Panasonic(パナソニック)LUMIX GH6 の実写レビューです。
新型センサーの画質、高感度性能、オートフォーカス、動画用アルゴリズムを採用した手ぶれ補正などを、テスト動画を含めた実際に使用した実写をもとにレビューします。
動画カメラの代名詞とも言われたPanasonic(パナソニック)GHシリーズがシネマカメラ並みの高性能カメラとなって待望のリニューアルです。
特徴/操作性
シネマカメラ並みの動画記録性能
新開発2521万画素Live MOSセンサー
ダイナミックレンジブーストによる諧調性能
動画撮影の為の放熱ファンやチルトフリーアングル機構
実写レビュー
ダイナミックレンジブースト
4K 120pのハイフレームレートを含む多彩な記録フォーマット
定評のある動画用アルゴリズムを採用した手ぶれ補正
高ビットレートでのカメラ内無制限記録テスト
チルトフリーアングル機構によるストレスのない撮影
画質
高感度性能
静止画性能
GH5との比較
より多彩に、高画質になった動画記録性能
CFexpress Type Bカードが使用可能に
より精錬された操作性、AF性能
おすすめユーザー
写真も撮れる動画機という位置づけ
扱いやすいセンサーサイズ
長時間の高画質記録
まとめ
GH6はシネマカメラ並みの高い転送ビットレートを持ち、ポストプロダクションに対応した情報量の多い記録が可能です。
Cinema 4K 60p 4:2:2 10bit といった高いクオリティの動画をカメラ内、時間無制限で記録出来るので、機動性とクオリティの両方を求められる現場でも使い易いカメラとなっています。
CFexpressカードを使用する事で、映像業界標準でプロ仕様のコーデック「ProRes 422 HQ / ProRes 422」をカメラ本体へ内部記録する事も可能です。
Panasonic(パナソニック)LUMIX GH6 には新開発されたローパスレスの2521万画素Live MOSセンサーが搭載されました。
GH5よりも20%高画素でありながら、より滑らかな映像表現が可能となり、高速読み出し性能が高い事から高速で動く被写体の撮影では問題となるローリングシャッター歪みも抑制されています。
最低ISO感度は100から設定可能となり、日中の撮影で背景をボカしたい時などにより使い易い仕様となっています。
Panasonic(パナソニック)LUMIX GH6 の機能の中で、かなり期待した機能にダイナミックレンジブーストがあります。
これは低ISO回路と高ISO回路それぞれから生成されるデータを合成する事で諧調性能を向上させる機能で、使う事でLUMIXマイクロフォーサーズ機で最大となる13+ストップという広いダイナミックレンジを実現出来ます。
実際の撮影では期待した程の効果がみられず少し残念でした。
GH6 はハードウエアの部分でも動画撮影を便利にする機能を多く搭載しています。
高ビットレートによる長時間撮影を可能とした放熱ファンの搭載や、モニターやマイクといった外部機器を取り付けた際にもカメラの使い勝手を損なわないチルトフリーアングル機構がそれです。
バリアングルモニターをカメラの横に出した際、モニターが外部機器のケーブルに干渉しないようにチルトさせる事が出来る機構で、リグを組んでカメラを運用する際などに使い勝手を大幅に向上させてくれるでしょう。
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実際に撮影した動画です。
テキストだけでは伝わらない部分の参考にしていただければ幸いです。
GH6に搭載された機能の中で少し期待外れだった機能がダイナミックレンジブーストです。
LUMIXのマイクロフォーサーズ機としては最大となる13+ストップのダイナミックレンジとなる機能という事でかなり期待してテストしたのですが効果の程があまり感じられませんでした。実写で劇的な変化があると過剰に期待しすぎてしまったのが良くなかったかもしれません。
Panasonic(パナソニック)LUMIX GH6 の特徴のひとつに、4K 120pのハイフレームレートを含む多彩な記録フォーマットに対応している事が挙げられます。
CFexpressカードを使用すればそれらをカメラ内記録出来るので、カメラの機動性を損なう事無く、ポストプロダクションに対応した情報量の多いデータで記録する事が可能なのです。
又、5.7Kの大サイズで記録すれば、4Kにダウンコンバートする事で4K撮って出しよりも高画質にしたり、編集の際の細かなトリミングもより自由に行う事が出来ます。作例は4K撮って出しの画像と、5.7Kから4Kにダウンコンバートを比較した画像ですが、わずかに5.7Kからダウンコンバートした画像の方がシャープなのがわかると思います。
GH6 は動画用アルゴリズムを採用した手ぶれ補正により手持で安定した見やすい映像を撮影出来るので、ジンバルなどの大袈裟な機材を使う事無く、カメラをワンオペで運用する際には心強いカメラです。
今回のテスト動画では、手ぶれ補正OFF、手ぶれ補正ON(ノーマル)、手ぶれ補正ON(ブースト)、電子補正を試しましたが、いずれも自然な補正で違和感ない映像が撮影出来たと思います。
各モードによって向いたシチュエーションがありそうなので、通常はノーマル、フィックスの画を撮りたい時はブースト、動きながらの撮影では電子補正、といったように、使い方でモードを切り替えて使うのがおすすめです。
GH6の大きな特徴に高ビットレートでのカメラ内時間無制限記録があります。今回、無制限記録のテストをしようと思ったのですが、600Mbps(C4K、48p)で撮影すると、今回用意したV90、64GBのカードではわずか14分しか撮影出来ない事に気付きました。そこで、テストは14分撮影するごとにメディアを初期化するを5回繰り返し、70分程撮影してみました。
結果は70分撮影してもカメラが暖かくなる程度でまだまだ撮影出来そうです。放熱ファンの設定はAUTO2(切、標準、高速自動切換え)にしましたが、撮影中放熱ファンが動作する事はありませんでした。
しかし、バッテリーがフル充電で5目盛のところが1目盛まで減ったので、高ビットレートでの長時間撮影の際は、外部電源などで給電しながら撮影する方がいいかもしれません。
今回のテストで思い知らされたのは、シネマ画質での撮影には512GBなどの大容量のCFexpressカードが必須だという事です。
800Mbpsといった高ビットレートでは、V90(720Mbps)のSDカードも対応していないので、GH6ご購入の際は、是非CFexpressカードの購入も併せてご検討下さい。
シネマカメラのデータ容量を少し甘くみていて、中途半端なテストになってしまいすみません。
個人的にチルトフリーアングルは非常に使い易い機能だと感じました。
バリアングルモニターを横に出した際、ケーブルが干渉する事を防ぐというのがチルトフリーアングル機構の本来の目的ですが、モニターをカメラ背面で使いたい時にわずかですがモニターがチルトするお陰で、モニターを出し入れする手間が少なくて済むので、手持での撮影がし易いという嬉しいメリットも感じられました。
放熱ファンも背面にコンパクトに設置されているので、マイクロフォーサーズの大きなメリットであるコンパクトさを損なう事無く使えます。
常用ISO感度は動画ではISO100-12800まで、写真ではISO100-25600まで設定する事が可能です。
作例は写真ですが、マイクロフォーサーズ機としては最高クラスの高い高感度性能をもっている事が伺えます。
そもそもマイクロフォーサーズ機で常用最高ISO感度が25600まで設定出来る事が驚きですが、画質的にも極端に破綻する事無く質感が残っています。
動画では写真以上にノイズが目立ちますが、ISO3200程度までは気になる程ではなく実用に耐える画質と言えるでしょう。
作例はISO6400で撮影した動画からの切り出し画像ですが、少しノイズが目立ち黒の締まりが甘くなっています。
どこまで許容するかは撮影者の好みによりますが、ISO3200程度までは高画質に使えると感じるユーザーが多いのではないでしょうか。
動画機のイメージが強いPanasonic(パナソニック)LUMIX GH6 ですが高速なオートフォーカスや高画素で高精細なセンサーを利用してスチル写真カメラとしても非常に優秀です。
特に最近の上位機種の証とも言えるローリングシャッター歪みの小ささは動く被写体を撮影する際には大きな武器となるでしょう。
動画撮影の中に、高画質なスチル写真をインサートとして差し込む様な映像制作も出来る、より幅広い表現が可能な動画カメラと写真カメラのハイブリッド機と言えるでしょう。
それでもフルサイズの上位機種などと比べると画素数が少ない事に不満を覚えるユーザーもいるでしょう。
作例は約1億画素の手持ちハイレゾモードとノーマルモードの比較です。手持ちハイレゾではフルサイズの高画素機で撮影したような驚くほどの高精細な画像となっています。
被写体が動かない静物に限られるという欠点はありますが、成功すると信じられないほど高画質に撮れるので、是非積極的に使いたい機能です。
GH6と前モデルGH5との比較をしてみます。
スペック的には大幅に進歩したGH6ですが、オートフォーカスや使い勝手の面でも細かなブラッシュアップが施されています。
これらは動画を良く知るPanasonic(パナソニック)らしいユーザーの期待を裏切らない進化だと言えるでしょう。
GH6 は前機種のGH5と比較して動画画質は格段に向上しています。
大きな部分では4K 120pのハイフレームレート撮影が可能になった事(→GH5では4K 60p)、5.7K 60pでの撮影が可能になった事、4K 60p 4:2:2 10bitの内部記録(→GH5ではモニタリングスルー)が時間無制限で行えるようになった事などが挙げられます。
画質面では正当に進化している印象のGH6ですが、この為に放熱ファンの搭載やCFexpressカードへの対応など、ハード面での改良が加えられました。
現在写真カメラの上位機種としてはトレンドとなっているCFexpress Type Bカードが使用可能になりました。
大容量、高速での記録が可能なCFexpressカードは、写真以上に動画で能力を発揮するメディアと言えます。800Mbpsといった高ビットレート(→GH5は最大400Mbps)での記録が可能になったのはCFexpressカードを採用している事が大きな理由のひとつです。
高画質なデータでの記録はモニタリングスルーで行うのが半ば動画の常識でしたが、今後はより機動性の高い内部記録が主流となっていくでしょう。
GH5には無かった新たに追加された機能としてチルトフリーアングル機構と放熱ファンがあります。
動画撮影ではモニターやマイクを外付けするのが普通ですが、ケーブルとバリアングルモニターの干渉を防ぐ事で使い勝手が大幅に改善します(→GH5は非搭載)。放熱ファンは長時間の高ビットレートでの撮影が可能となり、GH6ではGH5を大きくしのぐ長時間の内部記録が可能となりました。
又、カメラの基本的な機能であるオートフォーカスも、GH6ではオートフォーカスエリアが315点(→GH5は225点)になり、より精密で高速なAFが可能となっています。
GH6は動画カメラとして最高クラスの性能を持っている事は勿論、写真カメラとしても基本のしっかりした高性能機となっています。
特に電子シャッター使用時のローリングシャッター歪みの抑制は、他メーカーでも一部の上位機種でしか実現していないハイレベルな性能です。
動画、写真のいずれでも高性能で高画質なGH6は、映像表現に高いレベルと自由さを求めるクリエイター指向のユーザーに最適なモデルと言えるでしょう。
各社から優秀なシネマカメラが発売された事でGHシリーズの価値が下がったと感じているユーザーも多いかもしれません。
しかし、フルサイズなどの大型センサーと比較して被写界深度が深いマイクロフォーサーズはピントの面で安心して使い易いシステムです。
さらにPanasonicには長年培われたハイレベルなオートフォーカスの技術もあるので、取り回し良く扱い易いシネマカメラとしてGH6の価値は高いものだと言えるでしょう。
GH6では放熱ファンとCFexpressカードが採用された事で、高画質で長時間の記録が可能となりました。
以前であれば、長回しをする際は画質に関してある程度の妥協が必要でしたが、GH6はシネマ画質で長時間記録が出来る数少ないカメラのひとつです。
先に述べたとおり、ピントの面で扱いやすいシステムでもあるので、ドキュメントやライブなど長回しと高画質の両立が必要な撮影にはうってつけのカメラと言えるでしょう。
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・Cinema 4K 60p 4:2:2 10bit といったハイクオリティな動画をカメラ内、時間無制限で記録する事が可能です
・ダイナミックレンジブースト機能によりLUMIXマイクロフォーサーズ機としては最大の13+ストップの広いダイナミックレンジを実現します
・チルトフリーアングル機構により、ケーブルの取り回し良く外付けのアクセサリーを装着出来ます
・動画用アルゴリズムを採用した手ぶれ補正で、安定した見やすい動画を撮影する事が可能です
・マイクロフォーサーズ機としては最高レベルの高い高感度性能を持っています
カメラ選びの参考にしていただければ幸いです。