SONY (ソニー)のAPS-Cサイズセンサー用の大口径標準ズームレンズ E 16-55mm F2.8 G のレビューです。
APS-C用とは言え、大口径ズームレンズとしては、比較的スリムで、手振れ補正が無いなどのデメリットもありますが、持ち運び易いコンパクトなデザインのレンズです。
フォーカスやズームの動きも「G」レンズらしい滑らかなものです。
最近は、APS-Cセンサーカメラ用の高性能なレンズは、新たにラインナップに加わる事が少なくなって来たので残念に思っていました。
久しぶりの新レンズに、愛機α6400にテストレンズを付けてテスト撮りに出発しました。
例によって時間の無い中でのテスト撮影だったのですが、今回はさらに思いもよらぬハプニングが起こりました。
とある公園で、シーズンのコスモスを撮ろうと予定していたのですが、なんと公園内にイノシシが出た!という事で、公園に入れなくなってしまったのです。
仕方なく、別の公園の雑木林を散策しながらテスト撮影を行いました。
時期的に紅葉には早く、しかも曇り空の今にも雨が降り出しそうな天候の中、林の中は閑散として色がありません。そんな中、落葉した枝に残った赤い実をパシャリ。
SONYらしい鮮やかな発色で、艶やかな木の実を写し取れました。
SONY (ソニー) E 16-55mm F2.8 G の最大撮影倍率は0.2倍。最短撮影距離は30cm、望遠側ではボケも大きくなり、ボケ味も申し分なく綺麗です。
今回訪れた公園は、特に何があるという訳ではなく、ただ雑木林の中に木道が整備されているだけの公園だったのですが、途中小さな小川があったりして、気持ちよく散策出来ました。
それこそイノシシが出そうな原生林で、様々な木々や草が入り組んでおり、写真を撮る身としては飽きませんが、やや単調な景色です。
テスト撮影なので、一部の焦点距離に写真が偏らないように気をつけながら撮影を進めて行きます。
紅葉にはまだまだ早い時期ですが、ほんの少しだけ色づき始めたつる草にレンズを向けました。
SONY (ソニー) E 16-55mm F2.8 G は、APS-Cサイズセンサー用という事で、今回のテストボディはα6400です。自分のボディなので、操作に戸惑う事も無く、快適に使えます。
あいにくの曇り空の中での撮影でしたが、SONYのカメラ、レンズは色乗りも良く、地味な被写体でも見栄え良く写しとめてくれます。
幹の途中から、ぽよんと飛び出た一葉を下から狙いました。
後から、背景を曇り空の白一色にすれば良かったかも、と少し後悔しました。背景をボカす写真では、ボケた背景の色や形を気にしながら撮るのですが、失敗です。
SONY (ソニー) E 16-55mm F2.8 G のズームのトルク感は適度な重みがあり、上を向いた撮影でも、ズームがずり落ちて来るような事はありませんでした。
木道の端に、かろうじて受け止められた枯れ葉を被写体にしました。
ほんとうに何もない、ただの雑木林だったので、被写体を探すのには苦労しましたが、逆に、飲み頃を過ぎたワインから、ほんの少しの果実味を探すような楽しさがあり、撮影自体は楽しく順調に進みました。
このくらいの距離感で撮影をすると16-55mmという焦点距離は丁度いいと感じました。これがf4のレンズだとつまらなかったと思うのですが、大口径f2.8は背景を大きくボカせるので、構図も整理し易くなります。
時期的にあまり色が無かったので、形に焦点を当てて撮っていきます。
SONY (ソニー) E 16-55mm F2.8 G の、最大撮影倍率0.2倍は、高い能力とは言えませんが、f2.8の明るさと併せて、マクロっぽい表現もこなしてくれます。このくらいの大きさの物をマクロ撮影する際、被写体の大きさをズームで調整出来るのも便利です。
たまに、お店に料理の写真を撮るためにマクロレンズを希望する方がいらっしゃいますが、余程小さなお菓子などを撮るのでなければ、標準ズームの方が便利だとアドバイスさせていただく事が多いです。
林を抜けると大木が一本、天に向かって枝葉を広げていいました。曇り空が白になるまで露出をプラス補正してシャッターを切ります。
周辺光量補正はONで撮影したつもりでしたが、四隅が若干暗くなりました。α6400よりも後に出たレンズなので、カメラ側にレンズ情報がまだ無いのかもしれません。まめにカメラのファームもアップデートした方がいいですね。
テストの為の写真にならないように心がけていますが、このカットはパープルフリンジの出方を見たくて切ったカットです。拡大して確認してみます。
画面左下隅の拡大ですが、残念ながらパープルフリンジが発生しています。
解像感やシャープネスは申し分くかなり高いレベルにありますが、パープルフリンジの発生は高性能モデルの「G」レンズとしては少し物足りなく感じます。
再び暗い森の中にもどります。変わった形の実があったので、真上から撮りました。横から見た時と、真上から見た時では随分と印象が変わり面白いです。
木道からの撮影で、多少不自由な体制ですが、ブレる事無く撮れました。SONY (ソニー) E 16-55mm F2.8 G には手振れ補正がありませんが、林の中の薄暗い条件でも、今回の撮影ではブレたカットは殆どありませんでした。
手振れ補正が無い事を多少意識して撮影したのは事実ですが、最近のカメラは高感度も強いので、必ず必要な機能でもありません。手振れ補正が無い分、小さく軽く省エネになっていると思うので、こういった決断は歓迎したいところです。
さて、撮影も終盤となる頃、ついに小雨がぱらつき初めました。
カメラをしまって撤収です。イノシシによるアクシデントを乗り越えて、偶然見つけた公園でなかなか充実した撮影が出来ました。
今回は移動に車を使った為、〆のビールが楽しめなかった事だけが心残りです。
実写テスト1枚目のカットからの拡大です。
小さな赤い実の凸凹や質感が見事に再現されており、素晴らしくシャープなレンズです。
設計が新しいだけあってAPS-C用の標準ズームレンズとしてはトップクラスなのではないでしょうか。
実写テスト3枚目のカットからの拡大です。
以下は、レンズに関する感想ではないのですが、このカットでは、やや厳しい条件での撮影(ISO1600)の為か、画がやや平板になってしまいました。特に背景の暗部の描写はノイズが入り、映像エンジンが画を作った感があります(一つ前のカットと背景を比較すると滑らかさに違いがあると思います)。
APS-Cサイズセンサーカメラの限界を感じます。普通に見る分に問題が出る部分ではありませんが、やはり風景写真のような、高精細が求められる撮影には、フルサイズ一眼が有利だと感じます。
久しぶりのAPS-Cサイズセンサー専用レンズのレビューでした。
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