  • ・フォクトレンダーを代表する高性能レンズです

  • ・開放から高解像が画面周辺部まで維持されます

  • ・フォーカスや絞りの操作感も良好です

  • ・電子接点付きで手ぶれ補正やExif情報の記録などに対応します

レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。

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Voigtlander(フォクトレンダー)APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical ニコンZ
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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