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2020.02.01
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LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D レビュー

こんばんは!担当:Kです。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D のレビューです。

 

今回は LAOWA の看板レンズの一つ「ZERO-D」をテストしました。電子接点無しのレンズメーカー製レンズを使う際のデメリットの一つに、カメラ内のレンズ補正機能を使えない、という事があります。

 

物の形が歪むディストーション(歪曲収差)は、純正レンズならカメラの補正機能で簡単に除去出来ますが、サードパーティー製のマニュアルレンズでは、カメラの補正は使えないものが大半で、諦めて使うか、撮影後の面倒な画像処理が必要になります。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D は、9mmという超広角レンズでありながら、ディストーションを光学的に抑えたレンズで、写真撮影から処理の難しい動画撮影まで、メリットが多そうな製品です。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 本体

 

例えば、BMPCC4Kなどのシネマカメラに装着しても、直線が直線として再現されるので、パーンした際などにも、直線が真っすぐに流れる、自然な映像になります。

 

LAOWA 9mm F2.8 ZERO-D は、マイクロフォーサーズ用と、APS-C用の2種類がありますが、今回はAPS-C用をテストしました。

 
SONY α6400 + LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D
レンジファインダーカメラのレンズの様な、コンパクトなデザインも魅力です。
 

愛機 SONY α6400に、LAOWA 9mm F2.8 ZERO-D を装着、今回は、ディストーションの無さを見たかったので、被写体には直線的な被写体が多いビルや建築物を選びました。

 

少し足をのばして、都会を目指します。

 

実写レビュー

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例①
作例①

 

f22まで絞り込んで太陽の光に光芒を出すことで、スカッと爽やかな写真を目指しました。

 

LAOWAの必殺技と言っていいゴーストが画面右隅に入り、爽やかさを後押ししてくれました。LAOWAを使うメリットを、余すところなく伝えられる写真になったと思います。

 

ほぼ直線の橋が、実物どおり直線として写し取られ、ZERO-D の名前に偽りない好描写だと思います。直線に歪みの無いレンズは、ファインダーを覗いてカメラを左右に振るだけで良さがわかるものですが、LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D も、ディストーションの少なさは、ファインダーを覗いた瞬間からわかりました。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例②
作例②

 

近未来的な通路を、下からあおって撮影しました。

 

人工物ばかりの、直線だけで構成された画面は、レンズの歪みがあると、どこか間の抜けた雰囲気になってしまいますが、LAOWA 9mm F2.8 ZERO-D ではそういった事はありません。

 

ディストーションは、小さい画像でもわかる収差なので、可能な限り少ない方がいいと思っています。拡大して確認すると、ものすごくシャープという程では無く、色収差もそれなりに出ているのですが、物の形が破綻していないので、画としては引き締まった感じになっていると思います。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例③
作例③

 

ビルの谷間からのぞく青空を、見上げて撮りました。

 

画面を構成する全ての直線が、直線として再現されるのがとても気持ちのいいレンズです。9mmという画角はAPS-Cでは35mm判換算で約13.5mmの超広角になりますが、あまり経験しない画角なので、新鮮で楽しくテスト撮りを進められました。

 

APS-C用とは言え、コンパクトなデザインも、携行性、使い勝手を大幅に良くしており、さらに動画の撮影では使用がマストと言っていい、フィルターの装着が可能なのも LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D のメリットの一つです。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例④
作例④

 

真っ直ぐなものが真っすぐに写る快感を楽しみながら撮影を進めました。

 

普段であればテストなので、f値開放で撮影するケースが多いのですが、今回はあまりこだわらずに、絞ってパンフォーカスで撮るようにしました。レンズの被写界深度指標をこんなに使ったのは久しぶりです。

 

ピントを拡大して神経質にフォーカスリングを動かす事も少なく、距離目盛を見ながらアバウトに撮りました。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例⑤
作例⑤

 

夕日をバックに、まだ寒い中花を付けていたシロツメクサをローアングルで狙いました。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D は絞り込むとゴーストが入りやすくなる傾向のようで、このカットも最小まで絞り込んで撮影したおかげで、いい感じにゴーストが入り、ワイドレンズらしい演出になったと思います。

 

超広角レンズの常で、水平を撮るのがかなり難しいので、アクセサリーシューに取り付ける水準器などを用意しておくといいかもしれません。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例⑥
作例⑥

 

水平をとらずに、冬の夕日を LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D の強烈な遠近感を使って撮ってみました。

 

完全な晴天では無く少し雲があったのも良かったです。

 

超広角である事を活かして、建物の一部を写りこむように撮影しましたが、直線が曲がる事無く再現される事で、シャープなイメージになりました。個人的にディストーションが気になるタイプなので、ものが真っすぐ写るのがかなり気持ちよく、このあたりでかなり欲しくなって来ました。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例⑦
作例⑦

 

直線で構成されたビル群を、デザイン画のように配置して撮ってみました。

 

撮影日が晴天だった為、青く輝くビルがとても綺麗でした。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D は、あまりにも直線が直線になって気持ちいいので、どのくらい直線になっているのか、ガイドラインを引いてみました。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例⑦ガイド入り
作例⑦(ガイドライン)

 

まるで幾何学模様のように、パソコンで引いた直線にそって写っており、デジタルレンズ補正無しで、ここまで出来ているのは凄いとおもいます。

 

まさに ZERO-D です。

 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例⑧
作例⑧

 

めずらしく人工物が多い場所を撮影地に選んだ事も功を奏して、レンズの特性を活かした楽しい撮影になりました。

 

APS-Cサイズセンサーのカメラで、35mm判換算13.5mmという画角も未体験で、さらにこの画角でディストーションが出ない、という嬉しいオマケまで付いた、個人的にもかなり欲しくなったレンズです。

 

実は、先日マイクロフォーサーズ用を一度試していたのですが、レンズがあまりに良かったので、今回APS-C用で再度テスト撮影をやり直しました。その甲斐があったと思います。

 

画質

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例③拡大枠
 

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D 作例③拡大
作例③拡大

 

中心部の画像ですが、シャープネスも十分で使える画質です。

 

明暗差の大きい箇所に少しパープルフリンジが乗っていますが、実用十分なレベルにあると思います。

 

まとめ

LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D は、35mm判換算で13.5mmという超広角レンズ(APS-Cサイズセンサーカメラ装着時)でありながら、殆ど歪みの無い画像で、素晴らしいコンセプトのレンズだと思います。

 

個人的に歪みがかなり気になるタイプなので、普段の使用ではレンズのカメラ内補正で、歪曲収差を補正して撮るのが普通でしたが、デジタル処理なしでここまで歪まないレンズがあるのに感心すると伴に、こういったコンセプトのレンズを得意とする、LAOWAらしいレンズだと感じました。

 

価格も写りを考えれば安いと言っていいくらいで、この面でもLAOWAらしいレンズです。

 

今回はAPS-Cで試しましたが、冒頭にも書いたように、人気のシネマカメラ BMPCC4K(ブラックマジックデザイン)用の歪みの少ない広角レンズ(マイクロフォーサーズだと35mm判換算で18mm)として使っても面白いと思います。

 

自分でもかなり欲しくなる、心惹かれるレンズでした。

 

>>> LAOWA (Venus Optics) 9mm F2.8 ZERO-D


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