Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical E-mount のレビューです。 既にEマウント用の、超高性能なレンズとして定評のある「APO-LANTHAR(アポランター)」の標準レンズの登場で、画質について非常に期待しながらのテストでした。
いいレンズはファインダーを覗いてフォーカスするだけで何となくわかるものですが、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount は、まさにそんなレンズでした。
今回のテストに選んだカメラはSONY α7RIVです。 かなり高性能なレンズであることは、既に発売されている別のAPO-LANTHAR(アポランター)の写りから容易に想像出来たので、現時点での最高性能のカメラを選択しました。結果的にこれは大当たりでした。
デザインはおなじみのクラシックな見た目で、手に持つとズッしり重い重厚な質感が伝わって来ます。鏡筒に描かれた3色のラインが、高性能なレンズに与えられる名称「APO-LANTHAR(アポランター)」である事を主張します。
今回は、日本の中のアメリカ、横田基地周辺を散策しました。横田基地周辺は、国道16号線沿いにアメリカンなショップや飲食店が立ち並び、さながら日本に居ながらアメリカに来たような雰囲気を味わえます。
大型トラックが、ゴーゴーと唸りを立てて走り去るのをしり目に、まだ店が開く前の早い時間帯、BASE SIDE STREETをのんびりと写真散歩しました。
撮影当日は素晴らしい晴天に恵まれ、秋らしく乾いた爽やかな空気を楽しみながらのフォト散歩となりました。光の加減に、どこか夏の爽やかさを感じる写真になりました。
冒頭に書いたとおり、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount は、カメラを構え、ファインダーをのぞき、ピントリングに連動して画面が拡大された瞬間にレンズの良さが伝わって来ました。
レンズは鋭いですが、撮影はマニュアルフォーカスを活かして、まったりと進めます。高性能であるという事はそれだけシビアであるという事なので、ゆっくり慌てず慎重に、シャッターを押すまでのプロセスを楽しみます。
アンティークなアクセサリーをウィンドウ越しにばしゃり。細かく繊細なアクセサリーを、同じく素晴らしいシャープネスと抜けの良さを持った Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount が、実物さながらに写し取ってくれました。
細かな細工にシワリジワリとピントを合わせて行くと、ピントの底から、見たことのないシャープさで宝石たちが浮かび上がって来ました。レンズの性能は勿論、マニュアルフォーカスである事の良さが実感出来る瞬間です。
道端の雑草ですが、近接でボケの水底に被写体を落とせば、ピント部分のシャープさが際立って、ちょっと非日常な風景に早変わりします。
柔らか目のレンズで、ピントの立ち上がりを楽しむのもいいですが、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount には、カミソリのようにシャープさで、ピントの合った部分に、強制的に視線を誘導されるような強さを感じます。偶然ですが、今日の光はこのレンズに合っていたと思います。
周辺には「米軍ハウス」というのでしょうか、こういった平屋の家屋が今でもぽつぽつと見つかります(ここは空き家)。バスケットのゴールが如何にもアメリカらしいです。
最近、自身のカメラには24mmがつけっぱなしになっているせいか、50mmの画角はやや狭く感じました。おかげで、構図はまとめ易く、自然なパースといい「標準レンズ」の良さを堪能出来ました。オートフォーカスのズームレンズで、便利にシャッターチャンスを優先して撮影するのもいいと思いますが、たまにはこういった最高の性能のレンズを、ゆっくりピントに神経を使いながら撮影するのもいいものです。
見上げれば真夏の太陽が!と言いたいところですが、爽やかな秋風が吹いています。写真って嘘つきだな~と思いますが、それも写真の醍醐味です。実は光芒を出したくて、絞りを最小のf16を選択していますが、思ったように光芒が出ませんでした。光が強すぎたのかもしれません(APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount の絞りはf16まで)。
フォクトレンダーのレンズは、意図的に設計をクラシックにしてある為か、高画素のカメラと組み合わせると、明暗差が大きい部分にパープルフリンジが出てしまう事もあったのですが、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount では、そういった事も殆どありませんでした。
自動販売機?冷蔵庫?なんだかわからない青い箱が店の前に置いてありました。良く見ると「COIN」と書いてあり、お金を入れる場所があるので、何かの自動販売機のようです。 え?どこにCOINって書いてあるのかって?ほら、青い箱の真ん中のあたりのそこですよ!
すみません、上の画像では見えないと思うので拡大してみます。
はい!ここでした。
先の画像から拡大して、まだまだ余裕があります。カメラは現時点で最高の解像力を誇るSONY α7RIVです。まだテスト撮影に登場した回数も少ないカメラで、予測を含んだ感想ですが、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount は、現時点で、このカメラの性能を活かしきる能力を持った、数少ないレンズの一つだと思います。
これだけ拡大して尚アルミに浮いた錆まで確認出来る(さらに、その錆の立体感まで感じ取れる)のにはただただ驚くばかりです。このレンズ、ヤバイです。
テストした日は、抜けるような秋晴れで、爽やかな秋風を受けながら気持ちよくフォト散歩出来ました。こんな日は太陽を背にして、青空を目いっぱい撮ってみたくなるものです。抜けるような青空を、少しアンダー目の露出で撮影しました。
米軍ハウスの向こうに広がる、青空のグラデーションが極端とも言える高性能なカメラ、レンズのお陰で鮮やかに写し取れました。
ベスパがオブジェとして置いてありました。ボディカウルに描かれたナイトに向かって、ゆっくりとフォーカスリングを動かします。SONY α7IV の、現行のEVFの中でもトップクラスの見やすさを誇る576万ドットのファインダーが、アウトフォーカスからピント位置への動きを的確に再現してくれます。
フォーカスリングの滑らかさ、適度な重さ、ファインダーの見易さ、再現性の高さなどなど、一つでも欠ければマニュアルフォーカスの楽しみは半減してしまいます。そういった意味で、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount とSONY α7IVはいいコンビネーションを見せてくれました。
基地の近くという事で、軍の払い下げ品を扱う店がありました。オブジェとして置かれた人形の深いしわをたたえた顔つきに魅力を感じてシャッターを切りました。
高性能なレンズとカメラの組み合わせは、ピントにかなり気を使いますが、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount は、電子接点を備えたマニュアルフォーカスレンズなので、ピントリングに連動したピントの拡大に対応しており、又、SONYのカメラはシャッターの半押しで全体像に戻せるので、ピントをやり直しながらの撮影も苦になりませんでした。
既に実写テストの中で、拡大したカットをのせていますので、十分だと思いますが、レンズの凄さをより感じていただきたく、数枚の拡大画像をのせたいと思います。
3枚目のカットからの拡大画像です。ダイヤモンド、ではないと思いますが、ガラスのカットの一面一面の立体化まで写し取られていて、このカットだけ見たら拡大画像だとわからないレベルのシャープさです。これが開放での描写なんですからさらに驚きです。
4枚目のカットの拡大画像です。Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount は、近接域でも描写力が衰えることはありません。
葉の表面に毛が生えているのがわかります。正直言って凄いです。このような表現を、レンズの性能を表すのに使うのはそぐわないかもしれませんが、化け物じみたレンズだと感じました。
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レンズの性能を解像力、シャープネス、抜けの良さといった事に限定するなら、まさに化け物じみた性能を持った、レンズです。当ブログでも、様々なレンズを使って来ましたが、Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR(アポランター) 50mm F2 Aspherical E-mount は、今まで取り上げた中でも最も性能のいいレンズかもしれません。
色収差も良好に補正され、パープルフリンジが出る事も殆どありませんでした。デザインは好みの分かれるところだと思います(個人的にはいま一つな気が・・・)が、羊の皮をかぶった狼的な良さがあるかもしれません(特にフードがただの筒なのはいまいちだと思います)。
性能の割にはリーズナブルな価格もメリットで(50mmの超高性能レンズは30万円を超えるケースも多い)、例のあのメーカーやあのメーカーが高すぎて買えない、というユーザーにもおススメです。ファインダーを覗いて、ピントを合わせた、ただそれだけで化け物じみた解像感に驚かされました。SONY α7IV とのコンビに、これほど相応しいレンズは無い!と感じました。