防湿庫はカメラやレンズに発生するカビを抑制する、カメラファンなら必須と言っていいアイテムです。
最初は少し価格が高いと感じる防湿庫ですが、実は意外なほど長持ちするので、一度購入してしまえば買い替えの必要はほとんどありません。
今回はそんな防湿庫の選び方のポイントやおすすめのモデルを専門店スタッフが解説します。
防湿庫は何故必要か?
防湿庫以上に効果のあるカビ対策とは
防湿庫はカメラファンの必需品
光触媒と乾燥剤式
おすすめの防湿庫メーカー
東洋リビング(トウヨウリビング)
TOLIHAN(トーリ・ハン)
SIRUI(シルイ)
低予算で済ませたいならドライボックス
Nakabayashi(ナカバヤシ)
HAKUBA(ハクバ)
意外と長寿命な防湿庫
レンズの置き方と防湿庫の形
まとめ
初めて聞くと驚くかもしれませんが、カメラやレンズに使われる光学ガラスにはカビが生えるのです。
日本は高温多湿でカビが生えやすい環境であるだけでなく、基本的にアウトドアで使えわれる事が多い写真機材は汚れなども付きやすく、ひと夏でレンズにカビが生えてしまったという事も少なくありません。一般的にカビは湿度の低い場所では生えずらいので、湿度を低く保つ防湿庫はカビの抑制に効果があるのです。
逆に湿度が低すぎるのもカメラ機材には良くないので、防湿庫の湿度は30~50%になるように設定されているものが多いようです。
フジヤカメラでは毎日多くの中古品を買い取りますが、査定時にカビがあった事をお客様に伝えると高い確率で「しばらく使っていなかった」と言われます。
定量的にデータを取った訳ではないのですが、カビを防ぐ方法としてできるだけ頻繁に使うという事は有効な気がします。使う事でレンズやカメラ内の空気が換気されますし、機械にとってもたまに動かしてあげる方が油の偏りなどの防止になって良いようです。
カメラ好きの方は、写真も撮らないのに家でカシャカシャシャッターを切ったりしますが、そのおかげで実はカメラの寿命を延ばしている事になっているのかもしれません。
さて、カビや故障のトラブルを避ける為に適度に使った方が良いという事は言えそうですが、カメラファン、特に写歴の長いカメラファンになればなるほどカメラや交換レンズを沢山お持ちだと思います。かく言う私も現在、フィルム一眼レフ1台、二眼レフ1台、ミラーレス一眼3台、レンズ6本、天体望遠鏡1本を所有しています。
こんなに沢山持っていると、全てのカメラ・レンズを頻繁に使う事は不可能で、実際1年以上使っていない機材もあります。
せめて使っていない時は防湿庫に入れて、保管に最善を尽くしたいもの。防湿庫は機材を多く持つカメラファンには必需品と言っていいでしょう。
除湿の方法には乾燥剤式とペルチェ式がありますが、カメラ機材用の防湿庫におすすめなのは乾燥剤式です。
乾燥剤式は故障が少なく長持ちする事や、メンテナンスがほぼ不要な事から防湿庫にピッタリの除湿方式です。
又、光触媒を搭載したモデルなら、光触媒シートが強力な酸化力を発揮することで防湿庫内の空気をクリーンにする事ができます。光触媒のクリーン効果はカビ菌を含む有機物を分解・除去するだけでなく脱臭効果も期待できる優れものです。
防湿庫と言えば東洋リビングと言えるくらい、多くのユーザーから支持される実績のあるメーカーです。
電子ドライユニットを開発、製品化したメーカーであり、現在はその電子ドライユニットに光触媒を組み込んだオートクリーンドライが防湿庫の定番品として広く使われています。
コンパクトでリーズナブルな価格帯のモデルから、プロ向きの大型タイプまで幅広くラインナップしており、用途に応じた最適のモデルを選びやすいのも東洋リビング製防湿庫の特徴です。
【おすすめのモデル】東洋リビング オートクリーンドライ ED-120CATP2(B)
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東洋リビングと並んで多くのユーザーから支持される老舗の防湿庫メーカーがトーリ・ハンです。
庫内と庫外の両方の湿度を表示できるデュアル湿度計や、機材の出し入れがしやすい庫内LED照明など、ユーザーフレンドリーなデザインが特徴となっています。
業務用の大型タイプやオーダーメイド防湿庫も充実しているので、多くの機材を保管したいカメラコレクターにもおすすめのメーカーとなっています。
【おすすめのモデル】TOLIHAN(トーリ・ハン)PH-62 ドライ・キャビ PREMIUM
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三脚や雲台、動画用のアナモルフィックレンズが好評のSIRUI(シルイ)は、シンプルでリーズナブルな価格の防湿庫が特徴です。
光触媒ユニットを搭載したモデルをミニマムにラインナップしており、選択肢は多くありませんがその分リーズナブルな価格を実現しているので、アマチュアユーザーなら買いやすいメーカーとなっています。
天板が頑丈なコンパクトなモデルが中心なので、省スペースで効率的に保管場所を確保したいユーザーにもおすすめです。
【おすすめのモデル】SIRUI(シルイ) HC70
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本格的な防湿庫は少し敷居が高いけれど、カメラやレンズをできるだけ安全に保管したい、そんなユーザーにおすすめなのがドライボックスです。
Nakabayashi(ナカバヤシ)のドライボックスは優れた密閉性を持ち、見やすい位置に湿度計が設置されている使いやすいドライボックスなので、大切なカメラ機材の保管にも最適の製品となっています。
防湿庫と違って簡単に持ち運びや移動ができるのもドライボックスの大きなメリットです。
カメラ、写真のアクセサリーの老舗メーカー HAKUBA(ハクバ)のドライボックスは、上蓋部分に乾燥剤ホルダーが付いている使いやすさがポイントです。
カメラファンには定番となっている乾燥剤「キングドライ乾燥剤」が付属しているので、購入して直ぐ安心して使う事ができます。
湿度計がオプションとなっているので、HAKUBA(ハクバ)ドライボックスを購入する際には併せて購入する事をおすすめします。
購入時には高価に感じる防湿庫ですが、思った以上に長持ちするので実はコスパの高い機材と言えます。
東洋リビングのQ&Aには「20年以上ご使用されているお客様も数多くいらっしゃいます。」と書かれています。
私も東洋リビングの防湿庫を30年近く愛用していますが、今でも除湿などの機能に問題無く使えているので、年に換算すればかなりコスパが高いと言えるでしょう。使っていたお陰でトラブルを避けられた機材も多かったと思いますので、防湿庫は数あるカメラ用品の中でも是非持っていたいおすすめの製品です。
防湿庫の形は縦長の高さのあるタイプと横長の幅のあるタイプがあります。
縦長のタイプは設置するスペースを小さくして沢山の機材を収納するのに向いており、通常はこういったタイプを選ぶ方が多いようです。横長タイプのメリットは長さのあるレンズを横向きに置いて収納できる点で、超望遠レンズや天体望遠鏡などを効率よく収納できます。
又、サイズについては、防湿という点からも長く使えるという点からも、お持ちの機材を余裕を持って収納できる少し大きめを選ぶのがおすすめです。
・乾燥剤タイプが耐久性も高くおすすめです
・光触媒を搭載したモデルを選べば機材をクリーンに保てます
・実績のあるメーカーを選べば長く安心して使えます
・低予算で済ませたいならドライボックスを検討しましょう
・防湿庫は耐久性も高くコスパの高い製品と言えます
・超望遠レンズや天体望遠鏡の保管には横型のタイプがおすすめです
防湿庫選びの参考にしていただければ幸いです。