ビデオロガー向きのコンパクトデジタルカメラ SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 の実写レビューです。
「VLOG」とは「ビデオブログ」の略で、動画を使ったブログの事だそうです。
VLOGは日本ではまだ馴染みのない言葉ですが、海外ではVlogger(VLOGを投稿する人、動画判のブロガー)という言葉があるようで、世界的にかなりの盛り上がりを見れせているようです。
こういった、新しいニーズの視点に立った製品をタイムリーにリリースするあたり、さすがソニーです。
製品のスペックを見て、実際にカメラを手に取ってみた最初の感想は、
手軽に、綺麗に動画を撮れるカメラ
であるという事です。
これは、Vlogger ならずとも、普段から動画を楽しんでいるユーザーに刺さるカメラなのでは!?
動画機としてのメリット、特徴を見て行きたいと思います。
SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 に採用されるレンズは、24-70mm(35mm判換算)f1.8-2.8の明るい標準ズームレンズで、これは、高級デジタルコンパクトカメラRX100M5他に採用されている、高性能で実績のあるレンズです。
明るいレンズと併せて、RX100M7と同等の大型(1型)センサーを搭載しているので、高画質で、背景を大きくボカした映像を撮影する事が可能です。
実際に写真を撮ってみると、高性能なレンズとセンサーは、細かい部分までシャープに描写してくれて、レンズの性能にうるさい4K撮影も楽々こなせると思います。
センサーサイズが大きく、レンズが明るいので、上の写真のように背景を自然に大きくボカす事が可能です。
VLOGCAM の主人公は撮影する自分なので、背景をボカした、ポートレート写真のような表現が出来る事は大きな魅力です。
センサーが大きく、レンズが明るい事のメリットは背景が大きくボケる事だけではありません。
例えばキャンプの時の撮影など、暗い場所で撮る際、ノイズの少ない滑らかで立体感のある映像を撮る事が可能です。
今回はロウソクを撮ってみましたが、f1.8の明るいレンズのお陰で、ロウソクの光は勿論、背景の淡い光も写り込み幻想的な映像になりました。
VLOGCAM ZV-1の色、特に人の肌の色にこだわった色再現性は、VLOGCAMならではの性能ですが、例えば子供の肌の色なども綺麗に再現されるので、Vlogger でなくても嬉しい機能です。
又、明るさの調整(露出)を人の顔に優先して行う顔優先AEを搭載しているので、日向から日陰に移動しながらの撮影でも、カメラが顔の明るさを最適に調整してくれます。
SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 の見た目で、ひときわ目を引くのは、上部に取り付けられたモフモフです。
これは、風が吹いた時などに入るボーボーいう音を防ぐ為のもので、ウインドスクリーンと言われます。
ちょっとしたアクセサリーですが、大きな効果があり、屋外で風があるシチュエーションなら取り付けておいて損はないと思います。
YoutubeでUPした動画の後半に、装着時と外した時のボーボーいう音の入り方の違いを比べていますので、参考にしてみて下さい。
内蔵マイクも普通のデジカメとは違います。
デジカメの内蔵マイクは、ステレオマイクが一般的なので、音を全体として拾いますが、指向性マイクはカメラ正面の音を大きな音で拾うので、喋っている声が大きな音で録音されます。
よく外付けのオンカメラマイクで撮影しているのを見かけると思いますが、あの仰々しいマイクと同様の機能を、SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 は小さなボディに内蔵しているのです。
コンパクトな装備で、気軽に動画撮影がしたいVloggerにはありがたい機能です。
とは言え、やはり外部マイクの音質は魅力です。
SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 は、そんなこだわり派のユーザーにも対応出来るよう、外部マイク端子を装備しています。
より良い音で録音したいなら、RODE(ロード)やゼンハイザーなどの、クォリティの高い外部マイクを装着しての録音も可能です。
VLOGCAM ZV-1 は、光学式と電子式を組み合わせることで、より強力に手振れを補正するアクティブモードを搭載しています。
特に、歩行時の手振れ補正はかなり強力で、特にロール(回転方向のブレ)が上手く処理されている為、ジンバルに近い安定した画が撮影出来ます(HD撮影時には特に良く効きます)。
画角が少し狭くなってしまう為、若干窮屈になりますが、歩きながらの自撮りも安定した映像で撮影する事が可能です。
又、シューティンググリップ GP-VPT2BT を併用すれば、シューティンググリップのC1ボタンに割り振った、ボケくっきり機能を使って、歩きながらボタン一つでボケの切り替えをする事も出来ます。
(C1ボタンには他の機能を割り振る事も可能)
SONYカメラの凄さと言えば、デジタルミラーレス一眼カメラ「αシリーズ」で培われた強力なオートフォーカス機能が挙げられます。
VLOGCAM ZV-1 はその多くを受け継いでおり、プロ機並みのオートフォーカス機能を装備しています。
例えば、リアルタイム瞳AFです。
被写体の瞳にピントを合わせ続けるオートフォーカスは、高い精度が必要な4Kでも正確に瞳にピントを合わせ続けてくれます。
リアルタイムトラッキングは、モニター上でタッチした被写体を、オートフォーカスフォーカスが追随(トラッキング)する機能です。
実際に使ってみると、驚くほど精度が高くて、今回のテストでは一瞬被写体が画面の外に出ても、画面内に帰って来ると再びトラッキングを始めるという懐の広さを見せました。
タッチでトラッキングする被写体を選ぶのもわかり易くていいです。
SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 には、VLOG 撮影向きのいくつかの機能が搭載されています。
その一つが背景ボケ切り替え機能です。
これは、ボタン一つで背景をボカす、パンフォーカスを切り替える機能で、実際には瞬間的に絞りを変えているだけです。
が、動画撮影時、細かい絞り値にこだわらず、ボカすか絞り込むかだけ使えればいい場合も多く、それをボタン一つで出来るのは思いのほか便利でいした。
又、背景をボカす際、シャッタースピードが速くなり過ぎて、パラパラ漫画のような不自然な映像にならないよう、減光フィルター(NDフィルター)が内蔵されているのも、こだわり派には便利な機能です。
>>>「動画撮影時のシャッタースピードについて」記事はこちら
商品レビューなどの動画で、顔優先でオートフォーカスしている時、見せたい商品をカメラの前に差し出しても、ピントは顔に合ってしまう為、顔を手で隠すなどの工夫が必要でした。
商品レビューモードは、カメラの前に被写体が入って来ると、スムーズにピントをカメラ側の被写体に移動する機能です。
勿論、商品レビュー以外にも応用は可能で、工夫しだいで色々使えそうです。
VLOGCAM ZV-1 のイマイチの点の一つに、バッテリーの持ちが悪い事が挙げられます。
電池の大きさは、カメラのコンパクトさとトレードオフなので仕方がないですが、出来ればバッテリーはスペアを合わせて2個持っている方が安心です。
そこで、シューティンググリップキットの登場です。
SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 は、ボディ単体での販売以外に、シューティンググリップ GP-VPT2BT とのキット販売があります。
このキットには、シューティンググリップと併せて、バッテリーが1個おまけで付いて来てお得です。
しかも、このシューティンググリップの出来がなかなかで、使い易い製品となっています。
接続は、Bluetoothを使った無線なので、コードが引っかかるなどのトラブルもありません。
グリップにはC1ボタンがあるので、好みに合わせて機能を振り分ける事も可能です。
ミニ三脚になるようになっているので、テーブルに置いての自撮りの際など地味に便利です。
実際に使ってみて、なかなか完成度の高い使い易い機種だと感じました。
VLOG用ならこれ一台で使い易く撮影出来ると思いますし、又、一眼デジタルカメラのサブカメラとしても、例えば音を撮りながらのジンバル撮影や、2つのアングルから撮影する際の、定点カメラとしてなど、優秀なサポートカメラになりそうです。
今回は、VLOGCAMのテストだったので、自身でVLOGをやっている感覚で自撮りしながらテスト撮影をしましたが、仕事ならずとも結構楽しくて、色々な趣味、例えば、キャンプとか旅行とか釣りとか、日記感覚でちょこっと動画を撮るのは楽しそうです。
そんな気軽な動画撮影に、手間いらずで綺麗に撮れるカメラ、SONY(ソニー) VLOGCAM ZV-1 はそんなカメラです。