中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X のレビューです。
中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X は等倍から5倍までをカバーする、マクロ専用レンズです。一般的にはあまり行わない、等倍以上、5倍までのマクロ撮影は、非日常的な写真を作り出すのにもってこいです。
センサーサイズはフルサイズに対応します。
中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X は、マクロ撮影しか出来ないレンズなので、使用用途は極端に限定されます。そんな極端なレンズが、日常の景色を一変させてくれるのでは?と思い、近所の公園でテスト撮影を行いました。
テストボディは SONY α7RIIIを選択しましたが、これは少しミステイクだったかもしりません。
理由は後程。とりあえず実写レビューからスタートしたいと思います。
この時期、どこでも見られるホトケノザの群生ですが、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X の強力な近接能力で、このとおりミクロの世界に早変わり。
このレンズ、ムチャ面白いです!近所の公園が、立派な撮影スタジオになります。小さな世界って、逆に大きいですよね!
ホトケノザは1cmほどの小さな花ですが、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X が、大輪の花のように迫力満点に切り取ってくれました。
さらにもうひと寄りしてみました。
特徴的な花の形が ホトケノザ(仏の座)の名前の由来かと思いましたが、実際は、葉の形が仏様の台座(蓮座)に似ている事からついた名前だという事です。
(訂正→このカットはホトケノザではなく、ヒメオドリコソウという別の花でした。遠目には良く似ているのですが、葉の形や毛が生えている点で見分けがつくそうです。ご指摘いただき、ありがとうございます!)
遠くから見ると可愛らしい小さな花ですが、繊毛がびっしりと並んだ様は、マクロの世界ではまるでモンスターのようです。
撮影の際の注意点は、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X を使う時は、いつも以上に被写体を近づいて、かがんで探さなけらばならないので、不審者に間違われないようにする事です(笑)
草むらの中に、綺麗に並んだ水玉を狙いまいした。
珍しくもない光景ですが、超近接での撮影が、非日常的な光景を切り取ってくれました。少しオーバー目に撮る事で、水玉が少し軽い感じになるように撮りましたが、水玉の透明感が綺麗に再現されました。
撮影前は 中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X のフォーカスリングは、かなり重く感じられましたが、実際に使用してみると、極端に薄いピントを正確に行うにはこのくらいの重さの方が安心で、使いやすいと感じました。
この時期、沢山の花をつけ、春の訪れを告げるオオイヌノフグリです。
通常、群生を撮る事が多い花だと思いますが、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X の近接能力を使って、一輪だけを狙ってみました。
名前の由来があれですが、可愛らしい小さい青い花は、春の、ぬるみ始めた空気を連想させてくれて、少しウキウキした気分になります。
同じオオイヌノフグリの花を、目いっぱい近寄って撮りました。オオイヌノフグリの花の中ってこんな風になっているんですね!
マクロで見ると、花の中にガラスの棒のようなものが沢山生えていて、なんだか少し怖いです。
かつて、ここまでの近接撮影を経験した事はありません。5倍までという強力な近接性能を持った、 中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X が初めて見せてくれた世界です。
ふわふわとした繊毛も、マクロレンズで覗いた世界では鋭くとがった針の様で、生き物が身を守る術として身にまとっているものだという事がわかります。
美しくも鋭い、そんな世界です。
目で見えないものを描き出す、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X は、そんな面白さのあるレンズだと思います。
よく、カーブミラーに写ったものを撮る写真を見かけますが、これは公園の水飲み場の蛇口に写った姿を撮りました。
2cmほどの金属の玉ですが、極端な近接能力を持つ 中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X ならではの写真だと思います。
手持ちでの撮影はかなり困難ですが、条件さえ許せば出来ないわけではありません。
3mmほどの、小さな虫が葉の上にとまっていました。
実は、ファインダーを通して見るまで、そこにいる事すら気付きませんでした。肉眼では気付かない事に気付く、それだけで撮影が楽しくなります。
中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X を使って動く生き物を撮るのはかなり難しいと思いますが、こんなミクロの昆虫の世界が撮れたら面白そうです。
等倍を超えるマクロ撮影では、露出倍数が大きくかかり、実行f値が暗くなる事と併せて、極端に薄い被写界深度を補う為、大きく絞って撮影する事が多くなります。
(今回の撮影では、一番絞りを開けた時でもf11までで、全カットf11~f22の間の絞り値で撮影しています)
必然的に、ISO感度を高く設定しなければならないので、使うカメラは高感度に強いものがおススメです。
今回のテスト撮影には、SONY α7RIII を選択しましたが、より高感度に強い α7IIIがベストチョイスだったかもしれない、と少し後悔しました。
又、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X のような、極端な近接撮影の際には手振れがフレーミングに大きく影響するので、今回の撮影では、小さな卓上三脚を使いました。
正確なピント合わせにも貢献してくれるので、おススメです。
さらに、5倍までの撮影倍率となると、85mmの焦点距離があっても、被写体とのワーキングディスタンスは非常に短くなります。
ワーキングディスタンが短くなると、レンズや撮影者の陰で、被写体に光が回らなくなってしまいます。
そこで、中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X には、小型のLEDマクロリングライトが付属しており、モバイルバッテリーなどから電源を供給する事で、被写体を明るく照らす事が可能です。
コンパクトでそこそこの明るさがあるので、条件によっては便利そうです。
フィルター枠にねじ込むだけのシンプル構造なので、フィルター口径さえ合えば、他のレンズにも使えます。
ちょっとした事ですが、中一光学らしい、配慮だと思います。
使用用途が極端に限定されるので、誰にでもおススメ!と言えるレンズではありませんが、使っていてかなり楽しいレンズでした。中一光学 APO 85mm F2.8 SUPER MACRO 1-5X にしか撮れない世界があります。
こんな小さな公園に、こんなに撮る物があるのか!という驚きに満ちたテスト撮影に、1時間半ほどの撮影時間は、あっと言う間に過ぎました。
今回はストレートにマクロレンズとして使いましたが、アイデア次第でもっと面白い撮り方があるんでは!?と創造力を掻き立てられるのも楽しいレンズです。