中国製のレンズメーカー LAOWA(ラオワ) のマイクロフォーサーズ用超広角レンズ 7.5mm F2 MFT のレビューです。
LAOWA(ラオワ)7.5mm F2 MFT は、35mm判換算で15mmの超広角でありながら、非常に小型のマイクロフォーサーズマウントのレンズです。金属鏡筒を採用していながら、約170gという軽量なレンズで、フォーカスはマニュアル、ピントリングの操作感はやや重めなので、絞ってパンフォーカスで使用する際も、勝手にピントリングが動いてしまう事は少なそうです。
LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT の最短撮影距離は12cm(最大撮影倍率0.11倍)で、フィルター口径は46mmと広角レンズとしては小さめなので、装着フィルターには注意が必要です。絞りはクリック付きで、最小絞りはf22までです。
今回は撮影テストが主でしたので、テストボディに画素数も多く使い慣れた OLYMPUS OM-D EM-1 MarkII をセレクトしましたが、Panaosnic GM1 や OLYMPUS PEN f と言った、コンパクトなボディの方が、デザイン的にはマッチするかもしれません。
テスト撮影の日はフジヤカメラのブログでは珍しく晴天に恵まれ、温かい日差しを浴びて気持ち良くフォト散歩を楽しめました。太陽にレンズを向けてシャッターを切りましたが、大きくゴーストが入ってしまいました。中国製のレンズは、コーティングや内面反射の処理がイマイチで、こういった逆光線でゴーストが入ってしまうケースが多いようです。
一般的には欠点と言えますが、ファインダーを覗きながらゴーストの入る位置を微妙に調整しながらの撮影は、性能のいいレンズでは味わえない新鮮な楽しさがあります。
池のほとりにしゃがんだら、大きな鯉が猛然と突進して来ました。慌ててカメラを構えましたが、こういった際にマニュアルフォーカスは大変です。7.5mmという短い焦点距離なので、被写界深度は深いですが、2,000万画素を超えるデジタルカメラでは、少しのピントのずれも気になるところなので、慎重になります。
なんとか、ピントを合わせてシャッターを切りました。誇張された遠近感で鯉の顔が面白く撮れて、LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT の、35mm判換算15mmという超広角が活かせた写真になったと思います。
雲一つない晴天で、本当に気持ちのいい撮影になりました。が、写真からはレンズの欠点が見てとれます。青空は大きく周辺光量落ちしていますし、下部の階段の部分を見ると、大きくたる型の歪みが出てしまっています。
LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT は、こういったレンズの欠点を、個性とみなせる撮影者向きのレンズだと思います。個人的には、陣笠型の、無理をして補正した歪みよりも、こういった素直なたる型の歪みの方が好きです。
画面中央に被写体を置いた日の丸構図ですが、周辺光量落ちがメリットの写真になったと思います。併せて同心円状のゴーストが入ってしまいましましたが、これは余計だったかもしれません。撮影中には気づきませんでした。
ボケ味はお世辞にも綺麗とは言えませんが、個性的と言えば個性的です。色の感じもコーティングによるものなのか、クラシックな感じで、ネガフィルムで撮ったような味わいを感じます。
古い民家の柱を、少しアンダー気味の露出で撮影しました。最短撮影距離12cmは、マクロに強いという程ではありませんが、開放ではf2と比較的明るい事も功を奏して、背景をボカす事が出来ます。個人的にレンズのカラーバランスの個性を活かすなら、ちょっとアンダー気味に撮るのがいいレンズだと感じました。
鉄製のカッコいいテーブルです。つややかに磨かれたテーブルの質感を LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT がうまく描写してくれました。写りとしては、かなり大雑把なレンズで、お世辞にもシャープで抜けがいい、という訳ではありませんが、ネガフィルムで撮っていた時代を思い出す、クラシックな描写には好感が持てます。
かなり軽量で、電子ジンバルに乗せて使っても苦にならなそうなので、ゴーストの発生を利点に変えられる、動画での使用も面白いかもしれません。
例によって、広角レンズと言えば、夜景撮影というイメージがあるので、夜間のスナップ写真を撮りに出かけました。かなり寒いです。まだ少し残照の残る中、LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT の、豪快に落ちる周辺光量のおかげで、少し不思議な写真になりました。しかし、OLYMPUSの青の表現は綺麗ですね!
クラシックな車が、オブジェ的に飾ってありました。先ほどの鯉のカット同様、遠近感が誇張されて、車の顔が面白く表現できました。ちょっと古臭いクラシックカーの色合いが LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT の独特のカラーバランスとマッチしたと思います。
板塀が続く道を、超広角レンズの誇張された遠近感を使って、放射線状に捉えてみました。強烈な点光源に、同心円状のゴーストが発生しています。先の太陽を捉えてカットでも同じようなゴーストが発生していたので、LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT の特性のようです。写真をよく見ると、右隅に壁を登るサンタが写っていて、少しシュールな写真になりました。
実写テスト4枚目のカットを拡大して画質を見てみたいと思います。
中心部の描写はまずまずです。逆光線で、柔らかくフレアが出ているおかげで、描写が柔らかくなっています。抜けがいい、シャープなレンズとは言えませんが、柔らかいクラシックな描写を、上手く写真に活かしたいものです。
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良くも悪くも、中国製レンズの特徴が色濃く出ているレンズでした。実は今回、LAOWA製のマイクロフォーサーズマウントのレンズを3本一緒にテストしたのですが、7.5mm f2という難しい設計の為か、LAOWA (Venus Optics) 7.5mm F2 MFT は、性能的には一番劣るレンズでした。
個人的に感じるこのレンズの価値は、35mm判換算で15mmという超広角でありながら、f2を達成している事、カラーバランス、ゴーストやフレアの発生といった、クラシックな描写である事だと思います。他にない面白いスペックのレンズがラインナップされているのも、LAOWAの魅力の一つです。