2011年9月9日に発売されたOLYMPUS(オリンパス)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の実写レビューです。
先日の25mm F1.8に引き続きオリンパスマイクロフォーサーズマウントの単焦点レンズのレビューですが、OLYMPUS(オリンパス)には発売年が少し古くても高性能なレンズが多く、レンズが発売された当時よりも、進化したカメラに装着してどのくらい実力を発揮できるかも楽しみです。
コンパクトな中望遠レンズを実写レビューを中心にご紹介します。
■この記事の監修
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OLYMPUS(オリンパス)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
特徴/操作性
マイクロフォーサーズのレンズはどれも小型・軽量ですが、M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は35mm判換算で90mm相当、開放F1.8の中望遠レンズながら全長46mm・最大径56mm・重量116gという小型軽量な軽快さを持ったレンズです。(なんと標準25mm F1.8よりも軽い!)。
オリンパスの単焦点レンズの中でも比較的手ごろな価格でありながら、その性能の高さから発売当初より評価が高く人気があります。
コンパクトな中望遠レンズは、背景をボカした写真を撮るにはやや不利なマイクロフォーサーズでは強い味方となります。
オートフォーカスはほぼ無音で、近距離・遠距離と交互にピントを移動させるような使い方でもストレスなくススッと素早く合焦して非常に快適です。
マニュアルフォーカスはバイワイヤ方式で、距離指標やスナップショットフォーカス等の機構は有りませんが、マニュアルフォーカス時のピントリングの操作感は、ピント合わせのしやすい滑らかな感触です。
価格が比較的リーズナブルなのもポイントです。
マイクロフォーサーズというと、大きさが小さい事に目が行きがちですが、こういった使い易くコスパの高いレンズの存在は、始めて使うユーザーの目線に立っていて好感が持てます。
これから始める初心者の方が、OLYMPUS(オリンパス)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のような一眼デジタルらしい大きなボケを楽しめるレンズを使って、写真を好きになってくれたらいいなと思います。
フィルター径 |
37mm |
最短撮影距離/最大撮影倍率 |
0.5m/0.11倍 |
最小絞り |
F22 |
絞り羽根 |
7枚(円形絞り) |
マウント |
マイクロフォーサーズ |
長さ |
46mm |
重量 |
116g |
実写レビュー
人通りの少ない場所を選んで街中のスナップに出かけました。
中望遠レンズといえば、主にポートレートで使われる事が多いという印象ですが、風景の一部分を切り取るような写真にも使いやすい画角だと思います。90mmは被写体を注視した様な印象となり、主題を切り取り、背景を整理する事ができます。
(テストボディはOLYMPUS(オリンパス)OM-D E-M10markⅢ、撮影設定は、ISO感度Low・ホワイトバランスオート・ピクチャーモードはナチュラルに固定し、絞り優先モードで適宜AEロック・露出補正を行い撮影しました。)
10数m先のビルに街路樹の影がかかっているのを見つけ、そのままの位置でファインダーを覗きシャッターを切りました。
シャッターを切る直前に感じた通りの画に切り取ることができたのは、被写体を注視した様な印象となる中望遠レンズ故でしょうか。
OLYMPUS(オリンパス)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は、被写体を見たそのままのイメージで切り取る事が出来る、カメラ・レンズが体の延長になったようなレンズです。
開放F1.8を使って背景を大きくボカしてみました。
ピントの合った部分はエッジがたってしっかりとシャープ、背景は優しくボケた立体感のある描写です。
凡雑になりがちな町中でも背景をボカして整理する事ができるのは大口径レンズならではでしょう。感度を低くしていてもシャッタースピードを速く出来るので、手振れが防げるのも恩恵の一つです。
中望遠レンズは少し圧縮効果が出てくるため、並んだ物や奥行きのある物を撮ると纏まりがでて気持ちの良い写真になります。
ボケ量が多いと何処にピントを置こうか迷いますが、それがまた面白い所です。特に解像度の高いレンズはピントの合った場所とボケた部分とのメリハリが美しく、薄いピントが際立って立体感のある写真になります。
ビルの窓に別のビルの窓が映り込み不思議なテクスチャとなっていました。艶やかなガラスがシャープで都会的な雰囲気です。
風景撮影のセオリーからは外れますが、敢えてF1.8で撮影してみました。高性能なレンズらしく開放からシャープで、外壁の質感・凹凸をしっかりと写し取ってくれました。
中央付近は文句なしの解像力、四隅は多少甘くはなりますが、よく見なければわからない程度の甘さで、その範囲もごく僅かなので、気になる場面は少ないでしょう。
逆光性能は高いようで、四隅に強力な光源を入れる等いじわるな事をしない限り気になるゴースト・フレアは発生しませんでした。
リーズナブルなレンズは、逆光に弱いケースが多いですが、OLYMPUS(オリンパス)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8はそういった事は無いようです。
これまでオリンパスのZEROコーティングについて検証した事はありませんでしたが、なかなか優秀なコーティングのようです。
開放で撮影すると明暗差の大きい部分にパープルフリンジが少し発生します。
上のカットでは、ピントを合わせた階段のタイルに紫の縁取りが見られます。とは言えその量はわずかなので、Lightroomなどの画像処理ソフトを使って補正する事は難しく無いでしょう。開放でこの程度のフリンジなら、発売年を考えれば優秀と言えるでしょう。
一枚が硬貨程の大きさの葉ですが、思ったより大きく写す事が出来ました。
最短撮影距離は0.5mで最大撮影倍率は0.11倍と驚くような接写能力はありませんが、望遠レンズなので圧縮効果も働いて、シンプルに画面を整理する事が出来ます。
近接時も描写が変わってしまうような事もなく、安定した性能を維持しました。
画質
発売から既に10年程経過したレンズが、画質的にどのくらいのレベルにあるのか気になるところです。
拡大して解像感を見てみたいと思います。
非常に抜けが良く良好な描写です。
コントラストも高くOLYMPUS(オリンパス)の上位グレード「Pro」シリーズのレンズの画を見ているようです。周辺部が少し眠い事以外、余程の悪条件でなければ、トップクラスのレンズとも張り合える高い描写性能を持っていると思います。
まとめ
リーズナブルな価格ながら、コンパクトで非常に優秀なレンズです。発売からおよそ10年程経過していますが、最新のレンズと比較しても遜色ないレベルの描写性能だと思います。
欠点らしい欠点も見当たらず価格も手頃、マイクロフォーサーズユーザーであれば是非持っていたいレンズの一つで、評価が高いのも頷けます。
マイクロフォーサーズという事で中望遠でも焦点距離は45mmですから、F1.8開放でも適度に被写界深度があり、シャッタースピードを稼ぎつつ背景も程良くぼかせるという、スナップには非常に使いやすいレンズでした。画角的に遠近感の誇張も少く、物の形を自然に写し取れる特性を活かした物撮り等にも使い易いでしょう。
OLYMPUS(オリンパス)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
Photo & Text by フジヤカメラ 田中