フルサイズセンサーを採用しながら、1210万画素という低画素を採用したSONY(ソニー) α7SIII。
動画機としての性能にばかり目が行ってしまいますが、シリーズの特徴である極端に高感度に強いという特性は写真で使っても変わりません。
そんな暗闇に強いカメラSONY(ソニー) α7SIIIを持って、夜の鶴見線を撮りに行って来ました。
川崎を出発して初めに向かったのは終着駅のムード漂う扇町駅。走り去る鶴見線を背後から望遠レンズを使って写しました。
いかに高性能な手ぶれ補正を使っても、動く被写体をブレずに写すには速いシャッタースピードが必要です。
高速シャッターを切る為には高感度が必要、そう、夜の鉄道写真を撮るのにSONY(ソニー) α7SIIIほど向いているカメラはありません。
鶴見線は猫に寛容な路線です。
扇町駅のホームにも、数匹の猫がたむろしていました。
開放F1.4の明るいレンズとの組み合わせでα7SIIIでは低感度と言っていいISO4000でシャッターを切っているお陰で、背景の空や雲まで再現しているにもかかわらず、ざらつきの無い滑らかな画を撮る事が出来ました。
バリアングルモニターを使って、低い猫の視線の更に下からあおってシャッターを切りました。
猫はきままに動き回る動物なので、シャッターチャンスは一瞬です。
シャッターを切るまで考えている暇のない被写体に対して、カメラが強力な手振れ補正と高感度性能でフォローしてくれるおかげで、安心してシャッターを切れました。
乗って来た列車を見送ると、次の列車が到着するまでだいぶ時間があるのは、さすが首都圏のローカル線と言われる鶴見線です。
せっかくなので駅を出て、隣の昭和駅まで歩く事にしました。
昭和駅の少し先の橋の上から工場夜景を撮りました。それっぽい写真にする為にかなり露出をプラスに補正しましたが、ISOは51200とは思えないほど滑らかな画になっているのは流石α7SIIIだと思います。
走り去る列車をぶらさないよう、シャッタースピードは1/200、F値は開放の5.6、IS064000でシャッターを切りました。
一般的なデジタルカメラでISO64000を使う事はまずないと思いますが、SONY(ソニー) α7SIIIなら使ってみようという気持ちになれます。
流石にこの感度だとノイズがかなり発生しますが、それでも全体の画としては十分に成立するあたりがこのカメラの凄さで、ポテンシャルを使い切るには、普通のカメラとは違うという事を認識した上で使う必要があります。
昭和駅から一駅だけ電車に乗って浜川崎に到着しました。望遠から標準にレンズ交換して、人気のないホームでナイトスナップ。
つややかなプラスチックのベンチの質感など、写りの良さで定評のあるFE55mm F1.8との組み合わせは、ISO1000でもレンズのポテンシャルを発揮してくれます。
さすがにホームのど真ん中で三脚を立てるわけにもいかないので、これもSONY(ソニー) α7SIIIならではの写真、と言えるかもしれません。
お隣の南武支線の浜川崎駅は、鶴見線と同様どこかノスタルジックな古い駅舎で、趣があります。
駅の灯りだけが浮き立つように露出をアンダーにして撮影しました。
夜の撮影では露出を大きく補正する事が多いですが、暗闇に慣れた目でモニターを見ながら補正するとアンダーになりがちなので、明る目を心がけて露出を決めています。
最後はご存知国道駅を訪れました。
改札を抜けると写真のような不思議な空間に放り出され、昭和初期にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。
高架下に古い飲み屋が軒を連ねる風景は、駅好きには定番の光景ですが、しんと静まり返った夜に訪れるのは格別です。
先に見たとおり、ISO51200といった超高感度でも十分写真として成立する高い高感度性能を持ったカメラです。
細かくノイズを確認する為、拡大して画質を見てみたいと思います。
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ISO51200とは思えない高画質です。
ノイズは確かに発生していますが、それでも十分な解像感を維持し、建物の鉄骨やパイプの質感も十分に残り、この感度としてはかなり高画質です。
次に今回の撮影では最も高い感度となった、ISO64000の画質を見てみます。
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やはり、ノイズは発生していますが、列車のボディの質感などは十分に再現されています。
望遠レンズを使って、動く列車に対して1/200のシャッタースピードを切る為には、ISO64000の超高感度が必要でSONY(ソニー) α7SIIIだからこそ撮れたカットと言えるかもしれません。
SONY(ソニー) α7SIIIの唯一無二の特性である、最高クラスの高感度性能は、光の少ないシチュエーションで高速シャッターを切りたいシーンでは強力な武器になります。
今回は夜間の鉄道写真で試しましたが、これに限らずこのカメラでなければ撮れないシーンは他にも沢山あると思います。
又、リアルタイムトラッキングによるオートフォーカスの追従性能も素晴らしく、慣れない鉄道撮影を強力にサポートしてくれました。
動体×暗所では、現時点の最強カメラと言っていいと思います。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原