OLYMPUS (オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20 の実写レビューです。
結論から先に申し上げれば、2x Teleconverter MC-20 は、AFスピード、性能ともに、テレコンバーターを感じさせない、非常に高性能なテレコンバーターだと感じました。
以前は、テレコンバーターとデジタルカメラは、画質の劣化などの理由から相性が悪いと言われ、高画素のデジタル一眼に、テレコンを装着して使用する事をおススメ出来ない時期もありました。
しかし最近では、マスターレンズの性能が以前に比べて格段に良くなり、又、テレコンバーターの性能も向上している事から、性能的にも安心して使用出来る組み合わせが多くなりました。
今回テストした OLYMPUS (オリンパス)? 2x Teleconverter MC-20 も、組み合わせられるレンズが少ないという短所はありますが、その分、性能的に安心して使えるテレコンバーターとなっているようです。
MC-20 の価格は約4万円(2019.6.28現在)と、ちょっとしたレンズ並みの価格ですが、性能的に高いレベルにあるなら、レンズをもう一本買ったという詭弁もたつので、ある意味お買い得なアイテムかもしれません。
1にも2にも、マスターレンズの性能を、どこまで維持できるか、にかかっていると思います。それでは、早速、実写テストをしてみたいと思います。
>>> OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
さて、プライベートな撮影では、望遠レンズを使う機会が殆ど無い為、超望遠レンズのテストをする際、毎回困るのがロケーションです。
鉄道、野鳥、飛行機など、望遠レンズを使うのが定番となる被写体は、殆ど撮った事が無く、全く自信がありません。レンズテストで、失敗写真やあまりにもひどい写真を使うのもどうかと思いますし・・・
と、言う訳で、以前SONYの400mm f2.8のテスト撮影を行った、動物園でテストをする事にしました。
40-150mm F2.8 PRO に 2x Teleconverter MC-20 を装着すると、焦点距離は2倍の80-300mm(35mm判換算で160-600mm)、f値は2段暗いf5.6になります。
テレコンバーターは取り外して使う事も出来るので、詭弁ではありますが、40-300mm f2.8-5.6(しかも150mmまではf2.8の固定の!)のレンズになる、と考えられない事もありません。
さらにマイクロフォーサーズですので、軽量コンパクトで非常に取り回しが良く、機動性を重視した動物、野鳥、飛行機、鉄道などの撮影に、大きなメリットのありそうな組み合わせです。
OLYMPUSのカメラを使って毎回感じる事は、ピントを拾いに行くスピードが速い、という事です。
シャッターを半押ししてから、ピントが合うまでの時間が非常に短いのに驚かされるのですが、今回さらに驚いたのは、2x Teleconverter MC-20 を装着してもオートフォーカスのスピードがほとんど落ちない事です。
最初の1カットを撮る為にファインダーを覗いた際、MC-20 の装着を忘れたかと思いました。それ程の違和感の無さです。
ゆっくりと泳ぎ出したサイの顔が、水面に映って面白かったので、慌ててシャッターを切りました。
40-150mm F2.8 PRO に MC-20 を装着すると、焦点距離は2倍の80-300mmとなります。35mm判換算で160-600mmの超望遠ズームレンズという事です。
超望遠レンズでありながら、重量はレンズとテレコン、合わせて1,030gほどと非常に軽量で、慌てて撮るようなシチュエーションでもフットワーク良く撮影する事が出来ました。鋭く速いオートフォーカス、強力な手振れ補正と併せて、シャッターチャンスに非常に強いシステムだと思います。
大人気のあいつの背中です。日中あまり起きている事の少ない生き物のようですが、この日は運良く起きていました。
40-150mm F2.8 PRO + 2x Teleconverter MC-20 の組み合わせはこの「運良く」に対応し易く、先ほどのサイと同様、ゆっくりとは言え動く被写体に、やや焦りながらの撮影でしたが、うまく真後ろから撮影出来ました。
テレコンバーターを装着した状態でも、ボケ味が綺麗なのも特筆すべき特徴で、柔らかいボケがコアラの哀愁漂う後ろ姿を表現してくれました。
40-150mm F2.8 PRO + 2x Teleconverter MC-20 の組み合わせが最高に威力を発揮してくれたのが、昆虫館でチョウの写真を撮る時でした。テレコンバーターは、装着しても最短撮影距離がほぼ変わらない為、超望遠マクロズームとして使えるからです。
逃げない距離から、速いオートフォーカスを使って、シャッターチャンスを逃さずに撮れるので便利です。
又、超望遠は被写体を見失う事が多々ありますが、ズームで一度引いて被写体をフレームインさせる事が出来るのも便利でした。チョウのような、小さく動く被写体には有効だと思います。
常に飛び回りながら花を探すチョウの撮影は、シャッターチャンスは多いのですが、チャンスは一瞬です。動きがランダムな為、予測したり置きピンしたりするのも難しかったですが、40-150mm F2.8 PRO + 2x Teleconverter MC-20 の組み合わせは的確にチャンスをものにしてくれました。
マイクロフォーサーズは、同じ画角なら、35mm判フルサイズのカメラと比較して焦点距離が短い為、被写界深度が深くなる事、又、被写界深度を稼ぐために絞る必要が無いので、シャッタースピードを速く設定出来、ピンボケやブレのリスクが大きく低下する事も、望遠マクロとしての扱いやすさにプラスに働きました。
こういった事からも、マクロ撮影時のシャッターチャンスに強いシステムと言えるでしょう。
先に書いたとおり、テレコンバーターを装着した状態でも、ボケは非常に綺麗で、それは近接でも変わりません。背景の木漏れ日の光が美しく再現されました。
撮影後確認したら、チョウの羽根の先が大分いたんでおり、少し疲れた感じに見えます。背景の美しさとの対比で、ちょっとドラマチックになりました。
解像感を見る為に拡大してみます。
細かい羽根の模様の再現など、かなりシャープな画質です。
ここまでの拡大にも十分以上に耐えられるのは、凄いの一言です。これなら、かなりの大伸ばしにも十分対応出来そうです。マイクロフォーサーズ用の超望遠レンズの画質として、かなりハイレベルだと思います。
なにより、これは2倍のテレコンバーターを、ズームレンズに装着した画像なのです。
さて、次に ED 300mm F4.0 IS PRO との組み合わせを見てみたいと思います。
「300×2×2=1200」。35mm判フルサイズ換算で、なんと1,200mm相当の超望遠レンズとなります!正直言って未知の領域です。
暑い夏が間近に迫り、ユキヒョウには辛い季節が到来します。
人気の被写体で、人だかりが出来ている事も多い動物ですが、1,200mmあれば好みのアングルから、かなりアップにして撮る事が出来ます。手前の金網と、暑い日だったので水蒸気の影響を受けて、かなり眠い画になってしまいましたが、逆に夏らしい空気感が伝わる写真になったような気がします。
スタートから1,200mmの恩恵を受ける事が出来ました。
ユキヒョウも猫の仲間なんですね!眠たげに目をつぶる姿が、どう猛な肉食獣である事を忘れる可愛さです。
先のチョウの写真でも申し上げましたが、テレコンバーターは装着してもマスターレンズの最短撮影距離は、ほとんど変化しません。この写真では、マクロと言う程能力を活かしていませんが、被写体が近距離に居る際でも、1,200mm相当のレンズを使っている不自由さを感じずに撮れるのはありがたかったです。
1,200mmを感じさせないと言えば、強力な手振れ補正にも、撮影中かなり助けられました。手振れしない事は勿論、フレーミングが格段にやり易くなるのもメリットです。
つぶらな瞳が可愛いオランウータンが、なにやら真剣に考え事をしています。
いい表情、仕草をするまで、しばらく待ちましたが、カメラまで含めての重量は2kgちょっと(約2,200g)しかないので、待ちの時間もそれ程苦になりません。トリミング無しでここまでアップに寄れるのは、1,200mmがあったればこそと思います。動物園用ポートレートレンズといった趣です。
撮っている自分が言うのもなんですが、こんな写真が思ったより気軽に撮れてしまう事に驚きます。
猛禽類の顔はカッコいいですね。顔をブルっと振った後だったので、飛び散ったダストに、光が反射して綺麗です。
猛禽類は、鳥の中ではかなり大きな部類に入ると思いますが、それでもユキヒョウやオランウータンに比べれば小さい被写体です。
そんな、鳥のポートレートが撮れる1,200mm!さすが1,200mm!凄いぞ1,200mm!1,200mm楽しい!
チーターが遠い目をして何かを見つめています。チーターと言うと、地上最速の哺乳類で、もっと厳しい顔つきなのかと思いましたが、兄弟並んでいる姿は思ったより愛らしいです。
ここでも動物園用ポートレートレンズ1,200mmが威力を如何なく発揮し、動物たちの豊かな表情を捉えてくれました。
40-150mm f2.8 PROに装着した際と同様に拡大して解像感を見てみます。
毛の一本一本まで解像し、シャープです。
さすが単焦点レンズだけあって、先ほどの40-150mm f2.8 PROを凌駕する描写力だと思います。
何度も言いますが、これは2×のテレコンバーターを装着た上での画像なのです。
キリンは大きい動物なので、かなり広いスペースで飼われており、1,200mmのメリットが最も生きるシチュエーションでした。
残念なのは、背景に無粋な壁などがあり、フレーミングに苦労した事ですが、それでも焦点距離が1,200mmあると、うまく背景を整理する事が出来ました。
6時間近く園内を彷徨い歩き、かなり疲れましたが、ボディ(EM-1)1台と、レンズ2本とテレコン(40-150mm f2.8,300mm f4,MC-20)合わせても3kgそこそこと軽量なので、なんとか撮影を進められました。
マスターレンズの性能をほとんど損なう事無く使えるテレコンバーターで、特に40-150mm F2.8 PRO、300mm F4.0 IS PRO、いずれかのレンズを既にお持ちの方には、是非おススメしたいアイテムです。
又、これから40-150mm F2.8 PRO、300mm F4.0 IS PRO、いずれかのレンズを購入するなら、最初からテレコンバーター MC-20 を併せて買い求めてもいいかもしれません。用途にもよると思いますが、2本のレンズを持っているのに等しいくらい価値があると思います。
性能の高さは勿論、レンズ、カメラと組み合わせた際の使い勝手が非常に良く、かなりコスパの高いアイテムだと感じました。
>>> OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
MC-20の凄さを動画にまとめてあります。AF性能の高さなど、動画の方がわかり易い部分もあると思いますので、良かったらご覧下さい↓