動物園の撮影を格段に楽しくしてくれる、OLYMPUSマイクロフォーサーズの超望遠ズームレンズとカメラ、テレコンバーターを、実際に動物園で写真を撮りながら、作例を織り交ぜてレビューしたいと思います。
-目次-
カワイイ動物たちに必ず会える動物園は、写真を撮るのに最適なロケーションです。
しかし、愛くるしい動物たちの表情やしぐさをアップで撮ろうと思うと、スマホはおろか、一眼デジタルカメラでも標準レンズでは厳しい。
そんな時登場するのが望遠レンズです。
さて、望遠レンズと言っても様々のものがラインナップされており、どのようなレンズが動物園で使えるレンズなのか?悩んでしまいます。
先ずは焦点距離ですが、動物の愛くるしい表情をアップで撮りたいなら、出来るだけ長い(望遠効果)方がいいと思います。
具体的には、今回行った多摩動物公園では600mmくらい、欲を言えば1000mmまでの望遠レンズがあれば、園内のどの動物を撮っても、かなり迫力ある写真が撮れると思います。
1000mmまで!?
35mm判のカメラを使っていると、かなり大袈裟に感じると思いますが、600mmはAPS-Cサイズセンサーのカメラなら35mm判換算で400mm、1000mmはマイクロフォーサーズのカメラなら、35mm判換算で500mmなので、それほど大きくはなりません。
次に、ズームレンズか単焦点レンズかです。
単焦点レンズの性能の高さが魅力ですが、大きさがまちまちな上、広い敷地の何処に動物がいるかわからない動物園の撮影では、やはりズームレンズが便利だと思います。
特に多摩動物公園は、キリンがいるアフリカ園から、チョウが舞う昆虫館まで、ロケーションによって使う焦点距離が大きく異なるので、ズームレンズは非常に便利です。
夜間の撮影が無いなら、マイクロフォーサーズのカメラと望遠ズームの組み合わせはかなりおススメです。以下にその理由を解説したいと思います。
マイクロフォーサーズシステムが動物園の写真に向いている理由の一つはセンサーが小さいので、望遠に強い事が挙げられます。
先ほど述べたように35mm判の1000mmはマイクロフォーサーズなら500mmなので、テレコンバーターの使用などを視野に入れれば、決して本格的なプロカメラマンのものだけではありません。
迫力ある写真を撮ろうと思ったら、レンズは長いに越した事はありません。
もう一つは、カメラ、レンズともにコンパクトである事です。
多摩動物公園は、山の斜面に建てられた動物園の為、かなりのアップダウンがあり、まるでハイキングをしているようです。
ここに限らず、重い機材を持って広い園内を歩き回るのはかなりの重労働で、写真に集中する為にも機材が小さい事は重要です。
今回、実写レビューの為に用意した機材は OLYMPUS(オリンパス) OM-D E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS です。
最上位モデルでありながらコンパクトなカメラと、超望遠ズームレンズの組み合わせは、大きさや重さの問題は勿論、機能、性能的にも充実しており、おススメの組み合わせです。
特に最新の超望遠レンズである M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS は、コンパクトである事は勿論、優れたマクロ撮影能力、テレコンバーターが使用出来るなど、動物園での本格的な撮影までこなせる、ベストチョイスと言っていいレンズです。
フィルター径 | 72mm |
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最大撮影倍率 | 0.17倍相当(Wide)/ 0.57倍相当(Tele)(35mm判換算) |
最小絞り | F22 |
マウント | マイクロフォーサーズ |
全長 | 約205.7mm |
重量 | 約1,120g(三脚座除く) |
その他 | 防塵防滴、レンズ補正3段(5軸シンクロ手ぶれ補正 非対応) |
付属品 | レンズフード、キャップ(前後)、三脚座 |
今回、先の機材と2つのテレコンバーター(焦点距離を1.4×、2.0×に伸ばすアクセサリー)を持って多摩動物公園に実際に撮影に出かけました。
何度も利用したお馴染みの動物園で、過去、幾つかの機材で実際に撮影もして来ましたが、ズームレンズ一本とテレコンバーター2個という機材はその中でも最もコンパクトで、なおかつ最も望遠なレンズです。
ここまで身軽でありながら、1600mm相当(2×テレコンバーター使用時、35mm判換算)の超望遠を使えるのは、OLYMPUSマイクロフォーサーズならではです。
レンズのみ、MC-14(1.4×テレコンバーター)、MC-20(2.0×テレコンバーター)を、それぞれの展示スペースに合わせて切り替えながらレビューしたいと思います。
初めに昆虫館に向かいました。
大温室の中を、多くのチョウが飛び交う昆虫館はいつ行っても楽しく、魅力的な撮影スポットです。
OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS の最短撮影距離は、ズーム全域で1.3m(最大撮影倍率0.57倍(35mm判換算))です。
これは、望遠ズームとしてはかなり短い方で、昆虫館のチョウに警戒される事無く遠くから撮影出来ます。
望遠レンズとしてだけでなく、近接撮影用の望遠マクロレンズとして使える、これが M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS を動物園で使う一つ目の大きなメリットです。
警戒される事無く、動く昆虫をマクロレンズのように大きく撮影出来るのは、望遠マクロならではです。
背景をボカす時、明るいレンズが必ず必要と勘違いされるケースがありますが、他に長焦点のレンズ(望遠レンズ)を使う、被写体に近づくという方法があり、望遠で近づいて撮る望遠マクロでの撮影は背景を大きくボカす事が可能です。
OLYMPUS(オリンパス) OM-D E-M1 Mark III の高速で精度の高いオートフォーカスは、本来ピント合わせが難しいマクロ撮影も難なくこなします。
チョウが飛び立つ瞬間を、レスポンス良く写真に納められました。
又、OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS は性能的にもかなり高いレベルのレンズです。
上の写真を一部拡大して見てみます。
素晴らしくシャープだと思います。
便利なだけでなく、性能的にも高いレベルにあり、画質にうるさい派の方でも安心して使えそうです。
次に向かったのは、チーターのブースです。
チーターは屋内の展示スペースと、野外の広場を自由に行き来出来るようにして飼育されています。
広場の奥の方に行ってしまうと、チーターが遠くなってしまい、迫力ある写真を撮るのは難しくなります。
そこで登場するのがテレコンバーターです。
テレコンバーターは、レンズとカメラの間に挟んで、レンズの焦点距離を長くするアクセサリーですが、どのレンズでも使えるわけではありません。
特にズームレンズは使えないケースも多いのですが、OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS は、超望遠ズームとしては珍しく、このテレコンバーターを使用する事が可能です。
焦点距離を1.4倍、560mmにして撮影しました。
35mm判換算で1120mmです。やはり1000mmを超える超望遠レンズがあると、動物園での撮影が格段に楽に、楽しくなります。
テレコンバーターが使える事、これが OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS を動物園で使う2つ目のメリットです。
肉食獣でありながらどこか愛くるしい顔、美しい毛並み、自然が生み出した芸術美を感じる模様などをアップで狙いました。
動物園の動物くらい大きな被写体であれば、300mmくらいまでの望遠レンズでもなんとかなりそうに思いますが、思いのほか広い場所で飼育されている動物を魅力的に撮ろうと思ったら、1000mmあるとかなり便利です。
動物園では、動物の手前に無粋な柵や網があるケースもありますが、超望遠レンズになると、それらをピントの外において、画面から排除する事も可能です。
宙を見つめるサーバルキャットにどこか哲学者のような崇高さを感じてシャッターを切りましたが、なんのことはない、たまたま入って来た飼育員さんを見つめているだけです。
OLYMPUS(オリンパス)からは2つのテレコンバーターが用意されています。
先ほど使用した1.4×と、さらに焦点距離を伸ばせる2×のテレコンバーターです。
1600mm!
マイクロフォーサーズで、2倍のテレコンバーターを装着した際の400mmは、35mm判換算で1600mmです。
ちょっと異質と言っていい世界で、比較的広い敷地の多摩動物公園でも、少し持て余す望遠レンズです。
そこで、動物の顔を狙って、ポートレート撮影をしてみる事にしました。
キリンのポートレート撮影です。キリンは多摩動物公園の中でも特に広い場所で飼育されています。これだけ広い場所で、バストアップを撮れるのは(キリンのバストはもっと下だと思いますが)、1600mm(35mm判換算)という焦点距離があったればこそでしょう。
1600mm(35mm判換算)までの超望遠撮影が出来る、これが3つ目の OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS を動物園で使うメリットです。
キリンの一瞬のコミカルな表情を象徴的に捉えました。
たまたま近くにキリンがいた、などの幸運がなければ、顔のアップを撮るのは難しいと思いますが、1600mm(35mm判換算)なら余裕です。
又、どの方向から撮るか、どういったアングルで撮るか、といった事が、被写体の位置に縛られる事無く工夫出来るので、多くの可能性が見いだせると思います。
水浴びをするペリカンです。
自分の立ち位置から離れた場所でシャッターチャンスが訪れても、諦めないでカメラを構えられる。
なにせ、私が手にしているのは1600mmなのですから。
動物園での撮影では、出来るだけ長いレンズを持っていると、それだけで強力な武器になります。
今回使用した、OLYMPUS(オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS は、個人的に動物園での撮影でベストチョイスな1本だと思いました。
多摩動物公園では、400mmではシャッターチャンスが限られ、望遠が足りない事はわかっていましたが、1000mmまであるとここまで便利に、楽しくなるとは思いませんでした。動物がいれば、ほぼ全てのシチュエーションがシャッターチャンスになると言えるくらい、強力です。
性能的にも、特にレンズ単体で使う際は、PROシリーズレンズ並みに高描写で高いレベルにあり、初めての動物園での撮影にチャレンジする方から、ベテランの動物園カメラマンまでおススメ出来る製品だと思います。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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