被写体を認識して自動的に目にピントを合わせる瞳AFは、特にピントの合う範囲の狭い望遠レンズやF値の明るい大口径レンズなどに有効です。
最近では人間のみならず犬や猫の目を自動検出してピントを合わせるカメラまで登場しました。
そんな中、いち早く鳥の目にピントを合わせる鳥認識AFを搭載したOLYMPUS(オリンパス)OM-D E-M1Xをご紹介します。
一瞬の動きを撮影しなければならない野鳥は非常に難しい被写体の一つです。
又、長い焦点距離のレンズを使わなければならないので、被写界深度の狭いピント合わせの難しい被写体でもあります。
野鳥ではありませんが、私自身以前動物園で鳥の撮影をした際、目では無くくちばしにピントが合ってしまい苦い経験をした事があります。
こういった問題を解決してくれる機能がOLYMPUS(オリンパス)の鳥認識AFです。
鳥を認識して自動的に瞳を見つけ出しピントを合わせてくれる機能は、野鳥撮影に革命を起こすかもしれません。
鳥認識AFは、画面上から鳥を認識、トラッキングする機能です。
フィールドでの野鳥撮影は勿論、今回のように動物園での撮影でも威力を発揮します。
使い方は、鳥が画面に入る→白いフレームが出る→シャッター半押し、緑のフレームになる→シャッターを切るという簡便なものです。
ピントは、体→頭部→瞳と移動、瞳を認識出来なくなると体になる仕組みで、精度も高いレベルにあると感じました。
現時点(2020.12.14)で鳥認識AFが使えるOLYMPUS(オリンパス)のカメラはOM-D E-M1Xのみです。
高速で高度な処理が必要な鳥認識AFは、画像処理エンジンTruePic VIIIを2基搭載したカメラOM-D E-M1X以外では難しかったようです。
大型のレンズを装着する事が多い野鳥撮影では、プロ機らしいOM-D E-M1Xのフォールディングの良さも大きなメリットです。
設定は、MENU→カスタムメニュー(歯車のマーク)→タブA3→追尾被写体設定→OK→「鳥」を選択すれば設定は完了です。
AFモードはC-AF+TRを選択、AFターゲットモードは画面全体をカバーする121点がいいでしょう。
鳥認識AFを使うには、OM-D E-M1XのファームウェアをVer.2.0以降にアップデートする必要があるので、忘れずにアップデートして下さい。
テスト撮影は当ブログではおなじみの多摩動物公園で行いました。
500mm前後が標準的な画角と言われる鳥の撮影に合わせて、レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mmF5.0-6.3 ISを選択。
軽量コンパクトで35mm判換算800mmまでの望遠レンズは、鳥だけでなく動物園での撮影全般で大活躍します。
クロヘラサギがエサの小魚を飲み込んだ瞬間にシャッターを切りました。
通常のAFであれば、手前のくちばしにピントが来た可能性が高いと思いますが、鳥認識AFが、体→頭部→目とピントを一瞬で拾って、本来ピントが来て欲しい目にバッチリフォーカスしてくれました。
鳥認識AF以外の方法で、ここまで正確にピントを合わせるには、高い技術が必要だと思います。
ゆらゆらと泳いでいるオシドリと、周囲に起きた波紋が綺麗でシャッターを切りました。
動く物を撮り慣れていないと、ゆっくりした動きにも意外と対応しずらいものですが、フォーカスをカメラ任せに出来るだけで、安心してフレーミングとシャッターチャンスに集中出来ます。
フィールドではまず遭遇しない、鳥の近接撮影です。
超望遠を使った近接撮影は、ピントがシビアになるシチュエーションですが、鳥認識AFが目に正確にピントを合わせてくれました。
正確なピントと高性能でシャープなレンズのおかげで、オシドリの美しい羽毛や水滴まで再現されています。
鋭い嘴と目、美しい羽毛の猛禽類は写真映えする被写体です。
自然ではなかなか見られない猛禽類を撮れるのは、動物園ならではの強みと言えるでしょう。
画面の中に遮る物があっても鳥認識AFが正確に鳥の位置を検知、ピントを頭部に持って行ってくれます。
ダルマワシが羽ばたく瞬間を狙いました。
何度も羽ばたいてくれたので、シャッターチャンスには恵まれましたが、いい瞬間は一瞬なので、機会は逃したくありません。
鳥認識AFのおかげで、構図を気にしながらシャッターを切る余裕が生まれました。
画面の中から鳥を見つけ出してフォーカスする鳥認識AFは、画面内の他の被写体を無視して鳥だけにピントを合わせる事が出来ます。
このカットでは、通常なら画面の2/3を占める草にピントが来てしまいそうなところですが、鳥の目にピントが来ています。
これには、鳥と手前の被写体が重ならないで、被写体とカメラの間に何も無いという条件が必要です。
鳥認識AFは、2次元で、鳥の位置を判断していますので、距離を認識する事は出来ないようです。
例えば、動物園で柵越しに鳥を撮る場合、カメラが鳥を認識しても、ピントは手前の柵を拾ってしましいます。
上のカットでは、カメラは鳥を認識し、ファインダー上では緑色のフォーカスフレームを表示していましが、ピントは手前の柵を拾ってしまいました。
条件によってはフォーカスフレームを一点にするなどの工夫が必要です。
このカットでは、奥の鳥にうまくピントが合い、日差しに照らされた手前の柵が写真にいい効果を与えました。
動物園の写真では、手前の柵の処理はどうしても難しくなり工夫が必要ですね。
瞳AFや動物瞳AFの「鳥」版ですが、シャッターチャンスが少なく、嘴にピントが合いがちな鳥の撮影では、他の被写体認識AFよりも利用価値が高いと思います。
OLYMPUS(オリンパス)の瞳認識AFは、操作や設定も簡便でOM-D E-M1Xユーザーならファームウェアアップデートと簡単な設定で直ぐにでも使う事が出来るでしょう。
精度やスピードもなかなかで、完璧ではないものの、ユーザーの大きな助けになる事は間違いありません。
鳥認識AFは、高速なオートフォーカスで望遠撮影に強いオリンパスマイクロフォーサーズの新たな武器だと感じました。
フジヤカメラでは、OLYMPUS(オリンパス)ミラーレスカメラの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
» 【中古】OLYMPUS(オリンパス)ミラーレスカメラを探す