SONY(ソニー) Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS の実写レビューです。
多くの選択肢があるソニーEマウント用標準ズームの中でも、小さく取り回しがとても良いという特徴をもっているVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSは、発売から7年が経過していながら、そのコンパクトさと全域でF4固定という扱い易さから、今でも価値の高いレンズです。
今回はこのコンパクトな標準ズームレンズを改めて実写レビューしてみたいと思います。
SONY(ソニー) Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSは、2014年1月に登場したソニーEマウントに準拠したレンズです。同時期に発表・発売されたソニー初のフルサイズミラーレス一眼であるα7・α7Rとの組み合わせを想定した、広角から中望遠域をカバーした、幅広い撮影シーンに対応できる標準ズームレンズです。
望遠端の焦点距離を70mmまでに抑えた事で、長さ約94.5mm、重量約426gと開放F値通しのフルサイズセンサー向け標準ズームレンズとしては小型・軽量に仕上がっています。
外装パーツはズームリング・ピントリングも含め金属製で、デザイン的にも目を引く側面のツァイスのバッジは立体的な加工がされており質感の高さを感じられます。
とても滑らかなズームリングは伸ばした際のがたつきも無く、トルク感もあるので、持ち運び時に勝手に伸びてしまう事もありませんでした。
側面にボタン類は無く、スマートなデザインに見える反面、フォーカスモードや手ぶれ補正等設定の変更はカメラ側のメニュー画面から操作する必要があります。付属のフードはレンズ本体と異なりプラスチック製ですが、本体と変わらないしっかりとしたクオリティです。
フルサイズセンサーカメラ向けのレンズですが、APS-Cセンサーを搭載したα6000シリーズ等でも使用する事が出来ます。この場合の焦点距離は36-105mm相当となり、やや望遠側に強い標準ズームとして、使い勝手も良さそうです。
又、手ぶれ補正がレンズに内蔵されているので、使用するボディの種類を問わずに手ぶれ補正の効果を得られ、ボディ内手ぶれ補正の無い、下位グレードのAPS-Cサイズセンサーカメラとのマッチングもいいと言えるでしょう。
フィルター径 | 67mm | 最短撮影距離 | 0.4m |
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最小絞り | F22 | 絞り羽根 | 7枚(円形絞り) |
長さ | 94.5mm | 重量 | 426g |
今回も「お散歩撮影」のスタイルで出かけてきました。
ボディはSONY(ソニー) α7IIIを使用し、クリエイティブスタイルは全て「スタンダード」、レンズ補正は全て「オート」です。(歪曲収差補正は任意での切り替えが出来ず「オート」のみとなります。)
常に肩から提げるか右手でカメラを握ったままでぶらぶらと歩きながら撮影しましたが、重さや大きさを意識する事はほぼありません。又、軽快で取り回しのいいデザインと同様、AFもほとんど迷う事無くスピーディーに動作してくれました。
古く錆びた看板と、塀や道路が上から層の断面のように真っ直ぐ綺麗に並んだ所に目を惹かれてシャッターを切りました。
コンパクトなカメラとレンズの組み合わせは軽快で、フルサイズとは思えない気軽さでシャッターを切って行く事が出来ます。
茶色い枯葉が多い中に1枚だけ鮮やかな黄色の葉っぱが。
絞り開放ですが中心はキリッとシャープです。4000万画素を超えるカメラだとやや粗が目立つレンズですが、2400万画素のカメラとの組み合わせなら、十分にカメラの性能を引き出せるレベルにあります。
階段の真ん中辺りから俯瞰気味に撮影しました。
何かのデザインっぽく見える、と思った瞬間にレンズを向けられる身軽さがSONY(ソニー) Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSの強みです。今回テスト機として使ったα7IIIとのバランスの良さも、取り回しの良さの要因になっているかもしれません。
車両基地を横切る踏切から。好きな物を写真に収めるのは、写真という趣味の王道と言えるのではないでしょうか。
絞り込めば端の架線柱や奥の建物まで十分な解像感が得られるあたりはZeissらしい特徴で、レンズのクセを知った上でを表現に活かしたいところです。
パターンとカオス、どちらも見るとレンズを向けたくなる被写体です。
そんなレンズを向けたくなる被写体を探しながら散歩する時の相棒として、Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSのような、取り回しのいいレンズはピッタリと言えるでしょう。
ここからは別の日に違う場所で撮影した写真で画質を見ていきます。
定評あるT*(ティースター)コーティングにより、画面内に太陽を入れた条件下でもゴーストやフレアの発生はよく抑えられていて、作画のために意図的にゴーストを起こすのは難しいのではとさえ感じました。
周辺光量はレンズ補正が効いているおかげで大きくは落ちていません。補正効果の強弱設定はありませんが、完全に補正しきらずに違和感が無いくらいの仕上がりで、追加で後処理をかける場合も最小限で良さそうです。
被写体や撮影距離にもよりますが、望遠端で解像感がやや甘く感じられる事があったのは、昨今の高解像度レンズの描写に目が慣れてしまったからでしょうか。
プラスに考えるなら望遠側はポートレートなどで背景をボカしたい時に使う事が多いので、むしろ柔らかめの描写が喜ばれるかもしれません。
散歩の合間に立ち寄った喫茶店にて。
このような被写体であれば、解像感の甘さを逆に効果的に活かすという使い方もできます。ボケ味も目に付く癖のような物も無く、柔らかくなだらかです。
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Photo & Text by フジヤカメラ 浅葉