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2021.06.02
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Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 実写レビュー

Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 実写レビュー
Canon(キヤノン)の一眼レフカメラ用の標準レンズ EF50mm F1.4 USMの実写レビューです。

1993年(平成5年)6月に発売されたEF50mm F1.4 USMは、オートフォーカスレンズでありながら発売から30年近く経つ、オールドレンズと言ってもいいようなレンズです。ちなみに当時のCanon(キヤノン)のフラッグシップカメラはEOS1、多点測距を搭載したEOS1Nは翌年1994年の発売です。

今回は、最新のフルサイズミラーレス一眼カメラEOS R5に装着し、マウントアダプター EF-EOS Rを介しての使用感、オートフォーカスのスピード、画質などを試しました。RFマウントには無い開放F1.4の標準レンズを、実写レビューを中心にご紹介します。
■この記事の監修

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Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM

特徴/操作性


Canon(キヤノン) EOS R5 + EF50mm F1.4 USM 本体1
非常にスタンダードな標準レンズである Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM は、スペックとしてはあまり特色が無いレンズです。発売年が古いという事もあり性能的にも現代のフルサイズミラーレス一眼カメラ用レンズと比べれば一歩も二歩も劣りますし、マクロに強い訳でもありません。

しかし実際に使ってみると、現代の高性能レンズには無い個性を持っており、まるでオールドレンズを楽しんでいるような面白さがあります。レンズとしての短所が、逆にレンズの味として注目されている昨今、発売当初とは違った価値が見出せるのです。

又、現在(2021.6.2)RFレンズには開放F1.4の標準レンズが無いという事も、このレンズをRシステムのカメラに使う価値と言えるでしょう。
Canon(キヤノン) EOS R5 + EF50mm F1.4 USM 本体2
先に書いたとおり、今回のテスト撮影ではボディにフルサイズミラーレス一眼カメラEOS R5を選択しました。マウントアダプターには純正のEF-EOS Rを使いましたので、安心してオートフォーカス、ボディ内レンズ補正を使う事が出来ます。

マウントアダプターが入る分、レンズの全長は2cmほど長くなり、ミラーレス一眼カメラのコンパクトさをいくらか損なう事になりますが、重量は110gほどしかないので、それほどプラスにはなりません。

古いデザインのレンズという事で多少心配だったデザイン的なマッチングも、外観に色を多用したレンズではないので、違和感の無い組み合わせだと思います。
Canon(キヤノン) EOS R5 + EF50mm F1.4 USM 本体3
気になるフルサイズミラーレス一眼カメラとのマッチングですが、完璧では無いまでも十分実用に耐えると言え、悪くないと思います。

デジタルレンズオプティマイザを中心としたボディ内レンズ補正機能はマウントアダプター EF-EOS Rを介しても使用する事が出来るので、周辺光量や歪曲収差の補正もボディ内でデジタル処理が可能です。

オートフォーカスについても、さすがに動体撮影は難しいレベルですが、風景やスナップなどの静物がメインならストレス無く使う事が出来ます。正直言って、古いUSMモーター仕様のレンズだったので、ある程度の不便は覚悟していたのですが、今回のテストではほぼストレス無く撮影を進める事が出来ました。惜しいのはむしろマニュアルフォーカスで、最近のレンズのスムーズな感触に慣れていると少し物足りなく感じます。
フィルター径 58mm
最短撮影距離 0.45m
最小絞り F22
絞り羽根 8枚
長さ 50.5mm
重量 290g

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実写レビュー


Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例1
作例1: f5.6 1/1000 ISO100 露出補正±0
信号待ちの最中に上を見上げて撮った一枚です。まだ5月ですが、夏のような日差しが厳しい日でした。

Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USMは、F5.6、順光線の条件であれば現代の高性能レンズとなんら遜色ない性能を発揮します。コントラストも十分に高く、周辺まで眠さを感じないシャープな描写です。カメラ、アダプター、レンズ全てが純正品である事の強みで、デジタルレンズオプティマイザーの恩恵を享受出来る事も大きいと思います。

30年近く前に設計されたレンズとは思えない、高い描写性能です。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例2
作例2: f1.4 1/1600 ISO100 露出補正±0
独特の香りと、ドクダミというお世辞にも綺麗とは言えない名前のせいで何となくイメージの悪い花ですが、こうして1本だけの姿を見ると案外可愛らしい可憐な花を咲かせます。

EF50mm F1.4 USMの最短撮影距離は45cmと月並みです。残念ながら開放、近接付近での描写性能は高くありませんが、その分美しいボケ味を見せてくれて、正直に言ってCanon(キヤノン)のレンズってこんなにボケが綺麗だったけ?と驚かされました。

このボケのためだけに、多少ピントを犠牲にしても開放で近接を撮りたくなるレンズです。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例3
作例3: f1.4 1/250 ISO100 露出補正-0.3
暗い方から明るい方を覗き見るようにして撮りましたが、開放での手前のボケにこのレンズ独特の感じが出たと思います。特に右隅の草にそれが顕著です。

最近のフルサイズミラーレス一眼カメラ用のレンズとは違う、全体的に少しクラシックな描写が、高性能では無いにもかかわらず、奥行き感のある画を作り出してくれます。

こういった事はカメラのモニターではわからないので、一度撮ってみてレンズの味を確認する事になりますが、今回は想定外の個性の強さに、パソコンのモニターで画像を確認していくのが楽しくなりました。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例4
作例4: f2.8 1/200 ISO100 露出補正±0
季節がらついついアジサイの花にレンズを向けたくなります。何事も旬を捉えるのは楽しいものです。

こちらは先ほどのドクダミの花とは違い2絞り絞ってF2.8で撮影していますが、同じレンズとは思えないほどしっかりとした写りに変貌して、細かい部分がシャープに再現されています。

こういった2面性を持ったレンズは、Zeissのプラナーが有名ですが、Canon(キヤノン)のそれはより画像の立ち上がり方がハッキリしている様に感じました。個人的にはこういった2面性を持ったレンズを使いこなすのはレンズ交換式のカメラで写真を撮る醍醐味の一つだと思いますが、現代のZeissレンズが、国産のレンズ以上に開放からシャープになっている事を考えると不思議な感じです。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例5
作例5: f1.4 1/250 ISO100 露出補正-0.7
少しアンダーに、建物の柱や池の水面が暗く黒に近くなるように露出を決めました。

50mmの標準レンズは、一般的にはスナップには少し狭い画角と言われる事が多いような気がしますが、その分画に凝縮間が出てフレーミングはし易い焦点距離だと思います。狭い中に多くの要素を盛って行くのが楽しい画角です。

お気づきの方もいると思いますが、このカットではデフォルトではONになっている周辺光量補正をOFFにして撮影しています。自然な周辺光量落ちが手前の木のボケと併せて覗いている感を補足してくれました。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例6
作例6: f1.4 1/640 ISO100 露出補正-0.3(補正ミス、画像処理でプラス補正)
アジサイの花を下からあおって撮影しました。

Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM は開放では周辺部で大きく口径食が発生して、丸ボケがレモン型に変形してしまいます。開放ではやや描写が眠くなるのも短所ですが、F1.4の大きく美しいボケ味はそれらを差し引いても魅力的です。

ボディ側の補正のON、OFFで周辺光量を出し入れ出来るのも、多少欠点があるこういったレンズのメリットの一つです。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例7
作例7: f2.8 1/250 ISO100 露出補正+3.0
EF50mm F1.4 USM のもう一つの短所に、逆光耐性の低さがあります。

作例は極端な例ですが、太陽光などの強い光が前玉に直接あたるようなシチュエーションでは、簡単にフレアやゴーストが発生するので注意が必要です。勿論、表現として前向きに活用する事も可能ですが、ゴーストはあまり綺麗な形では入らないので少々困りものです。対するフレアは入った部分のコントラストを自然に低く柔らかい描写にしてくれるので、使い甲斐があるかもしれません。

いずれにしても現代の高性能コーティングに慣れた身からすると信じられないくらい簡単に入る事だけは確かです。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例8
作例8: f1.4 1/6400 ISO100 露出補正±0
Canon(キヤノン)のデジタルカメラと言えば、美しいカラーバランスを作り出す映像エンジン「DIGIC」の力は欠かせませんが、今回テストボディに使ったEOS R5に採用されているDIGIC XとEF50mm F1.4 USMとの相性も非常に良く感じました。

当然デジタルカメラが一般的では無かった時代に設計されたレンズですが、間に立つデジタルレンズオプティマイザの影響もあってか、深みのある色が再現されたと思います。

周辺光量落ちの補正を切って、敢えてクラシックな描写を楽しむ時もそれは変わりません。

フリンジ


ボディ内レンズ補正で、色収差はかなり補正されているはずですが、ともすると大きくパープルフリンジが発生してしまうシチュエーションもあるので注意が必要です。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例
作例9: f1.4 1/800 ISO100 露出補正+1.0
逆光の明暗差の大きい部分にかなりはっきりとフリンジが発生しています。

先に書いた描写の眠さや周辺光量落ちと違い、表現手法としては使えないはっきりとした短所なので、Lightroomなどのソフトウエアで後から除去する方がいいでしょう。

発生するシチュエーションがある程度予測出来るので、場合によってはある程度絞って撮影するなどの対策が必要です。

画質


30年近く前の設計のレンズという事で、開放ではやや甘さの残る眠目の描写です。

しかし、その眠さが柔らかく美しいボケ味に繋がっているので、一概に悪いとは言えないでしょう。

先ずは開放での解像感を作例8の画像を拡大して見てみたいと思います。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例
枠内を拡大
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例
うっすらと雲がかかったような柔らかく眠目の描写です。解像感は最新のミラーレス一眼カメラEOS R5の能力を最大限活かせる程度にはありますが、細かい部分を見ていくと、コントラストが低く眠くなってしまっています。

デジタルレンズオプティマイザは標準に設定してありますので、これでもボディ側の補正が有る程度かかった状態です。

次にF5.6まで絞り込んだ作例1の写真を、同様に拡大して画質を確認してみます。
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例
枠内を拡大
Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM 作例
同じレンズとは思えないほど描写が改善しました。

現行のフルサイズミラーレス一眼カメラ用レンズRFレンズのLレンズと比較しても大きな遜色は無いレベルだと思います。

まるでフォクトレンダーのレンズのような2面性を見せてくれるレンズで、最近の超高性能なレンズを見慣れた目には、むしろ新鮮に映ります。

まとめ


オートフォーカス時代のレンズとは思えない個性、マウントアダプターを使った際の使用感、絞った際の高い解像感など、テスト前のイメージを大きく覆される、使っていて非常に楽しいレンズでした。

特に開放での柔らかい描写は、漠然と抱いていたCanonのAFレンズは無個性という印象を、絞った際の高性能さとのギャップも含めて、いい意味で裏切られる形になりました。マウントアダプター EF-EOS Rを使ったEOS R5とのマッチングも良く、フルサイズミラーレス一眼カメラの標準レンズとして十分選択肢に入ると思います。

価格がRFレンズと比較してリーズナブルなのも魅力の一つです。

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Canon(キヤノン) EF50mm F1.4 USM
Photo & Text by フジヤカメラ 北原

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