フォトグラファー三井公一氏がアクションカメラGoPro HERO11 Black・HERO11 Black Mini・MAXを撮影動画とともにレビューします。
ミラーレス一眼カメラや一眼レフでスチル撮影を楽しんでいる人たちにもおすすめしたい軽量・コンパクトで防水耐衝撃性が高く、タイムプラスムービーまで楽しめるGoProの魅力を解説します。
■フォトグラファー紹介
三井公一(みつい・こういち)
フォトグラファー。写真週刊誌、スポーツ紙、グラフ誌、モータースポーツ専門紙のスタッフフォトグラファーを経て、現在は広告やエディトリアル撮影を手がける。ブラブラとさすらいながらのスナップショット撮影が好き。シグマ公式サイト「シグブラ」、ペンタックス公式サイト「ペンタビ」などの連載を持つ。スマートフォンでの写真撮影のパイオニアでもある。
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はじめに
身体に装着してエクストリームスポーツや過激なアクションの動画が撮影できる「GoPro(ゴープロ)」シリーズ。その軽量コンパクトさと防水耐衝撃性の高さから「GoPro」をちょっと気にしている人も多いはず。
そこでふだんはミラーレス一眼や一眼レフでスチル撮影を楽しんでいる人たちに向けて、その「GoPro」の特徴をピックアップしてお伝えしたい。
このカメラは気軽にポケットへ放り込んで散歩に出てこんなタイムラプスムービー撮影も楽しめるのだ。
タフネス&ウェアラブルカメラの元祖的存在「GoPro」シリーズ
まるで自分がサーフィンやモトクロス、そしてスカイダイビングをしているかのような、一人称視点のアクションムービーを視聴して「おお、スゴい!」と思った経験はないだろうか?
そんな迫力ある映像を撮影できるウェアラブル(身体に装着)でタフネス(防水、耐衝撃)カメラのパイオニアが「GoPro」シリーズだ。
昨秋登場した最新モデル「GoPro HERO11 Black」では10bitカラーでの撮影も可能になり、驚異の手ブレ補正機能「HyperSmooth 5.0」でますます安定した映像を得て、さまざまなタイムラプス撮影モードも備えた。
過激なアクションを撮るだけでなく、ふだんのシーンでも活躍できる「超コンパクトなムービーカメラ」として今注目されているのだ。
話題の「GoPro」3機種をインプレッション
このプロフェッショナルレビューで今回取り上げるのはこの3つの「GoPro」だ。
・「GoPro HERO11 Black」
・「GoPro HERO11 Black Mini」
・「GoPro MAX」
どれも小さくて軽いので、豊富なアタッチメントを利用して身体に装着したり、自転車やモーターサイクルなどにもマウントできる。
もちろんタフネス性能も有し、雨や雪、ホコリなどもへっちゃらである。超ワイドなレンズと優秀な手ブレ補正機能を搭載しているので、クリアでシャープな像とブレなく安定した映像を高画質で記録できるのである。
そのコントロールもスマートフォンとワイヤレス接続して自在だ。ではそれぞれ詳しく見ていこう。
GoPro HERO11 Black
5.3K 60fpsのムービー撮影と手ブレ補正機能「HyperSmooth 5.0」搭載、1.4インチのフロントスクリーンを備える「GoPro」のメインストリーム機だ。
10メートルもの耐水性能とさまざまなモジュラー(専用アクセサリー)対応、リモートワークにも役立つウェブカメラモード、GPS機能、そして27.13MP + SuperPhoto (HDR搭載)のスチル撮影モード、そしてRAW写真も撮れるスーパータフネスで頼りになる1台だ。
GoPro HERO11 Black Mini
小粒でピリリとした本機はムービー撮影専用マシンだ。「GoPro HERO11 Black」の機能をほぼそのままに、フロントスクリーンやスチル撮影機能などを取り去り、より小型軽量化されたスリムなボディシェイプが自慢の1台。
これによってヘルメットや自転車のディレーラー脇などに気軽にマウント可能になった。このように狭いエリアに搭載したり、例えばデジカメのホットシューに載せて撮影シーンを記録するということも手軽に実現できる。
バッテリーは内蔵式で交換不可。底面と背面に2つのフォールディングフィンガー(アクセサリー用の足)があるのでマウント自由度が高い。
GoPro MAX
この「GoPro MAX」は360度の全天球映像を捉えられる「GoPro」だ。2つ搭載のカメラで迫力の360度ムービーと他の「GoPro」同様の超広角ムービー、そして全天球スチルやワンショットパノラマの撮影ができる。
もちろん防水耐衝撃性能も備えているので過酷な環境下での撮影が可能。手ブレ補正機能や360度水平ロック機能もあるのでムービーの水平を常にブレなく保つことができる。
またスマートフォン用アプリ「Quik」で簡単に360度ムービーの編集が可能だ。アイディア次第で面白い全天球ムービーが楽しめそうだ。
実写インプレッション
GoPro HERO11 Black
まずは安定の手ブレ補正機能を見てみよう。進化した「HyperSmooth 5.0」は見事に歩行時の揺れを軽減してくれる。
GoPro HERO11 Black 手ブレ補正テスト
ややラフに「GoPro HERO11 Black」持って歩いたのだが実にスムーズ。もっとていねいに歩けばより安定したムービーになるはずだ。音声もクリアでいい感じ。
GoPro HERO11 Black 手ブレ補正 ウォークスルーテスト
古民家を撮影したクリップだが、このようにウォークスルーのようなシーンでもジンバルいらずの手持ちでOK。デジタルカメラで同様に撮るには電子式手ブレ補正機能を使わなければ難しい。その場合撮影範囲が狭まりワイド感が出にくい。
GoPro HERO11 Black 水に浸けて撮影テスト
「GoPro」といえば防水で頑丈さが売りだが、このように気軽に水に浸けての撮影が可能だ。フィッシングやサーフィン、登山やキャンプシーンなどで迫力あるムービーを捉えられるに違いない。デジタルカメラではこのようなイージーさとラフに撮影できないだろう。もちろん泳いだり10メートルまでの水中もハウジングなしでイケる。
GoPro HERO11 Black バスの中からタイムラプスを撮影テスト
撮影帰りのバスの中からタイムラプスを撮った。小さい「GoPro HERO11 Black」ならバッグからパッと出してすかさず撮影開始できる。思った時が撮影時だ。設定はスマートフォンからもできるが、背面スクリーンを指先でタッチしても可能である。精細感があり色合いも自然だ。
GoPro HERO11 Black ライトトレイルで撮影した横浜の夜景
新しく搭載された機能「ライトトレイル」モードを使って横浜の夜景を撮った。普通のタイムラプスやナイトラプスと違い、ゴンドラの光がスローシャッターを切ったように光跡を描き、しかもタイムラプスになっている。
こんなモードも設定ひとつで可能なのだ。空の星や横切る飛行機まで写っているのに驚いた。
撮影には純正アクセサリーの「3-Way 2.0」を使用した。三脚にもなるし自撮り棒にもなる優れものだ。
GoPro HERO11 Black Mini
ムービー撮影に特化した「GoPro HERO11 Black Mini」。軽量でコンパクトなボディは一脚などに装着してドローン顔負けのムービーの撮影ができる。スマートフォンで桜を撮影している女性から桜の花までを撮影。デジタルカメラでは難しいカメラワークもこの小さいヤツなら簡単だ。
GoPro HERO11 Black Mini 一脚に装着して撮影テスト
GoPro HERO11 Black Miniを3-Way 2.0に装着して竹林を撮影テスト
「GoPro HERO11 Black Mini」を「3-Way 2.0」に装着して竹林のさわやかな光を捉えた。露出の安定性や色再現性が見事である。またスムーズな動きと安定感のある手ブレ補正機能もいい。軽いので撮影アングルが自在なのもこのカメラの特徴だろう。
GoPro MAX
この「GoPro MAX」はやはり何といっても360度グリグリと動かせる全天球ムービーを撮れるところが魅力だ。2つのカメラで前方と後方を同時に撮影して1つのムービーにアウトプットしてくれるのだ。
スマートフォン用アプリ「Quik」で動きやスピード、レンズの画角などを編集してクリップとして書き出し可能だ。ふつうのムービーでは表現できない空間や動きを出せるのが本当に面白い。もちろん他の「GoPro」シリーズ同様のムービーも撮影できる。
GoPro MAX スピードと画角をQuik指定にして撮影テスト
桜の花から水路〜桜の花、とまるで超低空をドローンが飛行したかのような動きを演出してみた。視点や角度、スピードと画角を「Quik」で指定している。この迫力は「GoPro MAX」ならではである。
GoPro MAX 自分の撮影風景
自分の撮影風景を撮ってみた。切り通しをブラブラ撮影している姿を、バックパックに挿した一脚に「GoPro MAX」を装着したのだ。雲台が大きかったので少し写ってしまっているが、純正アクセサリーなら写り込みを防ぐことが可能なようだ。
「Quik」で画角を変更しているのでグルグルと背景が動くのが分かるだろう。ラストは小さな惑星に立っているかのように仕上げてみた。「GoPro MAX」は周囲全てを撮影しているため、アプリでこのように撮影範囲を変えることができるのだ。
まとめ
記事頭のタイムラプス撮影風景。スマートフォンと「GoPro HERO11 Black Mini」があればこのように気軽なムービー撮影ができるのである。
実に小さいのでふだんのカメラ機材に加えても苦にならないだろう。
自分の撮影シーンを「GoPro」シリーズで収録してVLOGにするのもよし。エクササイズやペット、趣味などの撮影に活かすのもよし。旅行などにサブカメラとして持参するのもいいだろう。
アイディアと行動力次第で迫力あるムービーを美しく撮影できるのがこの「GoPro」シリーズなのだ。
Photo & Text by 三井公一(みつい・こういち)