開放f値1.4で焦点距離105mmということで、ピントは極端に薄く、大きなボケが期待できるスペックです。標準レンズ並みの明るさの中望遠レンズは、Nikonの AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED がありますが、SIGMA のレンズは画質に拘った故か、Nikonの同スペックよりかなり大柄なレンズとなっています。
ボケ味にも拘ったようで、既に「BOKEH-MASTER(ボケマスター)」なるニックネームをつけられているようです。
さて、撮影前に少し悩みました。
「BOKEH-MASTER(ボケマスター)」を活かしてスナップを撮りに行きたい、しかし「BOKEH-MASTER(ボケマスター)」の巨大さは気軽なスナップを拒んでいる・・・
悩んだ末に、やっぱりスナップで使ってみることにしました。このレンズ一本なら、大きさ重さもなんとか許容範囲だろう、と判断した訳です。良い写真を撮ろうと思ったら、多少の重さなど我慢しないと。Canon EOS6D MarkIIにSIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Artを装着して、撮影に出発!
いきなり猫にガンたれられました。明らかにこっちを睨んでます。怖い。
しかし大丈夫です。105mm F1.4 DG HSM | Art なら、ある程度被写体との距離を取ってもこのボケ量です。さすが105mm!さすがf1.4!あと少し近寄ったら、この猫は逃げてしまったと思います。
さっそくBOKEH-MASTER(ボケマスター)が威力を発揮するシチュエーションに遭遇しました。
撮影時は小雨が降る、あいにくの空模様。
そろそろ紫陽花のシーズンということで、こんな街中でも、鉢植えの紫陽花が健気に満開の花を咲かせていました。雨が降ったおかげで、紫陽花の花が、より生き生きと描写できました。
紫陽花を撮るなら、水滴がのっている方が、季節感が出ていいですね。
ところで、紫陽花の花びらに見える部分が実は「ガク」だって知ってました?花は真ん中の小さな白い部分だそうです。
ここで問題です!上の写真の中に小さなバッタが写っています。さてどこでしょう?
はい!ここでした。この画像は上の写真からの拡大になります。こんなクイズが出来るのも、超高解像度のレンズならではです。
これだけの拡大で、バッタの脚や目が克明に描写されるのはさすがSIGMA、さすがArtシリーズです。
手前に木の葉を入れて、ベンチに腰掛けた少女の銅像をちょっとファンタジーな感じで撮ってみました。
残念ながら、ファンタジーに撮るつもりがちょっとオカルトな感じになってしまいました。血塗られた少女?こういった撮り方ができるのも、したくなるのも、大きくボケる105mm f1.4ならではです。
最近テスト撮影に出ると雨に降られることが多く、この日も天気予報は曇りだったのですが、雨に降られての撮影となってしまいました。
そろそろ帰ろうかな?と思ったところで、梅雨の晴れ間が覗いて来ました。全てのカットでカメラのレンズ補正は全てOFFにして撮影しています。いずれの写真でも周辺光量落ちは全くと言っていいほどみられません。レンズの設計だけで、ここまで持ってこられるのがSIGMAのArtシリーズの真骨頂です。
帰り道でさっきの猫に出会いました。
雨に濡れた石畳をとぼとぼ歩く姿がちょっと寂しそう。よく見るとお腹が膨らんでいるようです。そりゃあこんな怪しいレンズを下げた奴がジロジロ見ていたら、警戒もするよな!
ごめんね。
せっかくの明るいレンズなので、帰り道で夜の駅を撮ってみました。
感度を引き上げて、強引に撮っているわけではないので、光の少ない部分もソフトに描写されていて、いい味わいです。
開放f1.4だとこのくらいの明るさでもバンバン写真が撮れるので、ナイトスナップにチャレンジしてみたくなります。
カメラを肩から下げて、すぐ撮影できるようにしておきたかったので、今回はこのレンズだけを持って出かけました。
巨大なレンズに最初はビビりましたが、意外にも撮影に際して、レンズの大きさ重さが気になる事はありませんでした。ピントが薄い、ということには、いつも以上に気をつけていたとは言え、撮影自体はいつも通り、ストレス無くできました。しかし、焦点距離105mmのレンズで三脚座付属というのは初めてです(笑)。
付属のフードは出来れば装着して撮影した方が、レンズ保護の観点からも安全だと思います。私が撮影した時は小雨の降る中でしたが、深いフードのお陰で前玉に水滴が付いてしまう事はありませんでした。
また、フィルター口径は105mmで、焦点距離を考えるとかなり大きいです。巨大な前玉を保護する為に、可能ならフィルターも装着した方がいいでしょう。
ちょっと気になったのは「目立つな~」という事でした。日中、人通りの多い場所で、一人で撮影していることもあり、周囲の目が少し気になりましたね。
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ボケを大きくする為に焦点距離を長くすると(例えば300mm f2.8とか)被写体との距離感が遠くなりすぎる。逆に近寄って撮るなら開放f1.4で無くとも十分にボケる。105mmのf1.4は被写体との距離感を適度に保ちつつ、大きくボケる、頃合いのスペックだと感じました。
SIGMA (シグマ) 105mm F1.4 DG HSM | Art は、大きく重く、気軽に持ち歩けるレンズでないことは事実です。しかしこのレンズにしか表現出来ない世界が、間違いなくあります。
覚悟さえ決まれば、きっといい写真が撮れる。そんなレンズだと思います。