開放F値1.0の大口径中望遠レンズ FUJIFILM(フジフイルム) XF50mmF1.0 R WR のレビューです。
APS-Cサイズセンサーでは中望遠レンズとなる、FUJIFILM(フジフイルム) XF50mmF1.0 R WR の特徴は、なんと言っても開放F値F1.0である事です。
F1.4と比較しても1段明るい1.0というF値から来る極端に薄いピントと、夜間でも速いシャッタースピードが切れる特徴を楽しみながらテスト撮影を行いました。
フィルター径: | 77mm |
最短撮影距離/最大撮影倍率: | 70cm/0.08倍 |
最小絞り: | F16 |
長さ: | 約103.5mm |
重量: | 約845g |
その他: | 絞りリング |
開放F値1.0という事で、ミラーレス用、それもAPS-Cサイズセンサー専用のレンズとしては大柄なレンズです。
今回は、テストカメラにフラッグシップ機のX-T3を選んだのでバランスも良く、撮影中、大きさをストレスに感じる事はありませんでしたが、小さなボディでは少しバランスが悪いかもしれません。
持ち運びの際、FUJIFILM Xマウントのカメラのグリップは、引っかかりが小さい機種が多いので、大きいレンズは少し不安かもしれません。
グリップの大きいX-H1がベストマッチでしょうか。
デザインは他のXマウントレンズと同じくシンプルで戸惑う事はありません。
絞りリングがあるので、直感的でスピーディーな絞りの変更が行えます。
F1.0という極端に明るいF値は、日中、1/8000があるX-T3でもシャッタースピードが追いつかず、開放が設定出来ない事があったので、3~4段程度のNDフィルターを持っていると安心です。
■おすすめのNDフィルター
>>> marumi(マルミ) EXUS ND16(4段減光)フィルター 77mm
日中の撮影は、コスモスが見ごろをむかえた昭和記念公園で行いました。
11月くらいまではコスモスが、それ以降は紅葉が楽しめる昭和記念公園は、撮影スポットとしておすすめです。
写真の黄色いコスモスは見ごろを過ぎて枯れ枝が目立ちましたが、まだ咲いている部分をアップで狙いました。
35mm判換算75mmの中望遠は、人が見つめる感覚に近くて、印象的な部分を切り取って写すのに程よい画角です。
コスモスを下からあおって花びらを透かすように撮影しました。
昭和記念公園は、コスモスの撮影で人気のスポットな為、写真にどうしても人が入ってしまいます。
そんな時、花を下からあおって撮ると、人が入らない写真が撮れるだけでなく、光を透かした花びらがまるでガラス細工のように美しく撮れるのでおすすめです。
ポイントは思い切って露出をオーバーにする事で、透明感が強調されます。
彼岸花の季節も終わりに差し掛かっていますが、綺麗な株をを見つけて特徴的な花の形を真上から捉えました。
背景を大きくボカせる開放F1.0のレンズの特徴を活かしつて、色と形だけのシンプルな写真になるよう、背景の緑を意識しながらシャッターを切ります。
フィルムシミュレーションVelviaの鮮やかな色再現が雰囲気を強化してくれました。
夕方、雄大な空の雲をバックに公園を歩く少年を捉えました。
中望遠レンズですが、構成をシンプルにする事で望遠レンズらしい写真になったと思います。
最近のFUJIFILMのカメラは、オートフォーカスの不安も少なく、こんな一瞬のピントもキビキビひろってくれてストレスを感じません。
やはり季節の植物であるススキを、秋空をバックに撮影しました。
線の細いススキの穂や葉を、美しいボケが印象的に再現してくれました。
本当はもう一寄りしたかったところですが、柵があったので諦めました。
単焦点レンズ故の不便ですが、それでもこのボケの美しさは大きすぎる魅力です。
美しい葉が引き立つよう、背景が暗くなるよう露出を調整してシャッターを切りました。
大きなボケと、暗い露出の中で緑の葉が浮き立って綺麗です。
アンダー露出でもF1.0の美しいボケはXF50mmF1.0 R WRの大きな魅力となり綺麗です。
薄暗くなり始めた公園を歩いていると、手すりの上にカマキリが!
懸命にカマをふる姿がどこかユーモラスでレンズを向けました。
FUJIFILM(フジフイルム) XF50mmF1.0 R WRの最短撮影距離は70cm、最大撮影倍率は0.08倍なので近接撮影は苦手としますが、大きなボケのお陰でカマキリの姿を印象的に捉えられました。
日も暮れて薄く明るさの残る空をバックにススキの穂を撮りました。
開放F1.0という極端に明るいレンズのお陰で、このような悪条件の中でも安心してシャッターを切れます。
ボディ内手振れ補正の無いX-T3をテストカメラに選択したおかげで、緊張感を持ってシャッターを切る事が出来ました。
ほんの少し残照の残るこの時間帯の空の色撮るのが好きです。
実際にはこんなに青くありませんが、FUJIFILMの必殺技ともいえるフィルムシミュレーション「Velvia」が深い藍の色を実物以上に美しく再現してくれます。
急に秋が来て驚いたように小さな虫が街灯のまわりを飛び回っていました。
FUJIFILM(フジフイルム) XF50mmF1.0 R WR は、2枚のEDガラスと、1枚の非球面レンズを使って高性能化を図っています。
このレンズの真骨頂はシャープネスでは無いと思いますが、一応拡大して画質を見てみます。
枠内を拡大
十分以上の解像感がありますが、適度に柔らかさもあって優しい描写です。
ポートレートなど、このレンズの使用目的を考えれば、シャープ過ぎて硬いレンズは逆に使いにくいと思われ、このくらいの描写が適度だと思います。
レンズだけでなくVelviaの色再現や、花びらの立体的な質感を写し取るセンサーの性能はFUJIFILMのカメラの大きな強みです。
個人的にかなり好きなレンズで、ファインダーを覗いた瞬間からワクワクして楽しく撮影出来ました。
開放F1.0が作り出すボケの海の中をのぞくと、写真って嘘つきだな~と思いつつ、レンズが作り出した世界を形にしたくて、夢中でシャッターを切っていました。
問題なのは、FUJIFILMには56mm f1.2のレンズが別に存在する事で、レンズ選びが難しくなったなと思います。
性能だけではなく、写真を撮る楽しさをレンズが提案してくれる、FUJIFILM(フジフイルム) XF50mmF1.0 R WR はそんなレンズだと感じました。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
>>> FUJIFILM(フジフイルム) XF50mmF1.0 R WR