はじめに
Leica バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.の特徴
高級感ある外装と軽快に撮り歩けるサイズ感
高級機のイメージはそのままに、現代的な扱いやすいデザイン
Leica バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.の性能をチェック
まとめ
Leica バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH. 作例
作例に使用したレンズ
Leica バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.
作例に使用したカメラ
Leica SL2-S
東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年に写真展を開催後、写真家になる。カメラ専門誌、WEBでの撮影や執筆、各種撮影や写真講師等で活動。作品では、国内や海外の街を撮影している。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。デジタルカメラグランプリ(DGP)審査員。NHK文化センター柏教室講師。
ホームページ:
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https://twitter.com/FujiiTomohiro
Leica SLシステムの大口径標準ズームレンズ。これまでLeica SLレンズにはバリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPH.があったので、バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.は2本目の標準ズームになる。
24〜90mmと比べてテレ側が20mm短いものの、ズーム全域でF2.8を実現した。Leica SLレンズでは初めての全域F2.8のズームレンズでもある。
Leica SL2-Sに装着。一体感のあるスタイルだ。
外観はLeica SLレンズらしい重厚感のある仕上がり。広角ズームのスーパー・バリオ・エルマーSL f3.5-4.5/16〜35mm ASPH.に通じるデザインを持ち、Leica SLシリーズにマッチする。外装は金属を採用し、手にすると「さすがLeica 」と思わせる高級感だ。
これまでの24〜90mmは、描写性能は素晴らしいが、正直言って大柄で重い。1kgを超えるレンズは、軽快に持ち歩くのはなかなか大変だ。だがこちらの24〜70mmは約856g。24〜90mmと比べて300g近く軽く、一日撮り歩いても疲労は少なかった。しかも全域でF2.8の明るさだ。
ズームリング、フォーカスリング、共にラバーが巻かれていて、滑りにくく絶妙なフィット感が得られる。レンジファインダーのLeica Mレンズでは、フォーカスリングは金属だが、Leica SLレンズはすべてラバーを巻いている。
Leica Mレンズは1954年から続く伝統のスタイルを維持しながら、操作性も考慮している印象だ。それに対しデジタル専用設計のLeica SLレンズは、Leica が持つ高級機のイメージはそのままに、現代的な扱いやすさを追求しているように見える。ズームリングもスムーズに回転し、シビアな画角調整も行いやすい。
いかにもLeica らしい精悍さを持つデザイン。鏡筒は金属製だ。レンズ名は前玉の周囲ではなく鏡筒に刻印されている。
決して軽くはないが、フルサイズ用の大口径標準レンズとしては扱いやすい大きさと重さだ。
AFにはステッピングモーターを採用し、静かで速い。レスポンス良く、スピーディーなフォーカシングが可能だ。写真はもちろん、動画撮影にも威力を発揮するだろう。
また24〜90mmは最高3.5段分の手ブレ補正機構を搭載しているが、こちらの24〜70mmには手ブレ補正機構がなく、手ブレ補正はボディ側に依存する。
レンズ構成は15群18枚。そのうち3枚に両面非球面レンズを採用し、異常部分分散ガラスによるレンズを9枚も使用した贅沢なつくりだ。
ボディはLeica SL2-Sに装着して使用した。ワイド側24mmの描写は絞り開放から解像力がとても高い。画面の端でも甘さや流れがないのは見事だ。
周辺光量がわずかに落ちるが、気になるレベルではなく、1段絞ると解消される。絞り開放から優れた描写性能を発揮するせいか、絞っても解像力やコントラストの変化はほとんどない。
F11を過ぎると、回折現象の影響が出て解像力がわずかに低下する。とはいえ拡大してやっと感じられる程度だ。
テレ側70mmでも描写の傾向は似ている。絞り開放から解像力は高いが、画面中央部と四隅では、ワイド側より少し解像力の差は感じられる。
ただし、こちらも拡大して見比べた印象だ。1段絞ると画面全体で均一の解像力になり、周辺光量低下もほぼ改善される。
また素直なボケを持ち、F2.8の浅い被写界深度を生かした写真も楽しめる。絞った際の点光源のボケも角張ることがなく、ボケ味の良さも魅力のレンズだ。
そして逆光にも非常に強い。太陽が画面に入る条件では、さすがにゴーストは発生するものの、その量は少ない。そしてフレアでコントラストが下がることもなく、厳しい光線状況でも引き締まった仕上がりが楽しめる。
さらに特筆したいのが、ズーム全域で0.18mまで寄れることだ。最大撮影倍率は、24mmでは1:2.9、70mmでは1:4.5になり、マクロレンズに迫るクローズアップが可能だ。
70mm側へズーミング。ここまで鏡筒が伸びる。
レンズフードは花弁型。金属製でガッチリしている。
フィルター径は82mm。
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24mm側で撮影。ビルの窓枠がしっかり解像され、実にシャープな描写だ。太陽の光が反射しているが、フレアもゴーストも出ていない。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・24mmで撮影
絞りF8・1/200秒・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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テレ側70mm。こちらも24mmと同じく、非常に解像力の高い写りだ。画面の隅々まで甘さがない。屋根のドームも立体感がある。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・70mmで撮影
絞りF8・1/250秒・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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70mm側で絞り開放。椅子の質感がよく再現され、感触が伝わってくるようだ。また自然な雰囲気のボケ味も魅力だ。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・70mmで撮影
絞りF2.8・1/160秒・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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最短撮影距離0.18mを生かして逆光に輝く葉に迫った。近距離でも甘さを感じない。また強い逆光だが、わずかにゴーストが出ただけ。フレアでコントラストが下がることもなく、メリハリのある写りだ。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・24mmで撮影
絞りF2.8・1/1000秒・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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カゴに盛られた野菜や果物。70mm側で切り取る。近接撮影も得意なので、思い切って近づいて撮影できた。常用域で最短撮影距離を気にせず撮影できるのは、ストレスがなく快適だ。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・70mmで撮影
絞りF2.8・1/320秒・−0.3EV補正・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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絞りをわずかに絞ったF3.5。点光源のボケは角張らず、円形になっている。ボケ味の良さがわかる。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・70mmで撮影
絞りF3.5・1/60秒・−0.3EV補正・ISO100・WB:デイライト・DNG(RAW)+JPEG
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ズームリングは大型で回しやすく、ラバーが指にフィットする。微妙な画角の調整も楽にできた。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・45mmで撮影
絞りF5.6・1/250秒・−0.7EV補正・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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70mmは本格的な望遠にはやや短く感じるが、肉眼で見た印象を自然な雰囲気で切り取るのに使いやすい。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・70mmで撮影
絞りF4・1/400秒・−0.7EV補正・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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AFは速く、撮りたいと思ったシーンにすぐ反応できる。駆動音も静かだ。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・70mmで撮影
絞りF2.8・1/60秒・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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Leica SL2-Sとの組み合わせはコンパクトとは言えないもののバランスが良く、街のスナップ派にも楽しめる。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・59mmで撮影
絞りF4・1/40秒・−0.7EV補正・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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画面右下のサギが羽根を広げた瞬間にシャッターを切った。描写も操作性も優れていて、常用レンズとして様々な撮影に使いたいレンズだ。
Leica SL2-S・バリオ・エルマリート SL f2.8/24-70mm ASPH.・25mmで撮影
絞りF5.6・1/250秒・−0.7EV補正・ISO100・AWB・DNG(RAW)+JPEG
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Photo & Text by 藤井智弘(ふじい・ともひろ)