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2025.02.13

SONY α1 II 実写レビュー × 小城 崇史|あらゆるジャンルの期待に応える高性能万能機

SONY α1 II 実写レビュー × 小城 崇史|あらゆるジャンルの期待に応える高性能万能機キービジュアル


ライター小城 崇史(Takafumi Kojo)イメージ
■フォトグラファー紹介

小城 崇史(Takafumi Kojo)

東京都世田谷区出身
1996年より国内外のスポーツシーンを撮影し続け、Jリーグ・Bリーグのクラブオフィシャルフォトグラファーを務める一方、2021年開催の東京オリンピック・パラリンピックでは組織委員会フォトマネージャーとして活動。現在もスポーツの現場に立ち続ける一方で、作家活動においてはスポーツ、古典芸能・Cityscapeをテーマとした個展を開催。

公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員
一般社団法人日本スポーツプレス協会(AJPS)理事
カメラグランプリ 特別選考委員

はじめに

早いもので、ソニーαを自分のメイン機材とするようになってから5回目の正月を迎えた。

自分の撮影ジャンルであるスポーツや古典芸能の現場において、高いポテンシャルを発揮できることが一番の選択理由なのだが、長く撮り続けている現場の関係者から「ここ数年の小城さんは存在を消して撮るようになりましたよね」と言われ、最初は何のことを言っているのかさっぱりわからなかったのだが、それがミラーレスシステムの中でも群を抜くαの静粛性のことを意味していることに気付いたのは、実は割と最近の話だ。ミラーレス=無音とお思いの方も多いかもしれないが、様々なメーカーのミラーレスカメラを使ってわかったのは、静粛な環境において、細かい動作音が耳障りとなる機材がまだまだ多いということだ。消音ケースを使っていても、シャッターを切るのは演奏音が最大になるときを狙うなど配慮していた一眼レフ時代のことを思うと、ソニーαの静粛性はスペックシートに現れない大きなメリットだと感じている。

そんなソニーαのフラッグシップ機として登場したのが、今回ご紹介するα1 IIである。

SONY FE28-70mm F2 GMを装着したSONY α1 II

FE28-70mm F2 GMを装着したα1 II。初代と異なり、本機の機種名は白文字表記となった。

左肩部から見るSONY α1 II

左肩部から見るとα9 IIIと同じダイヤルレイアウトになっており、現場で持ち替えても違和感なく使うことができる。

SONY α1 IIのダイヤル部分

釣り鐶の金具がタイトになり、余分な隙間がないので雑音が発生しにくいのも騒音減に貢献しているようだ。

SONY α1 IIの記録メディア

記録メディアはデュアルスロットとなり、CFexpress Type AメモリーカードとSD(UHS-I、UHS-II対応)メモリーカードが使用可能。

ファーストインプレッション

スポーツジャンルにフォーカスしたα9(2017年発売)以降、私は発売されたフルサイズαのほとんどを手にしてきた。今回のα1 IIは「α1(2021年発売)の第二世代」にあたり、α1をメインカメラとして2年にわたり使ってきた私的には、その進化がどれだけのポテンシャルをもたらすのか非常に興味がある。

α1 IIは先に発売されたα9 III(2024年発売)と同じボディ形状を採用し、縦位置グリップもα9 IIIと同じVG-C5を使うため、この一年、α9 IIIを使ってきた私にとっては何の違和感もなく受け入れることができた。ダイヤルやボタン類の配置はもちろんのこと、メニュー画面の階層構造まで同じなので、α1 IIのJPEGファイルサイズをMサイズに設定しておけば、α9 IIIのサブカメラとして使っても違和感なく期待した成果を得ることができる。

今までのαシリーズだと、世代やシリーズの相違によって操作性が完全には統一されていなかっただけに、複数のカメラを同時に運用する場面では大きなメリットだ。最近はこの二台(α1 IIとα9 III)を携えて撮影に出かけることが多く、そして二台とも縦位置グリップを取り付けた状態でカメラバッグに格納しているため、現場で間違えないよう、自分だけにわかる印を付けているのはここだけの話だ。

使って実感した「AF速度と精度の向上」

ソニーαの絶え間ない進化を感じるポイントはたくさんあるが、中でもAIプロセッシングユニットのポテンシャルは、誰でもその効果を実感させてくれるはずだ。このユニットによって駆動するリアルタイム認識AFは様々な被写体(オートの他に人物や動物など、7種類の設定が可能)を認識することで今までになかった高速合焦を実現しており、被写体の顔が一瞬見えなくなっても追い続けたり、再度捉えたりする能力が格段に向上している。そしてなによりもありがたいのは、約5010万画素の画像でその性能を実現していることだ。

SONY α1 II作例:飛び立つ鳥

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS+テレコンバーター20TC
絞りF5.6・1/1250秒・ISO320・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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飛び立つ鳥の姿を捉える。リアルタイム認識AFを「鳥」に設定すると、画面の中で鳥の瞳を追い続けることで被写体に正確に合焦する。

SONY α1 II作例:青空を飛ぶ航空機

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS+テレコンバーター20TC
絞りF5.6・1/1600秒・ISO500・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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羽田空港を離陸し、右に旋回しながら上昇する航空機を城南島から狙う。倍率2倍のテレコンバーターを使用しても画質低下は限定的だ。

ほとんどの場面で有効な高速連写性能

4年前、α1によって実現した30コマ/秒の高速連写機能は「一眼レフでは成し得なかった速度」として大きな衝撃を受けたが、α9 IIIによって120コマ/秒の連写が実現した結果、今となっては大したことのないスペックだと思われるかもしれない。

しかしスポーツや乗りものなど、高速で動く被写体を捉えるに30コマ/秒は必要十分な性能であり、そして実際には「撮れすぎる」場合がほとんどなので、現実的には15コマ/秒(ドライブモードダイヤル「連続撮影:Mid」の初期設定値)で使うケースがほとんどだ。

ソニー純正レンズを装着しているときは、カスタムファンクションボタンC5に初期設定で割り当てられている「連写速度のブースト」機能を使うことで連写速度を上限の30コマ/秒に瞬時に切り替えることができるのも、動体撮影を行う者にとっては見逃せないポイントだ。

SONY α1 II作例:隅田川を進む近代的なデザインの船(水上バス)

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS+テレコンバーター20TC
絞りF5.6・1/500秒・ISO100・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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曲面で構成された船体と太陽光が織りなす光と、水面の形を気にしながらシャッターを切る。画面全体に全てがバランス良く収まる瞬間を着実に捉えてくれた。

必要十分にして満足できる「アンチディストーションシャッター」

α9 IIIの次に登場したカメラだけに、α1 IIに搭載されたのがグローバルシャッターではなかったことに対して失望の声もあったようだが、グローバルシャッターとて完璧なものではない(高感度画質やベース感度など、他の性能に及ぼす副作用が解消できていない)現状を考えるに、アンチディストーションシャッターの採用は現実的な解決策だと感じた。実際に動く被写体を追いかけながら撮影しても、EVFの再現性が高いためか違和感を感じることはなく、そして実際の画像に不自然な歪みを確認することはできなかった。

SONY α1 II作例:数寄屋橋交差点の夜景

SONY α1 II・SONY FE 24-70mm F2.8 GM II
絞りF5.6・0.3秒・ISO250・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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数寄屋橋交差点で夜の街を狙う。手持ちのスローシャッターだがカメラの手ブレ補正が非常に効果的で、かつ動く車も不自然に歪むことなく描写されているのがわかる。

見逃せない高感度画質の向上

ソニーαシステムには高感度撮影に特化したα7SIIIが用意されている。特に動画撮影時に大きなメリットを享受できるのだが、スチールカメラとして見たときに約1210万画素という数字に不安を感じる場面が多く、使用頻度が下がったタイミングで手放したことを今でも後悔しているのだが、α1 IIで撮影して実感したのは、高感度で撮影しても以前ほどノイズ感が気にならなくなったことだ。

私は普段、特定の目的がある場合を除きカメラのISO感度設定はオート(カメラ側に感度設定を委ねる)で撮影しているのだが、ISO感度が急激に上がったカットを後から見てもストレスを感じることがなくなった。α1を使っていた頃は、JPEGのまま納品を求められる急ぎ仕事の際はMサイズ(21M設定)で対応していたのだが、そんな配慮も過去の話になった。

SONY α1 II作例:月

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS+テレコンバーター20TC
絞りF8・1/2000秒・ISO800・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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テレコンバーター20TCを装着し、600mm相当で捉えた12月の満月。等倍に拡大すると、月面の描写が緻密になされていることがわかる。

他のαシリーズと比較すると……

先に挙げたα7SIII以外にも、高画素に特化したRシリーズ、動体撮影に特化した9シリーズ、そしてシステムのベーシックを担う7(無印)シリーズと、様々な個性的カメラを有するソニーαシリーズだが、α1 IIは画素数こそRシリーズに、連写速度こそ9シリーズに一歩譲るものの、総合的なポテンシャルを考えると「ソニーαの最新・最良のテクノロジー」を実感させてくれる存在であることは間違いない。そして特筆すべきは、動く被写体への高い対応力を持つだけでなく、高画素化と高感度画質の向上を両立させることによって、オールラウンドな対応力を身につけていることだ。

SONY α1 II作例:12月の花火

SONY α1 II・SONY FE 24-70mm F2.8 GM II
絞りF11・20秒・ISO100・WB 5000K・クリエイティブルック スタンダード 三脚+ハーフNDフィルター使用

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長秒時露光で捉えた12月の花火。短時間でたくさんの尺玉が打ち上げられるため、上空で展開するタイミングを見ながら手際よく撮る必要があるが、α1 IIは長秒時露光でも画像処理プロセッサの速度が早いのか、ストレスを感じずに撮ることができた。

SONY α1 II作例:青空を飛ぶゆりかもめ

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS
絞りF2.8・1/1000秒・ISO100・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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突然目の前を横切ったゆりかもめの姿を追う。リアルタイム認識AFはこのときオートだったが、等倍拡大すると鳥の羽を正確に捉え描写していることがわかる。

あらゆるジャンルの期待に応えてくれるカメラ

動体撮影や高速シンクロがどうしても必要なら迷わずα9 IIIを選ぶべきだが、それ以外の被写体、例えばポートレートや風景など、あらゆるジャンルの期待に応えてくれるカメラ、それが「第二世代のα1」たるこのカメラだと思う。メーカー自らが「1」という称号を与えていることからもわかるように、現時点で最高水準となる性能を備えていることには疑う余地がない。

但し50MPの画像をハンドリングするにはPC、カラーマネジメントモニター、ソフトウェアなど、それ相応の環境が整っている必要がある。環境が整っていないとこのカメラが持つポテンシャルの全てを堪能することは難しいだろう。

SONY α1 II作例:銀座四丁目の交差点

SONY α1 II・SONY FE 28-70mm F2 GM
絞りF22・1/8秒・ISO100・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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Cityscape Photoのメッカでもある銀座四丁目の交差点を手持ちのスローシャッターで狙う。絞りを最小まで絞っているが、画像処理プロセッサのおかげで遠方のデパートのロゴまできちんと読み取ることができる

SONY α1 II作例:水面に憩うゆりかもめ

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS+テレコンバーター20TC
絞りF5.6・1/1250秒・ISO320・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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朝日に照らされながら水面に憩うゆりかもめの姿を捉える。サイレント度が極めて高いため、自然な表情を難なく捉えることができた。

SONY α1 II作例:水面に憩うゆりかもめ3羽

SONY α1 II・SONY FE 300mm F2.8 GM OSS+テレコンバーター20TC
絞りF5.6・1/1250秒・ISO500・WB オート・クリエイティブルック スタンダード

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画面内にバランス良く3羽が収まる瞬間を狙う。極めて小型軽量なFE300mm F2.8 GM OSSとテレコンバーター20TCを組み合わせることで、手持ちでも長時間追い続けることが可能になった。

まとめ

高性能を実現していながら、それを使うことにストレスを感じさせないのは製品自体のポテンシャルが高いことの証だ。大口径単焦点レンズや超望遠レンズなどと組み合わせることで、その性能を極限まで引き出してくれることをこのカメラは約束してくれる。設定を変えることでデータ容量を小さくすることも可能だが、もしこのカメラを手にするのであれば、50MPのポテンシャルをフルに活かしてA2以上の大判プリントにトライしてほしい。モニターでは知ることのなかった世界が見えてくるはずだ。

作例に使用したレンズ

【商品情報】SONY FE 24-70mm F2.8 GM II

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【商品情報】SONY FE 28-70mm F2 GM

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作例に使用したカメラ

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Photo & Text by 小城崇史(こじょう・たかふみ)

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