FUJIFILM(フジフイルム)XF35mmF2 R WRの実写レビューです。
XF35mmF2 R WRは2015年11月に発売されたフジフイルムXマウント用単焦点標準レンズで、開放F2のコンパクトな単焦点レンズです。小型でシンプルデザインはどのボディに装着してもバランスが良く、明るさを欲張っていない分描写性能も優れているので、上位機種から中級、入門機まで幅広く使えるコスパの高い一本と言えます。
今回はそんな汎用性の高い標準レンズを実写レビューを中心にご紹介します。
FUJIFILM(フジフイルム)XF35mmF2 R WR の大きな特徴はやはりそのコンパクトさでしょう。外装は金属のしっかりした造りなので、ボディを選ばずバランス良く装着する事が出来ます。
操作や作りにガタつきや遊びのような部分はほとんど感じられず、しっかりした質感と高級感があるレンズです。
APS-Cサイズセンサー用の標準レンズという事で、まるでライカのレンズのように小型なので、デザイン性にも優れたフジフイルムのボディにはピッタリマッチするでしょう。
先に述べた造りの良さは見た目だけでなく、WR(防塵防滴機構)や、-10℃の耐低温設計が施されたタフなレンズです。
各所に施されたシーリングにより、雨・埃等がレンズ内へ侵入しにくい構造となっており、雨や砂埃の多い場所で使用する際にも安心感して使えます(防水レンズではありません)。
今回のレビュー撮影時も強い雨が降っていましたが、あまり気にせず撮影に集中する事ができました。
操作部は絞りリングとフォーカスリングというシンプルなものですが、フジXFレンズではお馴染みの構成で、いくつかのレンズを交換しながらでも違和感無く使えるでしょう。
クリック感の良い絞りリングとなめらかなフォーカスリングは、操作感のうえでも高級感が有ります。感触がいいレンズは使っていて楽しいですね。
フードは付属(プラスチック製)していますが、別売でより高級感のある、金属製スリット入りフードも用意されています。
フィルター径 | 43mm |
---|---|
最短撮影距離 | 0.35m |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
長さ | 45.9mm |
重量 | 170g |
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今回の撮影ではFUJIFILMのX-T4を使用しました。
生憎の雨模様でしたが、コンパクトなカメラ、レンズであった事で、傘をさしながらの撮影も比較的快適に行えました。
フィルムシミュレーションはスタンダード、補正等はオフにしています。
FUJIFILMのレンズらしく高いコントラストと美しい色合いで、雨の中でもしっかりとした描写を見せてくれました。
フラットなコントラストの低い光線状態にもかかわらず、色が自然にハッキリと出ているあたりは、さすがFUJIFILMと言えるでしょう。
曇天、雨天時は風景全体に光が回り、カメラの設定をデフォルトにしていると眠い、薄味な写真になってしまう事が多いですが、X-T4とXF35mmF2 R WRの組み合わせでは特に設定を変更しなくてもイメージに近い写真が撮れました。
光線状態が悪いと、ただ撮るだけでは焦点の合わない散漫な写真になってしまうので、露出を大きくアンダーにふって、印象的な写真になるようコントロールします。
XF35mmF2 R WR は露出を大きくアンダーにふっても、暗部が過度に沈み込まず、諧調の残る自然なコントラストとなりました。高コントラストながらも階調はしっかり残るレンズのようです。
又、モノクロに近い色の落ち込んだ部分と、縁石のオレンジや信号の赤などの彩度が高い部分とのコントラストを美しく描き出せるのは、FUJIFILMのカメラの得意とする表現と言えるでしょう。
ボケの綺麗さよりも、どちらかというとシャープネスを優先したレンズという印象です。
鳩が乗っている手すりの様な単純な物はいいのですが、例えば樹木のようなごちゃごちゃした背景の場合、わずかにボケがうるさくなるようです。コンパクトなデザインが仇になったのか、口径食の影響で画面周辺部では点光源の形が歪んでしまいました。ボケの質、やわらかさならXF35mmF1.4 R、シャープネスならXF35mmF2 R WRという棲み分けなのかもしれません。
個人的にはシャープネス、解像感の高いXF35mmF2 R WRの描写の方が好みです。
雨の影響で多少霞んでしまっていますが、都庁の外壁パターンをしっかり分解して描写できています。開放での描写ですが、やはりシャープネスを優先したレンズのようです。
少し柔らかすぎる嫌いのある同焦点距離のF1.4と比べて、しっかりとした個性の差が出るのは、標準レンズという事を考えるとむしろありがたいのかもしれません。
こういった描写のクセの差に気付いてしまうのはレンズ沼への入り口なので、良し悪しではありますが。
パン屋さんのイートインで一息。最短撮影距離が0.35mとわずかですが一般的な標準レンズよりも最短撮影距離が短い事を活かして、ちょっとしたテーブルフォトを撮影してみました。
撮影倍率は0.135倍と、決して高い訳ではありませんが、ほんの少しの差で撮影のバリエーションが増えるのは、もともと汎用性の高い標準レンズ故でしょうか。
XF35mmF2 R WRはその辺りもクリアできていると思います。
実写レビューの中でも述べましたが、開放から解像力の高いシャープなレンズです。
作例6の写真を拡大して画質を見てみましょう。
開放から芯のある、シャープで解像力の高い描写です。
開放でもここまでの解像力を持っていますが、絞り込むとさらに少しずつシャープネスが向上し、F5.6~F8辺りで解像力がピークに達し、周辺部までシャープになります。
大伸ばし前提の場合や、周辺まで画質の均一性が求められる場合は、ある程度絞り込むといいでしょう。
FUJIFILM(フジフイルム)XF35mmF2 R WR は、同焦点距離のF1.4のレンズと対をなすような、シャープで高い解像力を持ったレンズです。
画質だけでなく操作性も良好で、安定した画質と速く正確なAF、コンパクトなデザインのおかげで、雨という悪条件の中でも、終始快適に撮影できました。
そつなくまとまったレンズでありながら諧調の豊かさなどフジフイルムらしさも感じられ、単焦点入門にも最適なハイコストパフォーマンスなレンズです。
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