Panasonic LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 実写レビュー× 写真家 相原正明|望遠レンズも利便性、携行性で選ぶ時代へ。F2.8開放値神話を崩してくれるレンズ

目次
はじめに
LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.の特長、操作性
鉄道写真におすすめのレンズ
動物・風景・都市景観でも質感のわかる描写力
実写レビュー
ライバルは同LUMIXレンズ!動体撮影はもちろん風景撮影にもおすすめ
まとめ | 今までになかった視点、新しい撮影被写体が誕生した超望遠ズームレンズ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ

相原 正明(あいはら・まさあき)
1988年のバイクでのオーストラリア縦断撮影以来、オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトに撮影。2004年オーストラリア最大の写真ギャラリー・ウィルダネスギャラリーで日本人として初の個展開催。写真展はアメリカ、韓国、ドイツ・フォトキナでは富士フイルムメインステージで個展を開催。2008世界のトップ写真家17人を集めたアドビアドベンチャー・タスマニアに日本・オーストラリア代表として参加。現在写真家であるとともにフレンドオブタスマニアの称号を持つ。FUJIFILM X Photographerでもある。日本写真家協会会員。ルミックスプロフェッショナルサービス会員。パブリックコレクション(デンマーク王室、オーストラリア大使館、東京&ソウル)・写真展・写真集多数。
HP : https://www.masaakiaihara.com/
ブログ : https://aiharap.exblog.jp/
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はじめに
望遠レンズはF2.8じゃないと使えない。スポーツや野鳥を撮るわけではないから超望遠ズームはいらない。そう思っているあなたへお勧めしたいレンズ。F2.8開放値神話を崩してくれるレンズ。
いまや報道スポーツ関係者でもF2.8レンズよりも利便性、携行性で選ぶ時代になっている。特にLCC航空会社の普及は同時に移動時に機内持ち込み手荷物等の重量制限の厳しい時代になってきた。同時にカメラのISO高感度高画質化によりF2.8で必ずあるべき必要はなくなった。特に、今回のテスト機種ではないがLUMIX S5ⅡはISO40000ですら常用で使える高感度性能を持ち合わせている。そのような新時代への超望遠域を含むズームレンズとしてLUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.は登場した。
【商品情報】Panasonic LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. S-R100500
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LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.の特長、操作性
最大の武器は利便性。重量1285gはかなり移動の際に楽。またレンズ長196mmはコンパクトなデイパックにもすっぽり収まる。非日常のイメージが強い超望遠ズームレンズが、日常生活で持ち歩ける。超望遠レンズ、重いから持ち歩きたくないというトラウマから解放してくれる。
今回のLUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.は、LUMIXお得意の手ブレ補正技術もありDual I.S.2対応の手ブレ補正で7段分の高い補正効果を得られる。今回はかなり手持ち撮影も試した。特に夕暮れ時に、7段分手ブレ補正は強い味方であった。
プロのあいだでもズームのトルクの重さに意見が分かれる。スポーツ系の人は軽いのが良い。風景や定点で撮る人はやや重い方が良いと意見が分かれる。今回のレンズはタイトスムースリングを採用し、ズーム時のトルクを軽めから重めまでコントロールが可能だ。これにより被写体や手の筋肉の疲労度にあわせてトルクが調整できる優れもの。
あともう1つ、このズームレンズで訴求点がある。それは三脚台座。しっかりしていて、重心が低い。これは超望遠レンズで使用時に大きな味方だ。意外とレンズの光学性能が素晴らしくても、三脚台座が悪くて、せっかくの画質が生かせないレンズが実は多い。今回の三脚台座は同じLUMIXのライカカメラ社と協業で設計されたGシリーズのLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ⅡASPH./POWER O.I.S.の望遠ズームからのフィードバックと感じられる。低くてがっしりした材質はレンズの性能を生かしてくれる。これはレンズマウントの遊びにも言える。マウント部の遊びが多いと、超望遠域ではピントの甘さにつながる。かといって遊びを少ないと、レンズ交換時、レンズを脱着が重くなりすぎる。マウントの加工並びに工作精度の大幅アップにより、しっかり止まる、無理なく脱着できるポイントを見出している。
そしてもう1つ、全パナソニック製品(家電も含めて)1mからの落下耐久試験に合格しないと製品化できない。このように眼に見えにくいところにしっかりした設計をしているのがパナソニッククオリティーと感じる。安心して使えること、これがこのレンズの最大の使用感だ。
重心が低くがっしりした三脚。重心が低いので風やシャッターショック等でブレにくい。材質の剛性も良い。細部まで心配りがしっかりしている。リングのネジのすべり止めもあり、厳冬期に手袋を使用しても使いやすい。また手ブレ補正 O.I.S.も2段分になっている。
ズームリング前方にタイトスムースリングがある。これにより被写体に応じて、あるいはユーザーの手の力加減に応じて、ズーミングのトルクが調整できる。細かいところであるがかゆいところに手が届く設計。このあたりが家電メーカーらしい個々のユーザーを考えた設計思想だと感じる。
鉄道写真におすすめのレンズ
もともと僕は鉄道写真から、この世界に入った。望遠ズームは鉄道写真の世界では必須。まずは自分が望遠ズームでいちばんとりたい世界、鉄道からお見せしたい。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF7.1・1/6400秒・-1.3EV補正・ISO1250・WB晴天・AFC/ゾーン
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超望遠域500mmを使うことで画面をパターン化して、列車を生き物あるいは造形物として表現。架線もそのデザインの面白さを表現できるのは500mmならではの圧縮効果。ホームからなので手持ち撮影。デュアル手ブレ補正7段は強力に効いている。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF8・1/2000秒・-2.3EV補正・ISO800・WB晴天・AFC/ゾーン
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1枚目の作品が向かって来る列車に対して、こちらは離れていく列車。実はAFの追従性が一番出る条件が離れていく物体。特に今回は新幹線という、曲線が主流で且つ遠ざかる被写体は、カメラとレンズのAF性能にとってはとても意地悪なテスト撮影。高速連写+手ブレ補正も活用して、ひたすら新幹線を追い続けてくれた。あと超望遠ズームレンズは安全に鉄道写真等が撮れる利点がある。昨今、撮影マナー違反が目立つ鉄道写真界。500mmを使用することで、黄色線の内側で安全にかつ独自のアングルで撮影できる。作品性と安全性の両立のためにもこのレンズをおススメする。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・ 絞りF9・1/3200秒・-2.3EV補正・ISO500・WB電球・フォトスタイル LEICAモノクローム・AFC/ゾーン
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LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF10・1/6400秒・-2.3EV補正・ISO800・WB電球・AFC/ゾーン
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LUMIX S1RⅡとの組み合わせで使っていただきたいモードがある。フォトスタイル、「LEICAモノクローム」。フィルムのKodak TRI-Xを使いLEICAで撮ったような硬質な絵が撮れる。今回のような鉄道のダイナミックさを表現するのに向いている。SLや古い電気機関車などを撮るのであれば、最高のフォトスタイルだ。コンテスト等でライバルたちと大きな差別化ができる。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・493mmで撮影・絞りF7.1・1/160秒・-1.3EV補正・ISO10000・WB曇り・AFC/ゾーン
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LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・286mmで撮影・絞りF7.1・1/200秒・-1.7EV補正・ISO16000・WB曇り・AFC/ゾーン
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LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF8・1/125秒・-1.3EV補正・ISO32000・WB晴天・AFC/ゾーン
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3枚の都電の写真。撮影データを見てほしい。ISO10000〜32000で推移して撮影している。画質に破綻は見られない。ISO32000が常用で使える。そして悪い撮影条件下でもAFは追随し、手ブレ補正はしっかり効いている。いずれも人通りも多い街中での撮影なので三脚は使えない。これがLUMIX S 100-500mmとS1RⅡとの組み合わせの実力。新たな撮影領域を開いてくれる。
動物・風景・都市景観でも質感のわかる描写力
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF7.1・1/320秒・-1EV補正・ISO1250・WB AUTO ・AFC/ゾーン
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そして望遠ズームで多くの人が使いたいシーンが動物だと思う。偶然、田舎道で出会った猫さんのカット。猫の毛の質感描写が素晴らしい。そして背景の癖のないボケ味。言われなければ高倍率ズームと判らない。AFは動物瞳認識に設定している。手ブレ機能と併せ、シャッターチャンスを逃さない。もう1つ付け加えるならばLUMIXならではの抜けの良い色再現。白がきちんと白と表現できる。意外と白を白と表現できず色被りしてしまうカメラが多い中でこの色再現力は大きなアドバンテージ。
実写レビュー
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・100mmで撮影・絞りF10・1/500秒・-2EV補正・ISO80・WB日陰
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高倍率ズームでありながら、100mm側でもしっかり描写している。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・368mmで撮影・絞りF7.1・1/160秒・-1.3EV補正・ISO3200・WB日陰
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LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF7.1・1/160秒・-1.7EV補正・ISO6400・WB曇り
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夕方になり、光が弱くなる条件でもかなりしっかりと質感描写をしてくれる。特にゲートブリッジの鉄骨の描写を見てもらいたい。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF8・1/160秒・-0.3EV補正・ISO80・WB電球
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また夕暮れの山並み、高倍率ズームが最も不得手とするフラットなモノクロの階調。ここではメリハリのあるLEICAモノクロームの助けもあり、しっかりと表現している。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF18・1/200秒・-2.7EV補正・ISO80・WB晴天
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高層ビルのラインとガラスの質感がこの作品のキーポイント。線の描写の切れが良いこと、これが建築写真等も含めた都市景観の作品では大切なこと。絞りF18まで絞って線の切れを出した。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・500mmで撮影・絞りF 9・1/13秒・-0.7EV補正・ISO80・WB晴天
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夕暮れの電灯の列を狙ってみた。電灯のつらなりの自然なボケ味と背景の木々のボケ味がとても良い。超望遠のボケ味を楽しむ撮影ができる。
LUMIX S1RⅡ・LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.・132mmで撮影・絞りF 13・1.3秒・-1EV補正・ISO80・WB晴天
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ミラーレスになり撮影の最大の利点の1つがアスペクト比のバリエーション。特にLUMIXは他社よりも数多くのバリエーションを設定している。その中の1つがパノラマ設定。合成ではなく、撮影時からパノラマ比率になっている。しかも2種類。25:64と1:2だ。特に1:2はフィルム時代リンフォフやホースマンのみ存在していた比率。ミラーレスになっても多くのメーカーがフィルム時代のアスペクト比のみを踏襲している。やはり被写体の表現方法によりアスペクトを選べることは創作上大きい。特に海外の風景、建築・不動産の撮影ではパノラマ比はかなり高い頻度で使う。またパノラマを縦位置で使えば、掛け軸風の作品が撮れる。海外での作品の差別化にはとても強い。
しばしば撮影後、画像処理でトリミングすればよいという人もいる。だがそれだと画面の緊張感が甘くなる。撮影時にきっちりとフレーミングした作品は無駄のない緊張感のある構図となることを覚えておいてほしい。
ライバルは同LUMIXレンズ!動体撮影はもちろん風景撮影にもおすすめ
同じ超望遠系ズームレンズでLUMIX GシリーズのLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ⅡASPH./POWER O.I.S.がある。こちらの方がよりコンパクトであるが、高感度性能はフルサイズのSシリーズに1歩譲る。だがボディも含めて軽さは武器になる。山岳や野鳥撮影であるのならばLUMIX Gシリーズも比較すると良いだろう。
超望遠ズームは万能レンズ。今まで超望遠ズームは、野鳥やモータースポーツ、飛行機など動体撮影の製品と考えていた人には、その概念を捨ててもらいたい。線の描写・ボケ味などを考え、都市景観や今までにない風景写真を撮るのにもおすすめ。LUMIX Sシリーズの高感度性能&手ブレ補正機能と併せれば、可能性は無限大だと思う。
ただ1つ懸念事項は大きさだ。最近、イベント、特にスポーツ大会では一般席でのカメラの大きさ規制がある。鈴鹿サーキットのF1の場合はレンズ&ボディで全長26cmまでとなっている。自分のメイン使用する目的をよく調べて買わないと、買ったけど持ち込めない悲しいことになる。撮影機材のスペックだけではなく撮影に関する条件もアップデートする時代になった。
まとめ | 今までになかった視点、新しい撮影被写体が誕生した超望遠ズームレンズ
カメラの高感度への対応がF2.8通しという呪縛から解放され、撮るために必要な焦点距離という観点で制作された、ある意味やっとフィルム時代のスペックから解放されたレンズ。普段なかなか使用しない100-500mm領域が簡単に手に入るようになったレンズでもある。それは同時に、今までになかった新しい視点、新しい撮影被写体が誕生することにもなる。
ノンジャンルで被写体を狙いたい人。あるいは超望遠の圧縮効果を手軽に使いたい人。手ブレ補正機能とあわせて、手持ちで超望遠の作品撮りをしたい人にお勧め。
もしかしたら、このレンズ手にしたあなたが新しい映像世界のパイオニアになるかもしれない。伸びしろが、無限なレンズだ。僕だったら、オーストラリアの荒野で、果てしなく続くレールと沈みゆく太陽、そして突進してくる大陸横断列車を狙いたい。
作例に使用したレンズ
【商品情報】Panasonic LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. S-R100500
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作例に使用したカメラ
【商品情報】Panasonic LUMIX S1RII ボディ
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Photo & Text by 相原正明(あいはら・まさあき)

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