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2024.08.15
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Nikon Z6III 実写レビュー × 熊切大輔|上位モデルのスペックを継承し、取り回しが良くなった最強の中級機

Nikon Z6III 実写レビュー × 熊切大輔|上位モデルのスペックを継承し、取り回しが良くなった最強の中級機キービジュアル


ライターフォトグラファー 熊切大輔イメージ
■フォトグラファー紹介

フォトグラファー 熊切大輔

東京都新宿生まれ。
東京工芸大学短期大学部入学。写真技術科第5研究室にて芸術写真などの写真表現を学ぶ。
卒業後、株式会社日刊ゲンダイ写真部に入社プロ野球では読売巨人軍担当、社会面や文化面なども担当する。その後⽇刊ゲンダイ写真部退社し、フリーとなる。
現在は雑誌媒体を中⼼に⼈物・⾷をテーマに企業オフィシャル撮影・広告など様々なジャンルで活動中。高校や大学、写真教室などで講師として指導も⾏う。
公益社団法人日本写真家協会会長。東京工芸大学同窓会理事。

はじめに

ニコンの初めてのミラーレス機として2018年にデビューを果たしたZシリーズ。その記念すべき初代機Z7に続いて登場したのがZ6であった。おもに高画素に機能をふったZ7に対してZ6は高感度に強いカメラとしてコントラストのついた特徴を有している。そんなZ6は2020年にZ6IIをリリース。着実な進化を続けながらこの2024年いよいよ3代目、Z6IIIの登場となった。Z6IIからブラッシュアップされた機能はもちろん、その間にリリースされたZ9、Z8における最新技術も反映された、まさに最先端のカメラなのだ。

Nikon Z6III 本体:レンズを装着した画像

Z6IIからの大きな進化点

なによりZ6IIIの大きな特徴はその取り回しの良さだろう。サイズは先代Z6IIが705gで今回のZ6IIIは760gとやや重くなり、大きさも若干大きくなったがコンパクトなボディは未だ健在だ。持ち歩きは軽快でカメラバッグの出し入れもスムーズ、撮影の重荷にならないコンパクトさだ。ボディが小さくなるとグリップ感が心配だが厚み深さともに程よく、指がかりの良い印象だ。持ち歩きにストレスがかからない、フットワークの良い撮影に挑むことができる印象だ。

そしてその機能も堅実に進化を遂げている。なにより大きなトピックは撮像素子に世界初の部分積層型CMOSセンサーを搭載したことだ。撮像素子の上下に高速処理回路を配置することで、高画質と高速性能を両立することが出来たのだ。これはローリングシャッター歪みを低減したり高速連写性能やファインダーの見え、動画など様々な機能に大きな進化を与えたのだ。そこにZ9やZ8と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」が加わり動体の捕捉性能の向上などフラッグシップに負けずとも劣らない性能を発揮することができているのだ。

Z6III×NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sの作例を見てみよう

他にも様々な進化を遂げたZ6III。キットレンズNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sで撮影した作品と一緒にその機能を見てみよう。

Nikon Z6III 作例:ビルの反射

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
84mmで撮影・絞りF8・1/80秒・ISO100・WBオート・RAW

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近年、都市の建物は鏡面を多用したものが多く、何気ない景色を面白く歪めてくれる。有効画素数2450万画素は昨今の高画素化を考えると物足りなく感じるかもしれないが、その表現力は全く問題なく、生み出される画像の解像感はシャープに街を表現してくれる。まさに「今」の都会のデザイン的光景を切り撮る事ができる。

Nikon Z6III 作例:ダンスをしている女性

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
105mmで撮影・絞りF4.0・1/800秒・ISO3200・WBオート・RAW・モデル=山田紗良

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AF性能の進化が大きな注目点だ。Z9の性能を継承したAFはZ6IIより20%の速さを実現した。激しくダンスする人物をしっかり検出し追尾してくれた。AFの食いつきもよく正確なフォーカスを得ることが出来た。半押ししてから最大1秒前まで遡って撮影できるプリキャプチャーモードも瞬間の可能性を広げてくれる。

Nikon Z6III 作例:オブジェ

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
24mmで撮影・絞りF4.0・1/25秒・ISO12800・WBオート・RAW

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画素を抑えた分高感度に強いのがZ6IIIの大きな特徴だ。常用最高感度はISO64000でこれはZ6IIのISO51200を上回った。EXPEED 7の画像処理によりノイズを極力抑えた表現は撮影フィールドを大きく広げてくれるだろう。写真はISO12800。ザラつきはあるものの嫌なノイズはなく十分常用で使える印象だ。

Nikon Z6III 作例:のぼり

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
61mmで撮影・絞りF4.0・1/3200秒・ISO200・WBオート・RAW

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手ブレ補正機構(VR)は、Z9、Z8を超える8.0段と強力だ。加えてAFは-10EVの暗さまで検出可能だ。フォーカスポイントVRは、フォーカスを合わせた部分のブレを軽減するという優れた機能も加えて暗いシーンも積極的に撮影にチャレンジできる。

Nikon Z6III 作例:歩く女性

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
42mmで撮影・絞りF4.0・1/16000秒・ISO100・WBオート・RAW

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スナップ撮影において私の好きな表現として人を構図の中で小さく活かす、という手法がある。小さいからピリッとアクセントとなりストーリーが生まれる。AFは画面の長辺の約3%に相当する小さな顔を確実に検出しピントをあわせてくれる。

Nikon Z6III 作例:神社

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
39mmで撮影・絞りF8・1/320秒・ISO200・WBオート・RAW

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EVFはZ9、Z8で採用された「Real-Live Viewfinder」に近い視認性を達成している。さらにミラーレスカメラ史上最高の明るさ、Z6IIの約4倍でZ9を超える4000cd/m2の明るさを実現し、日中の厳しい光線の中でも見えの良さを実感できた。

Nikon Z6III 作例:ビルとオブジェ

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
24mmで撮影・絞りF11・1/320秒・ISO200・WBオート・RAW

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Nikon Z6III 本体:レンズを装着した画像

今回使用したZ6IIIのキットレンズNIKKOR Z 24-120mm f/4 SはS-Lineの名の通り優秀なレンズだ。解像感の高い描写とともにナノクリスタルコートとアルネオコートを採用し、逆光のゴーストやフレアをしっかりと抑えてくれた。

Nikon Z6III 作例:ひまわり

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
120mmで撮影・絞りF4.0・1/500秒・ISO100・WBオート・RAW

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24-120mm f/4の最短撮影距離は35cmと近接撮影も楽しめ、ボケ味も美しく柔らかく色鮮やかな描写力を持っている。対応できる被写体が広く望遠側120mmながら重量は約630gとZ6IIIのコンパクトなシステムに相性ぴったりだ。

Nikon Z6III 作例:空と飛行機と建築物

ニコンZ6III・NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
59mmで撮影・絞りF6.3・1/4000秒・ISO200・WBオート・RAW

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編集ソフト「NX Studio」で自由な画作りの表現ができるピクチャーコントロール「フレキシブルカラー」に対応。色相、彩度、明度を調整できるカラーグレーディングで自分の表現したい色に調整することが可能だ。設定はZ6IIIに登録することが可能で仕上がりを確認しながら撮影することができる。

Nikon Z6III 本体:バリアングルモニター

動画機能に力を入れていることは外観からも伝わる。チルト式からバリアングルに変更された背面液晶は好みもあるだろうが動画に相性が良い。HDMI端子もTypeCからTypeAに変更された。

動画クリエイターの高い要求にも対応する、Z6IIIの動画撮影機能


モデル=山田紗良

動画は12bit 6K N-RAW/ProRes RAW HQの内部記録と10bit 5.4K ProRes 422/H.265で記録できるなど他にも豊富なモードが用意されている。映像クリエイターの高い要求にも十分答えられる機能を持っている。動画中のAFもしっかりと人物にフォーカスし、手前に手が来るポーズも顔を捉え続けてくれた。

Z6IIIまとめ

ミラーレス機に求めるサイズ感、取り回しの良さなど軽快な街スナップ撮影を主にするユーザーにとってはまさに「ちょうどよい」カメラだ。デジタルカメラの傾向として最新のカメラが最先端のカメラであるのは間違いなく、やや高め設定の価格もAFやEVFの進化を使えば実感、納得できるのは間違いない。撮影に瞬発力を求める人に最適なカメラと言えるだろう。

作例に使用カメラ

【商品情報】Nikon Z6III ボディ

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Nikon Z6III ボディバナー画像

作例に使用レンズ

【商品情報】Nikon NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

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Nikon NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sバナー画像

Photo & Text by 熊切大輔

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