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2024.01.07
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SONY α7CR レビュー× 鹿野貴司|コンパクトボディに高性能を凝縮!いつでも高画質を実現できるフルサイズミラーレス

SONY α7CR レビュー× 鹿野貴司|コンパクトボディに高性能を凝縮!いつでも高画質を実現できるフルサイズミラーレスキービジュアル


ライター鹿野貴司(しかの・たかし)イメージ
■フォトグラファー紹介

鹿野貴司(しかの・たかし)

鹿野貴司(しかの・たかし)
1974年東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、さまざまな職業を経て写真家に。広告や雑誌などを手掛けるかたわら、スナップやドキュメンタリーの作品を精力的に発表している。近年の写真展に「#shibuyacrossing」(ソニーイメージングギャラリー)、「煩悩の欠片を燃やして菩提の山へ走れ」(ナインギャラリー)など。昨年9月には『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)を出版。日本写真家協会会員。
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Twitter:@shikanotakashi

小さなボディで最高レベルの画質を

SONY α7CR本体正面

前回α7C Ⅱのレビューを公開したが、そこで触れた通り、今度は兄弟機・α7CRのレビューをお届けする。いきなりだが両者を比較していくと、細かい操作部も含め、外観はα7CRとα7C IIでまったく違いがない。重さもα7CRがわずか1g重たいだけ。当然ながらロゴは違うのだが、まさにそこしか識別するポイントがないのだ。そんなふうに書くと“値段は高いのに下位機種と同じ?”と思われそうだが、塗装や操作部の質感も含め、フルサイズ高画素機にふさわしい高級感がある。どちらかといえばα7C Ⅱが“質感は上記機種並み”といったところだと思う。

SONY α7CR、α7R V

α7CRはその小さなボディに、フルサイズミラーレス機では現時点でもっとも高画素であるα7R V(写真左)と同じ約6100万画素の裏面照射型センサーExmor Rと、画像処理エンジン・BIONZ XRを搭載。そのほかの基本的なスペックもほぼ同一だ。α7R Vに対して質量は約71%、体積にいたっては約53%という小型化を実現しており、α7R Vの弟分という見方もできる。

α7C Ⅱとの違いは画素以外はわずか

SONY α7CR本体背面

サイズもデザインもほぼ同じとなれば、α7CRとα7C Ⅱ、どちらを買うか迷う人も多いだろう。フジヤカメラ店の価格で比較すると12万円以上の差があり、よほど画質にこだわる人でない限り、α7C Ⅱを選ぶかもしれない。しかしα7R Ⅴと同じセンサーを積み、ローパスフィルターレスとあって、撮影した写真を見ると階調再現性や解像感はローパスフィルターを搭載したα7C Ⅱよりワンランク上の印象を受ける。ということで実際の競合相手はα7R Ⅴではないだろうか。フジヤカメラ店での価格差は9万円弱。ならば予算捻出を頑張ってα7R Ⅴをという考えもあるだろうし、画質は同じなのに安くて小さいα7CRを選ぶのもアリだと思う。仕事でα7R Ⅳとα7R Ⅲを使っている僕は、妻さえ許せばα7R Ⅴとα7CRの2台体制にそっくり入れ替えたい。同じ画質だがスタイルが違う2台があると、使い分けもできてたいへんよいのですが(心の声)。

SONY α7CR作例:カート

ソニーα7CR・FE 50mm F2.5 G
絞りF2.5・1/100秒・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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SONY α7CR作例:商店街の風景

ソニーα7CR・FE 40mm F2.5 G
絞りF2.5・1/160秒・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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操作系などは共通するα7C Ⅱのレビューをご覧いただきつつ、少しばかり両機の違いを深掘りすると、連写に関するスペックが少しばかり劣る。α7C Ⅱが最高秒10コマ、連続撮影枚数は圧縮RAWで44枚なのに対し、α7CRは最高秒8コマ、同36枚だ。もっとも画素数の違いを考えれば当然だろうし、むしろこのサイズで6100万画素という点を考慮すれば“秒8コマも撮れる”というべきだろう。AF関連も比較すると微妙に違う。充実したトラッキングAF機能などは同じだが、測距点の数がα7C Ⅱの759点に対し、α7CRは693点とやや少ない。これは静止画のときのスペックで、動画ではα7CRは693点のままなのに対し、α7C Ⅱは627点と逆転する。しかしこのあたりの差も体感できるほどではなく、小型軽量というα7CRのキャラクターを考えても気にするところでもないだろう。

SONY α7CR本体グリップ付

またα7CRにはグリップエクステンション「GP-X2」が同梱。これはα7C Ⅱにも装着可能だが、別売を購入するかたちになる。「GP-X2」は底に凹凸があり、装着するとデザインのシャープさが損なわれる気もするが、ホールディング性は格段に向上する。僕はα7R Ⅲで同様の機能を持つ「GP-X1EM」を使っているので、その効果は事前にわかっていたのだが、「GP-X2」が「GP-X1EM」と異なるのは装着した状態でもカメラを立てて置けること。そして上の写真のように、装着したままバッテリー交換ができることだ。ただしバッテリー室にアクセスするための可動部が、個体差かもしれないが少しグラついていた。それがちょうど指で握る部分なので、どうしても気になってしまう。バッテリーは頻繁に交換するものでもないので、個人的には剛性を優先して非可動式でもよかった気がした。

α7R Ⅴと同等のAF性能を誇る

SONY α7CR作例:ストリート

ソニーα7CR・FE 28-60mm F4-5.6・42mmで撮影
絞りF5.6・1/100秒・-0.3EV補正・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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連写やAF関連について、兄貴分のα7R Ⅴとも比較してみよう。α7R Ⅴの連写は最高秒10コマで、ボディが大柄なぶんシャッターに関するスペックも優っている。メカシャッターの最高速は1/8000秒(α7CRは1/4000秒)で、連続撮影枚数も圧縮RAWで583枚とα7CRの16倍以上を誇る。もっともα7CRのキャラクターを考えれば、そこでα7R Ⅴと迷う人も少ないだろう。一方でAF関連のスペックはまったく同じで、撮影していると気持ちよくピントが合う。テストがてら撮影していたのでナンバープレートなどがばっちり写ってしまい、きちんとお見せできる作例がないのだが、街角で通り過ぎていく車にカメラを向けてもまったく不満はなかった。

決してスポーツ撮影向きのキャラクターではないが、たとえば子供の運動会といった場面では十分戦力となりうるのではないだろうか。EVF(電子式ビューファインダー)がα7CRは0.7倍・235万ドット、対するα7R Ⅴは0.9倍・945万ドットと大きな違いはあるが、そこはサイズや価格の差につながっている“妥協すべき点”ともいえる。α7CRはα7R Ⅴの画質をそのままに、風景や一般的なスナップを撮る人にはオーバースペックな部分を省き、小さくてリーズナブルにしたモデルなのだと思う。

SONY α7CR作例:自転車

ソニーα7CR・FE 50mm F2.5G
絞りF4・1/100秒・ISO800・AWB・JPEGエクストラファイン

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Exmor Rの画質はやはり圧巻!

今回はα7C Ⅱと並行していろいろな場面を撮影したのだが、先にも少し触れた通り、階調再現性や解像感にやはりローパスフィルターレスの優位性を感じた。α7R Ⅳユーザーの僕は、ときどきα7R Ⅴを使う機会があるのだが、両機は約6100万画素の(公称上は)同じセンサーを積みながら、写し出される立体感や空気感といった部分で世代の違いを感じる。そのα7R Ⅴと同じ画質をこのボディサイズで得られるというのは大きな魅力であり、α7C Ⅱと迷う人をさらに迷わせるポイントではないだろうか。

SONY α7CR作例:ナイトスナップ

ソニーα7CR・FE 40mm F2.5 G
絞りF2.5・1/125秒・ISO640・AWB・JPEGエクストラファイン

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SONY α7CR作例:工場

ソニーα7CR・FE 20-70mm F4 G·61mmで撮影
絞りF8・1/500秒・-0.7EV補正・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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α7C Ⅱもそれ単体でみれば十分満足のいく画質だが、普段α7R Ⅳとα7R Ⅲというローパスフィルターレスのモデルを使っている身には、被写体によってはほんの少し眠たい印象を受けてしまう。たとえば空や遠くの海といった霞みのある遠景や、日陰や日没後といった光の淡い場面で、α7C Ⅱはガラス越しに写したような甘さを感じる。そこをα7CRではすっきりとリアルに再現してくれる。この数値では測れない空気感が、風景写真では印象を大きく左右する。また取り込んだ情報が豊かなぶん、レタッチで引き出せる階調も広い。

SONY α7CR作例:お香

ソニーα7CR・FE 24mm F2.8 G
絞りF2.8・1/60秒・-0.3EV補正・ISO1250・AWB・JPEGエクストラファイン

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SONY α7CR作例:ビル

ソニーα7CR・FE 28-60mm F4-5.6・60mmで撮影
絞りF8・1/640秒・-0.7EV補正・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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動画でも高いパフォーマンスを発揮

α7C Ⅱのレビューでも触れたが、キットレンズのFE 28-60mm F4-5.6と合わせても重量が700g以下ということで、ジンバルやドローンに載せて動画を撮るのにも適している。また優秀な手ブレ補正が内蔵されており、手持ちでもかなり滑らかな動画を撮影することができる。そして忘れてはならないのが、ソニーが無償提供しているPC用ソフト「Catalyst Browse」。ジャイロ情報をもとに画像の揺れをさらに軽減できるのだ。

動画に関する記録形式などの基本的なスペックはα7C Ⅱと同じ。4K・60pで記録する際の画角が、α7C ⅡではAPS-Cとほぼ同じSuper 35mm相当までクロップされるのに対し、α7CRではフルサイズの約1.2倍にとどまる点が異なるくらいだ。ただし静止画と同様、数値に現れない違いとしてローパスフィルターレスゆえのクリアな描写というのはあるだろう。

これはα7C Ⅱと共通だが、動画の仕上がり設定にあたるピクチャープロファイルで新たに「S-Cinetone」を搭載。ソニーのプロ向けシネマカメラで採用されているもので、肌の再現性に優れた設定だ。またα7C Ⅱのレビューでも触れたが、3段階の「美肌効果」も搭載されている。4:2:2 10bit撮影や、HDMI出力先でのLUT表示といったプロが求めるスペックも備えており、本格的なムービー撮影にも対応できる。

「いつでも高画質」を実現できる一台

α7C Ⅱやα7R Ⅴとあれこれ比較もしてきたが、果たしてどんな人にα7CRをおすすめできるのか。使いながら少し考えてみたが、もっとも利点を発揮できるのは登山も含めたアウトドアフィールドではないかと思う。少しでも荷物をコンパクトにしたいけれど、絶景に出会う可能性も高く、画質も妥協したくない。そんな人には迷わずα7CRをおすすめできる。マグネシウム合金ボディの堅牢性は十分だし、ボタンやダイヤルにシーリング処理を施し、防塵防滴にも配慮している。また小さくてスクエアなデザインなので、α7R Ⅴに比べれば防水のパックなどにも収納しやすい。

SONY α7CR作例:銅像

ソニーα7CR・FE 55mm F1.8 ZA
絞りF1.8・1/125秒・-0.3EV補正・ISO200・AWB・JPEGエクストラファイン

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SONY α7CR作例:夕日があたる工場

ソニーα7CR・FE 20-70mm F4 G・70mmで撮影
絞りF5.6・1/800秒・+0.7EV補正・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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またこれはα7C Ⅱのレビューでも書いたが、通勤や普段の外出でも必ずカメラを携行するという人にも最適な機種だと思う。僕自身、コンパクトだが高画質なカメラを好み、日頃から持ち歩いているので、もしα7CRを購入したらそういう使い方をすると思う。絶景は身近にも存在するし、シャッターチャンスも昼休みや会社帰り、時を問わずやってくる。そんなときにカメラがなくてスマホで撮影する写真愛好家は多いかもしれないが、思い描いたイメージをスマホのカメラで再現するのはかなり難しい。空気感までリアルに切り取るカメラがあってこそ、シャッターチャンスが会心の一枚につながるのだ。そうだそうだ、と思う方にこそ、α7C Ⅱとα7R Ⅴのいいとこどりともいえるα7CRをお勧めしたい。

SONY α7CR作例:観葉植物

ソニーα7CR・FE 20-70mm F4 G・43mmで撮影
絞りF4・1/100秒・-1EV補正・ISO500・クリエイティブルック:モノクロ・JPEGエクストラファイン

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SONY α7CR作例:鉄の橋

ソニーα7CR・FE 20-70mm F4 G・21mmで撮影
絞りF8・1/80秒・-0.3EV補正・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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作例に使用したカメラ

【商品情報】SONY α7CR

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作例に使用したレンズ

【商品情報】SONY FE 24mm F2.8 G

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【商品情報】SONY FE 40mm F2.5 G

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【商品情報】SONY FE 50mm F2.5 G

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【商品情報】SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

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【商品情報】SONY FE 28-60mm F4-5.6

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【商品情報】SONY FE 20-70mm F4 G

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まとめ

・α7CRはα7R Vと同じ約6100万画素の裏面照射型センサーを搭載したα7R Vの弟分という見方もできる機種です
・操作系は同じくコンパクトな機種となるα7C Ⅱとほぼ共通です
・グリップエクステンション「GP-X2」が同梱されます
・非常にコンパクトで通勤や普段の外出でも必ずカメラを携行するという人にも最適な機種です

Photo & Text by 鹿野貴司(しかの・たかし)

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