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2021.05.16
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Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 実写レビュー

Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 実写レビュー
Canon(キヤノン) EFマウント用の大口径中望遠レンズEF135mmF2L USMの実写レビューです。

1996年(平成8年)4月に発売された明るい中望遠レンズは、高い光学性能と大きく美しいボケ味、撮影会などでも使い易い画角、でポートレート撮影などに人気のレンズです。

今回は、発売開始から四半世紀近く経ってなお未だ現役の、長きに渡ってキヤノンユーザーに愛されている名レンズEF135mmF2L USMを実写レビューします。
■この記事の監修

フジヤカメラ店

東京都 中野区のカメラ専門店 フジヤカメラ店です。カメラ、レンズ、三脚、動画機材まで、新品、中古機材を多数取り扱っております。中古在庫は常時3,000点以上!これからカメラを始める方も、ベテラン、プロカメラマンも、機材の事ならフジヤカメラ店にお任せ下さい。

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特徴/操作性


Canon(キヤノン) EOS 5D Mark IV + EF135mm F2L USM 本体1
Canon(キヤノン) EF135mmF2L USMは、長い焦点距離と開放F2の大きく美しいボケを活かした、主にポートレートで多用されているレンズです。

ポートレートというとかつては85mm前後の焦点距離が人気でしたが、複数人で撮影する撮影会などではモデルさんとの距離感が微妙な事や、背景を大きくボカしたいなら明るいF値よりも長い焦点距離を使った方がボカし易いといった事情から人気のレンズとなったようです。

勿論、Canon(キヤノン)のプロカメラマン向けの高級レンズ、Lレンズらしい高い描写性能が人気の大きな理由である事は言うまでもありません。
Canon(キヤノン) EOS 5D Mark IV + EF135mm F2L USM 本体2
操作部はMFリング・AF/MF切替スイッチそして0.9m-∞/1.6m-∞フォーカス域切替スイッチと単焦点レンズらしくシンプルです。

幅広のフォーカスリングは厳密なピント合わせが要求されるポートレート撮影を意識してのものでしょう。操作感は悪くありませんが、最近のレンズのマニュアルフォーカスレンズに近い滑らかな動きに慣れている身としては少し物足りなく感じます。

フードはシンプルなストレートタイプでバヨネットでレンズに装着しますが、脱落を防止するロックボタンなどは無く、このあたりにも時代を感じます。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 名板
IS(手振れ補正)は搭載されていませんが、明るいF値でシャッタースピードを稼ぎやすく、例えばEOS5Dクラスのカメラとならバランスも良好な為、手振れを起こしにくいレンズだと感じます。

日中屋外の撮影で開放F2を使う場合、1/8000でもシャッタースピードが足りなくなる事があるので、4~8程度のNDフィルターを用意しておくことをおすすめします。

今回の撮影では、デジタル一眼レフカメラをテストボディに使いましたが、考えてみればレンズ発売当時はまだまだフィルム全盛の時代で、その時代の製品を3,000万画素オーバークラスのデジタルカメラに装着して写り的にどうなのか、そのあたりも気になるレンズです。
フィルター径 72mm
最短撮影距離/最大撮影倍率 0.9m/0.19倍
最小絞り F32
絞り羽根 8枚
長さ 112mm
重量 約750g

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実写レビュー


テストボディには約3040万画素のデジタル一眼レフカメラ Canon(キヤノン) EOS 5D Mark IVを使いました。フィルムカメラ時代に設計されたレンズを、高画素のデジタル一眼レフカメラに使ってどういった結果が出るか楽しみです。

ピクチャーコントロールはスタンダード、ホワイトバランスはオートに設定し記録形式はJPEGで撮影しています。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例1
作例1:f2 1/1600 ISO100 露出補正+0.3
開放での撮影ですがピント面はシャープで、EOS 5D Mark IVの3040万画素での使用においても不足を感じる事はありません。フィルム全盛だった時代に発売されたレンズですが、よりシビアな描写性能が求められるデジタルカメラにおいても高性能と感じられる事に驚きを隠せません。

中望遠レンズとしては少し長めの焦点距離と、明るいF値による浅い被写界深度で個性的な写真を撮る事ができます。135mmでF2より明るく高解像なレンズも今では珍しくありませんが、そういったレンズの先駆けとなったCanon(キヤノン) EF135mm F2L USMは、高い人気に相応しい高い描写性能を持っているようです。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例2
作例2:f4 1/1000 ISO400 露出補正±0
金網越しに総武線を写してみました。ボケが非常に美しく主題である車両を引き立ててくれています。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例3
作例3:f4 1/1250 ISO400 露出補正-1.3
ボケの立ち上がりが非常にスムースで、ピントの合っているヘッドライトから後方に向かってとろけるようにボケています。このボケを嫌いだと言う人はなかなかいない、万人受けする美しいボケではないかと思います。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例4
作例4:f4 1/1000 ISO400 露出補正±0
F値を変えて描写性能の変化を確認しながら撮影しましたが、中央の解像力が最も高まるのはF4辺りからのようです。F8まで絞ると周辺まで解像力がより向上します。

とはいえ開放でも実用上十分にシャープで、せっかくの開放F2のレンズですから、大きなボケを楽しみたく、ついつい開放付近でシャッターを切る事が多くなりました。

作例も開放~F4前後の開け気味にカットが多くなっています。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例5
作例5:f4 1/2000 ISO100 露出補正+0.7
太陽をバックに強烈な逆光線で透ける新緑を撮影しました。

全体にフレアが乗っていますが極端にコントラストが落ちる事も無く、設計やコーティングの年代を考えると、逆光耐性は健闘しているレベルだと思います。ゴーストの出方も素直で、光源周辺と光源から対角上に現れる事が多いので、作画意図によってはうまく作品に取り入れることもできるかもしれません。

明暗差が大きいとフリンジが気になりますが、フィルム時代の設計の割には発生は開放でも穏やかです。このカットは二段ほど絞っていますが、それだけでほぼわからない程に低減されました。設計の年代を考えるとデジタルとの相性が非常に良く、Lレンズの称号は伊達ではない、と言わんばかりの高性能さを見せてくれます。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例6
作例6:f4 1/800 ISO100 露出補正-0.7
上記作例からもわかるとおり、カメラ内設定などで色をいじっていないにもかかわらず、とても色乗りが良いレンズだと思います。赤いトラックの鮮やかさを損なう事なく印象的に写しとめる事が出来ました。

逆光など難しい光線状態でなければフレアの発生が殆ど見られな事が大きな要因なのかもしれません。

最近のレンズでは当たり前となった、極端に透過率の高い特殊コーティングを施されていない事が不思議なくらいです。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例7
作例7:f2 1/2500 ISO100 露出補正+0.7
車線が合流する場所で、車が停止する瞬間を狙って撮影しました。高速なAFは一瞬のシャッターチャンスも逃がしません。

今回の撮影中、フォーカスについては速度・精度ともに気になる場面は無く、終始ストレスなく快適に撮影出来ました。

描写といいフォーカスといい、本当に20数年経過したレンズなのだろうかと疑う高いレベルです。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例8
作例8:f2 1/4000 ISO100 露出補正±0
開放だと周辺光量落ちが割と大きく発生します。しかも周辺部で一気に光量がおちるあまり綺麗でないタイプなので、被写体や条件によっては気になる方も多いかもしれません。デジタルカメラでの使用なら、条件によってはレンズ光学補正をオンにする事も検討した方がいいでしょう。

又、円形絞りが採用されていないのも古さを感じさせる仕様で、時代を感じさせる部分だと思います。とは言え、開放では画に絞りの形は反映されないので、F2で撮る事が多いこのレンズでは欠点とは言えないかもしれません。

画質


現代のフルサイズデジタル一眼レフカメラでも通用する、高い描写性能を持ったレンズです。拡大して解像感を見てみたいと思います。
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例4拡大枠
枠内を拡大
Canon(キヤノン) EF135mm F2L USM 作例4拡大
物凄くシャープという訳ではありませんが、一絞り絞っただけでこの解像感、画質の均一性、高いコントラストを得られるのは、レンズの設計年代を考えると驚きと言えるレベルだと思います。画面周辺部でこのレベルにあるのも優秀です。

又、物凄くシャープという訳では無い事が、ポートレート撮影ではむしろメリットとなる事も多いのではないでしょうか。

まとめ


発売から25年近く経つ現在でも色褪せる事の無い高いレベルの描写性能を持った、まさに銘玉と言えるレンズだと思います。実用上という面でも最新のEFレンズと比べて大きな遜色は無く、フォーカススピードや操作感でストレスを感じる事はありませんでした。

解像度やスペックの部分でCanon(キヤノン) EF135mm F2L USMを超えるレンズは今なら多くあるでしょうが、このレンズの味・描写力はそういった数値には現れない部分も多くあり、銘玉と呼ぶにふさわしいレンズだと思います。

20年以上経った今でもモデルチェンジをせず販売し続けているのは、数値では超えられない「味」を出すのが難しいからなのかもしれません。

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Photo & Text by フジヤカメラ 田中

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