SONY(ソニー) プロフェッショナルカムコーダー FX3はミラーレス一眼のようなコンパクトさを持ったシネマカメラで、これから本格的な映像制作を行いたいユーザーにおすすめの機種です。
コンパクトながらSONY Cinema Lineに属し、シネマカメラらしくグレーディングに対する高い劣化耐性、優れた機動性、操作性を持っています。
今回はSONY(ソニー) プロフェッショナルカムコーダー FX3の使い勝手やメリット、気になるα7sIIIとの違いをレビューします!
SONY Cinema Line シリーズ中、最小・最軽量モデルFX3
シネマカメラとは
SONY Cinema Lineのラインナップ
FX3の特徴
SONY Cinema Lineシリーズ中、最小・最軽量
SONY Cinema Lineカメラの動画性能、画質
内蔵冷却ファンによる長時間使用
XLRアダプター付属で複数のマイクを使った音の収録が可能
ボディに1/4ネジ穴を5個搭載
α7sIIIとの比較
動画撮影を前提とした使い勝手、デザイン
トップハンドルとしても重宝するXLRアダプター
ライブ配信などにも向いている長時間撮影
おすすめのユーザー、FX3を選ぶメリット
これから動画に本格的に取り組むユーザーにおすすめ
現場での使用率が高いSONYカメラである点もポイント
いまいちなポイント
まとめ
SONY(ソニー) Cinema Line シリーズ中、最小・最軽量モデルとなるプロフェッショナルカムコーダーFX3は、シリーズ名が示すとおり、シネマカメラというジャンルに属するカメラです。
ここではまだあまり馴染みのないシネマカメラについてと、FX3のシネマカメラの中での立ち位置について解説したいと思います。
シネマカメラを定義するのは難しいですが、簡単に言えばカラーグレーディングに強い高画質な動画用カメラと言えるでしょう。
撮影後のポストプロダクションにおいて、色補正などのカラーグレーディングなどを行う事で、よりイメージに近い映像にする事は以前はプロの範疇の仕事でしたが、パソコンの能力UPなどにより、最近はアマチュアでも比較的簡単に出来るようになって来ました。
SONY FX3はこのシネマカメラに属し、4Kなどの画像サイズだけでなく補正を行った際も画質劣化が起きづらい、情報量の多い映像を撮影する事が出来るのです。
現在(2021.11.22)SONYのCinema Line シリーズのラインナップには、VENICE、FX9、FX6、FX3の4種類がラインナップされています。
いずれもフルサイズのセンサーを搭載し、SONYミラーレス一眼カメラと共通のEマウントを採用(VENICEはPL+Eマウント)しているので、高性能で豊富なラインナップを誇るSONY Eマウントレンズ群を使う事が出来ます。
FX3はそれらの中で最もスタンダードな機種という位置づけです。
SONY Cinema Line シリーズカメラの中で最もスタンダードな機種となるFX3ですが、画質的には上位機種の性能を、サイズ的にはミラーレス一眼カメラのようなコンパクトさを併せもっています。
アマチュアからプロを目指すシネマトグラファーまで使い易いFX3の特徴について見てみましょう。
FX3はまるでミラーレス一眼カメラのようなコンパクトなデザインと、715 g (カメラ本体、電池、メモリーカード含む)という軽量さを持った小型軽量なシネマカメラです。
これは例えば人気のジンバルDJI RSC2などと組み合わせて抜群の機動力を発揮し、風景から人物まで移動撮影との相性がとてもいいと感じました。
実は、DJI RSC2に取り付けて実際に使用してみたのですが、軽量さを活かした機動性の良さは勿論、REC開始/停止ボタンにも対応しており、使い勝手のいい組み合わせです。3Dロール360モードでカメラを360°回転させながら撮影する事も出来ましたよ!
FX3はSONY Cinema Line のカメラらしい、優れた動画性能、画質を備えています。
4K QFHD解像度による最大120pのハイフレームレート撮影をはじめ、4:2:2 10bitのサンプリングに対応、最大ビットレートは600Mbpsを備え映像のイメージをコントロールするカラーグレーディングに対する高い劣化耐性を持ちます。フルサイズセンサー採用による、夜間撮影時のノイズの少ない滑らかでリアルな映像は感嘆の一言でした。
勿論、SONYシネマカメラで好評な肌の色を美しく見せるスキントーンを中心としたルック「S-Cinetone」などの全10種類のクリエイティブルックがカメラ内にプリセットされており、インスタントにシネマのようなルックを再現する事も可能です。
SONYの十八番とも言える高いAF性能が撮影を強力にサポートします。
4K120Pでもリアルタイム瞳AFでの追随が可能なので、シャープなピントで高画質なハイフレームレート撮影が可能です。
最近では他メーカーから多くの魅力的なシネマカメラが発売されていますが、オートフォーカスの信頼度ではSONYは一歩抜きん出ており、FX3は最も手軽かつ確実にシネマのような映像表現を実現出来るカメラのひとつと言えるでしょう。
SONY FX3 が動画機として優れている点に、高負荷な状況での長時間撮影が出来る事が挙げられるでしょう。
内蔵冷却ファンを備えているので、環境温度40℃で記録方式XAVC S4Kという高画質で90分の連続撮影が可能となっています。
USBパワーデリバリー給電(出力9V/3Aに対応したUSB PD)では13時間の連続撮影が可能となっているので、ライブなどの長回しが必要な条件下でも安心して使用する事が可能です。
FX3にはトップハンドルを兼ねたマイクのXLRアダプターが付属品しており、XLR端子に直接本格的なマイクが接続する事が出来ます。
又、XLRハンドルに2つのXLR端子(Input1、2)、1つの3.5 mm ステレオジャック(Input3)を搭載しているので、複数のマイクで音声を記録する事が可能なのです。
例えば、Input1にガンマイク1本、Input3に2波受けのワイヤレスピンマイク(RODE Wireless GO IIなど)を使用すれば、環境音+出演者2名の声を同時に収録したりと、特性の違う複数のマイクで聴きやすい音声収録が可能となります。
ボディには1/4ネジ穴を5個搭載しており、ケージ無しで外部モニターなどの機器を取り付ける事が可能です。
特に上部のネジ穴は、直接NATOレールを取り付けられるので、モニターを取り付けられたりと便利だと感じました。
ケージが不要となる事で、システム全体として小型・軽量化が出来る事は、FX3ならではの大きな強みと言えるでしょう。
同じくフルサイズの1210万画素(FX3では静止画時)を搭載した同社のα7sIIIは、動画に強いミラーレス一眼カメラとしてFX3のライバルとも言える製品です。
しかし、もともと動画機として設計されたFX3は、画質だけでなく操作性など動画撮影時には多くの面で高い利便性を誇ります。
ここでは動画機、シネマカメラとしてFX3がα7sIIIよりも優れた点をご紹介したいと思います。
FX3とα7sIIIの大きな違いに、デザインの違いがあります。
アイレベル(目の高さ)で撮影する事を前提としてデザインされたα7sIIIに対して、FX3は動画ではスタンダードなチェストポジション(腰の高さ)で撮影する事を前提にデザインされているのです。
トップハンドルが付属する事は勿論、モニターを見ながら撮影する事が前提となる四角くシンプルな形状は、小さな違いに見えますが実際に使ってみると思いの他使い勝手に差が出るのです。
動画カメラとしてデザインされているのは全体の形だけではありません。ボタン配置や設定されている機能にも動画機ならではの利便性があります。
その代表的なものが、アイリス(絞り)、WB、シャッタースピードを瞬時に設定出来るようボタンが割り振られている事で、これらを撮影中に操作する必要のある動画機ならではの機能と言えるでしょう。ワンプッシュでロック出来る事も可能です。
その他、便利なボディ正面のRECボタンや、6つもあるアサイナブルボタン(カスタムボタン)など、撮影しながらカメラを操作しなければならない動画カメラらしい利便性を考慮した操作性となっています。
XLRアダプターが付属している事も、FX3を選ぶポイントで、α7sIIIでは別売となるので、価格差はこの部分で帳消しとなってしまうのではないでしょうか。
定番となっているショットガンマイクSENNHEISER(ゼンハイザー) MKE 600などはXLR端子での接続となる為、アダプター無しで直接接続出来るのはトラブル回避の為にもメリットと言えるでしょう。
トップハンドルとしても重宝するので、チェストポジションでの撮影がやり易い事もポイントです。
高画質での長時間撮影が可能な事も、FX3の有利な点です。
4Kなどの高画質撮影ではカメラに大きな負荷が掛かり、熱による停止を余儀なくされます。FX3は冷却ファンを搭載している為、環境温度40℃、記録方式XAVC S4Kで、α7sIIIが連続撮影60分なのに対し、90分可能となっており(バリアングル液晶モニター開き、Wi-Fi非接続、自動電源OFF温度が高の時)、高画質での長回しが可能です。
これはライブ配信、撮影から編集してアーカイブ動画を作成するといった使い方でも有利に働くでしょう。
FX3は高品質なシネマカメラとしては勿論、コンパクトな動画カメラとしてもメリットの多い機種です。
FX3を選ぶポイントやメリットをご紹介します。
特にSONY FX3をおすすめしたいのはこれからシネマトグラファーを目指す、動画に本格的に取り組みたいユーザーです。
動画カメラとしてデザインされているFX3は、動画撮影時の操作性が良く、コンパクトなボディはアクティブに多岐に渡る撮影用途を満たすでしょう。
シネマカメラは画質的にも優れているので、PV、CM、ライブコンサート、配信など、多くのシチュエーションで活躍してくれる事間違いなしです!
これから本格的な動画撮影をするユーザーに特におすすめしたいと思える訳のひとつは、SONYのカメラだからです。
動画カメラマン、シネマトグラファーの間では人気のSONYカメラは、現場での使用率も高く、情報を得たり接したりする機会も必然的に多くなるでしょう。又、色合わせや設定の共有など同じメーカーで撮影するメリットも多いと思います。
欲しい情報が簡単に手に入るという事は、これから始めるカメラマンには心強いポイントと言えるのではないでしょうか。
FX3は動画カメラとして非常に優れた機種ですが、実際に使ってみていまいちと思う点もありました。
ひとつは外部モニターに映像を出力した際、カメラの液晶、外部モニターの両方にはキャラ(画像情報)ON表示には出来ない事です。ちなみに映像確認のため再生する際、外部出力している時は外部モニターにしか映像が表示されません。
使い方次第だと思いますが、場合によっては不便に感じる事があるかもしれません。
もうひとつは、内蔵NDフィルターが無い事で、日中の晴天で背景をぼかしたい時は、NDフィルターが必須になります。上位機種のFX6には内蔵NDフィルターがあり、とても便利なので惜しいポイントです。
又、フルサイズで画素数の少ないセンサーを採用している事から、APS-Cサイズにクロップして撮影する際は、HDサイズまでしか設定出来ません。
これはフルサイズ時の低輝度、高感度の高画質とトレードオフなので、仕方がないと言えるでしょう。
これから本格的な動画撮影、シネマトグラファーを目指すユーザーにおすすめなSONY Cinema Line の中で最小・最軽量のモデルとなるFX3を紹介しました。
動画撮影用に設計、デザインされており、編集やカラーグレーディングを含んだ本格的な動画撮影には多くのメリットを含んだ機種です。
SONY FX3はプロ、セミプロは勿論、グレーディングを行ったシネマチックな映像を目指すカメラマン全般におすすめ出来る、汎用性の高いシネマカメラです。
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