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2021.05.30
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Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USM 実写レビュー

Canon(キヤノン) EF70-300mm F4-5.6 IS II USM 実写レビューキービジュアル

Canon(キヤノン) EF70-300mm F4-5.6 IS II USMの実写レビューです。

Canonの一眼レフカメラ用レンズとしては比較的新しい2016年12月に登場した35mmフルサイズをカバーする望遠ズームは、高速なオートフォーカスと高い描写性能で評価の高いレンズです。運動会やスポーツ、乗り物や動物の撮影など、望遠ズームが欠かせない撮影ジャンルの最初の一本としては勿論、高い描写性能を活かして、Lレンズの軽量な下位互換としても使えそうです。

本来は一眼レフカメラ用に設計されたレンズですが、今回はフルサイズミラーレス一眼カメラEOS R5に装着してテストしました。マウントアダプター EF-EOS Rと組み合わせた際のAF速度や画質などを実写レビューを中心にご紹介したいと思います。


■この記事の監修

フジヤカメラ店

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特徴/操作性

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMを装着したCanon EOS R5の画像

Canon(キヤノン) EF70-300mm F4-5.6 IS II USMの大きな特徴の一つは、先代モデルと比べて、高性能なデジタルカメラにも対応出来るよう画質面で大きく改良されている事です。

それでいて、キヤノンのフルサイズ対応の望遠ズームのラインナップの中では最も軽量でリーズナブルな価格の製品で、非常にコスパが高いレンズと言えるでしょう。

EFマウントを採用する一眼レフカメラの他、純正のマウントアダプターを介してEOS Mシリーズ、EOS Rシリーズといったミラーレス一眼カメラで使用する事も可能で、今回の実写レビューでもテストボディにはEOS R5を選択しました。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMの液晶窓の画像

デザインで先ず目を引くのは上面の小さな液晶画面で、鏡筒横のMODEボタンを押す事で、撮影距離目盛、焦点距離表示、揺れ量表示の3つの表示を切り替えて使う事ができます。

ちなみに焦点距離表示は、APS-Cサイズセンサー搭載のカメラや後述するクロップ機能を使用する際には自動的に35mm判換算された数値が表示され、1.6倍して換算値を計算する必要がないわかりやすい仕様です。

鏡筒にはMODEボタンの他、ズームのLOCKスイッチ、AF/MF切替えスイッチ、手ぶれ補正のオンオフ切替えスイッチの4つが配置されています。手ぶれ補正はオンオフのみでモード切り替えはありませんが、実際に使用した感想は、通常撮影と流し撮りを自動的に判断して状況に応じた制御がされているように感じました。補正効果は4.0段分(CIPAガイドライン準拠)です。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USM(フード付き)を装着したCanon EOS R5の画像

Canon(キヤノン) EF70-300mm F4-5.6 IS II USMのもう一つの大きな特徴に、高速なオートフォーカススピードがあげられます。実際にカメラに装着してAF動作をさせてみると、全く迷う事が無い上非常に速い事に驚かされました。

高速駆動が可能なUSM(Ultrasonic Motor=超音波モーター)の中でもチップ状に薄型化されたナノUSMを、小型軽量なフォーカスレンズと組み合わせる事で、他のEFレンズと比較しても速い駆動速度を実現しているようです。

外装はプラスチック製ですが安っぽさは感じません。ズームリング、フォーカスリングの動作の感触も良好で、価格帯を考えればかなりしっかりできていると思います。本体価格を抑えるためかレンズフードは付属していませんが、別売りで写真のようなしっかりしたフードが用意され、遮光・保護効果が期待できるので、同時購入や、中古品ならばフード付属の出物を狙ってみる事をおすすめします。

フィルター径67mm最短撮影距離/最大撮影倍率1.2m/0.25倍(300mm時)
最小絞りF32~45絞り羽根9枚
長さ145.5mm重量約710g

実写レビュー

本来一眼レフカメラ用のレンズですが、今回は純正マウントアダプターEF-EOS Rを装着した最新のミラーレス一眼カメラEOS R5と組み合わせました。ボディ側の光学補正は、周辺光量・歪曲収差補正はオフ、デジタルレンズオプティマイザは標準です。

被写体は望遠レンズの使用頻度が高く、マウントアダプターを併用した際のAFスピードや合焦精度も見られる鉄道です。

ロケーションに選んだ相鉄線は大手私鉄の中でも距離が短く神奈川県内にしか路線はありませんが、走る車種のバリエーションが多く1つの路線で多くの車両を撮影する事が出来ます。2019年からJR線との直通が始まって利便性が上がり、近い将来はさらに他社線との直通運転も計画される等、趣味的にもとても面白い路線と言えるでしょう。今回はわずかな時間の中で7車種中JR線のE233系以外の6車種を撮影する事ができました。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した線路を走る横浜行きの相鉄線の画像
作例1:1/640 f8 ISO500 露出補正±0 焦点距離:250mm
Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した駅に到着した湘南台行きの相鉄線の画像
作例2:1/320 f7.1 ISO800 露出補正+0.3 焦点距離:300mm

純正とは言え、マウントアダプターを使うややイレギュラーな使い方ですが、鉄道くらいの速さの動体撮影ならミラーレスでも問題なく使えると言っていいAF性能を発揮してくれました。

AF設定はほぼ全てAF方式:ラージゾーンAF(横)、AF動作:サーボとカメラ任せに近い設定で使用しましたが、精度的に若干ピントが甘いカットが見られたものの、大きく外してしまう事はほとんどありませんでした。速度も体感的には一眼レフでの使用時とそう変わらないように感じられ、アダプター併用である事を忘れてしまう程です。

晴天屋外の明るい状況下であれば、上位クラスの製品よりも速いのではないかと思える程でした。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した猫のイラストが入った相鉄線の画像
作例3:1/640 f8 ISO250 露出補正±0 焦点距離:300mm(1.6倍クロップ)

このカットはEOS R5のクロップ機能を使って、35mm判換算480mm相当で撮影しました。

Canon (キヤノン) EOS Rシリーズは、センサーのAPS-Cサイズ相当の面積のみを使用する事でレンズ焦点距離の1.6倍相当の画角が得られるクロップ機能が使用できます。70-300mmなら1.6倍の112-480mm相当となり、より大きな引き寄せ効果を作り出す事ができるのです。

EF70-300mm F4-5.6 IS II USMはエクステンダー(テレコンバーター)が装着出来ませんし、高画素センサーを搭載したEOS R5なら、クロップしても約1730万画素も残るので、積極的に使いたい機能です。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した新宿行きの相鉄線の画像
作例4:1/800 f5.6 ISO400 露出補正+0.3 焦点距離:300mm
Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した横浜行きの相鉄線の画像
作例5:1/500 f8 ISO400 露出補正±0 焦点距離:300mm(1.6倍クロップ)

約4500万画素の高画素センサーを搭載するEOS R5との組み合わせですが、ピントさえきちんと合えば画質面で大きな不足は感じられません。とは言え、開放では最新のRFレンズなどと比べるとピントの甘さが少し気になりますので、画質を優先するなら少し絞って撮影する事をおすすめします。

作例4は開放F5.6で撮影していますが、拡大すると少し眠く感じられる画です。作例5は同じ立ち位置のままクロップモードを使用していますが、こちらはF8まで絞って撮影しており、一気にシャープさが増したように見えます。

安定した解像感を求めるのであればF8くらいまで絞って使った方が良いでしょう。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影したホームに停車中の横浜行きの相鉄線の画像
作例6:1/640 f7.1 ISO400 露出補正+0.3 焦点距離:135mm
Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影したホームに停車中の湘南台行きの相鉄線の画像
作例7:1/800 f8 ISO640 露出補正±0 焦点距離:135mm

望遠側の撮影が続いたので、ワイド側に近い方で引き目にしてスナップ的に撮ってみました。同じ135mm画角ですが、フレーミングの仕方で印象が変わります。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影した安全確認をする運転士さんの画像
作例8:1/320 f5.6 ISO160 露出補正+0.3 焦点距離:300mm

近距離開放でボケのチェックをしたくて撮ったカットです。やや二線ボケが見受けられますが、気になるという程でもなく、他に目立った癖のようなものもないので、安定して使えそうな印象を受けます。

画質

作例6を拡大して画質を見てみます。

Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影したホームに停車中の横浜行きの相鉄線の画像(拡大前)
枠内を拡大
Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMで撮影したホームに停車中の横浜行きの相鉄線の画像(拡大後)

ものすごくシャープとまではいかないものの、比較的近年に発売されたレンズだけあって、高画素機でも十分に使用できる解像感を有しています。

作例5のようなクロップ撮影時で拡大倍率が大きくなるような場面でもF値を少し絞って使えば問題無いレベルではないでしょうか。

まとめ

Canon(キヤノン) EF70-300mm F4-5.6 IS II USMは、望遠ズームのメインレンズとして十分以上に活躍が期待できそうな一本だと思います。手持ちで軽々と使えるコンパクトさと軽量さをもちながら、上位クラスのレンズを脅かしてしまうのではないかと思う程のAF性能と画質を持ち、さらに価格は比較的リーズナブルと非常にコストパフォーマンスの高いレンズです。

マウントアダプターを使ってフルサイズミラーレス一眼カメラでの使用も快適に出来そうなので、高額なモデルしかないEOS R専用レンズの下位互換としても使えそうです。

又、KissシリーズやEOS MシリーズのEF-S 55-250mmやEF-M 55-200mmといったキットレンズを使っている方で、もう少し遠くの物を大きく撮りたい、性能的にステップアップしたいというユーザーにも、Lレンズほど大袈裟でない、ほど良いレンズとしておすすめです。

さまざまなニーズに応えられそうな、ちょうどいい位置にあるのが、このレンズなのかもしれません。

作例に使用したレンズ

【商品情報】Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USM

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Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USMバナー画像

Photo & Text by フジヤカメラ 浅葉

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