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2021.05.12
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SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 実写レビュー

SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 実写レビュー
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art の実写レビューです。

フルサイズミラーレス一眼カメラ用のDG DNシリーズの35mm F1.4は、最高クラスの光学性能とコンパクトさを兼ね備えた、Artシリーズらしい高いパフォーマンスを発揮するレンズです。

今回は、Artシリーズの礎を気付いたレンズの現代版とも言えるSIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Artについて、実写レビューを中心にご紹介したいと思います。
■この記事の監修

フジヤカメラ店

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SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art

特徴/操作性


SONY(ソニー)α7RIV + SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art
SIGMA(シグマ)のコンセプトラインArtの名を冠した最初のレンズも35mmでした。フルサイズミラーレス一眼カメラ用の35mm F1.4 DG DN | Artの最大の特徴は、最高クラスの光学性能を持っている事です。併せてミラーレスカメラ用レンズらしくコンパクトにデザインされており、これは同社の85mm F1.4 DG DN | Artとよく似た特徴です。

フルサイズミラーレス一眼カメラ用のDG DNシリーズには既に35mm F1.2 DG DN | Artがあるので、発表された時、最初は何故35mmなんだろうと首をかしげましたが、85mm DG DNと対をなすレンズだという事に気付いて合点が行きました。

スペックや性能を考えると小型に設計された2本のレンズは、高性能、コンパクトというこれからのフルサイズミラーレス一眼カメラ用単焦点レンズの新しい方向性を打ち出したレンズだと言えるかもしれません。
SIGMA(シグマ) 85mm F1.4 DG DN | Art、35mm F1.4 DG DN | Art
絞りリングの装備や指かかりのいい位置に配されたスイッチ類などは、他のSIGMA(シグマ) DG DN | Artシリーズのレンズと共通のもので、異なるレンズを平行利用する際にもストレスなく操作出来るでしょう。

同スペックの一眼レフ用レンズと比較してちょうど一回りくらい小さいので、今回テストボディにセレクトしたSONY(ソニー)α7RIVとのバランスも良く、先に書いた85mm F1.4と2本持ちでもストレスなく撮影出来そうです。

Artシリーズのレンズらしく、ビルドクォリティも申し分ありません。
SONY(ソニー)α7RIV + SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art + レンズフード
テストボディにはSONY(ソニー)の超高画素機α7RIVを使いましたが、ボディ内補正は全てAUTOを選択しました。

デフォルトではOFFになっている歪曲収差補正については、若干ながら画角が狭くなるので使いたくないユーザーもいると思いますが、個人的には直線に歪みが出るのがどうしても気になるので、今回の撮影では歪曲収差補正もAUTOにして撮影しました。

フードは花形のタイプでボタン式のロックが付いており、撮影中の脱落の心配も無さそうです。
フィルター径 67mm
最短撮影距離/最大撮影倍率 30cm/1:5.4
最小絞り F16
絞り羽根 11枚 (円形絞り)
マウント L マウント・ソニー E マウント
長さ 111.5mm(ソニー E マウント)
重量 640g(ソニー E マウント)

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イメージ

実写レビュー


SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例1
作例1:f1.4 1/1250 ISO100 露出補正±0
時節柄、撮影の為に遠出をするわけにもいかず、近所を散歩しながらのテスト撮影となりました。

特に被写体を決めずに撮影するなら、汎用性の高い35mmは使い易い焦点距離です。標準よりやや広めの画角は、ともすると散漫な構図になってしまう事がありますが、F1.4という大口径の大きなボケを撮影に活かせるので、SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Artは、その部分でも使い易いスペックです。

テスト機に選んだSONY(ソニー)α7RIVとの大きさ的なバランスも良く、常に肩からカメラを提げながらの移動や撮影にもストレスは感じませんでした。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例2
作例2:f1.4 1/2500 ISO100 露出補正-0.3
時期的に街中でも新緑の草花が綺麗で、こんな状況の中ですが撮影自体は楽しめました。逆に普段気付かないような小さな情景を探す目が鋭くなって、写真は景色のいい場所に行けば撮れるという訳ではないと、改めて感じました。

SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Artの最短撮影距離は30cmと、近接に強い訳ではありませんが、明るいF値を活かして背景をボカしつつ、引き算をしすぎてあまり詰め込んだ写真にならないように注意しながら撮影しました。

昔から写真は引き算とはよく言われる事ですが、35mmの画角で少しゆるく撮るのも、こんなお散歩写真にはいいと思います。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例3
作例3:f1.4 1/320 ISO100 露出補正-0.3
SIGMA(シグマ)らしい美しいボケ味が、広角レンズというよりは少し画角の広い標準レンズで撮っているような気にさせてくれます。

立体感のある描写は、カメラを持っていなければ気付きもしないような何気ない風景を美しく脚色してくれて、ファインダーをのぞくのが楽しくなってきました。

全体にまるみのある奥行き感を感じられる描写は、SIGMA(シグマ)のレンズはシャープネスだけではない、という事を主張して来るようで、どこかにIシリーズのコンセプトが垣間見えるような印象を受けました。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例4
作例4:f1.4 1/800 ISO100 露出補正-0.3
草むらに埋もれるようにして小さな石塔がありました。誰が何のために何時からおいてあるものかはわかりませんが、時代を遡った風景に見えて思わずレンズを向けます。

標準レンズでは背景の入る範囲ももう少し狭くなり、開放ではボケも大きくなる事から、整理された構図になったと思いますが、35mmの少し周囲が写り過ぎるゆるさが逆に良い部分でもあります。

ピントが合った部分の描写性能が高いレンズなので、ピントが合った部分がシャープに浮き上がるという事も、散漫な写真にならずに済んでいる要因の一つかもしれません。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例5
作例5:f1.4 1/1250 ISO100 露出補正-0.3
周辺光量補正をOFFにすると自然に周辺光量が落ちるので、大きなボケと併せて少しクラシックな描写を楽しむ事も出来ます。

ボディ内補正では除去出来ない収差の補正をレンズ設計で集中的に行ったレンズという事は、逆に言うと歪曲収差や周辺光量落ちなどボディ内補正で除去出来る収差は残っているという事です。ユーザーとしては補正されていない部分を写真に活かす事も出来るので、完全無欠のレンズよりも使いでがあると感じるケースも多いと思います。

要は、レンズとどう付き合って行くかだと思いますが、付き合うなら少し個性やクセのあるレンズの方が楽しかったりすると感じるのは私だけでしょうか。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例6
作例6:f1.4 1/400 ISO100 露出補正-0.3
うっそうと生い茂る小さな林の隅に赤い祠が建っていました。中には50cmほどの石の地蔵が安置されています。

木々の緑の中に、朱の祠の色だけがポツリと引き立って目を引きます。モノトーンな中に1点だけ明るい色を配す構図は、個人的に好きなニューヨークの写真家ソールライターが良く使っている手法です。

そんな手法を真似て、大都会のコンクリートジャングルではないですが、画面の隅に林の緑の中に赤一点の祠を配してみました。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例7
作例7:f1.4 1/640 ISO100 露出補正+0.3
近所を散歩しながらの写真ではネタに詰まるのは致し方ない事でしょう。それでも撮らなければならないのでネタを探します。ネタが無い中ネタを探す際心がけるのは、光を探す事です。

運よく晴天に恵まれていた為、森の中を歩けば木漏れ日が差し込みいい光に溢れていました。少し広角の35mmはボケた木漏れ日のきらめきが、近接でも丁度いいくらいにフレーミング出来ます。

SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Artの近接撮影は遠景に比べるとやや柔らか目の描写ですが、光を写したい時にはむしろそれが強みとなります。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例8
作例8:f8 1/400 ISO100 露出補正-0.3
日差しは夏のそれですが、まだ風は爽やかで蒸し暑いという程ではありません。ここもあと2月もすれば草いきれと虫の羽音、何より厄介な蚊の出現で写真どころではなくなると思いますが、今はまだ爽やかな風を受けて楽しく撮影できました。

SONY(ソニー)α7RIVとSIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Artの組み合わせはカメラらしい大きさで、2時間程歩き回りながらの撮影でもカメラが煩わしく感じる事はありませんでした。

このカットではF8まで絞って撮影していますが、このくらいの絞り込みでパンフォーカスに近いピントの広さが得られるのも標準の50mmには無い35mmのメリットと言えるでしょう。

画質


高画質で定評のあるDG DNシリーズのレンズらしい、シャープで高性能なレンズです。

拡大して画質を見てみます。
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例9拡大枠
枠内を拡大
SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art 作例9拡大
以前使った85mm F1.4 DG DN | Art程の強烈なインパクトはありませんが、大口径の広角レンズとして十分以上な性能を持つ高性能なレンズです。

わずかに明暗差の激しい箇所にフリンジが発生しているのが残念なところですが、等倍近くまで拡大してやっとわかる程度なので、写真として問題になる事は少ないでしょう。高性能故に35mmの広角レンズとしてはピントが非常に薄く、フォーカスには気を遣う必要がありそうです。

まとめ


SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Artは、高性能な事は勿論ですが、それだけではない雰囲気のある描写をするレンズでした。

美しいボケ味やものを立体的に奥行き感を持って捉える能力が、解像感やシャープネス以上にこのレンズの特徴に感じられて、これまでのSIGMA(シグマ)レンズには無い、いつも通りのいいレンズと一口に言うだけでは物足りない何かを感じられるレンズでした。

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SIGMA(シグマ) 35mm F1.4 DG DN | Art
Photo & Text by フジヤカメラ 北原

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