Panasonic (パナソニック) LUMIX S5 は、Lマウントアライアンスを採用するフルサイズミラーレス一眼で、これまでやや大柄だったシリーズの中でコンパクトさが特徴のカメラです。
小さい事に目がいってしまいがちですが、実はSシリーズの中で、動画向きの機種S1Hに次いで、デュアルネイティブISOを採用したカメラで、優れた高感度性能が期待出来ます。
今回は、高感度ノイズを良好に抑制するこのS5のデュアルネイティブISOの実力を、ライバル機種と比較しながら見て行きたいと思います。
目次
デュアルネイティブISOはPanasonicのサイトには、
「1画素ごとに「低ISO回路」と「低ノイズ・高ISO回路」の2系統をISO感度の設定に応じて自動的に切り換えることで、高感度時もノイズを抑えた階調豊かで解像感のある描写が得られます。」
とあります。低感度時と、高感度・低照度時の2つの回路を自動的に切り替える事で、どのISOでもノイズを抑え、諧調を豊かに再現する為の技術の様です。
以前、同じくデュアルネイティブISOテクノロジーを搭載したマイクロフォーサーズのカメラ、Panasonic GH5Sで動画の撮影を行った事がありますが、高感度・低照度下でも驚くほどノイズの少ない滑らかな映像を撮る事が出来ました。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S5は、フルサイズとは言え2400万画素あるカメラで、GH5S程ではないと思いますが(GH5Sは1000万画素ほど)、高感度ノイズの少なさに期待出来そうです。
そこで今回は、2400万画素クラスのカメラでは高感度性能に定評のあるSONY α7IIIとの高感度ノイズの出方について比較てみました。
先ずは、常用最高感度付近での画質を見てみます。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S5とSONY(ソニー) α7IIIの常用最高ISO感度はいずれもISO51200です。
一般的に常用最高感度で撮影する事は少ないと思いますので、常用最高感度から1段落とした、ISO25600でのノイズの比較をしてみたいと思います。
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ISO25600では、Panasonic (パナソニック) LUMIX S5の方がノイズは少ない映像となりました。
α7IIIは、裏面照射型センサーを採用し、最高クラスの高感度特性を持つカメラですが、上の写真では特にビルの白い壁面上に発生したノイズが、LUMIX S5の方が少ない事が見て取れると思います。
このクラスで長らくトップの高感度特性を誇っていたα7IIIよりもノイズの少ないカメラが、ついに登場しました。
LUMIX S5の低ISO回路の上限ISO感度は公開されていませんが、恐らく高ISO低ノイズ回路が使用されはじめるだろうISO3200くらいで比較してみました。
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このくらいの感度だと思ったより差が出ませんでした。
むしろ、SONYの少し高目のコントラストをつけた画づくりのお陰で、全体としては綺麗に見えるくらいです。
さらにSONYは高性能で定評のあるFE24-105mm F4を使っている為、レンズ性能の差が出てしまったかもしれません。
◇◇◇
しかし、よく観察してみると、街灯のポールの丸にはPanasonic (パナソニック) LUMIX S5の方が滑らかに出ていたり、サンプラザの壁面の白の諧調が滑らかだったりと、デュアルネイティブISOテクノロジーの良さが各所に見られます。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S5の画づくりは、ぱっと見の綺麗さより、諧調を残した玄人好みする画と言えるかもしれません。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S5の各ISO感度ごとの画質の変化を比較しました。
デュアルネイティブISOテクノロジーは、条件による回路の自動切換えを行う機能なので、明るさなど条件により画質が変化する可能性がありますので、参考程度にしていただければ幸いです。
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ISO6400程度までのノイズの少なさは勿論、諧調が滑らかに良く残り、動画撮影時のグレーディングを意識したような画づくりには好感が持てます。
勿論、低感度では非常にシャープで解像感の高いセンサーです。
このカットは、レンズにSIGMA (シグマ) 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryを選びました。高性能で個性あふれるSIGMAやライカのレンズラインナップを使えるのも、Lアライアンスのカメラのメリットです。
拡大して解像感を見てみます。
45mm F2.8 DG DNのにじむような独特のボケ感が素直に再現されています。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S5のセンサーと映像エンジンは、あまり脚色せずにレンズの個性を素直に写しとめるようで、これもメーカー乗り入れのLアライアンスの良さなのかもしれません。
先に書いたとおり、コントラストだけでなく諧調が柔らかく再現されるのにも好感が持て、フィルムのような柔らかさのある写りだと感じます。
LEICAのMマウントのズミクロンで撮りました。
少し動画のLog撮影をしたような、豊かな諧調が出て、こういったオールドなレンズとの相性も悪くないと思います。
2400万画素クラスのセンサーを搭載したフルサイズミラーレス一眼カメラで、ずっと1番だと思っていたSONY α7IIIを超えるカメラの登場に、少しワクワクしました。
デュアルネイティブISOテクノロジーは、シネマカメラ「VARICAM」にも採用されているPanasonic独自の技術ですが、写真と動画が撮影だけでなく技術的な部分も垣根が無くなって来ているのを感じます。
諧調に重きをおいた画づくりにも好感が持て、最新の高性能レンズからクラシックなオールドレンズまで対応出来る懐の深さを感じます。
コンパクトな事に目が行きがちですが、写りについてはS1ゆずりの本格的なカメラだと感じました。
>>> Panasonic (パナソニック) LUMIX S5