SONY(ソニー) Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA の実写レビューです。
使いやすい画角とコンパクトさを持ったSONY(ソニー)Eマウントフルサイズ用単焦点レンズは、フルサイズミラーレス一眼カメラのパイオニアα7と同時に世に出た、SONYのミラーレス一眼の創成期を支えたレンズの一本と言えます。
SONY(ソニー)のZeissブランドレンズの中で最小サイズとなる、スナップ撮影にピッタリな準広角レンズを実写レビューを中心に紹介します。
SONY(ソニー)のフルサイズ用Eマウントレンズは比較的小型な物が多いですが、その中でも Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA は質量120g、全長36.5mmと最小・最軽量のレンズです(2021.10.2現在)。
α7発売当初のレンズなので、フルサイズセンサーのカメラ=大きいというイメージを持ってほしくない、メーカーの意図があったのではないかと想像できますが、それにしてもコンパクトです。
付属しているフードも携帯性に配慮してか、ドーム型でコンパクトなものとなっており、実用性と携帯性を両立した物となっています。なお、フード内側に40.5mmのフィルターが装着が可能です。
操作部はMFリングのみでフォーカス切り替えスイッチ等も無く、非常にシンプルです。
鏡筒にスイッチ、ボタンの類が無いさっぱりしたデザインですが、鏡筒はZeissブランドのレンズらしく安っぽさの無いアルミ製で、剛性感、高級感のある仕上げとなっています。
ワンポイントでZeissのロゴが入った青いバッチが埋め込まれており、マニアならずともカッコイイと感じるデザインだと思います。
レンズ内手ぶれ補正は搭載されておらず、発売当時はウィークポイントとして扱われる事もありました。しかし、最近のSONY(ソニー)のボディは手ブレ補正が内蔵されている事がほとんどなので、今となっては弱点として扱われる事は少ないでしょう。
その他、リニアモーターによる高速・静粛なAF、防塵防滴に配慮した設計、T*(ティースター)コーティング等、Zeissブランドらしい妥協の無い仕様となっています。
個人的には手ぶれ補正を潔く諦め、小型で高級感のあるレンズとしているあたり、SONYらしい思い切りの良さが感じられて好感が持てると感じました。
フィルター径 | 49mm |
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最短撮影距離/最大撮影倍率 | 0.35m/0.12倍 |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 7枚 |
長さ | 36.5mm |
重量 | 120g |
フジヤカメラでは、SONY(ソニー)ミラーレス用レンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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今回のレビューではコンパクトなレンズに丁度良いボディとして、同じく小型のフルサイズミラーレス一眼カメラSONY(ソニー) α7Cを使用しました。
共通撮影設定として、オートホワイトバランス、クリエイティブスタイルはスタンダード、各種レンズ補正はデフォルトとしています。
撮り始めてすぐに感じたのはZeissらしさを感じる高いコントラストです。
テスト撮影時はカンカン照りの陽光がふりそそぐ、コントラストの高い条件だったおかげもあり、ハッキリとした描写が際立ちます。
コントラストが高いばかりで、暗部・明部のディティールが残らないレンズも多くありますが、Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZAはそうはならず、暗部の諧調が粘り強く残りました。
明るく無い広角レンズなので、ボケの大きな写真を撮るのは不得手なレンズですが、コントラストの高いヌケの良い描写性能のお陰か、ピントの合った部分が被写界深度以上に浮き立つような印象を受けます。
あまりにもシャープなレンズは被写界深度が浅くなる事がありますが、それと同じ感覚です。Zeissらしい丸みのある立体的な描写が、ピント面を浮かび上がらせている事も要因の一つでしょう。
壁の隙間から顔を覗かせた雑草にピントを合わせていますが、前後のボケの立ち上がり方も自然で品があると思います。
やわらかく品のいいボケ味は、近接時には大きなメリットとなりそうです。
最短撮影距離は35cm、最大撮影倍率は0.12倍と近接に強くはありませんが、それでもボケを写真に活かしたくなる魅力があります。それ故、最近の寄れるレンズに慣れている身としては、もう少し寄れると更に便利かなと思う事もしばしばでした。
近接能力はレンズの大きさとトレードオフの関係にあると思うので、諦めるべきポイントかもしれませんが、利便性を際限なく求めてしまうのは、最近の何でも出来るレンズに慣れてしまっているからかもしれません。慣れとは恐ろしいですね。
コンパクトさの代償として、開放撮影では背景周辺の点光源が楕円形に歪む口径食が発生します。
キレイな楕円形に歪むので、うるさいとかトゲトゲしいといった感じにはなっていないと思いますが、多くのレンズで発生する現象なので、特筆して悪いというものではありません。F5.6程度まで絞り込む事で改善します。
味と捉える事も出来ますが、イルミネーションや木漏れ日、水面の反射など、気になる場面は多いので、この辺りは好みが分かれる所でしょう。
今回の撮影では基本的にカメラ内レンズ補正はデフォルトにして撮影しました。
歪曲収差はOFFにしても気になるほど大きくありませんが、周辺光量はOFFにするとかなり落ち込みますので、条件や意図によってはレンズ補正をOFFにして、周辺光量をわざと落としてみても面白いでしょう。
画像処理とは一味違う、レンズ由来ならではの自然な周辺光量落ちが楽しめます。
周辺光量補正をOFFにするとこの程度の光量落ちです。
歪曲収差補正は若干画角が狭くなる欠点がありますが(デフォルトは「切」)、それ以外のボディ内レンズ補正は使用するデメリットはほとんど無いので、作画意図が無い限りはレンズ補正は潔くデフォルトにしておくのがベターでしょう。
ひびわれを補修した箇所でしょうか?不思議な模様のようです。
作例では被写界深度を深くするためF8まで絞っていますが、開放でも周辺まで比較的均質で十分な解像力を持っています。今回使用したα7cよりも高画素なボディに装着しても、能力不足を感じる事は少ないでしょう。
解像力もさることながら、質感を写し取るのに優れたレンズだと思います。作例も拡大して見るとコンクリートの質感が伝わるリアルな描写で、流石Zeissと唸らされました。
開放f2.8とF値を欲張っていないお陰か、SONY(ソニー)フルサイズ用のレンズとしては古い2013年の発売とは思えないシャープなレンズです。
作例8を拡大して解像感を見てみます。
F8まで絞っている事を差し引いても、かなりシャープで高解像な画質だと思います。
Zeissらしい、立体間のあるしっかりとした抜けのいい描写で、高画素のカメラでも安心して使えるでしょう。
SONY(ソニー) Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA は、Zeissの名を冠するだけあってハイコントラスト、高い解像性能やボケ味など、基本性能のしっかりしたレンズです。
コンパクトなデザインはスナップ撮影などで軽快に撮影したい時にも便利なので、2本目のレンズやズームレンズのサブとしても使い易いのではないでしょうか。
価格的にも比較的リーズナブルなので、初めて買うZeiss名のレンズとしてもオススメできる一本です。
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