SIGMA(シグマ) 65mm F2 DG DN | Contemporaryの実写レビューです。
SIGMA(シグマ)Iシリーズの中望遠レンズ65mm F2 DG DN | Contemporaryは、標準より微妙に狭い中判カメラの110mm程の画角のレンズです。
今回は、SIGMA(シグマ)らしい美しいボケと絶妙な画角が特徴の、65mm F2 DG DN | Contemporaryについて、実写レビューを中心に見てみたいと思います。
>>> SIGMA(シグマ)65mm F2 DG DN | Contemporary
美しいデザインと高いビルドクォリティは、所有する喜びを満足させてくれるもので、それはIシリーズのコンセプトの一つでもあります。
デザインがシリーズに共通している事はコレクション心をくすぐり、シリーズのレンズを数本所有したくなりそうです。
今回発表されたモデルから、便利な専用のマグネット式メタルキャップが付属となりました。
テストボディにはSIGMA(シグマ)fpを選択、カメラとレンズのデザインに統一感があり、見た目からテンションを上げてくれます。
65mmという特徴的な焦点距離は、24→35→65と3本を組み合わせて使う事を考慮しているのか、今回、一緒にテストした35mm F2 DG DN | Contemporaryとの相性は抜群でした。
惜しいのは、フィルター口径が各焦点距離で違う事で、統一する事で、より利便性が高まったと思います。
ストレートタイプのフードは、効果を最大限にする65mm F2 DG DN | Contemporary専用のものです。
「Iシリーズ」に共通した、絞りのクリック感や滑らかなフォーカスのトルクは、高いビルドクォリティ故ですが、シリーズのどのレンズを使っても同じ感覚で操作出来るという、実用的なメリットも大きいと感じます。
使う前からワクワクする、そんなレンズです。
フィルター径: | 62mm |
最短撮影距離/最大撮影倍率: | 55cm/1:6.8 |
最小絞り: | F22 |
絞り羽根: | 9枚(円形絞り) |
マウント: | SONY Eマウント、Lマウント |
長さ: | 76.7mm(SONY E)、74.7mm(Lマウント) |
重量: | 405g(SONY E、Lマウント共) |
付属品: | マグネット式メタルキャップ、フード |
35mmよりも画角が狭くボケも大きい65mm F2 DG DN | Contemporaryは、背景を整理して象徴的に風景を切り取る事が出来るレンズです。
美しいボケ味は、このレンズの真骨頂で、焦点距離以上に望遠レンズ感を出すのに一役買っていると感じました。
真っ赤に色づいたモミジの色を出す為に、雨の日の低い彩度を補うようホワイトバランスは定常光、colorはLANDに設定しました。
落ち葉の積もった林をバックに古い石像を撮りました。
背景がごちゃつかず、それでいて整理され過ぎない65mmの画角は、思った以上に使い易く、併せてテストした35mmとも近すぎず遠すぎずでとても相性がいいと感じます。
個人的に、単純な画角以上に、背景がどのくらいの広さで入るかで焦点距離を変える事が多いので、この2本のデュオは最高でした。
適度に圧縮効果が働く65mmは、重なった被写体を実物以上に賑やかに写真に撮る事が出来ます。
イチョウの葉と枝がバランス良く画面を埋めるようにフレーミングしました。
広角レンズでは難しい構図だったと思います。
雨が降っていなければ、猫は軒下に居なかったでしょう。
そういった意味では、これも雨の日ならではの写真と言えます。
65mmではあまり遠くから撮る事は出来ませんが、逃げるのも面倒なのか、ものぐさな猫だったおかげで写真を撮らせてもらえました。
雨の中の撮影で、雨らしい写真を撮りたいと意図したわけではないのですが、細かい水滴が付いた山茶花を、落ちた花びらと一緒にフレーミングしました。
SIGMA(シグマ)fp、65mm F2 DG DN | Contemporary、ともに簡易防塵防滴なおかげで、雨の中でも面倒がらずにカメラを向けられた事も大きかったと思います。
そういえば当ブログでずっと「椿」だと思っていた花が、実は山茶花だった事に最近気づきました。すみません。
前後を大きくボかし、レンズの特徴を活かした写真を撮りたくて撮ったカットです。
ほぼ最短撮影距離での撮影となりました。
SIGMA(シグマ) 65mm F2 DG DN | Contemporaryの最短撮影距離は55cmで、最大撮影倍率は1:6.8とIシリーズ中最も近接に弱く、マクロ的な撮り方をしようと思うとやや物足りなく感じます。
雨に濡れた階段を1絞り絞ってシャープに撮影しました。
硬い石の質感や雨に濡れたツヤなどが詳細に描写され、さすがSIGMA(シグマ)のレンズだと感じます。
柔らかさとシャープさが高度にバランスされたレンズです。
当ブログでは、公園や神社など、自然が豊かな場所でテスト撮りをする事が多いので、必然的に植物の写真が多くなってしまいます。
不規則な植物の形の中に、整然とパターンをもった部分を見つけると、自然とカメラを向けてしまいます。
SIGMA(シグマ) 65mm F2 DG DN | Contemporaryの自然な遠近感が、そんな気持ちをそのまま写真にしてくれました。
目ざとい方は1枚目のカットを見てお気づきかもしれませんが、口径食が殆ど出ないレンズです。
大口径レンズは、背景のボケが周辺に行くにつれてレモン型になる、口径食が発生する事が多いですが、SIGMA(シグマ) 65mm F2 DG DN | Contemporaryでは殆ど発生しません。
口径食が目立つ夜景の撮影や、ぼけが渦巻き状になる事を嫌うユーザーには嬉しい特徴です。
個人的に同シリーズの35mm F2 DG DN | Contemporaryとの相性抜群のレンズだと思いました。
画角や遠近感の差が近すぎず遠すぎずな2本ですが、同じ場所を撮っても、どちらのレンズを使ったかで写真に大きな差が出ます。
上の2枚のカットは、同じ場所でレンズを変えて撮っていますが(注:色バランスの違いは、colorモードの違いによるものです)背景の入り方や水の流れ方にだいぶ違いがあります。
レンズから被写体までの距離を調整する事で、同じ大きさには撮れても、イメージはだいぶ違う写真になります。
(このカット、個人的には65mmで撮った方が好きですが、既に35mmの記事で使ってしまった場所なのでボツにしました。)
拡大して解像感を見てみます。
枠内を拡大
開放での描写ですが、シャープで高性能です。
ボケの美しさが真骨頂のレンズですが、性能的にも高いレベルにあります。
SIGMA(シグマ) 65mm F2 DG DN | Contemporaryは、テストボディとして使ったSIGMA(シグマ)fpまで含めて、使っていて非常に楽しいレンズでした。
特にfp+35mm+65mmの3点セットは、フルサイズでお散歩写真を撮るなら、使い易く魅力的な組み合わせで、小型のカメラバックに入れていつでも持ち歩きたくなるセットです。
人に自慢したくなる美しいデザインも魅力で、持っているだけで楽しくなって来ます。
「あえてカメラやレンズを所有するということは、単に”撮る”ということ以上の価値が求められる」というSIGMA(シグマ)の考えに、まんまとやられてしまいそうです。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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