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2025.10.07
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SONY FX2 実写レビュー × ビデオグラファー 金子元気|動画も静止画も一台で。「現場で信頼できるカメラ」

SONY FX2 実写レビュー × ビデオグラファー 金子元気|動画も静止画も一台で。「現場で信頼できるカメラ」キービジュアル


ライター金子元気(かねこ・げんき)イメージ
■執筆者紹介

金子元気(かねこ・げんき)

1985年神奈川県横浜市生まれ。朋友学院高等学校美術・デザインコース卒業。東放学園映画専門学校プロモーションビデオ科卒業。その後、フリーランスを経験し、2014年に株式会社pingsetを設立。 現在、妻(写真家フジモリメグミ)と、かねこ書房を運営しながら群馬県の桐生で古民家を修繕しながらアトリエを作成中。
YouTubeチャンネル「genkikaneko」で自身のドキュメンタリー作品を公開中。
YouTube: genkikaneko

はじめに、結論から言うと…

レビューにあたり、正直なところFX2をどう輝かせるか悩みました。というのも、ご存じの方も多いように世間での評価は決して高くありません。だからこそ「それでも光る部分はあるのでは?」と想いから、実際に現場にも投入しながら検証を重ねました。
その過程で見えてきたのが、このカメラならではの魅力です。

・APS-Cモードでも実用的なクオリティを発揮する 4K画質の優秀さ
・動画と静止画、両立設計の最適化されたインターフェース
・現場で役立つ操作性と機能
フルサイズ撮影時の4K画質はFX3を圧倒し、このカメラでしか得られない表現があると実感しました。数々のレビューには賛否がありますが、必ずフィットする方がいるだろうと感じさせるポテンシャルがあります。ボディ設計やシステムの細かなアップデートからは、「多様化した撮影に真摯に向き合い続けたソニーの答え」が伝わってくる一台でした。

少し遠回りしながらの実験を経て出た結論でしたが、本文ではその過程も含めて楽しんでいただければと思います。よろしくお願いします。

SONY FX2本体画像

検証1|最強のHDカメラ

SONY FX2とFX3とα7C IIの本体画像

FX3と真正面から比較すると、やっぱり微妙なカメラです。になってしまうので、ひねくれた私はHDの画質がシリーズで最高傑作なのではないかという仮説をたてて検証を行いました。

「7Kオーバーサンプリングだから高画質」といううたい文句から想像すると、理屈の上ではそこから生成されるHDも高画質で、そこから切り出されるAPS-CモードをFX3と比較することで、FX2の最も評価する部分を簡単に記事にできるのではと考えていたんです。
ということでテスト開始。

FX2のAPS-Cモードは狙い通り良い結果が得られましたが、残念なことにフルサイズモードでは解像感が低く、ピントを外したのかと思うほどディテールが失われていました。調べると、これは「ラインスキップ」や「ピクセルビニング」による処理で、読み出し速度を優先するために画質が犠牲に…とのこと。

これはFX2だけの特性ではなく、同じ高解像度センサーを積むα7シリーズでも起きる現象で、現に私の所有するα7C IIでも確認できました。

比較動画としては結果的にFX3やα7C IIを評価するような内容になってしまった気がします。すみません。

検証2|4K高画質比較 60P時のクロップは弱点か?

SONY FX2とFX3の本体画像

初めからやりなさいよって感じなのですが…。

「7Kオーバーサンプリング」のうたい文句だけ聞いて信じるのは嫌だったので、検証してみました。フルサイズ時の解像感は圧巻。YouTubeの圧縮で多少ブロック感は出てるのではと思いますが、手元で見る限り草むらのディテールまで非常に良好です。

一方クロップについては、一般的に「画質が落ちる」「広角が撮りづらい」と嫌われがちですが、実際の検証では画質は十分実用的と感じました。広角に関しても16-35mmを持ち歩いていればクロップ後でも20mm程度は確保できるので問題なし。むしろFX3(4K)にないクロップ機能は大きな強みで、ジンバル使用時などレンズ交換なしでバリエーションが撮れるのは、ドキュメンタリーの現場でも重宝するはずです。

FX30から動画撮影を始めた方は、APS-C用レンズをすでにお持ちの場合が多いと思うので、その流れで新たなメイン機としてFX2を導入するのもありですよね。またレンズの選択肢が豊富という考え方をすれば、表現の幅を広げられるクリエイティブ性の高いカメラと言えるのではないでしょうか。

検証3|静止画の比較 FX2、FX3、α7C II

SONY α7C II作例:球場の裏の階段

SONY α7C II・FE 24-70mm F2.8 GM Ⅱ
絞りF11・1/125秒・ISO100

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SONY FX3作例:球場の裏の階段

SONY FX3・FE 24-70mm F2.8 GM Ⅱ
絞りF11・1/125秒・ISO100

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SONY FX2作例:球場の裏の階段

SONY FX2・FE 24-70mm F2.8 GM Ⅱ
絞りF11・1/125秒・ISO100

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FX3は数値通り静止画性能に不足が見られましたが、FX2は高画素らしい描写を発揮し、仕事で十分使えるレベルだと感じました。特に注目したのは「静止画と動画を高レベルで両立させたいユーザー」を意識した設計思想とインターフェースです。

SONY α7C II作例:公園に茂る木々

SONY α7C II・FE 24-70mm F2.8 GM Ⅱ
絞りF8・1/160秒・ISO200

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SONY FX3作例:公園に茂る木々

SONY FX3・FE 24-70mm F2.8 GM Ⅱ
絞りF8・1/160秒・ISO200

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SONY FX2作例:公園に茂る木々

SONY FX2・FE 24-70mm F2.8 GM Ⅱ
絞りF8・1/160秒・ISO200

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モードスイッチを切り替えると、動画用と静止画用で設定が完全に分かれて保存され、クリエイティブルックやWBもそれぞれ保持されます。RAWで写真を撮りつつ、動画はS-Log3で収録するなど、異なる設定を使い分けるユーザーには非常に便利です。

筆者も仕事で静止画の依頼が増え、動画撮影の流れで写真を求められる場面が多くありましたが、FX3では設定変更で現場がもたつくことがありました。FX2の仕様ならそのリスクを減らすことに繋がっていくので、今後の標準の機能になっていくべきだと感じました。

実戦編|撮影と真剣に向き合って生まれたカメラ

使い慣れたソニーの機種ということもあり、実際仕事でブライダル撮影やイベント撮影でも使用を試みました。どちらもワンマンオペレートで、カメラの質が問われる現場です。現場で使うことでそのカメラのもつ本当の質について触れることができたんじゃないかなと感じました。

顔認識トラッキングフォーカス

まず驚いたことは超解像ズームを使用した場面でもタッチトラッキングや顔検出の使用が可能だったことです。FX3では通常AFに切り替わってしまっていたので、不意のズーム時にフォーカスを外すことが多々あっての、とてもうれしい機能の見直しです。

SONY FX2のモニター:顔認識 トラッキングフォーカス
SONY FX2のモニター:顔認識 トラッキングフォーカス

縦位置時のモニター表示

これに気付いた時に、あれ?表示って縦になるんだって初めて知りました。というのもこれまで動画機は横の文化しかなかったので、縦撮影の際はみんなで首をかしげながらカメラ設定をしていたんですね。もう戻れませんよね。

昨今はSNS広告への需要の増加も高まり、縦動画が圧倒的に増えてきたので素晴らしいです。

SONY FX2の縦位置時のモニター表示

EVF

私はα7C IIを所有していますが、EVFを搭載しているという理由からです。EVFの不便な点として動画撮影の構え方をすると、センサーが干渉してモニター表示が突然消えることが多々あるんです。

FX2のEVFは角度を切り替える構造や、それに対しての反応設定が4段階変更することができるのでそれぞれのユーザーにとって使いやすい設定をチョイスできます。

また、ファインダー横にカスタムボタンが新設してあり、このボタンにモニター表示の機能をアサインすることで直感的に「表示」に意識を向けられる良いデザインだと感じました。

SONY FX2のEVF

細部の作り込み

カスタムボタンのアサイン時に目的のボタンを入力すると、カーソルを連打しなくてもたどり着けることを発見しました。細かい変更かもしれませんが、撮影中に瞬時にカスタムボタンで割り当てた機能を変更することも考えられており、ソニーの撮影に対するマインドの高さを感じることができました。

たまたま気付きましたが他にも細かなアップデートがあることを期待させてくれました。

作品撮り|Vlog

今回は4Kをベースに30Pや60Pスローの混合というテーマで撮影を試みました。
レンズはNOKTON Classic 40mm F1.4を使用。

αシリーズとの大きな違いは、FX2ではLogのEI設定が可能な点です。これによりグレーディングの自由度が格段に広がり、まず使用すべき機能ですよね。

また「7Kオーバーサンプリングからの4K」という表現は聞き慣れましたが、やはりディテールは繊細で美しく、三脚を据えてじっくり撮影すれば、このカメラの真価をさらに引き出せそうです。

今回の撮影では24pと60pを切り替えていましたが、シャッターを「アングル」で設定できるのはやっぱり便利ですね。モーションブラーをコントロールしやすく、Cinema Lineの必要性をあらためて実感しました。

一方で、ダイナミックアクティブ手ぶれ補正は正直失敗でした。強めの補正がかかるので、シャッタースピードが遅いと残像ばかりが気になってしまいました。しっかりアクティブなシーンにはアクティブな設定を見直したいですね。

デュアルベース感度の4000EIは、夕暮れ時に「そろそろ部屋の明かりをつけたいな」というタイミングでちょうどいい感じ。暗部を暗く表現したい場面でも過剰に明るくならず、使いやすい印象でした。とはいえ早くトリプルベース感度出してほしい!ですね!

Vlog撮影の合間に静止画も撮ってみましたが、例の切り替えスイッチは評判通り素晴らしいです。山道を歩きながらでも目視せず切り替えられるので、風景や被写体に集中できます。やはり高画素高画質が伴っていると自然と写真を撮る気持ちになり、そこにはファインダーを覗く楽しさがありました。

SONY FX2作例:苔の茂る森の祠

SONY FX2・Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4
絞りF4・1/80秒・ISO320

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SONY FX2作例:森の中の小さな滝

SONY FX2・Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4
絞りF4・1/80秒・ISO320

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SONY FX2作例:苔の生えた石

SONY FX2・Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4
絞りF4・1/125秒・ISO320

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SONY FX2作例:太陽の光で輝く葉

SONY FX2・Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4
絞りF4・1/1600秒・ISO160

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今回撮影に協力してくださったのは、群馬県桐生市で森林の保護をおこないながら、山の公園を運営しているOwl Mountain Parkさんです。心よく取材を受けてくださり ありがとうございました!また遊びに行きますね!

裏技のうわさ|4Kクロップされないスロー撮影

撮影の合間にSNSで流れてきた情報ですが、FX2でもクロップされない4Kスロー撮影できる可能性がでてきました。設定内容は4K DCI -24Pにし、FPSをVariableにて48FPSに設定するだけ。これはバグだという書き込みもあるのも事実ははっきりしませんが、これが可能なら大きな武器になるはずです。

私も手前まで試みましたが、V90のSDしかなく断念してしまいました。すみません!
やってみた方教えてくださいね。

まとめと期待

HD撮影では期待外れな部分がありましたが、4K画質ではFX3を圧倒的にしのぎ、実際のアウトプットからも高いクオリティを確認できました。

スペックだけを見れば派手さはないものの、「動画も静止画も一台で」というシンプルなニーズに応え、安定した動作や使いやすい操作性といった基本を丁寧に突き詰めた姿勢が伝わってきました。まさにCinema Lineの名にふさわしい、“現場で信頼できるカメラ”だと感じる事ができました。

またFX2の機材を発注依頼したタイミングで、FX3の新ファームが公開となり動画業界にとって話題となりました。2021年発売のFX3が今も現役であるように、FX2でもこれから新機能の追加などが、起こるのではと私は思います。FX3同様に息の長いモデルになってくれることを期待しています。

作例に使用したレンズ

【商品情報】Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4

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Voigtlander NOKTON Classic 40mm F1.4バナー画像

【商品情報】SONY FE 24-70mm F2.8 GM II

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SONY FE 24-70mm F2.8 GM IIバナー画像

作例に使用したカメラ

【商品情報】SONY FX2 ボディ

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SONY FX2 ボディバナー画像

【商品情報】SONY α7C II ボディ

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SONY α7C II ボディバナー画像

Photo, Video & Text by 金子元気(かねこ・げんき)

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