Canon(キヤノン) EF 70-200mm F2.8 L IS II USM の実写レビューです。
Canon(キヤノン) EF 70-200mm F2.8 L IS II USM は、2010年3月に発売されたCanon EFマウント用大口径望遠ズームレンズで、2018年にIII型が発売されるまで風景からスポーツ、ポートレートまで多くのカメラマンに愛用されたベストセラーレンズです。
今回は、Canon(キヤノン)を代表するレンズの一本である望遠ズームレンズを、実写を中心にレビューしたいと思います。
■この記事の監修
フジヤカメラ店
東京都 中野区のカメラ専門店 フジヤカメラ店です。カメラ、レンズ、三脚、動画機材まで、新品、中古機材を多数取り扱っております。中古在庫は常時3,000点以上!これからカメラを始める方も、ベテラン、プロカメラマンも、機材の事ならフジヤカメラ店にお任せ下さい。
WEBサイトは
こちら
特徴/操作性
Canon(キヤノン) EF 70-200mm F2.8 L IS II USM は高性能、高機能を追求した非常に贅沢な設計で、Canonの一眼レフ用レンズの顔と言ってもいい大口径望遠ズームレンズです。
蛍石レンズ1枚、UDレンズを4枚使用する事で色収差を徹底的に除去、4段分の手振れ補正機能、高速なAFを実現するリングUSM、防塵防滴機構、円形絞りと、Canonの持てる技術を惜しみなく投入したプロ仕様のレンズとなっています。
高級タイプのレンズを表す赤いリングはLレンズの証であり、その名に恥じないラグジュアリーな仕様となっているのです。
EF 70-200mm F2.8 L IS II USM は、フォーカスはインナーフォーカス、ズームはインナーズーム方式を採用しているので、使用時にレンズの全長が変化せず、バランスの変化しないハンドリングし易い構造となっています。
ズーム時に鏡筒が伸縮すると、可動部分から水やダストが侵入するリスクも増すので、プロ仕様のLレンズという事からそういった点にも配慮しているのかもしれません。
勿論フルタイムマニュアルフォーカスやフォーカスリミットなどの基本的な機構も搭載されています。
デザイン的に目を引く白い鏡筒はCanon(キヤノン)の望遠レンズではお馴染みのもので、鏡筒内の温度上昇を避ける為に採用されているようです。
どれほど効果があるかはさておき、赤いラインが施された白い鏡筒のレンズを使っているとCanon(キヤノン)のLレンズを使っているという気分も上がるというものです。
全長は199mm、質量は約1490gと大きく重いレンズですが、それに見合った性能と堅牢さを持っているレンズだと言えるでしょう。
フィルター径 |
77mm |
最短撮影距離/最大撮影倍率 |
1.2m/0.21倍(200mm時) |
最小絞り |
F32 |
絞り羽根 |
8枚(円形絞り) |
長さ |
199mm |
重量 |
約1,490g(三脚座を除く) |
実写レビュー
テストボディにはマウントアダプター(EF-EOS R)を装着したフルサイズミラーレス一眼 EOS R5を使いました。
撮影設定は、各種補正はOFF、オートホワイトバランス、ピクチャーコントロールはスタンダードです。
純正のマウントアダプターを介してミラーレス一眼のEOS R5を使って撮影していますが、動体への対応も良く快適に使用する事が出来ました。
鉄道ファンの方からすると構図やら色々とツッコミたい部分が多いと思いますが、鉄道写真素人でもこんなに簡単にピントが合わせられるんだ、視点でご覧いただけると助かります。
速度はもちろん、精度についても一眼レフカメラで使うのと同等の高さだと感じました。元々高速なAFを搭載しているレンズですが、マウントアダプターを介してもこれだけのスピードが出るのは素直に驚きです。
Canon(キヤノン) EF 70-200mm F2.8 L IS II USM は、マウントアダプターを介してEOS R5の瞳AF機能にも対応しています。
せっかくの望遠レンズなので、野鳥がいそうな場所をウロウロしていましたが空振りに終わり、駅に戻る道すがらカラスを発見、レンズを向けました。慌てていたため構図が傾いてしまいましたが、瞳にばっちりピントを合わせる事が出来ました。つくづく最近のカメラの進化は凄いなと思います。
カラスが黒くて判り辛いので拡大した写真をご覧ください。
真っ黒でやはりわかりずらいと思いますが、しっかり瞳にピントが来ています。
ポートレートや動物カメラマンが重宝がるのもよくわかる便利な機能です。
ズーム全域でボケ味を一定に保つのは難しいと良く言われますが、Canon(キヤノン) EF 70-200mm F2.8 L IS II USM はボケについてもスムーズなレンズです。
一眼レフ用で同スペックのIII型が、ミラーレス用のRFマウントで同スペックのレンズが発売されているので、実質二世代前のレンズという事になりますが、さすがCanon望遠ズームの顔とも言えるレンズです。
ポートレート撮影で使うユーザーが多いのも頷けます。
最短撮影距離が1.2m(200mm側)、最大撮影倍率は0.21倍とかなり寄れる上、先に述べたとおりボケ味も綺麗なので近距離の被写体を撮るのも面白いレンズです。
今回のテスト撮影でも気づけば望遠なのに近くの物ばかりを撮っていました。
長い焦点距離を活かして背景を大きくボカせるので、狙った被写体だけを浮き上がらせて見せる事が出来るのも、望遠レンズをマクロ的に使うメリットと言えるでしょう。
広角端から望遠端まで、絞り開放でも絞り込んでもバラつきの少ない高いシャープネスを維持しており、画質の安定性という意味でもかなり高いレベルにあるレンズです。
画面隅を拡大してみても中央部分との画質差は小さく、高画素、高解像度なEOS R5でも十分満足できる性能を持っていると感じました。
画質
作例8のカットを拡大して解像感を見てみます。
画面周辺部の拡大画像ですが、10年以上前のレンズとは思えないシャープな画質です。
色収差が良好に補正されている為か、大きくフリンジが出る事もありません。
厳密に言えばRFの最新レンズと比べて見劣りする部分もあると思いますが、4500万画素のEOS R5に装着しても実用に耐える画質は、Canonの望遠レンズの設計が高いレベルにある事をあらためて感じる結果となりました。マウントアダプターを介してのオートフォーカスの動きも良好なので、ミラーレスカメラに装着した際の相性は良いレンズだと言えるのではないでしょうか。
まとめ
本来一眼レフ用のレンズですが、フルサイズミラーレス一眼カメラEOS Rシリーズにマウントアダプターを使って装着しても通用するレベルの画質を持ったレンズです。
勿論、性能的にRFレンズより高いという事はあり得ませんが、オートフォーカスの動きも比較的良好なので、リーズナブルな価格の下位互換として価値のあるレンズと言えるでしょう。
ズームレンズとしてはボケが美しいところもポイントで、まだまだ現役で活躍できる実力を持っているレンズだと感じました。
Photo & Text by フジヤカメラ 田中