SONY「FE 24mm F1.4 GM」の実写レビューです。
上の写真は湖面に反射した月あかりですが、f1.4明るさを活かして、手持ちで撮影しました。
SONY FE 24mm F1.4 GM は、広角の明るい単焦点レンズという事で、今回はf1.4を活かした低照度での撮影と、開放f1.4の大きなボケを活かした撮影の2通りのテストを行うようにしました。
テストの方向性に合わせて、カメラは低照度に強いα7IIIと、高画素のα7RIIIを使い分けましたが、こういったカメラの使い分けが出来るのはSONYのカメララインナップの強みです。
FE 24mm F1.4 GMのテスト撮影にあたり、撮影地は富士五湖の一つ「本栖湖」周辺にしました。
湖畔で趣味のキャンプを楽しみつつ、開放f1.4を活かして、星野写真にチャレンジしてみたかったのです。
ところが!・・・この日は明るい月の光に邪魔されて、残念ながら星野写真は撮れませんでした。経験値が無いと、こういう失敗をしてしまいます。
明るい満月に照らされて、湖面がキラキラと輝いていました。
雲の陰影や、よく見ると富士山に雪がある様子まで、f1.4の明るいレンズが詳細に描写してくれました。
カメラは、夜間撮影を見込んで、画素数と低照度特性のバランスのいいα7IIIです。7SIIとまではいかないまでも、α7IIIの低照度特性はなかなかのものです。
f1.4の明るいレンズのおかげで、ISO感度が12800に抑えられているのも、滑らかな描写に一役かっています。
上のカットからの一部拡大画像です。
α7IIIのISO12800のノイズ感はこのくらいです。さすがにノイズは出ていますが、あと2段でMAXとは思えない滑らかな描写で、波の立体感の再現や、点光源の光のにじみの少なさなど、立派なものです。
仮に同じ条件で開放f2.8のズームレンズを使っていたら、ISO感度は51200となり、ここまで滑らかな描写は望めなかったでしょう。
FE 24mm F1.4 GMの画角、明るさは、夜間の風景撮影にバッチリはまりました。
本栖湖は標高が高い事もあり、この日の最低気温は4℃まで下がりました。たき火をして暖をとります。
f1.4の明るさのおかげで、奥行き感のある写真が撮れました。
夜間の撮影も、低照度に強いα7IIIとf1.4の明るいレンズの組み合わせだった為、三脚の出番はありませんでした。
アクティブにアングルを変えられる手持ちで夜間撮影を出来るのはかなりありがたかったです。
早朝のキャンプ場の様子です。
まだ5時くらいですが、朝日を狙って数人のキャンパーが起きだしていました。
寒さに震えながら日の出を待ちます。
若干雲がかかっていた為、予定より15分ほど遅れて日の出です。
強烈な逆光線でのカットですが、ゴーストの発生はなく、非常にシャープで抜けのいい描写性能を維持しています。
明るい広角レンズという事で、ゴーストの発生が心配でしたが、今回撮影したほぼ全てのカットでゴーストの発生はありませんでした。
逆光特性は抜群にいいレンズだと思います。
このカットですが、望遠レンズで撮影されたように見えませんか?
実は、実写テストの1枚目の写真からの拡大画像になります。本当です(笑)!
正直言って凄い描写性能だと思います。雪化粧した富士山の細かい山肌が詳細に描写されており、このカットだけ見れば本当に望遠レンズで撮影したように見えると思います。
変な言い方ですが、トリミングを使って望遠レンズとしても使えそうです。
FE 24mm F1.4 GM の描写力恐るべし・・・
ところ変わって富士山麓の青木ヶ原樹海です。
ごつごつとした溶岩と、その間に根をはる木々の迫力を24mmの広角レンズがうまく表現してくれたと思います。
青木ヶ原樹海が普通の森林と違うのは、森の中が凸凹な事です。
一度入ったら抜け出せない樹海。一度入ったら抜け出せないレンズ沼。フジヤカメラのブログはレンズ沼の羅針盤となれるでしょうか!?
※撮影は樹海の中に整備された遊歩道で行っています
深い森の中で暮らすキノコ兄弟です。
秋はキノコの季節ですが、樹海の中にも沢山のキノコが生えていました。苔の間から顔を出した姿が可愛らしく、ティルト液晶を使ってローアングルで狙いました。
背景の点光源のボケが、ミラーレスカメラ用のレンズらしく真円に近い非常に綺麗なものです。
こちらは先ほどのキノコのカットと違って、開放での撮影です。
滑らかなボケが綺麗ですが、画面周辺で、先ほどのカット(f2.8で撮影)ではほぼ無かった口径食が見られます。
SONY FE 24mm F1.4 GMの数少ない欠点です。拡大してみます。
コンパクト化があだになったか、開放ではわずかに口径食が出ています。
しかし、形は素直なレモン型で、気になる程ではありません。
それでも気になる場合は、f2.8くらいまで絞ると、ほぼ改善するようです(先ほどのキノコのカット)。
24mmという広角レンズですが、開放近接ではこれだけボケます。
広角で背景を大きく入れながら、被写体だけにピントを持って来るような撮影は「FE 24mm F1.4 GM」の得意とするところです。
広角レンズでここまで被写界深度を浅くとれるのは、開放f1.4の明るさと、フルサイズセンサーならではです。
f1.4のレンズとしては、コンパクトで非常に高性能なレンズです。
最新型のミラーレス用の広角レンズの性能はここまで来たか!と、素直に驚きを隠せないレンズでした。
富士山の拡大画像など、今後、画角の調整はズームではなく「トリミングでなされるのでは?」と思わせるくらい、空恐ろしい描写力のレンズです。
又、絞りのクリックキャンセルが搭載されているのは喜ばしい限りです。撮影中の絞りの変更が可能か否かは、実用上大きな違いとなります。動画ファンとしてはこれが普通になって欲しいですね。
今年テストしたレンズの中でもトップクラスの、恐ろしい程の性能を持った素晴らしいレンズでした。