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2024.02.09
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HASSELBLAD XCD 2.5/90V 実写レビュー

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 実写レビューキービジュアル

HASSELBLAD XCD 2.5/90Vの実写レビューです。コンパクトながら高画質な中判デジタル用単焦点レンズを解像度やボケ味などの画質、特徴的なレンズシャッターや操作性などを実写を交えて専門店スタッフが詳しく紹介します。


■この記事の監修

フジヤカメラ店

東京都 中野区のカメラ専門店 フジヤカメラ店です。カメラ、レンズ、三脚、動画機材まで、新品、中古機材を多数取り扱っております。中古在庫は常時3,000点以上!これからカメラを始める方も、ベテラン、プロカメラマンも、機材の事ならフジヤカメラ店にお任せ下さい。

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特徴・操作性

収差の少ない高性能中望遠レンズ

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 本体1

Hasselblad XCD 2.5/90はHasselblad Xシステムで使用できる35mm換算時、71mm相当の中望遠レンズです。

中判デジタル用レンズとしては、フルサイズ用レンズとあまり変わらない、551gと非常に軽量・コンパクトで取り回しの良いレンズとなっています。

テストボディとして使用したX2D 100Cも中判としてはコンパクトなボディで、カメラとレンズを組み合わせたシステム全体でどこにでも連れて行きたくなってしまいます。

クラッチ機構の操作性はバツグン

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 本体2

Hasselbladから発売されているXCD2.5/38V・XCD.5/55Vに採用されているクラッチ機構がXCD 2.5/90にも搭載されています。

このクラッチ機構はフォーカスリングを奥にずらすとMFモードに切り替わるという機構となっています。

この機構は、MF→AF→MFと操作した際に最初のMF時の距離が保持されます。
そのため、事前にMFモードで距離目盛りを5mで設定しAFモードに切り替え、そしてAFが迷ったタイミングでMFに切り替えることで一瞬を逃さずにしっかりと切り取ることが可能です。

所有感と重厚感のあるデザイン

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 本体3

Hasselblad XCD 2.5/90はオール金属の筐体を採用してします。

しっかりとした重厚感と密度感があり、手に取ると「今、非常に良いものを持ってるな。」と実感できるところが魅力的です。

フォーカスリング・コントロールリングにはHasselbladのロゴの「H」が刻印されていて、これはHasselbladが製造しているプロ向けレンズ「HC/HCDレンズ」から来ているデザインも所有感を更にアップさせてくれます。

粋のあるレンズフード

HASSELBLAD XCD 2.5/90V レンズフード

非常にマニアックな点ですが、レンズフードについて紹介したいことがひとつ。

Hasselblad XCD 2.5/90のレンズフードにはオレンジと白の刻印がされています。

これは、フード取り付け時の指標になっているのですが、フードとして使用する際にはレンズの爪のオレンジ部分とフードのオレンジ色に合わせるとしっかりとつけることができます。
一方、レンズを収納したり、持ち運ぶ際にはレンズ銘板のハッセルブラッドマークとフードの白の刻印に合わせると逆付けが可能となっています。

このような粋なポイントがより所有感を満たしてくれます。

実写レビュー

スナップでも楽しめる焦点域

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 作例:路地

作例2:F2.5 1/1000 ISO64

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Hasselblad XCD 2.5/90は焦点距離90mm、35mm換算では71mmという単焦点レンズとしてはすこし珍しい焦点距離となっています。

「71mmだし、ポートレートなどでしか使いにくいんじゃ」...と思われる方も多いかもしれませんが、Xシリーズのセンサーは35mm版とは異なり4:3の画面比率を持っているため35mm判と比較して一歩引いたような距離感になります。

この一歩引いた画角感から、風景からスナップまでなんでも使えてしまいます。

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 作例:夜の濡れた鉄板

作例2:F2.5 1/120 ISO3200

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Hasselblad XCD 2.5/90は、中判レンズとしては比較的コンパクトなサイズをしています。

今回テストボディとして使用したX2D 100Cと組み合わせても街中でも威圧感なく溶け込みながら撮影できると思います。

また、一日中首から掛けていても苦にならないサイズ・重量なのでいつ如何なるタイミングでも撮影できます。

鋭くも優しいボケ

HASSELBLAD XCD 2.5/90V スナップ3

作例3:F2.5 1/120 ISO64

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Hasselblad XCD 2.5/90の開放のボケ味は非常に美しく、優しいボケを見せながらもピント面はしっかりキレのある描写をします。

更にそこに中判ならではの焦点距離由来のボケも加わりF2.5とは思えないボケの大きさと質感を描写してくれます。
これこそフルサイズカメラには無い、中判の真骨頂なのです。

オートフォーカスは高速では無いものの

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 作例:路地2

作例4:F2.5 1/2200 ISO64

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Hasselblad XCD 2.5/90はオートフォーカスに対応しており、リニアステッピングモーターによって駆動しています。

X2D 100Cの位相差AFにも対応していますが、他メーカーの中判カメラ程は早くない印象です。
また、ボディ側のAFもかなり慎重に合わせるため挙動的にはコントラストAFに近く速写というよりは、じっくり精密に合わせていきます。

そのため、速写を求める場面ではフォーカス切り替え機能を活用し、ポートレートや風景撮影などの場面では正確に合わせる運用がベストなのではないでしょうか。

独特なシャッターフィーリングとその小気味良さ

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 作例:月と提灯

作例4:F8 1/160 ISO800

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Hasselbladはフィルム時代から伝統的なレンズシャッターを採用しています。

もちろんHASSELBLAD XCD 2.5/90Vにもレンズシャッターが搭載されており中判カメラ最高速の1/4000秒撮影可能かつ、レンズシャッターのためストロボも全速同調となっています。

これにより、ストロボを使用するポートレート撮影や静態撮影などでシャッタースピードに囚われる事なくストレスフリーで撮影が可能となります。

このレンズシャッターが非常に良いリズム感で「コトッ」「コトッ」と独特の振動とサウンドを奏でながら切ってくれます。この感覚はレンズシャッターならではの唯一無二の感覚でなのではないでしょうか。

画質

中央解像度

HASSELBLAD XCD 2.5/90V  中心解像度
F2.5 中央

さすが1億画素にも対応しているレンズということで、シャープで解像感のある描写となっています。

シャープな中にも撮影場所の空気感や日の入り方をしっかりと再現する柔らかさを併せ持っており、後から画像処理を行っても邪魔にならない中判デジタルらしい写りとなっています。

HASSELBLAD XCD 2.5/90V  中心解像度

F2.5 枠内を拡大

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周辺解像度

HASSELBLAD XCD 2.5/90V  周辺解像度
F2.5 中央
HASSELBLAD XCD 2.5/90V  周辺解像度

F2.5 枠内を拡大

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周辺部は若干の解像度の低下と樽型収差・周辺減光が見られます。

ただ全て”若干”であり、周辺減光は中判ならではの焦点距離由来のボケと相まって情緒的な描写を見せます。

絞った際の描写

HASSELBLAD XCD 2.5/90V  絞った際の解像度

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F8まで絞った場合、周辺減光、解像度の低下はほぼなくなります。

周辺部の細かなテクスチャまでしっかりと描写出来ていて風景などには最適な解像感になります。

F16までは問題なく使用出来ますが、それ以降のF22まで絞ってしまうと回折現象が発生し、解像度は低下する点は注意が必要です。

フリンジ

HASSELBLAD XCD 2.5/90V  フリンジ作例

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フリンジは全く言っていいほど発生しません。若干ながら中央に発生しているのみです

HASSELBLAD XCD 2.5/90Vは6群9枚で構成されており、特殊レンズは非球面レンズ1枚とEDレンズ1枚のみとなっています。

特殊レンズを2枚でここまでの補正が出来ている点に驚きです。

ゴースト・フレア

HASSELBLAD XCD 2.5/90V  ゴースト・フレア作例

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フリンジは出ない一方、ゴースト・フレアは盛大に発生します。

しかし、違和感なくシネマライクな出方をするため写真表現の一部として意図的に用いれると思います。

また、テスト撮影で使用している際には意図的に発生させなければ出なかったため、常にこのゴーストフレアに悩まされることは少なく良好な部類です。

XCD 3,2/90mm との比較

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 、XCD 3,2/90MM

HASSELBLAD XCD 2.5/90V は先代のHASSELBLAD XCD 3,2/90MM よりも明るく、軽くより高速のシャッタースピード使用可能と正統進化となっています。

レンズ構成も一新されていて解像感が向上し、特殊レンズを採用したことにより約60g軽量化、そして最短撮影距離も0.7mから0.67mへと短縮されています。

大きくスペックアップしているため、価格がネックになりますが先代を使用しているユーザーにはかなりおすすめできるレンズだと思います。

メリット・デメリットとおすすめユーザー

主にポートレートを撮影するユーザーにオススメ

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 本体4

XCD 2.5/90Vを選ぶメリットは90mmの焦点距離由来のボケを生みながらも、換算70mmの画角とF2.5という明るさにあります。

この画角はポートレートでは屋内・屋外問わず威力を発揮し、シネマライクなゴースト・フレアも合わせて多彩な表現が可能なレンズです。

レンズシャッターによる1/4000秒全速同調という点もポートレート向けと言えるポイントとなります。
このポイントはフルサイズカメラをを含めて見ても数少なく現状ハッセルブラッドにしか無いメリットとなっています。

レンズシャッターの音はやや大きめ

HASSELBLAD XCD 2.5/90V 本体5

XCD 2.5/90Vのデメリットを2点あげます。

1点目は価格です。中判レンズではあるものの、F値は異なりますが先代の同焦点距離レンズXCD 3.2/90mmから約1.7倍の価格アップとなってしまっています。

2点目は他XCDシリーズと比較してシャッター音が大きい点です。
XCD 2.5/90Vは他純正レンズよりシャッター音が大きく、静音撮影しなければならない場面ではメカシャッターでは少し厳しいかなといった印象です。

しかし、シャッター音が大きいことは必ずしもデメリットというわけではなく、ポートレート撮影などではモデルさんにシャッター音が聞こえやすくなるため、ポーズ変えなどのテンポ感は上がるため必ずしもデメリットというわけでは無いかと思います。

【商品情報】HASSELBLAD X2D 100C [CP.HB.00000720.01]

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HASSELBLAD X2D 100C [CP.HB.00000720.01]バナー画像

【商品情報】HASSELBLAD CP.HB.00000746.01 [XCD 2.5/90V]

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HASSELBLAD CP.HB.00000746.01 [XCD 2.5/90V]バナー画像

まとめ

・収差が少なく優秀な中望遠レンズ
・独特なシャッターフィーリングが心地良い
・1/4000でのストロボ同調可能
・シネマライクなゴースト・フレア

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