OM SYSTEM(オーエムシステム)OM-1 の実写レビューです。
フィルム時代の「OLYMPUS OM-1」の名前を冠したカメラは、OM SYSTEM(オーエムシステム)移行後初のフラッグシップ機であり、フィルムのOM-1の登場から50周年の節目に発売される事になりました。
今回は被写体を鉄道に限定し、OM SYSTEM が得意とする望遠レンズでの動体撮影能力やハイレゾショット、高い手ぶれ補正能力などを実際に撮影した作例をもとにご紹介します。
特徴/操作性
OM SYSTEM(オーエムシステム)初のフラッグシップ機
最高クラスのオートフォーカス性能
優れたファインダー
デザイン
実写レビュー
AF、AE追従、50コマ/秒の超高速連写
マイクロフォーサーズを超越した高い高感度性能
より使い易くなった手持ちハイレゾ
実用的な被写体認識
連写性能/画質
連写性能
高感度性能
手持ちハイレゾショット
OM-D E-M1 Mark IIIとの比較
E-M1Xを凌ぐオートフォーカス
使い易くなった手持ちハイレゾショット
新しくなったMENU画面
おすすめユーザー
最高クラスの性能がコンパクトなボディに凝縮
バッテリー消費がやや多い
おすすめしたいユーザー
まとめ
「OM-1」はOM SYSTEM(オーエムシステム)移行後、初のフラッグシップ機となります。
今年はフィルム時代のOLYMPUSの名機OM-1の発売から50周年にあたり、そういった記念の意味も込めて「OM-1」の名前が冠されたのでしょう。
歴史あるフラッグシップ機の名称としてなかなか粋な計らいだと思います。
OLYMPUS/OM SYSTEM のカメラというと、オートフォーカス性能の高さを思い浮かべる方も多いと思いますが、OM-1も最高クラスのオートフォーカス性能を持っています。
1053点オールクロスセンサーを搭載したクアッドピクセルAFは、高速で高精度なオートフォーカスで望遠レンズでの撮影が得意なマイクロフォーサーズの能力を最大限活かしてくれるでしょう。
今回の作例では時に200km/hを超えるスピードで走る新幹線を含めた鉄道を被写体に選びましたが、AF性能の高さは素晴らしく、安心して使う事が出来ました。
OM-1を手に取って初めに良いと思ったところはファインダーの見え味です。
ファインダーはスペックだけでは語れない、撮影者とカメラをつなぐ重要な部品ですが、OM-1のファインダーはナチュラルで変な脚色もされておらず見やすいと感じました。
電子ビューファインダーの中には、コントラストが高すぎたりして出来上がりを予測しずらいものもありますが、OM-1のそれは光学ファインダーを目指したような自然さを感じる見え味です。
直線的なデザインはOM SYSTEM のフラッグシップ機の特徴ですが、OM-1 はわずかに丸みを帯びたデザインになっています。
こういったところは好みの分かれる部分ですが、見た目だけに絞れば個人的には以前の直線的なデザインが好きだったので従来の方が・・・と思ったのはカメラを握ってみるまででした。優しく手に馴染むデザインはとても握り易く、長いレンズを取り付けた際のフォールディングもかなり良さそうです。
グリップは撮影中常に体に触れる部分なので、見た目よりも実用性を重視したブラッシュアップは良い事だと思います。
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200km/h以上のスピードで走る新幹線の撮影では、電子シャッターと50コマ/秒の超高速連写を使って撮影しました。
メカシャッターでも十分に高速ですが、僅かの列車の位置の違いで良し悪しが変わる鉄道撮影では、安全に確実な方法で撮るのが得策です。撮り直しの難しいドクターイエローのような被写体なら尚更でしょう。
僅かにローリングシャッター歪みが発生しますが、正面からのカットであればほぼ問題ありません。
OM-1は高速な画像処理エンジンのおかげで、AF、AE追従しながら50コマ/秒の超高速連写が行えます。
僅かに外したコマもありますが、裏を返せば50コマ/秒のおかげでそれだけ細かい瞬間まで捉えているという事なので、やはり高速連写の恩恵は大きいと感じました。
名前はフィルムカメラと同じOM-1ですが、性能についてはフィルム時代にはあり得ない、桁違いのレベルにあるのが不思議な感じです。
OM-1の常用最高感度はISO25600と、フルサイズ機並みの高い値になります。
マイクロフォーサーズの短所はセンサーサイズが小さい事による高感度性能の低さですが、OM-1は優れた映像エンジンにより高感度でもノイズの少ない黒のしまった滑らかな映像をつくりだしてくれました。
作例はISO2500で撮影しています。常用最高感度(AUTO時)がISO6400のOM-D E-M1 Mark IIIならギリギリの感度ですが、OM-1は画的にもまだまだ余裕があります。
OM-1は感度だけでなくダイナミックレンジも従来モデルより広くなっているようです。
作例は暗くなり始めた夕方、ISO800で撮影していますが、日の当たった車体のディテールは勿論、暗く影になった台車の部分にも諧調が残り肉眼で見たのに近い、ダイナミックレンジの広い画になっています。
こういったシーンでは変にコントラストだけが高くなってしまう事もありますが、OM-1はリアルに諧調豊かに表現してくれました。
手持ちハイレゾは劇的に画質が向上する、是非積極的に使って欲しい機能です。
基本的に動かない被写体にしか使えませんが、風景写真など細密描写が求められる撮影では高い効果が得られます。
この手持ちハイレゾの使い勝手がOM-1はとても良くなりました。ボタンひとつで設定出来るようになったので、動かない被写体で、描写性能を上げたい時などに是非利用しましょう。
今回のテスト撮影では被写体認識「鉄道認識」を常時ONにして撮影しました。
被写体を認識しない事はほぼ無く、認識しずらい車両などもありませんでしたので、実用的に十分以上に使えるレベルです。使用した方が歩留まりが良くなると感じました。
もともと高速で追従性能の高いOM SYSTEM のカメラの能力をより引き出せる機能と言えるでしょう。
被写体認識を使う際のコツは、ある程度被写体付近にピントを合わせておく事です。
あまりにもピントがずれているボケボケの状態だと、流石に認識しなかったり認識が遅れるので、大雑把で良いので被写体の近くにピントを移動しておくといいでしょう。
作例7のように手前に大きくボケる部分のある構図などは被写体認識が役に立つシチュエーションです。
被写体認識に限らず、OM-1は鉄道写真に非常に向いていると感じました。
高い追従能力を持つAF、AE追従、50コマ/秒の超高速連写、レンズまで含めたコンパクトなシステム、高い高感度性能などは、いずれも移動しながら様々な光線状態、シチュエーションで動く被写体を撮影するのに強力な武器となる機能です。
OM-1で従来機種より飛躍的に向上した自然で見やすいファインダーも、撮影フィーリングをより良いものにしてくれました。
作例9は50コマ/秒で走行中の新幹線を撮影したものです。
50コマ/秒なので、25コマの撮影にわずか0.5秒しかかかりません。
高速で動く被写体でも、フレーミングのいいコマや僅かな表情、光線状態の違いなどから最良の1枚を選ぶ為に、50コマ/秒の高速連写は強力な武器となるでしょう。
作例10はISO6400で撮影していますが、背景の黒や、つややかな車両の質感などが損なわれる事無く描写されています。
OM SYSTEM OM-1は、マイクロフォーサーズカメラとしては最高クラスの高い高感度性能を持っていると言えそうです。
体感的には従来機種と比べて1段階以上良いように感じました。
5000万画素手持ちハイレゾは、12回の撮影で得られた情報から5000万画素相当の高解像写真をつくりだす技術です。
高画素にしずらいというマイクロフォーサーズの短所を打ち消す機能として、風景写真などではお馴染みの機能ですが、設定をメニュー画面から行う必要があり少し面倒でした。
OM-1ではボタンひとつで(デフォルトではRECボタン)通常撮影とハイレゾショットを切り替えられるようになり、使い勝手が格段に向上しました。
上が通常撮影、下が5000万画素手持ちハイレゾを使用した写真です。
下の写真では明らかにシャープネスが増し、諧調豊かな抜けのいい写真になっているのがわかると思います。
又、作例はISO1600の高感度で撮影していますが、ハイレゾショットにする事によりノイズが軽減されるので、夜景などの撮影でも便利な機能となりそうです。
OM SYSTEM OM-1 と従来機種OM-D E-M1 Mark III を比較した際の大きな違いは、被写体認識を含むオートフォーカス機能の強化、AF、AE追従、50コマ/秒の高速連写など、より高速で動く被写体に対応する能力が高くなった事が挙げられます。
オートフォーカスについては、映像エンジンTruePic VIIIを2基搭載したE-M1Xを凌ぐ高性能さで、現行のOLYMPUS/OM SYSTEMカメラの中でも群を抜いていると言っていいでしょう。
特に動く被写体を撮るなら、OM-1はOM-D E-M1 Mark IIIを大きくリードしていると言っていいでしょう。
E-M1 Mark III では面倒だった通常撮影とハイレゾショットの切り替えが、ボタンひとつで行えるようになりました。
画質を向上させる強力な機能である5000万画素手持ちハイレゾの設定が簡単になり、より実用的になった事はOM-1 の従来機種からの改善点として大きなポイントだと思います。
OLYMPUS/OM SYSTEMユーザーでも使った事が無い方もいると思いますが、驚くほど画質が向上するので、これを機会に是非使って欲しい機能です。
OM-1は新しいMENU画面を採用しています。
横に色分けされたタブを並べたMENU画面は、従来のOLYMPUS/OM SYSTEM カメラのものとは少し毛色の違うものです。
どちらかというと、他メーカーに寄せたイメージですが、被写体や使い方に合わせてメーカーをまたいでカメラを所有するユーザーが多いカメラ事情を考えると、理にかなっているように感じます。
OM-1 は、他メーカーの製品と比較しても、多くの部分で最高クラスの性能を持った機種です。
最高クラスの性能を、コンパクトなシステムで使える部分がOM-1を選ぶ最大のメリットで、何も犠牲にする事無く軽量コンパクトなシステムで写真を楽しみたいユーザーにおすすめです。
従来の望遠撮影に強くオートフォーカス性能が高いという事だけでなく、高感度性能やダイナミックレンジ、ハイレゾショットの使い勝手の向上などにより、よりオールラウンドなカメラになったと言えるでしょう。
OM-1の数少ないウイークポイントに、バッテリー消費がやや多い事が挙げられます。
特に50コマ/秒の高速連写を使った時に顕著なので、1日中高速連写を多用して撮影するなら予備のバッテリーは必須と言えるかもしれません。
併せて、記録スピードだけでなくバッテリー消費を抑える意味でも、メモリーカードは高速書き込みが出来るUHS-IIのタイプを使う事をおすすめします。
OM-1はマイクロフォーサーズのカメラの中でも群を抜くオールラウンドカメラです。
多くの撮影ジャンル、被写体、シチュエーションに対応出来ますが、やはり能力を最大限発揮するのは今回の作例に選んだ鉄道をはじめとした、野鳥、モータースポーツ、飛行機などの望遠で動く被写体を撮るユーザーでしょう。レンズを含めたシステムとしてコンパクトでアクティブに撮影出来る事もポイントです。
誤解して欲しく無いのは、それ以外の、例えばネイチャーや風景、マクロといった撮影でも高い能力を発揮するという事で、OM SYSTEM OM-1はフラッグシップ機らしく幅広い能力をハイレベルに持っています。
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機材選びの参考にしていただければ幸いです。