SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporary の実写レビュー です。
SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporaryは、SIGMA(シグマ)の3つのプロダクトラインの一つContemporaryに、新たに定義づけされたミラーレスシステム用のプレミアムコンパクトプライム「Iシリーズ」の広角レンズです。
今回は、撮る事以上の価値を求めたというIシリーズのレンズを、実写レビューを中心に見てみたいと思います。
「Iシリーズ」はプレミアムコンパクトプライムをうたったレンズシリーズで、既に発売されている45mm F2.8 DG DN | Contemporaryのコンセプトを継承して新たに定義されたシリーズです。
撮る事以上の価値を目指したシリーズだけあって、35mm F2 DG DN | Contemporaryも、高いビルドクォリティで製造されており、見た目からモチベーションを高めてくれます。
質感の良さは仕上げの良さのみにとどまらず、実際に操作してみると、フォーカスリングのトルク、絞りリングのクリック感、フードの装着など、各所に品質の高さが伺えました。
45mm F2.8 DG DN では少し物足りなかった開放F値も、35mm F2 DG DN | ContemporaryではF2.8→F2となった事で、より幅の広い表現力を持った事もポイントです。
一回り大きくなってしまったという短所はありますが、開放F値が1段明るくなった事はメリットとして大きく、45mmからの買い替えを考えるユーザーも多そうです。
勿論、非常に美しいボケ味は健在で、F2である事のメリットを作品に最大限活かす事が出来ます。
フードは金属製のストレートタイプで、装着の際の感触も良好でした。
デザイン的に、やはりカメラはSIGMA(シグマ)fpがベストマッチで、非常に美しいものです。
描写性能の高さは勿論、クールで精錬されたデザインもSIGMA(シグマ)ならでは、唯一無二の存在と言えます。
フィルター径: | 58mm |
最短撮影距離/最大撮影倍率: | 27cm/1:5.7 |
最小絞り: | F22 |
絞り羽根: | 9枚 |
マウント: | SONY Eマウント、Lマウント |
長さ: | 70mm(SONY E、Lマウント共) |
重量: | 325g(SONY E、Lマウント共) |
>>> SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporary
fpの上質なモニターを覗き込んだ時、最初に感じたのはボケの美しさです。
いいレンズは、モニターを見た瞬間からテンションが上がるものですが、SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporaryはまさにそんなレンズでした。
テスト当日は生憎の雨模様でしたが、これは楽しい撮影になるぞ、という予感がします。
雨の日には雨の日にしか撮れない写真があります。
カメラ、レンズともに簡易防塵防滴構造なので、多少の雨ならある程度ラフに使える安心感があります。
しゃがんで構えたレンズの向こうに一枚落ちたモミジの葉を、T&Oの印象的なカラーバランスで切り取りました。
茶と黄色の濡れた落ち葉の対比が面白くてシャッターを切りました。
35mmは当然広角レンズなので、広がりのある写真を撮る事も出来ます。
f16まで絞って、被写界深度を稼いだおかげで、先の2枚とは対照的に広角レンズらしい写真になったと思います。
今年は、仕事が忙しかった事もあり、紅葉を見に行く機会は殆どありませんでしたが、街中でも楽しめるのが紅葉のいいところで、近所を散歩するだけでも印象的な写真を撮る事が出来ます。
そんな時ポイントとなるのが、レンズのF値と近接能力で、背景の整理が難しい街中の風景写真で、構図を整理する際の力になってくれます。
SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporaryの最短撮影距離は0.27mで、強くはありませんが、開放F2の狭い被写界深度と併せて、街中でも使い易いレンズです。
雨だから雨らしい写真を、と意識したわけではありませんが、軒に出来た水玉に自然とレンズを向けていました。
背景に紅葉を入れて季節感を出したかったのですが、ちょっと弱かったですね。
オートフォーカスでは思ったところにピントが合わず、このカットではマニュアルフォーカスでピントを合わせましたが、しっとりと滑らかなフォーカスリングの動きは、MFが楽しくなります。
雨に濡れた岩の上の落ち葉にフォーカスしました。
SIGMA(シグマ)のレンズは、柔らかく有機的な表現は勿論、硬く無機的な表現も得意で、雨という条件も手伝って、雰囲気のある写真になりました。
黒が多い写真では、こまめな露出補正は必須ですが、fpの信頼出来るモニターのおかげで、思ったとおりの露出になったと思います。
紅葉のオレンジを引き立たせたくて、画面に入る色が極力少なくシンプルになるよう、colorにT&Oを設定してシャッターを切りました。
わずかですが、35mm故の遠近感の誇張が写真の雰囲気を高めてくれたと思います。
背景が広くフレーミングされる広角レンズは、F値開放で被写界深度を狭くしても、望遠レンズとは少し趣の異なった写真が撮れます。
雨に濡れた足元の草を、上から見下ろしながら撮影しました。
35mmという画角は、標準レンズのような自然な描写でありながら、引きが取りずらい(このカットでは上から見下ろすので、背丈以上の引きは撮れない)条件で、ある程度画角が取れるのもいいところです。
ファインダーを斜めからのぞき込む、少し無理な体制での撮影でしたが、うまくフレーミング出来ました。
先ずは、開放F2での描写性能を見てみます。
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葉の質感、細かな水滴のディテールなどリアルに再現されていて高性能です。
滲むようなボケも綺麗で、シャープネスとボケのバランスがいいレンズだと感じます。
次に、F8まで絞り込んだ時の描写を見てみます。
枠内を拡大
周辺部での画質ですが、F8まで絞っているおかげもありシャープです。
写り以上に雰囲気を楽しむレンズだと思いますが、SIGMA(シグマ)らしく、画質についても非常に高いレベルにあります。
今回は、同時に発表された65mm F2 DG DN | Contemporaryと2本持ちでテスト撮影を行いました。
35mmは汎用性が高く、1本持つにはとても便利なレンズです。
しかし、もう1本持とうと思うと、2本目を何にするか迷わされるところがありましたが、今回、65mmと組み合わせて撮ってみてとても使い易く、ベストマッチに近い組み合わせだと感じました。
35mmの約半分の画角になる65mmは、近寄れない被写体には勿論、少しだけ圧縮された自然な遠近感で、35mmとはまた一味違った表現が可能です。
明るさもF2で同じなので、焦点距離が長い分ボケを大きく撮る事が可能です。
標準より少し短い35mmと少し長い65mm。
2本持つ事で、幅広い表現力をもった最高のデュオが完成すると感じました。
>>> SIGMA(シグマ) 65mm F2 DG DN | Contemporary
SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporaryは、モニターを見た瞬間から、雨の撮影の憂鬱さを忘れる、撮る楽しみを満喫させてくれるレンズでした。
ありふれたスペックでありながら、SIGMA(シグマ)らしい表現へのこだわりが詰まっているレンズだと思います。
fpと組み合わせたデザインも秀逸で、ギタリストがギターの形にもこだわるように、撮影者のカメラへのこだわりを形にしてくれます。
使っていて非常に楽しいレンズでした。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
>>> SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporary