先日新発売された KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 をテストしました。KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 の対応フォーマットはAPS-Cまでです。今回はSONY α6400に装着してテストしました。
台湾のレンズメーカー KAMLAN のレンズは、以前にも28mm f1.4と50mm f1.1をテストしましたが、七工匠と並んで個性派ぞろいのメーカーです。
28mm f1.4 のように高性能タイプもあれば、FS 50mm F1.1 のような「超」個性派レンズもあります。実際に使わないと、レンズの特性が全くわからないので、テストが楽しみなメーカーでもあります。
さて、今回はどちらでしょうか?
高層ビルと曇り空に隠れた太陽が、まるで煙のように、水鏡に写っていました。水面にゆれるビルの陰と併せて非現実的な世界になりました。
こういった条件でオートフォーカスだと、ピントが水面に来たり、水底に行ったりしてしまう事がありますが、KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 はマニュアルフォーカスのレンズの為、そういった失敗はありません。
フォーカスリングに連動したピント拡大機能が使えるとなおいいのですが、この価格では高望みというものでしょう。
足下を通過する電車の屋根を撮ったのですが、ガラスにたまたま通行人の脚が写って不思議な写真になりました。偶然の要素が入ると、写真が俄然面白くなります。
21mm は、35mm判換算で、約31mmの広角レンズになります。スナップカメラとして有名なRICOH GRと同じくらいの画角になり、使い易い画角だと思います。
マニュアルフォーカスなので、GRと比べて圧倒的にシャッターチャンスに弱くなりますが、ピント合わせをする時間のおかげで、こういった偶然もあるので、良し悪しですね。
水が流れ落ちる、小さな人口の池なのですが、効果的な証明と、水面が流れてくれたおかげで雰囲気のある写真になりました。
特に意識した訳ではないのですが、 KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 のテストでは、ちょっと抽象的な写真が多くなりました。
画角のせいなのか、マニュアルフォーカスのせいなのか、あるいは撮影したロケーションのせいなのか。多分その全てなんでしょう。
少し俯瞰したところから、雑多に賑わう街路を撮影しました。汚れた窓ガラスが、フィルターの効果を発揮してコントラストの低い色褪せた写真になりました。
ガラス越しに撮るなんて、レンズのテストでどうかと思いますが、こんなラフな使い方をしたくなるのが、KAMLAN(カムラン)のレンズです。
左側のビルの柱の直線部分を見ると、かなり歪曲収差が出ているのがわかります。
ちょっと近未来感のある、地下鉄の天井です。この辺りかな、と適当にピント合わせをしてシャッターを切りました。
21mmと、比較的短い焦点距離なので、多少ラフにピント合わせをしても大丈夫そうです(勿論近接は除く)ので、ノーファインダーを試しても面白かったかもしれません。
デジタルカメラですので、やれば勿論厳密なピント合わせも可能ですが、ピントが今よりずっとアバウトだった時代に立ち返ったような使い方をしても面白いかもしれません。
ふと、ローライ35のピント合わせが、目測であるにもかかわらず、40mmのレンズが付いている事を思い出しました。
撮影テストは、横浜で開催されていた「フォトアクセサリーフェア(PAF)」の帰りに行いました。午前中は晴れていたのに、撮影を始めた頃にはあいにくの曇り空となってしまいました。
明暗差の少ない、あまりいい条件ではないですが、コントラストも十分でしっかりと写っています。
KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 は、KAMLANの中では高性能派に属するレンズのようです。
みなとみらいのシンボルの一つ、観覧車です。鉄骨やパイプが複雑に絡み合う姿が面白くてシャッターを切りました。
バックが青空ならなお良かったのです。写真を撮るには、残念な天気です。
解像感を見る為に拡大します。
すみません。間違えてSIGMAのレンズでテストしてしまいました・・・なんて事はありません!
信じられないかもしれませんが、KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 の写りです。なかなかのシャープさです。残念ながら、色収差があるのでパープルフリンジが盛大に出ていますが、丸いパイプの質感など「高性能」と言われるレンズに匹敵する、なかなかの抜け感です。
FS 50mm F1.1の時は、そのあまりの個性に驚きましたが、今回はこの値段でこの写り、というコスパに驚かされました。
歪曲収差が目立つのと、色収差がかなり大きく、明暗差の大きい状況で撮ると、パープルフリンジが盛大に出てしまうのが欠点ですが、思った以上に写りが良く、コスパの高いレンズだと感じました。
特にシャープネスについては、なかなかのレベルにあると思います。今回のテストでは、開放でも周辺光量落ちは、ほとんど見られませんでした。
反面、KAMLAN (カムラン) らしい強烈な個性を期待する向きには「写り過ぎる」という、別の不満が残ってしまうかもしれません。かく言う私は後者なわけですが・・・周辺光量落ちなんか、むしろ有った方が良かったのに。
本文中にも書きましたが、KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 は置きピン、ノーファインダーなど、ラフな使い方をしても面白いかもしれません。オートフォーカスのレンズをあえてそこまでラフに使うのも、気分的に抵抗がある気がしますし、価格の安いレンズを、敢えて乱暴に使うのも面白い気がします。
KAMLAN (カムラン) 21mm F1.8 は、使い方次第で色々と面白い写真が取れそうな予感がする、そんなレンズでした。