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2021.04.25
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Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mount 実写レビュー

Voigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mount 実写レビューキービジュアル

Voigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mount の実写レビューです。

光学系が同じ設計のVMマウントタイプもあるAPO-LANTHAR 35mm F2 Asphericalですが、SONY(ソニー)E-mount用モデルは電子接点付きとなり、フォーカスリングの動作に連動したピント拡大やEXIF情報の記録など使い勝手が良くなっています。又、よりSONY(ソニー)Eマウントに最適化されたチューニングが施され、ボディ内補正にも対応している事から、VMマウントのモデルより画質が向上する事が期待出来ます。

今回はそんなVoigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountについて、実写レビューを中心にご紹介します。


■この記事の監修

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特徴/操作性

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Asphericalを装着したSONY α7R IVの画像(斜め横アングル)

APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountは、Voigtlander(フォクトレンダー)を代表する超高性能レンズシリーズであるAPO-LANTHARの広角レンズです。

SONY(ソニー) E-mount用に専用に設計されている為、オートフォーカスを除く機能は純正レンズに近い形で使用する事ができ、ピントリングの動作に連動したフォーカスの拡大や、5軸ボディー内手ブレ補正、レンズのボディ内補正にも対応しています。

ベースが超高性能な上、ボディ内補正に対応となれば、ほぼ欠点の無い性能的には無敵と言っていいレンズです。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountのアップ画像

金属を多用した重く重厚な作りは高級感にあふれ、高い性能と併せてユーザーの持つ喜びも刺激してくれます。

フォーカスリングの動作は、適度な抵抗のあるグリスの効いたしっかりしたもので、マニュアルフォーカスを楽しませてくれるものです。テスト撮影にはSONY(ソニー)α7RIVを使いましたが、576万ドットのファインダーでゆっくりとピントが合っていく様を見ているだけで、非常に抜けのいいレンズである事が伝わって来ます。

絞りリングのクリックは1/3段階で、勿論クリックのキャンセル機能も付いています。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Asphericalを装着したSONY α7R IVの画像(横斜め上アングル)

性能がトップクラスに高いレベルにありながら、マニュアルフォーカス専用のレンズという事でコンパクトにデザインされているのもポイントです。小さい見た目に反して、他社の多くのレンズを性能的に凌駕する、まさに羊の皮を被った狼と言えるでしょう。

各部の動作はシンプルでハッキリとしたものなので、操作でストレスを受ける事もありません。

特にSONY(ソニー)のカメラは、ピントリングに連動したピントの拡大の後、シャッターボタンを半押しするだけでもとの画面に戻せるので、フォーカスとフレーミングを交互に素早く行え、慣れればマニュアルフォーカスでありながら意外とスピーディーに撮影を進める事が出来ます。

フィルター径49mm最短撮影距離0.35m
最小絞りF16絞り羽根12 枚(開放、F2.8、F5.6、F16で円形絞り)
マウントSONY(ソニー) Eマウント長さ67.3mm
重量352g

実写レビュー

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影した小さな花が咲き誇る草原の画像
作例1:f2.8 1/1600 ISO100 露出補正+0.3

晴天の里山を散歩しながらテスト撮影をしました。小さな花が咲き誇る春うららの草原を歩きながら、季節を満喫します。

ローアングルの撮影はしゃがんでモニターを見ながらのピント合わせとなりました。フォーカスリングの操作による拡大と、シャッター半押しによる全体像の表示を、交互に見ながらピントと構図を追い込んで行きます。この操作に慣れてしまうとマニュアルフォーカスでのピント合わせもさほど苦にはなりません。

近接撮影だった為1絞り絞っていますが、モニター上でもシャープで抜けのいいレンズ性能の良さが伝わって来てます。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影した生垣と庭木の画像
作例2:f2.0 1/4000 ISO100 露出補正±0

抜けるような晴天に恵まれて、気持ちよく撮影を進められました。空の青さと、生垣から顔を出した庭木の緑のコントラストが綺麗でレンズを向けました。

Voigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountのシャープさは、細密描写が求められる風景写真などにも最適だと思います。単焦点レンズであるため、ノートリミングでの撮影は難しいと思いますが、高画素のカメラと組み合わせればある程度のトリミングも出来るので、是非積極的に使って欲しいところです。

コンパクトなところも、長時間アクティブに動き回りながら撮影する事が多い風景写真では大きなメリットとなるでしょう。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影した菜の花の画像
作例3:f2.8 1/1250 ISO100 露出補正-0.3

時期には少し遅いかとも思いましたが、菜の花が見ごろをむかえていました。

標準よりも少しだけ背景が広く入る35mmは、状況を伝えやすい画角だと思います。菜の花、雑木林、青空と3つの要素を適度なバランスで入れられるように意識してシャッターを切りました。シンプルな構図と大きなボケはまるで望遠レンズで撮ったようで、一本持つなら35mmと言われるこの焦点距離の表現力の幅広さが写真に活かせたと思います。

APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountのボケ味は、個性を主張して来る感じではありませんが、素直で使い易いボケ方だと思います。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影したハルジオンの画像
作例4:f2.0 1/800 ISO100 露出補正-0.7

明るい日向から林の中に歩を進めると、小道の脇にハルジオンが1本風に揺れていました。

貧乏草という少々不名誉な通り名で呼ばれる事が多いハルジオンですが、色だけで見たら小さなマーガレットのようでかわいらしいと思います。

棒のように見える花びらですが、拡大してみると通常の花びらのような板状になっていて、ますます小さなマーガレットのようです。と、知ったかぶりで書いていますが、実は後で画像を拡大してレンズの解像感を確認している時に気付きました。シャープで高性能なレンズが色々な事を教えてくれます。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影した雑木林の小道の画像
作例5:f8 1/40 ISO400 露出補正+1.0

この時期の雑木林は、まだ葉が生い茂る前で思ったよりも陽の光が差し込んで明るく、気持ちのいい景色が広がっていました。そんな風景を少しオーバー目の露出で表現します。

結構アップダウンのあるロケーションでしたが、APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountを付けたSONY(ソニー)α7RIVだけを持っての撮影は軽快で、途中で疲れて撮影のモチベーションが落ちる事もありませんでした。

このカットは、標準の50mmでは少し詰まった構図になったと思いますが、35mmのわずかに誇張された遠近感が上手くハマったと思います。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影した陽の光に照らされた緑の葉の画像
作例6:f2.0 1/400 ISO100 露出補正±0

マニュアルフォーカスはシャッターを押すまでにピント合わせというプロセスが入る為、シャッターチャンスを逃しやすいという短所があります。

反面、ファインダーやモニターをじっくり見ながら、時間をかけてピント合わせをしていると、ピントがあった部分意外の、例えば背景に気を配るようになったりするので、時間をかけて写真を撮るという事もあながち悪くない気がします。

レンズの不便さをメリットとして、じっくりゆっくり写真を撮る事を楽しむのも悪くないと思うのです。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影した湿地のような場所の画像
作例7:f2.0 1/1600 ISO100 露出補正±0

林を抜けるとちょっとした湿地のような場所に出ました。いわゆる谷戸と言われる、多摩地方には多く見られる地形で、この下には田んぼが整備されています。

晴天の陽の光の下、輝く新緑の緑に負けて、今回の撮影では緑色の写真が多くなってしまいました。作例が退屈にならないようにホワイトバランスを変えたり少しいじっても良かったかもしれません。

広角レンズの遠景でも開放F2ならこのくらいボケるので積極的に使って行きたいところです。レンズがシャープな分ほんの少しのピントのズレもわかるので、ピント合わせには気を使いますが。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影したタンポポの画像
作例8:f2.0 1/2000 ISO100 露出補正±0

マニュアルフォーカスで細かく動き回る昆虫を撮るのはかなり難しいでが、フォーカスリングを動かす→画像拡大→ピント合わせ→シャッターというプロセルに慣れて来れば、タンポポにとまるチョウを撮影する事も出来ます。

さすがに開放は厳しいと思ったので1絞り絞ってわずかですが被写界深度を稼ぎました。

背景に気を配る余裕は無くて、バックが少々ごちゃごちゃしてしまったのが残念です。

画質

Voigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountは、純正品や、他メーカーのレンズと比較しても、非常に高い描写性能を持ったレンズです。

最高クラスの描写性能を、画像を拡大して確認してみたいと思います。

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影したハルジオンの画像(拡大前)
枠内を拡大
Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountで撮影したハルジオンの画像(拡大後)

作例4のハルジオンの写真からの拡大画像です。先の説明のとおり遠目には棒状に見えるても拡大するとしっかりと花びらの形をしている事が確認できます。

又、このカットは開放F2で撮影していますが、めしべの部分にはピントが無いので、もう少し絞って被写界深度を稼いだ方がよかったかもしれません。(絞ると背景のボケが小さくなるので、バランスが難しいところですが)

いずれにしても、APO-LANTHARらしい開放から非常に高い描写性能を持ったレンズです。

まとめ

Voigtlander(フォクトレンダー)を代表するレンズシリーズAPO-LANTHARらしい非常にシャープなレンズです。

テストボディに使ったSONY(ソニー)α7RIVの6100万画素を十分以上に引き出す高い解像力は勿論、フリンジの発生などもほぼ確認されず、性能的な欠点は皆無とも思えるレベルの高さです。

マニュアルフォーカスのみという特殊性はありますが、それ故のコンパクトさというメリットもあるので、被写体や撮影のスタイルに合うなら選択の候補に是非入れたいレンズだと思います。

Voigtlander(フォクトレンダー) APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountは高画素機に使ってこそ真価が発揮される非常に高性能なレンズだと感じました。

作例に使用したレンズ

【商品情報】Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mount

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Voigtlander  APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical E-mountバナー画像

Photo & Text by フジヤカメラ 北原

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