はじめに
シェイプアップしたボディが取り回し良好な「LUMIX S1RII」
「LUMIX S1RII」でブラブラ実写スナップ
どんな人に「LUMIX S1RII」がオススメ?
まとめ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ
フォトグラファー。写真週刊誌、スポーツ紙、グラフ誌、モータースポーツ専門紙のスタッフフォトグラファーを経て、現在は広告やエディトリアル撮影を手がける。ブラブラとさすらいながらのスナップショット撮影が好き。シグマ公式サイト「シグブラ」、ペンタックス公式サイト「ペンタビ」などの連載を持つ。スマートフォンでの写真撮影のパイオニアでもある。
公式サイト:www.sasurau.com
各 SNS:@sasurau
シグマ公式サイト「シグブラ」
ペンタックス公式サイト「ペンタビ」
Panasonicから待望のフラッグシップ機「LUMIX S1RII」が登場しました。前モデルから6年という歳月を経て、引き締まったボディと卓越した描写性能を有し、Lマウントカメラの中でしっかりと仕事にも使える性能に仕上がっていました。
一番の特徴はボディが「S5」シリーズ並みにシェイプアップしたことでしょう。「S1」シリーズは堅牢性と使い勝手を何よりも優先したため、かなり大型で重いボディに仕上がっていました。撮影時はそのメリットが最大限に出て使いやすかったのですが、携行時に大きさと重さがマイナス面となり、フォトグラファーを遠ざけてしまっていました。ところがこの「LUMIX S1RII」は違います。まるで「S5」シリーズかと思ってしまうほどコンパクトなのですから。
「LUMIX S1RII」と「LUMIX S5IIX」を並べてみるとそのサイズ感がよく分かります。
ぱっと見、ほぼ同じ大きさに感じることでしょう。「LUMIX S1RII」は約134.3mm×約102.3mm×約91.8mm、「LUMIX S5IIX」は約134.3mm × 約102.3mm × 約90.1mmというサイズになっています。重量はそれぞれ約795g、約740g(本体、バッテリー、SDメモリーカード1枚含む)という仕様です。
実際にボディを持つと「LUMIX S1RII」はグリップが深く、より確実にホールドできるデザインになっていることが分かります。
使いやすい「ホワイトバランス」、「ISO感度」、「露出補正」の三連ボタンはそのままに、ロックが設けられたモードダイヤルや、内側に寄せられたリヤダイヤルなどフラッグシップ機にふさわしい使い勝手を実現しています。
またコンパクトさを追求しながらもチルトフリーアングル機構を採用し、放熱ファンをも搭載しています。左肩部分には「写真/動画/S&Q切り換えスイッチ」を設置。カスタムモードなどを写真と動画で個別に設定できるようなっているのがうれしい点です。先代と同様576万ドットの高精細な円形接眼部を持つファインダーも「これぞフラッグシップ機!」という感じがいいですね。
イメージセンサーも一新されています。カメラ有効画素数は約4,430万画素と「LUMIX S1R」の約4,730万画素からわずかにダウンしましたが、新開発の4,430万画素裏面照射型CMOSを採用し、高解像度と高感度性能を両立しています。驚異的な1億7,700万画素の画像を生成できるハイレゾモードも搭載しており、手持ちでのハイレゾ撮影が可能になりました。
【ハイレゾモード】
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF8・1/320秒・ISO80・WBオート
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【ハイレゾモード 石垣拡大】
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【ノーマルモード】
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF8・1/320秒・ISO80・WBオート
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【ノーマルモード 石垣拡大】
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ノーマルモードとハイレゾモードを比較してみました。ハイレゾモードでは白壁の微妙な凹凸、石垣の立体感が手に取るように分かりますね。これが手持ちで撮れるのだから驚きです
「LUMIX S1RII」はオートフォーカス性能が劇的に進化しました。「LUMIX S1R」のコントラスト+DFD方式に加えて、像面位相差AFを搭載したハイブリッドAF技術になったのです。これによってピント合わせの高速化と正確さが増しました。さらにAI技術を活用した被写体認識も向上。「自転車」認識も追加され動体でも安心して使えるカメラに仕上がっているのです。
そして高速連写性能も見逃せません。「AFCメカシャッター連写10コマ/秒」、「AF/AE追従 電子シャッター40コマ/秒連写」を実現し一瞬を逃しません。
手ブレ補正機能もさらに進化しました。中央部で8.0段、周辺部で7.0段という、新しいCIPA2024規格準拠でも優れた数字を残しています。
撮影機能では新しいフォトスタイルも追加されました。ダイナミックなトーンを味わえる「LEICAモノクローム」、ナチュラルな表現に色ごとに主張があるシネマ用ルック「シネライクA2」の2種類です。
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF4・1/200秒・ISO80・WBオート
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道ばたに停まっているモーターサイクル。そのクールな印象を「LEICAモノクローム」はトーン豊かに表現してくれました
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S PRO 50mm F1.4
絞りF5.6・1/1600秒・ISO160・WBオート
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眠気を誘う春の海。防波堤に集う人々の様子が面白いですね。「シネライクA2」はそんな光景も自然な雰囲気で捉えました
そしてLUMIX初、8K 30pの動画記録に対応しました。ProRes RAWの内部記録とともに編集での自由度が高まりますね。静止画も動画もバッチリの一台ですね。
さっそく「LUMIX S1RII」を手にブラブラとスナップ撮影をしてみました。使用レンズは「LUMIX S PRO 50mm F1.4」と「LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.」になります。
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF4・1/640秒・ISO80・WBオート
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新開発された4,430万画素裏面照射型CMOSセンサーは都会のシーンをリアルに記録してくれます。インテリジェントビルから水路のような川まで、メリハリがあって実にリアル感ある写りです。「LUMIX S1RII」のコンパクトなボディは縦位置でもホールドしやすいですね。
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF4・1/500秒・ISO80・WBオート
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その水路に降り注ぐ飛沫も克明に「LUMIX S1RII」は解像してキャプチャーします。濡れた壁面の描写も肉眼以上に感じられます
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF4・1/160秒・ISO80・WBオート
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金網越しに貼られたステッカー類を狙いましたが、日中の日陰でも見た目同様の発色を得られました。オートフォーカスも迷わず、スッと狙った中央部に合焦しました
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF8・1/640秒・ISO80・WBオート
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「LUMIX S1RII」の新しい高解像センサーで駅前再開発の現場を狙いました。使い込まれた資材、鉄骨、建設車両まで素晴らしい写りですね。等倍で見るとさまざまなことがより浮かび上がってきます
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF8・1/60秒・ISO200・WBオート
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「LEICAモノクローム」は絶妙なトーン再現が得意です。廃墟となった建物を撮りましたが、ハイライト部からシャドウ部までのトーンが美しいですね。微妙な濃淡表現が美しいモノクローム写真を楽しめますよ
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF5.6・1/320秒・ISO160・WBオート
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「シネライクA2」もスチル撮影で使うといい印象です。淡くて少しふんわりとした色再現は優しい雰囲気を得られます。人物撮影でも活躍しそうですね
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF4・1/320秒・ISO160・WBオート
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進化したオートフォーカスはビシビシと狙ったところに合焦して気持ちがいいですね。絞り開放でも4,430万画素センサーの高解像度に負けず、ピント面も実にシャープ。多彩なオートフォーカスモードとともに頼りになることでしょう
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF4.5・1/500秒・ISO80・WBオート
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春の海に集う人々を撮りました。「LUMIX S1RII」のオートフォーカスはしっかりと人物を認識して追従し続けてくれました。後ろ向きの人物でもまったく問題ありません。コントラスト+DFD方式と像面位相差AFのハイブリッドは安心感がありますね
Panasonic LUMIX S1RII・LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
絞りF8・1/8000秒・ISO250・WBオート
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寄せては返す波。その様子をアンダー目に撮りました。「LUMIX S5」シリーズとは違い、きめ細かい写りはさすがフラッグシップ機ですね。飛沫と玉石のダイナミックな写りがなんとも言えません。この性能が同じサイズ感で得られるのが新鮮でした
やはり高解像度が欲しい人にはオススメです。風景を克明に写しとりたい人、ポートレートをリッチに表現したい人、建築物をリアルにキャプチャーしたい人にはピッタリの機種でしょう。先代機のオートフォーカス性能に不満があった人にもいいでしょう。
動画機能も格段に向上していますので、静止画だけでなく動画撮影も仕事で求められる人にも最適です。8K 30pの動画記録やProRes RAWの内部記録は表現の幅を広げてくれるに違いありません。Lマウント機では一番頼りになるミラーレス一眼と言えるでしょう。
先代機よりグンとボディをシェイプアップし、そこに新型センサーを搭載し、オートフォーカスや連写性能、動画性能に磨きをかけ、スキのないLマウント機に仕上がっています。高い性能を機動性高いボディで包んだ仕事にも使える頼りになる一台という印象を受けました。
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Photo & Text by 三井公一(みつい・こういち)