Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sのフジヤカメラ店スタッフの実写レビューです。シャープネスで解像感も十分なNikonの高性能レンズシリーズ「S-Line」のコンパクトな50mmレンズをスナップ作例とともに詳しく紹介します。
Zマウントの、高性能レンズのシリーズを表す「S-Line」のレンズは、Nikonの最高クラスの性能を持ったシリーズなので、テスト撮りをする前から楽しみです。
焦点距離的には、既に発売されている35mmと迷うところです。こんなに近い画角の近いレンズが立て続けにラインナップされる不思議もありますが、標準レンズは撮影者の好みがわかれる焦点域ですので、微妙な「こだわり」が反映されるようにという、Nikonからのメッセージなのかもしれません。
酔っ払いに破壊されたのか、破壊された羊のお面が、ゾンビよろしくこちらを見ていました。
明るいうちに歩く飲み屋街は、人も少なく、空いている店も少なく、どこかうらぶれていて、寂しげで、なんとも言えない情緒に溢れていました。
50mmの画角は、35mmより微妙に画角が狭く、同じf値ならボケも大きくなるため、グッと構図を整理しやすくなります。
物凄く使い込まれた中華鍋が放置してありました。明るい時間帯の飲み屋街散歩、なかなか楽しいです。ギットリと油が付着し、錆びが浮いた鍋の底の部分など、貫禄があります。錆びた金属の質感がシャープなレンズにより、忠実に再現されていると思います。
夕日を浴びて、寂しげに佇むブランコ。NIKKOR Z 50mm f/1.8 S はボケ味もニコンらしく素直です。実に普通で物足りない、と思うのは高望みしすぎでしょうか?(笑)
このカットは手前のブランコの手すりでピントを拾っています。カメラによってはピントが奥に行ってしまう事もあるシチュエーションですが、Z7はピンポントに正確に合焦してくれるので、ストレス無く撮影を進められます。
実は、1回の撮影では撮れ高が足りなくて、翌日の早朝再度テスト撮影にのぞみました。朝日と夕日では光の感じが大分違います。Nikon Z7 ならそんな光の雰囲気の違いも、バッチリ描写してくれます。影の部分の諧調の残り方もさすがです。
解像感を見る為に、少し拡大してみます。
近接撮影の為、少し絞って撮影しています。細かい葉脈が十分な解像感でシャープに描写されており、高性能です。Z7の性能を存分に発揮出来る性能を持ったレンズだと思います。
中野のシンボル「中野サンプラザ」をのぞみます。既に解体が決まっている建物ですので、中野にお越しの際は是非撮影してみて下さい。50mmの自然で歪みの無い描写が、役目を終える建物の雄姿を写し取ってくれました。
なんてことのない板塀ですが、再度からの光を浴びて何となくドラマチックに見えたのでシャッターを切りました。近接撮影という事で、f2.8まで1絞り半絞っての撮影です。1時間半ほど撮影してみて、やっぱり35mmにするか、50mmにするか迷うな、と最後まで思うレンズでした。
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Nikon Zシリーズ用のレンズとして、コンパクトで高性能、優等生なレンズです。シャープネスや解像感なども十分です。反面、f1.8というスペック的に仕方ないのかもしれませんが、ズバ抜けていいところが無い、オール4といった印象を持たれてしまうレンズかもしれません。
単焦点レンズは、とんでもなく高性能な描写を求められる時代ですが、そこまでの印象は無く、ややインパクトに欠けるレンズという感想です。個人的には NIKKOR Z 24-70mm f/4 S の方が、羊の皮を被ったオオカミ的な、インパクトのあるレンズでした。
辛い事ばかり書いてしまいましたが、いずれ、より明るいレンズがラインナップに加わるでしょうし、f1.8のレンズとはこういったものなのかもしれません。