OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 の実写レビューです。
35mm判換算で34mmの画角となるM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8は、明るいf値でありながらコンパクトで、クラシックなデザインからOLYMPUSの小型ボディとの相性が抜群です。その上高い描写性能を兼ね備えており、OLYMPUSの単焦点の常用レンズとして定番の一本と言えるでしょう。
汎用性の高い画角で幅広い場面で使いやすい単焦点レンズの実力を、実写レビューを中心にご紹介します。
OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8は2012年に発売されたマイクロフォーサーズ規格用の大口径単焦点レンズで、35mm判換算で34mm相当の画角の広角レンズです。
最も標準に近い画角の広角レンズとも言える焦点距離は、構図を整理しやすい程度に狭く遠近感も大きくは誇張されない為、広角レンズとしてはやや迫力に欠けます。反面、標準レンズに近い自然な描写と、それでいて標準レンズよりも広い範囲が写る事から、一般的にはスナップなど対象が決まっていないような撮影でも汎用性が高く使い易いと言われます。
フットワーク次第で標準、広角どちらの特徴も活かして使う事が出来、主題となる被写体と周囲の状況を両方伝えられる欲張りなレンズと言えるかもしれません。
開放F値1.8という明るさを持ちながら、本体サイズは長さ3.5cm、重量は約120gとマイクロフォーサーズ用レンズらしく非常にコンパクトにまとめられています。
本体は金属外装で、高級感、精密感があります。OLYMPUSのボディはデザインや質感にこだわった製品が多いので、それにマッチするようにレンズのクォリティも高めてあるのでしょう。
カラーはブラックとシルバーの2色が用意されており、使用するボディに合わせてコーディネートを楽しめます。レンズフードは標準では付属しませんが、別売りでレンズ本体同様質感の高い金属製フードが用意されています。
操作スイッチはありませんが、フォーカスリングを手前にスライドするとピントリングに刻まれた距離目盛の場所まで即座にフォーカスが移動するスナップショットフォーカス機構を搭載しており、これはそのまま簡易的なマニュアルフォーカスとして利用出来るので、AF/MFの簡便化に一役かっています。
フォーカスの際のリングの動きは滑らかでいて適度なテンションがかかり、使い易いと感じました。
オートフォーカスの性能も良好で、動作音の原因になるギアを排除し、シャフトと送りねじを組み合わせた機構のおかげで、静かなだけでなく素早い動作を実現しているようです。
フィルター径 | 46mm | 最短撮影距離/最大撮影倍率 | 0.25m/0.08倍(35mm判換算 0.16倍) |
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最小絞り | F22 | 絞り羽根 | 7枚(円形絞り) |
長さ | 35.5mm | 重量 | 120g |
テストボディには、レンズのコンパクトさと高い質感に合わせてOLYMPUS(オリンパス)OM-D E-M5 Mark IIIを選択しました。
作例の共通設定は、アスペクト比3:2、ピクチャーモードはナチュラル、ホワイトバランスはオート、シェーディング補正はオフに設定しています。
まだ梅雨入りもしていないのに夏のような日差しが降り注ぐ中、公園を散歩しながらテスト撮影を行いました。
もともとクリアで抜けがいいレンズですが、絞り込むとシャープさが一層引き立ちます。
アジサイやサルビアの葉の部分を見ると目で見た時以上に硬そうに思える程です。
絞りを開放前後にしてボケを引き出しつつ、被写体との距離を詰めてクローズアップ的に撮ってみました。
十分以上なシャープさはあるものの、絞り込んだ時のきりりとした感じではなく、程よく上品にシャープといった感じです。
単焦点レンズらしくボケに癖のようなものは無く、絞りの変化による被写界深度のコントロールはし易く感じました。
作例7は広い公園をバックに入れつつ、絞りを開け気味にしてアジサイの花がより引き立つように、作例8は少ししゃがんで構図を整理しながら遠近感を引き出すようにしてみました。
前述したようにフットワークでの画角や構図のコントロールがしやすい焦点距離です。
このレンズ1本だけで撮影に出かけたとしても、自身が積極的に動く事で、容易に写真に変化をつけられそうです。
発売から長く経過しているレンズであり、高画素化した現代のカメラで、どの程度の描写力を見せてくれるのか気になるところです。
作例8を拡大して画質を見てみます。
10年近く前に設計されたレンズとは思えない高い解像力を持った、優秀なレンズです。
シェーディング補正はオフに設定しましたが、周辺光量の落ち込みはほとんど無いようです。
画面全域で良好な描写性能を持っていると言っていいハイレベルなレンズだと思います。
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Photo & Text by フジヤカメラ 浅葉