HD PENTAX -DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE の実写レビューです。コンパクトな望遠ズームは大型の高性能ズームとも棲み分けしやすく、性能的にも満足出来るレベルにあるので、仮に高性能な大口径望遠ズームがあっても、持っている価値のあるレンズだと思います。
実は自分でも購入したレンズで、今回の撮影でも私物の機材を使用しました。もちろん、テストカメラのPENTAX KPについても自身の機材です。
目次
特徴・操作性
購入の経緯
大口径望遠ズームとの使い分け
実写レビュー
画質
作例に使用したレンズ
HD PENTAX -DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE
作例に使用したカメラ
PENTAX KP
まとめ
HD PENTAX -DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REは、APS-Cセンサーを搭載したカメラ向けのレンズで、35mm判換算で84.5~460mm相当となります。フルサイズセンサーを搭載したK-1シリーズでも、画素数が約1536万画素となりますがクロップモードで使用することが可能です。
沈胴式の鏡筒を採用したおかげで、収納時は300mmまでのレンズである事を感じさせないコンパクトなデザインです。高速でとても静かなAF動作も魅力的で、小気味良く撮影を進められます。
ズームやフォーカスの操作感は値段なりの部分がありますが(ズームはやや固め)、悪いというわけではなく、実用上十分なクォリティと言えるでしょう。
このクラスでもWR(防塵防滴構造)を採用していることや、従来よりも反射率の低いHDコーティングの採用も、レンズのグレードを超えた高性能さに一役買っていそうです。
フィルター径 | 58mm | 最短撮影距離 | 0.95m |
---|---|---|---|
最小絞り | F22-32 | 絞り羽根 | 9枚 |
長さ | 約89mm | 重量 | 471g(フード付き) |
「HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE」は2016年8月に発売されたレンズですが、私が購入したのは2019年の6月でした。
発売された時点で既に望遠レンズは「HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW」と「SMC PENTAX-F★ 300mm F4.5 ED [IF]」の2本を所有しており、小型軽量さや高速でとても静かなAF動作が魅力的に思えたものの、その時点では買い替えや買い増しまでは考えませんでした。
しかし、ある時「遠出の時は夜まで撮影する事もあまり無いし、次の旅行では身軽に動けるようにしたいな…」と感じていたところ、「HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE」の存在を思い出しました。特徴や実写画像を改めて検討した上、発売当初よりも新品価格が安くなっていたので、300mmを下取りに出して入手することにしました。
「HD PENTAX(ペンタックス)-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW」は描写性能が非常に優れ、頑丈な外装と防塵防滴構造によってどんな条件下でも安心して使用できるレンズです。しかし、他社製品も含めたこのクラスのレンズの中ではやや太めで重量もあります。
私のメインの撮影対象である鉄道の場合、撮影地まで最寄り駅から長く歩くことも多く、鉄道利用で移動する場合は、一日中機材が入った重いカメラバッグを肩から担いで過ごします。シャープな解像感や明るいF値によって悪条件の場所でも撮影ができる等、大口径ズームや単焦点レンズで得られる「性能の余裕」はとても魅力的です。しかし、それと引き換えに大きさ・重さという壁が立ちはだかります。
高いクオリティの結果が得られるならばと初めのうちは気にする事も無かったのですが、旅行の度に段々疲労感が増す事も多くなって・・・そんな時小型軽量のHD PENTAX(ペンタックス)-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REに目が行きました。ちなみに2つのレンズの重量差は約1.5kg!焦点距離が被る2本のレンズですが、撮影条件やモチベーションによって使い分けられるので、2本所有する意味は十分あります。
広い複々線区間で弧を描きながら駆け抜ける京急600形。ヌケの良いHDコーティングのおかげか、車体だけでなく線路や架線柱も含め画面の隅々までカチッとシャープです。
さすがに「HD PENTAX(ペンタックス)-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW」で撮影した物と比べればいくらか見劣りしますが、この画質とサイズ感を両立できていると考えればむしろ凄い事だと感じます。
AFスピードはペンタックスの現行レンズの中では最速だと思います。音もほとんどしないので、より一層高速な動作を体感できます。
AF周りが他社に比べると今一歩といわれることもあるペンタックスですが、世代を経るごとに改善されてきており、システムが一新されて間もなく発売されるであろうK-3 Mark IIIとの組み合わせで使用すれば、より快適な撮影ができるのではないかと予想しています。
同じ場所で焦点距離を変えて。
ズームの操作感はやや固めな感じもしますが、引っかかるようなことは無く個人的には好ましく感じます。作例3の車両は昨年運行開始したE261系「サフィール踊り子」号。見かけることは何度かありましたが、撮影は今回が初めてでした。
新宿周辺で小田急線を。作例6はワイド側で引き気味に撮影してみましたが、解像感が望遠側よりも引き立ちます。
望遠端の300mmでも必要十分な解像感が得られますが、200mm近辺はより一層キリッとして見えるように感じます。
スタンダードなクラスのレンズですが、画質的にも高いレベルにあります。拡大して画質を見てみます。
シャープで線の細い繊細な描写です。わずかにパープルフリンジが発生していますが、この程度であれば後処理での除去も簡単でしょう。
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