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2019.11.18
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FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 実写レビュー

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 の実写レビューです。   X-Pro3 はまるでフィルムカメラのようなデザインと操作感で、写真を撮る事を楽しませてくれるカメラです。

 

FUJIFILMのフィルムシミュレーションと併せて、フィルムで撮っていた頃を思い出しました。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 本体①

 

先ず目を引く、液晶モニターが内側になるデザインは、モニターでは無く「ファインダー」に集中して写真を撮って欲しい、というメーカーのメッセージを強く感じます。

 

個人的には、アイレベルで撮ってしまいがちなファインダーよりも、アングルを工夫し易い液晶モニターの方が好きです。FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 を使う際にも、メーカーの意図に反して液晶モニターを広げて撮る事も多かったのですが、ここでメリットを一つ感じました。

 

それは、カメラ底面とモニターが面一になる為、液晶モニターを開いて撮る際に、安定して構えられる事です。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 本体②

 

手のひらの中にモニターを包み込むように構えられます。

 

これは、メーカーの意図では無いと思いますが、まるでウエストレベルファインダーを使って撮っているような落ちついた気持ちで撮影出来て、とても良かったです。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 本体③

 

選択したフィルムシミュレーションを表示する背面の小窓も、フィルム時代から写真に携わっている身には懐かしく、デジタル以降の人には新鮮に感じるのではないでしょうか。

 

フィルムカメラの時代には、カメラに入っているフィルムの銘柄がわかるよう、裏蓋の小さなポケットに箱を切り取って入れて置くのが普通でしたが、それがこの小窓のデザインになっています。

 

小さな液晶画面に表示される「Velvia」や「ASTIA」の表示は、フィルムの箱のイメージそのままで、古いカメラファンとしては、これだけで気分が上がります。

 

実写レビュー

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例①
作例①:1/320 f4.5 ISO160 露出補正±0 フィルムシミュレーション:Velvia
 

圧倒されるようなイチョウ並木の黄色を表現したくて「記憶色」を再現をするフィルムシミュレーション「Velvia」を選択してシャッターを切りました。

 

私が初めてリバーサルフィルムを使った25年くらい前、彩度が非常に高く、ややマゼンタ傾向のカラーバランスで「記憶色」を再現したとされるVelviaは、風景写真で一世を風靡していました。

 

高い彩度とコントラストは、実物以上に感動的に風景を切り取ってくれます。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例②
作例②:1/20 f5.6 ISO160 露出補正+0.3 フィルムシミュレーション:Velvia
 

せっかく FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 を使っているので、極力ファインダーを覗いて撮る事を心がけました(が、冒頭に書いたように液晶モニターも使いやすかったです)。

 

このカットは、ハーブ園の中の小さな池の縁に立って、見下ろしながら撮影しました。池に反射する自分が写らないように、立ち位置やアングルを調整します。密閉ファインダーを覗きながら撮ると、そういった細かい事に集中出来て、失敗が少なくりそうです。

 

1枚目のカットと同様に、フィルムシミュレーションにVelviaを選択したおかげで、青空が反射した池の青さと、緑の浮草、影の部分の黒が、高いコントラストで実物よりも綺麗に写し取れたと思います。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例③
作例③:1/75 f3.6 ISO160 露出補正±0 フィルムシミュレーション:PRO.Neg.Std
 

林の中で見つけた落ちた木の実に、秋から冬への季節の移ろいを感じてシャッターを切りました。

 

低めのコントラスに、やわらかい光の感じと、落ち葉の色の感じを出したくて、フィルムシミュレーションはPRO.Neg.Stdを選択しました。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 のデザインの意図は、ファインダーを覗いて撮る事だと思いますが、早速液晶モニターを使ってローアングルで撮影してしまいました。

 

冒頭にも書きましたが、カメラ底面を支点とした液晶モニターが思った以上に使いやすく、こういったローアングルの撮影でも普段自身で使っているSONY α6400よりも使いやすいくらいでした。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例④
作例④:1/180 f2.0 ISO160 露出補正±0 フィルムシミュレーション:PRO.Neg.Std
 

人のいないベンチに、秋真っ盛りの現在と、もうすぐ冬が訪れる未来の寂しさを感じてシャッターを切りました。

 

フィルムシミュレーションはネガスタンダードですが、1枚目のイチョウの色と比べると、格段に彩度もコントラストも低いのが見て取れると思います。個人的に冬の風景の茶色を表現するのにPRO.Neg.Std程適したフィルムシミュレーションは無いと思います。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 は、季節の移ろいを撮りたくなるカメラです。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑤
作例⑤:1/300 f2.0 ISO160 露出補正-0.3 フィルムシミュレーション:ASTIA
 

公園の遊歩道の石垣に射した冬の光が綺麗でシャッターを切りました。なんて事のない風景にカメラを向けるのも写真の楽しみの一つだと思いますし、なんて事のない風景に目を向けたくさせてくれるところが、FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 の魅力の一つかもしれません。

 

こういったシーンを、Velviaで撮ると、特に緑の色が鮮やかになりすぎて、悪く言うと「どぎつく」なってしまいます。かといってネガスタンダードを選択すると、暗い森の黒が締まらなくなってしまって、少し印象と違った画になってしまいます。

 

このカットではポジフィルムとしてはやや軟調のフィルムシミュレーション「ASTIA」を選択しました。

 

FUJIFILMのカメラは、こういった各フィルムの特徴を把握しながら撮るのが楽しいです。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑥
作例⑥:1/2400 f2.0 ISO160 露出補正-2.3 フィルムシミュレーション:Velvia
 

地面に落ちた椿の花びらに、そこだけ光があたっていました。

 

黒を真っ黒にして、椿の花びらの鮮やかさとの対比を表現したかったので、フィルムシミュレーションはVelviaを選択しました。併せて黒をつぶす為に露出補正をアンダーにかけています。

 

良し悪しは別にして、意図通りの写真が撮れて満足です。スピードや精度だけでなく「こう撮りたい」という撮影者の意図を写真に伝えやすい、FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 はそんなカメラに感じます。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑦
作例⑦:1/28 f5.6 ISO160 露出補正±0 フィルムシミュレーション:ETERNA

 

木の階段に落ち葉と、不思議な模様が刻まれていました。カタツムリがはい回った跡かもしれません。黒っぽい木の質感をつぶす事無く再現したくて、諧調が豊かと評判の動画フィルムのシミュレーション「ETERNA」で撮影しました。

 

個人的に FUJIFILM のカメラを使う際は「鮮やか」と「柔らかい」なフィルムシミュレーションの2種類を事前に選んで使う事が多いです(今回はカメラのテストなので限定しませんでしたが、普段好きなVelviaとPRO.Neg.Stdがどうしても多くなってしまいました)。

 

そんな「柔らかい」側の代表的なフィルムシミュレーションが「ETERNA」です。

 

PRO.Neg.Stdとどちらを使うか迷うところです。私も迷うので比較してみました。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 テスト写真 フィルムシミュレーション比較
フィルムシミュレーション比較

 

左からASTIA→PRO.Neg.Std→ETERNAですが、ASTIAはソフトなフィルムシミュレーションとは言え、リバーサルフィルムのそれなので、相応の彩度とコントラストがあります。

 

対して、PRO.Neg.StdとETERNAは明らかにコントラストが低く柔らかい調子で、やはりどちらを選ぶか迷うところです。

 

この写真からだとわかりずらいのですが、コントラストはETERNAが、彩度はPRO.Neg.Stdが少し低いようなので、そのあたりをポイントにどちらを選択するか決めるといいと思います。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑧
作例⑧:1/420 f2.0 ISO160 露出補正-0.7 フィルムシミュレーション:PRO.Neg.Std

 

日陰の椿の花と黒ずんだ葉の色の対比をフィルムシミュレーションネガスタンダードが、柔らかく表現してくれました。個人的に、今回の撮影で一番フィルムシミュレーションがバッチリハマったと感じたカットです。

 

実は、Velviaで違うアングルから撮ったカットもあったのですが、コントラストが高くなりすぎるのと、椿の花の色がキツくなりすぎてしまって好みに合わなかったので、ネガスタンダードで撮影したカットを選びました。

 

黒っぽい葉の色がツブれる事無く再現されたのと、背景のボケが柔らかく再現されて、お気に入りのカットです。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑨
作例⑨:1/500 f2.0 ISO160 露出補正-0.3 フィルムシミュレーション:Velvia

 

色づき始めたモミジの大木を、老夫婦がご覧になっていました。

 

真っ赤に染まったモミジのは勿論綺麗ですが、ゆっくりと色づいていく過程のモミジも、緑から赤へのグラデーションが綺麗です。

 

ご夫婦が写りこんだのも、偶然とは言え写真を面白くしてくれたと思います。私もこのご夫婦のように、いい老後を送りたいと思いますので、そろそろ撮影は終わりにして今回アシスタントを務めてくれた妻に、ランチをおごる事にします。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑩
作例⑩:1/18 f3.2 ISO160 露出補正+0.7 フィルムシミュレーション:Velvia

 

さて、撮影も終わりましたし、ランチにはグラスビールをいただきました。

 

結構な距離を歩いて撮影しましたので、のどが渇いてビールが美味い!ミートボールを食べながら至福のひと時です!(しつこいようですが、撮影はオフの日に行っています)

 

ビールのクリアな美味さ、キリっと冷えた雰囲気を伝えるならフィルムシミュレーションはVelviaがおススメです。

 

新フィルムシミュレーション「クラシックネガ」

先日発売となったSIGMA fpに搭載されたカラーモード「T&O(ティールアンドオレンジ)」が話題のようですが、FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 にはちょっとノスタルジックな感じのフィルムシミュレーション「クラシックネガ」が新たに追加されました。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑪
作例⑪:1/100 f2.0 ISO160 露出補正±0 フィルムシミュレーション:クラシックネガ

 

PRO.Neg.Std とは少し風合いの違う、独特な色バランスは、街のDPE屋でプリントをしていたあの頃を思い出す、どこかノスタルジックな印象を受けます。

 

FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 作例⑫
作例⑫:1/250 f2.5 ISO160 露出補正±0 フィルムシミュレーション:クラシックネガ

 

個人的にこのモードはかなり気に入りました。

 

まとめ

撮影がとても楽しいカメラで、リバーサルフィルムで写真を撮っていた頃を思い出しました!

 

メーカーの意図として、「ファインダーを覗いてフィルムライクに撮るカメラ」といった物があるとは思うんですが、そこに拘る必要も無く、柔軟に対応出来る懐の深さのあるカメラだと思います。液晶モニターで撮っても使いやすいですよ!(笑)

 

古い写真ファンとしては、とりあえず背面のフィルムシミュレーションの表示を見るだけで、気持ちが上がります。

 

勿論、吐き出される画は、FUJIFILMの最新世代のX-Trans CMOS 4のそれですから、素晴らしいものです。

 

しかし、そんな「画質」とか「性能」とか言った事では無い、兎に角初心に帰って写真を表現する事を楽しみたくなる、FUJIFILM (富士フイルム) X-Pro3 は、そんなカメラでした。

 
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