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2020.05.26
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Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE ソニーE 実写レビュー

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE ソニーE のレビューです。

 
SONY α7RIV + Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE 本体
テストボディはSONY α7RIV
 

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE ソニーE は、既に発売されている、同社の NOKTON 35mm F1.2 Aspherical III VM のSONY Eマウントモデルです。

 

Mマウントのモデルと設計、コーティングは同じですが、

 

・レンズ位置などに SONY カメラに最適化された特別なチューニングが施されている
・倍率色収差の補正情報がカメラ側に伝達される

 

事から、画質的にはMマウントの同レンズよりも、良くなります。

 

これは、実写テストの結果がMマウントの同レンズと比較して、あまりにも良かったので、メーカーにあらためて問い合わせて得た情報なので、写りの差を実感出来るレベルで性能が向上していると考えて良さそうです。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE 本体①
SONY α7シリーズとも相性の良さそうなシンプルなデザイン
 

勿論、Eマウントとして専用設計された、電子接点付きマウントを持っている為、Exif情報、5軸手振れ補正、フォーカスリングの操作に連動したフォーカスの拡大にも対応しています。

 

実写テストでは、いずれの機能も撮影の利便性を大きく向上してくれて、使い易いと感じました。

 

特に、ピントリングに連動したフォーカスの拡大は、慣れるととても使い易く、高い精度でピント合わせが行えたと思います。

 

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE 本体②

 
フィルター径 58mm
最短撮影距離 0.3m
最小絞り F22
対応センサーサイズ フルサイズ
マウント SONY E
その他 電子接点搭載(Exif情報、5軸手振れ補正対応、フォーカス拡大機能対応)
全長 約59.9mm
重量 約387g
付属品 レンズフード
 

実写テスト

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真①
作例①:SONY α7RIV f1.2 1/640 ISO100 露出補正-0.3
 

少し個性のあるボケ味に、オールドレンズを使っているような楽しさを感じます。

 

開放からシャープな、鋭い描写を売りにするレンズではなく、少し個性のあるボケ味や、柔らか目の描写など表現力を重視したレンズに感じました。

 

レンズの良さを引き出せる被写体を、意識して探しながらの撮影も、楽しいものです。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真②
作例②:SONY α7RIV f1.2 1/1600 ISO100 露出補正-0.3
 

時節柄、撮影の為に遠出するのも憚られ、散歩のついでにテスト撮影を行う事になりましたが、レンズが Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE で良かったです。

 

個性で見せるレンズは、公園のベンチや水飲み場を格好の被写体にしてくれて、しばらくぶりの撮影という事もあり、写真を撮っている時間がとても楽しく感じられます。

 

f1.2という明るさのお陰で、ボケの中にドラマを描く事が出来るのも、表現する気持ちを後押ししてくれました。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真③
作例③:SONY α7RIV f1.2 1/1000 ISO100 露出補正±0
 

鉄柵に寄り添うように咲く花を近接開放で狙いました。

 

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE の真骨頂はやはりボケ味です。

 

f1.2という極端に薄いピントとボケ感は、単純に柔らかいと表現するには言葉足らずな独特の雰囲気があって、個性的だと感じました。

 

ボケの海を利用した撮影に心躍ります。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真④
作例④:SONY α7RIV f5.6 1/160 ISO100 露出補正-1.0
 

ここまで、Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE のボケ味について推しておきながらなんですが、絞ると格段にシャープになる傾向は、Zeissのプラナーを彷彿とさせる特性です。

 

上の写真は、f5.6まで絞って撮影しましたが、開放時の眠さはどこへやら、トップクラスのシャープさです。

 

フォクトレンダーの高性能シリーズ APO-LANTHAR 並みの性能だと感じました。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑤
作例⑤:SONY α7RIV f1.2 1/4000 ISO100 露出補正±0
 

学校の校庭にありましたよね!こういうの。

 

ブラブラと散歩していて懐かしいものにレンズを向けるのも、写真を趣味にしている者の楽しさの一つです。

 

梅雨が近い為か、天候が安定しなくて、曇ったり晴れたりと光の加減に翻弄されながらの撮影でしたが、ボケた背景にそんな雰囲気が写し取れたと思います。

 

広角レンズでありながら、開放f1.2という事で、前後ともに大きくボカす事が出来るので、構図を整理出来て便利です。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑥
作例⑥:SONY α7RIV f1.2 1/1000 ISO100 露出補正±0
 

おずおずと差し出した子供の掌の中にはバッタがのっていました。

 

咄嗟にピントを近接にして、前後してピントを合わせ、素早くシャッターを切りました。

 

マニュアルフォーカスのレンズで瞬間的なシャッターチャンスをものにするのは大変ですが、上手くいきました。

 

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE の個性的なボケ味が、被写体をど真ん中に置く日の丸構図を退屈しないものにしてくれたと思います。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑦
作例⑦:SONY α7RIV f1.2 1/2500 ISO100 露出補正±0
 

咲いた場所が悪かったのか、少し貧弱なタンポポの花です。

 

通常、ここまで明るいレンズを開放近接で使う事は少ないと思いますが、Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE の開放近接は、ピントが薄い事もあり、やや眠い描写です。

 

被写体の周囲をハレーションが包むようなボケ味は、個人的に好きな雰囲気です。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑧
作例⑧:SONY α7RIV f3.2 1/500 ISO100 露出補正±0
 

もし、先の写真のような眠い画が嫌いなら、2絞りほど絞ってみて下さい。

 

先に書いたとおり、同じレンズで撮ったとは思えないような超シャープな描写に変貌して、高性能という意味でも撮影者を十分以上に満足させてくれると思います。

 

2面性を持っているレンズは数多ありますが、その変貌ぶりはトップクラスです。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑨
作例⑨:SONY α7RIV f8.0 1/125 ISO100 露出補正-0.3
 

青空をバックに美しい形の橋を下からあおって撮影しました。

 

f8まで絞った画ですが、スカッとシャープに抜けた描写が気持ちのいい写真になりました。

 

電子接点付きレンズである事を活かして、カメラ側の倍率色収差補正をオートにして撮影したおかげか、Mマウントの同レンズで少し気になったパープルフリンジの発生は、少なく抑えられました。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑩
作例⑩:SONY α7RIV f1.2 1/640 ISO100 露出補正+0.7
 

天に向かってタケノコがにょきにょきと伸びていました。

 

35mmという焦点距離は、広角っぽくも標準っぽくも使える画角ですが、周囲の竹が画面上に斜めになるように、下からあおって撮影することで実焦点距離よりも広角っぽく見えるように撮りました。

 

余談ですが、先日何かのテレビ番組で見たのですが、この茶色の皮の部分が全てはがれると、タケノコは竹と呼ばれるようになるそうです。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑪
作例⑪:SONY α7RIV f1.2 1/125 ISO100 露出補正+0.7
 

最後のカットは、開放近接です。

 

たった1枚のただの葉っぱが、薄いピントのおかげで、不思議な雰囲気に写し取れました。

 

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE は、レンズが道具であるという事を逸脱して、表現の一部である事を教えてくれる、個性あふれた一本でした。

 

画質

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE は、開放近景、開放中~遠景、絞り込んだ時で、描写の感じが大きく異なるレンズの為、それぞれの拡大画像を用意しました。

 

初めに開放中~遠景です。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真①拡大枠
 

枠内を拡大

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真①拡大
作例①拡大
 

物凄くシャープという程ではありませんが、十分過ぎる解像力とシャープネスを持ちながら、わずかに甘さがあり、ボケの美しさに貢献していると思います。

 

しかし、この距離で撮ってこのピントの薄さは、さすが開放f1.2です。

 

次に、開放近接です。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真③拡大枠

枠内を拡大

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真③拡大
作例③拡大
 

ピントの薄さと併せて、被写体を囲むようにハレーションのような滲みがあり柔らかい描写です。

 

個人的にピントにこだわって絞って使うよりも、せっかくの柔らかさを活かして、開放で撮るのも面白いと思います。

 

最後に、絞り込んだ際の描写です。

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑨拡大枠
 

枠内を拡大

 
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE テスト写真⑨拡大
作例⑨拡大
 

物凄くシャープで高い解像感があります。

 

フォクトレンダーの、高性能なシリーズ APO-LANTHAR 並みと言っていいと思います。

 

SONY α7RIVの性能を損なう事無く発揮出来るレベルです。

 

まとめ

 

Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE ソニーE は、個性的で幅広い表現力を持った、使っていて凄く楽しいレンズでした。

 

個性的なボケ味は、開放f1.2という極端に明るいf値と併せて、非常に魅力的に感じました。

 

Mマウントの同レンズを使った際は、少しパープルフリンジが出やすい印象でしたが、今回はSONYミラーレス一眼に最適化されているお陰でそういった事もありませんでした。

 

開放時と絞った時で写りの特性が変化するのも、レンズをイメージに合わせて撮る楽しさが味わえて、使いこなす喜びが倍増したと思います。

フォクトレンダーレンズ

>>> Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE ソニーE

 
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