SIGMA (シグマ) 40mm F1.4 DG HSM | Art の実写レビューです。
SIGMAはシネ用のレンズにも多くのラインナップを持ち、多くの実績を上げて来たメーカーです。
今回新たに「Art シリーズ」としてラインナップに加わる 40mm F1.4 DG HSM | Art は、SIGMAとして初めて、シネレンズとして開発をスタートさせたレンズという事です。
シネレンズのユーザーは、大半がプロのカメラマンという事になると思います。厳しいクォリティを求められるシネ用レンズの実力やいかに!
レンズを手に取って最初に感じたのは、
デカい!!!重い!!!
でした。これでもシネ用レンズの世界では小型、軽量の部類に入るというから驚きです。
レンズの重量は約1,200g、今回、テストカメラにはCanon EOS5D Mark IVを使用しましたので、合わせて2kgを超えるヘビー級の機材となります。
最初に受けたプロ用レンズの洗礼は、重くて持って歩くのが大変、というものでした。撮影翌日には、カメラを持っていた右手が筋肉痛になりました。
毎度のことですが撮影中は重さが全く気にならなくなるから不思議です。
ファインダーを覗いて最初に感じたのは、とても柔らかい描写をするレンズだという事です。
ボケが「綺麗、大きい」といった事だけでなく、全体的にふんわりとしたあたたかい表現をしてくれるレンズだと感じました。
このカットでも、金属の冷たさより、削り出しの丸みが伝わる画になっているように感じます。
柔らかいレンズは少し解像感の低い、眠いレンズである事が多いです。ちょっと心配になって、後から、同じSIGMAの 50mm F1.4 DG HSM | Art と解像感の比較をしてみましたが、解像感に遜色はなかったので、そういうわけでもなさそうです。
諧調が豊かだからなのか?まだまだレンズには、数値だけでは表せない未知の部分があるのかもしれません。
40mmの画角はスナップ撮影にはとても使い易かったです。
大変なのはファインダーを覗くまでで、覗いてしまえば撮影に集中しますので、使い勝手のいいフットワークのいいレンズに感じるから現金なものです。
やっぱり、柔らかい独特な雰囲気をつくってくれるレンズです。かなり好きな描写です。
白いテーブルの上の緑色のビールの瓶が、あたたかい秋の光につつまれる雰囲気を、柔らかなレンズの描写が、上手く表現してくれました。
合焦した部分が柔らかなボケに包まれて浮き立ち、とても綺麗です。
まさにクリエイターの為のレンズだと思います。
ちなみに中身は、私が美味しくいただきました。
※当ブログはオフの日を使ってテスト撮影を行っています。業務時間中にビールを飲んだりしてはいませんのでご安心下さい。
40mmという焦点距離は、ある程度被写体との距離をとれば、開放でもパンフォーカスに近い写真が撮れます。
SIGMA (シグマ) 40mm F1.4 DG HSM | Art は柔らかいだけでなく、ピントの合った部分は素晴らしくシャープな描写のレンズです。
拡大してみます。
上の写真からの拡大です。本当です。
コクピット横の文字が難なく読めるのには驚きました。素晴らしい解像感です。
レンズの重さが気にならなくなる!
重く、大きいのは、全てこの描写性能の為なのです。
手持ちでf1.4を活かした撮影がしたかったので、夜のスナップ撮影に出かけました。
夏の間は、猛暑を避けて夜撮影する事が多かったのですが、だいぶ寒くなって来たので、夜の撮影が少々辛くなって来ました。
ほぼ開放のみで撮影をすすめましたが、40mmという焦点距離は50mmよりもいくらかラフに扱え、シャッターチャンスで手早くシャッターを切らなければならないスナップでは使い易かったです。意外と広がりのある表現も出来ますね。
f1.4の明るさは、うっすら残る空の諧調まで描写してくれました。
街灯に柔らかく照らされた光景を、イメージどおりに描写してくれます。
「柔らかい」という表現だけでは足りない、何かがあるレンズだと感じます。
数値には表れない何かがあります。レンズ沼は底なしに深い・・・
残念ながら開放では綺麗なレモン型の口径食が発生してしまいます。
又、後玉が大きい為か、EOS5D Mark VIでは画面下部でミラーBOXケラレと思われる、点光源の丸いボケの一部が切れてしまう現象が起きています。
アスフェリカルレンズを一枚も使っていない設計の為、(←最後面のレンズ1枚がアスフェリカルレンズでした。お詫びして訂正いたします。)点光源のボケの内側に縞模様が入るような事は無く、まっさらな、綺麗なボケです。
40mm F1.4 DG HSM | Art? は、シネ用に開発されたレンズという事で、画面の四隅まで均一な描写性能を維持します。
パーンやティルトなど、画面を移動する表現手法が多様され、又、スクリーンなどの大画面で観られる、シネレンズとして設計されているからですが、勿論写真で使用しても中心部と周辺部の描写力が変わらない事はプラスでしかありません。
少し拡大してみましょう。
左が中心やや下、右が左下隅の拡大ですが、いずれもほぼ同等の描写性能となっており、画面全体で描写の均一性が保たれているのがわかります。
メーカーの触れ込みどおり、画面全体で描写力の変化の非常に少ない、高性能なレンズだと言えるでしょう。
性能がいい、という事以上に、レンズの醸し出す雰囲気が素晴らしくいいレンズだと感じました。
特に前ボケの美しさは特筆にあたいすると思います。
なにせ、大きく重いレンズですので、気軽に持ち出すには勇気がいりますが、それに相応しい性能と価値のあるレンズだと言えるでしょう。良い写真を撮る為には、それなりの苦労が必要です(笑)
焦点距離40mmという事で「ボケマスター」とはならないかもしれませんが、個人的には「隠れボケマスター」と名付けたいくらい、美しい描写をするレンズでした。
>>> SIGMA(シグマ)40mm F1.4 DG HSM | Art